オレは飯屋。
名前はオメガだけど、友達からは飯屋って呼ばれてる。
オレの家は大衆食堂「ざれごと」をやってる。
店では料理人見習い…と言っても野菜を切ったり皿を洗ったり注文を受けたり雑用係だ。
この間、末っ子だったオレに弟ができたんだ。
名前はイナラビッタ。
本当は親戚の男の子だ。
早くに両親を交通事故で亡くし、この間まで田舎のバイルおじいちゃんの家で暮らしてた。
でもバイルおじいちゃんが老衰で死んじゃってもう預かり手がなくてオレの家に来たらしい。
うちはカアチャンと双子の姉ちゃんとオレの4人暮らし。
正直生活は厳しくビッタを受け入れる余裕はほとんどなかった。
「イナラビッタ、早くお客さんにお水!」
ガッチャーン
「なにやってるのイナラビッタ!まったく使えない子ねえ!」
食堂でカアチャンの声が響く。
ビッタはまた失敗をしたらしい。
ビッタっていうのはイナラビッタのあだ名で、ビッタにそう呼んでくれって言われた。
オレは弟ができてうれしかったからすぐに親しくなってそう呼んでるが
他の家族はみんな無視してイナラビッタって呼んでいる。
ビッタはいいやつなんだが口が悪くて他の家族とは溶け込めてない。
いや、むしろ煙たがられている。
オレの家庭はお金だけじゃなく精神的にも余裕がないんだ
いわばビッタはオレだけの家族でオレだけの弟なんだ。
最後のお客が店を出た。
今日は忙しい日だった。
仕事の手を休め、オレは椅子に座って一休みした。
お、ビッタがこっちにきたぞ。
「飯屋にいちゃん…またおかあさんにしかられた…」
「よしよし、次は気をつけような。でも今週で何回目だ?」
「いっ、1回目だぞ…」
「昨日も一昨日も割ってたじゃないか。嘘ついたってばれるんだぞ」
「嘘なんかついてないぞ!それは皿だ!今週コップ割ったのは初めてだぞノロマー!」
「そうかそうか、もう割らないように気をつけような」
そう言って頭を撫でてやるとビッタは顔を背けて黙った。
でもこっちから見ても顔が赤くなってるのがバレバレだ。
「今日も忙しかったな」
「お客さんいっぱいきた」
「よく頑張ったな。ほい、おつかれさん。
オレが作ったスペシャルドリンクだ。元気がでるぞ?」
そう言ってオレはあらかじめ用意しておいたコップをビッタの額に当てた。
「つめてっ」
「ははっ、悪い悪い」
「むーっ」
「ほら、はやく飲まないとぬるくなっちゃうぞノロマさん」
「ノロマじゃないやい!遠慮なく貰うぞ
ぐびっぐびっ、ぷはーっ」
よし、飲んだ!!
オレは心のなかでガッツポーズをした。
ビッタの心は確実にオレに向いている証拠だ。
「なあビッタ、今日は一緒に風呂に入らないか?」
ビッタはオレに馴染んでいる。
いや、この町で友達もできていないビッタにとってオレは唯一気を許せる存在に違いない。
今がビッタと風呂に入るチャンスだ。
風呂に入ってしまえばこっちのもの。
ビッタはオレの好き放題だ。
「は、はずかしいな…」
「イヤか?」
「…ほかのヤツならヤダ…で、でも飯屋ならいいぞ!!」
「そっか、よかった。じゃあオレは先に入ってるからすぐに来いよ」
ガラッ
「さっそく背中を流してやるぞ飯屋!」
オレが風呂に入って髪を洗っていると、ビッタは本当にすぐに来た。
単純な奴だ。
いや、そんな単純なヤツじゃなきゃオレは困るんだ。
「じゃあさっそく頼んだぞ」
オレはトリートメントをした髪にタオルを巻き、ビッタに声をかけた。
ビッタはうれしそうに声を上げ石鹸を泡立て始めた。
ビッタは絶妙な力加減でオレの背中を流してくれた。
皿やコップを割りまくってるくせに変なところが器用なヤツだ。
「飯屋にいちゃんの背中おっきいな」
「そりゃなんたってオトナの男だからな」
まだまだガキなオレだが思い切り大人ぶってみせた。
「オイラも早くおとなになりたいぞ」
「なんでだ?」
「おかあさんにも飯屋にいちゃんにも迷惑かけないでひとりぐらしする!」
「オレとも離れて暮らすことになるぞ?」
「し、しかたない!飯屋にいちゃんは好きだ!でもひとりぐらししたい!」
「決意固いんだな」
「あたりまえだ!」
話がひと段落ついたのにあわせてビッタはオレの背中の石鹸をお湯で流した。
「よし、じゃあ今度はオレがビッタを洗ってやるからな!」
「お、おう!」
オレは石鹸を泡立てると背中をごしごしと洗ってやった。
そのたびにビッタは気持ちよさそうに体を揺らした。
次は首、次は腕、次は脚、次は、あそこ。
「ひゃっ!!」
突然おちんちんを握られたビッタは大声を上げた。
「な、なにすんだ飯屋にいちゃん!!」
「駄目か?はやくオトナになりたいんだろ?
オトナはこういうことするんだぞ」
「そ、そうなのか?おかしいぞ!くすぐったいぞ!」
「オレの言うことが信じられないのか?
すぐに気持ちよくなるからじっとしてろって」
「うっ、うっ…」
オレの親指くらいだったおちんちんは固く、大きくなってきた。
「ほら、これは気持ちよくなってる証拠だ。違うか?」
「きっ、きもちいい…あうっあうああっ」
「よし、じゃあこれはどうだ?」
手の力を強くするとビッタは痙攣して精液を吐き出すことなく果てた。
ビッタはまだ精通していないようだ。
「ダメダメだな。ビッタはまだまだ子供だ。
オレがコドモとオトナの違いを見せてやるよ。
今度はビッタがオレのを触ってみろよ」
「…オトナはなんかちがうのか?」
虚ろな目をしたビッタは嫌がることなくオレの性器を握った。
「駄目だ。もっと強く…もっと速く…よし、そうだ…」
ドピュッドピュッドピュッ
「うわっ」
オレのほとばしる精液がビッタの顔にかかった。
「ビッタ、これがオトナとコドモの差だよ。
これはオトナは赤ちゃんのもとなんだ。
オトナの男の人はオトナの女の人と一緒にこれで赤ちゃんをつくるんだ」
「そ、そうなのか…でもなんかこれ臭いぞ…」
「赤ちゃんのもとにそんな失礼なことを言うのか?
ばちあたりなビッタにはお仕置きだ!」
オレはビッタの顔と自分の性器についた精液をビッタの頭につけた。
「うわっやめろーっ」
「ほーらオレ製のトリートメントだ」
精液でビッタの頭をゴシゴシするとビッタの頭はみるみるうちに臭くなった。
「うわーんごめんなさーい」
「そうかそうか、わかればいいんだ」
オレはおとなしくなったビッタの頭の精液を流してやり一緒に湯船に入った。
「いいかビッタ、湯船につかったら128まで数えないと出ちゃいけないんだ。
128まで数えたら体があったまるだろ?あったまったら今日の疲れなんていっきに吹っ飛ぶぞ。
今日はたくさん動いて疲れたもんな」
「わかった!128まで数えるぞ!
い〜ち!に〜い!さ〜ん!128って結構多いな!よ〜ん!」
ビッタは素直に数を数え始めた。
こんなにゆっくり数えてたら数え終わるまで随分かかるだろう。
オレの思ったとおりだ。
「あ、いっけね。ガスの元栓閉め忘れたかもしれない!!」
「ろ〜く、そんなのあとでいいじゃん飯屋にいちゃん」
「良くないぞ。もし何かあって火事になったら住むところもお店もなくなっちゃうぞ。」
「そうか…でもすぐ戻ってきてくれるよな?」
「ああ、すぐ戻る。それまでズルしないで数えるんだぞ。
数を飛ばすのも早口で言うのも駄目だからな?」
「うん、わかった。飯屋にいちゃんに嘘はつきたくない」
「よし、男と男の約束だ。」
「うん!オトコとオトコ!」
オレは湯船から出て風呂場をあとにした。
ガチャッ
「飯屋にいちゃーん、なんで鍵閉めるんだー?」
風呂場の中から曇ったビッタの声がする。
「カアチャンが間違って入ったらイヤだろ?それに念のためだ」
「そっか、カアチャンや姉ちゃんたちに入ってこられたら恥ずかしいし念のためならしかたないな!」
そう、念のためだ。
ビッタは風呂場の外から鍵がかかることに疑問は持たなかったらしい。
オレはゆっくりと体を拭き服を着て、洗面所で自慢の長い髪をドライヤーで乾かした。
「ろくじゅ…きゅ〜う…
急に…眠くなってきたぞ…
きょうは…忙しかったから…つかれ…
飯屋にいちゃん…まだ…かな…
飯屋…にいちゃんの…ノロ…マ…」
その夜、ビッタはオレたちの食卓に並んだ。
ビッタに飲ませたスペシャルドリンクの効果は抜群だった。
眠っているビッタをオレが得意の包丁捌きでセイハットウして捌いた。
料理人見習いは伊達じゃない。
全身の皮を剥いで腹を掻っ捌いたあと内臓は捨てようとしたが、
カアチャンに「使うから捨てるな」と止められた。
モツ煮だかモツ焼きだかにするらしい。
モツって美味いのか?オレにあの味はわからない。
でも、ビッタのモツならためしに食べてみてもいい。
あと足をとっておくように言われたので足首から先を切っておいた。
お守りにすると金運がよくなるらしい。
貧乏なオレの家族らしいの願掛けだ。
残りのビッタは店の業務用冷凍庫に入っている。
明日店で常連さんに食わせるスペシャルメニューになることに決まってる。
今晩の料理は明日の予行演習なんだ。
ビッタの肉は鶏肉みたいにぷりぷりしていて美味かった。
もちろんあの親指サイズの小さなおちんちんも食べた。
おちんちんはオレが塩コショウで味付けして焼いた。
ふたりの姉ちゃんは「キャハハハキモーイ」「キャハハハグローイ」と騒いでいたが無視した。
もし食べたがっててもこれだけは誰にも食わせる気はない。
ビッタのおちんちんはオレが今までに味わったことのないものだった。
このなんとも言えない独特の食感を、オレは絶対に忘れはしないだろう。
晩飯を食い終わったオレは店の調理場に向かった。
これから晩飯と店で使った皿を洗う仕事がある。
でも一番の目的は調理場の奥の業務用冷凍庫だ。
業務用冷凍庫を開けるとすぐにビッタの顔がオレを出迎えてくれた。
ビッタはずっと寂しかったのか、ぱっちりと見開いた両目でオレを見つめている。
「ビッタ、お前はずっとオレの弟だ。
これからもオレの血肉になってずっと一緒に生きていくんだからな・・・」
ビッタは瞬きもせずじっとオレの話を聞いている。
オレは数秒の間ビッタと見つめ合い、まだ完全に凍り付いていない頬にそっとキスをして業務用冷凍庫の重い扉を閉じた。
おわり
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