砂嵐吹き荒れるパナリア砂漠。
手がかりを掴もうと藻掻いていたゼロの腕が流砂の中に呑み込まれて見えなくなった。
「うふふ。お友達の言うとおり手を離せばよかったのにね・・・馬鹿な坊やたち」
一部始終をその場で見ていた赤い翼の女は、少しだけ残念そうにぽってりした唇を尖らせて笑う。
「三幹部の私がせっかく出向いてきたっていうのに、楽しみが減ってしまったわ。
こうなったら、せめて貴方達に彼らの変わりをしてもらわないとね」
三幹部が一人、フェラム。妖艶なる鳥人は青く光る鞭を手のひらで打ち鳴らし、
その場に残っていた3人を振り向いた。
女がふたり、少年がひとり。小さいほうの女は、二人に守られて怯えていた。その天使のような
アーマーのフォルムには見覚えがある。
「貴女はたしか、FMジェネレータ内蔵のレプリだったわね。サイケの奴が手に入れそこねた・・・。
丁度いい、おみやげとして貰って行ってあげるわ。こっちに来なさい」
手招きをすると、背の高いほうの女が少女をかばうように前に出た。腰から短刀を抜いて身構える。
「アクセル。シナモンを連れて早く逃げな!」
「で、でも!あんたはどうすんのさ!?エックスたちは!?」
「エックス達が蟻地獄に落ちたくらいで死ぬもんか!それより、シナモンをこいつらに渡すワケにはいかない。ここはあたしが時間を稼ぐから、とっととお逃げ!」
「マリノさん!」
シナモンが心配そうにしているが、マリノは安心させるようにほほえみかけた。
アクセルがやむをえずシナモンの手を取り、フェラムに背を向けて走り出す。
「マリノさーん!」
シナモンを抱きかかえたままアクセルはツバメ型レプリロイドへと変身すると、
砂嵐の中をよろめきながらも彼方へと飛び去った。
「ふぅん・・・貴女も坊やたちと一緒で仲間思いなのね。群れることを好むようには見えないけれど」
頬に手を当て皮肉るフェラムに、マリノは片脚を上げた戦闘態勢で強がる。
「お互い様だろ。それより、あの子達は追わせないよ。あたしがあんたを止めてみせる」
「一人で勝てるとでも思ってるの?まぁいいわ・・・貴女と遊ぶのもちょっとは愉しそう」
赤い舌で唇を舐め、吹きすさぶ砂の風など意にも介さず翼を開き浮き上がる。
「いいわ。あの子達は見逃してあげる。ただし時間稼ぎくらいはして頂戴ね!」
ビームの鞭がマリノの足元に炸裂した瞬間、マリノの姿は空中にあった。
それまでの濃いピンクだったアーマーがいつの間にか変色し、漆のような黒になっている。
「もらった!」
目にも止まらぬ小刀の一閃。フェラムを肩口から真っ二つに切り裂く。
だが、それは残像だった。紅い幻影が二つに分かれてマリノの背後で実体化する。
「あなた、素敵よ。正直エックスとゼロ以外はおまけだと思っていたけど、やるものねぇ」
「・・・分身!?そんな、クイックシルバーのスピードを凌ぐなんて・・・」
「今度はこっちからいくわよ」
背後から躊躇なくマリノに振り下ろされる鞭。小刀を鞭に打ちつけ反動で距離を離そうと試みるが、
逃げた先から回り込んできた鞭がマリノの身体を蛇のごとく絡め取った。
「し、しまっ・・・」
「残・念」
鞭から放たれた強烈な電撃がマリノにダンスを踏ませる。
「きゃああぁぁぁぁーッ!!」
艶やかな翠色の髪を振り乱し、地に堕ちるマリノ。ほどけた鞭をしゅるしゅると仕舞いながら、
フェラムが悠々とその傍らに降り立った。
「・・・どうやらお仕舞いみたいね。でも、なかなか魅力的な鳴き声だったわ。それに綺麗な髪・・・」
砂を遮る空気の膜でマリノの周囲も包み込み、電撃で埃のついた巻き目のある髪を丁寧に梳くフェラム。
「・・・今日の玩具は、あなたで決まりだわ」
フェラムはくすくすと含み笑うと、気絶したマリノの身体を大事そうに抱き上げ、何処かへと運び去った。
「く・・・ぅ・・・!」
意識を取り戻すと同時にマリノが知覚したのは、自由にならない自分の身体の重みと心細い浮遊感だった。
足元に地面がなく、太い手錠のようなもので拘束された両手首が天井の方へ吊し上げられている。
鎖が伸びている上方も底が見えない眼下も、冷えた闇に包まれていた。
物音ひとつしないが、周りでかすかに風が鳴っている気もする。大きな建物のパイプ状の通風口の中をマリノは想像した。
(・・・捕まった)
がちゃりと鎖を鳴らしながら、マリノは状況を認めて緊張する。
(どのくらい時間が経った・・・ここはどこ?あいつらの・・・基地の中・・・?)
腕甲に仕込んである金庫破り用のツールを取り出そうと試みたが、指が震えてうまくいかなかった。身体に残る電撃の影響は浅くはなく、復帰まで時間がかかりそうだ。
(・・・でも、ダメージは思いのほか少なくて済んだみたいだね・・・三幹部を相手にしたにしては)
記憶を辿るが、途中で中断する。脳裏にあの紅い翼を思い起こしてしまうと、今にも目の前に現れそうな気がした。
よくはわからないが、自分は敗れて捕まったものの、とどめは刺されずにこうして放っておかれている。ということは、ダメージから回復して体勢を立て直すチャンスが幾ばくかはあるということだ。
盗賊稼業に身を置いているからには、捕獲され脱走する術も心得ているマリノである。無駄な力を使わずに身体の感覚が戻るのを待つことにした。
(それにしても・・・シナモンとアクセルは、ちゃんと逃げられたのかね。それにエックス・・・あいつらも、そう簡単に死ぬわきゃない・・・死ぬわきゃないけど・・・)
考え事を始めるマリノ。指先や手足に通る筋が少しずつ少しずつ元に戻ろうとしていくのがわかるが、その速度は緩慢だ。
(・・・冗談じゃない。生きてて貰わなきゃ困る。シナモンだってあたしが体を張ったんだ、無事でいてくれなきゃ・・・
この快盗マリノ様が本業もそこそこに、ずっと一緒に戦ってきたんだよ。こんなとこで終わってたまるもんか。
気に入ったあいつらと半端なとこで終わってたまるもんか・・・)
マリノは思いながら、まずいなとも感じている。ここから逃げ出す算段を練ろうとする一方で、心配事のほうが頭の多くを占めていく。
かつて自分ひとりで動いていたころはクールに徹し切れていたと思うのだが、仲間の身の安否ばかり頭に浮かんできて、なかなか消えてくれない。冷たい手錠と闇にただよう両足が、とても心細い。
「ふふ・・・淋しそうね?」
いきなり耳許で女の声に囁かれて、マリノはびくりと背筋を痙攣させた。背中からゆっくりと髪の毛が掬い上げられて、すりすりと弄ばれている。
いつの間にか背後に現れた件の妖鳥の甘く毒々しい存在感に、マリノのうなじが粟立った。
「お名前はマリノだったわね。寝覚めはいかがかしら?貴女みたいな抜け目のないひとを普通のケージに入れておくのも失礼な気がしたから、ここにぶら下がってもらったの。広くて素敵でしょう?」
フェラムはマリノの髪をいじって遊びながら、その手を繋ぎ止める鎖を軽く揺らしてきた。
「こんな格好させられてたら、落ち着いて寝てられやしないよ・・・。ここはどこ?あたしを一体どうするつもりなんだい?」
マリノはぶっきらぼうに声を出した。声音が震えてやしないかと気になるが、虚勢を張る。
体は、まだ自由に動かない。だが指先が利くようになれば、まだ打つ手がある。
フェラムの速さと強さは確かに畏怖すべきものだ。実際刃を交えたこの身が思い知らされている。
けれどもそれは戦って足止めをしようとして不覚を取ったのであり、逃げに徹するならば話は別だ。
まともにやり合ったりはせず、自分の本分である機知と七つ道具を駆使してこの女を撒くだけならば、決して不可能ではない。
自分にならできる、そして仲間のもとへ帰り、帰りを待つのだ・・・マリノは己に言い聞かせて、自分を侵食しようとする怯えを振り払った。
「ふふふ、私のお気に入りの場所なんだけど、お気に召さなかった?それなら御免なさい。
ここはね、あの砂漠の地下よ。たぶん貴女たちが目指していたであろう、電波妨害施設・・・そのシャフトの中ね」
(やはり・・・ということは、手持ちのマップがあればとりあえず逃げ道は大丈夫だね。あとは・・・)
この女が何のために自分を今生かしているのか定かではないが、大方尋問するためだろう。こんな状況ではさすがに身動きが取れまいとたかをくくってか、フェラムの気配はまったく無防備に見えた。
少なくとも、自分とやり合った際の剣呑さは感じられない・・・自分をもはや敵対者だと思っていないのか。好都合だった。
「そして貴女をどうするつもりか、だけど・・・」
ばさばさ、と羽音がしてフェラムが正面に回り込んできた。ぴくり、と指先を確かめる。動く・・・手足も、完全ではないがだいぶ痺れが抜けた。
フェラムの気をそらすために、わざと真正面から見つめて、視線を合わせる。その頭の上で、錠破りや煙幕をいつでも用意できるようにしておく。
「・・・尋問なら、無駄だよ」
マリノはフェラムを凝視したまま、半分は演技、半分は心の深いところから模写した神妙さで言い放った。
「あたしは何も喋らない。これでも口は固いほうでね?鞭で打たれようと電気を流されようと、あんたらには何も教えられないよ」
「そんなことしないわよ」
フェラムは笑った。よく通る声を口の中でたっぷり転がすようにして笑う。
「そもそも、今更私たちが貴女たちから聞き出さなければならないことなんて、何も無いもの。全ては総統の計画通り。
たしかに貴女たちは私たちにとって邪魔だったけど、それももうほとんどお終いになったようなものだし」
「・・・じゃあ、どうしてあたしを捕まえたんだい?ははぁ・・・男どもの慰みものにでもしようっていうの?それとも総統閣下とやらへの貢ぎ物かい?」
「とんでもない」
さも驚いたように首を振ってみせ、フェラムはマリノに顔を近づける。話は適当に合わせているだけだが、位置はかなり理想的だ。
今しかない。フェラムの不意をつきいよいよ行動を起こすべく、マリノは指先と四肢を緊張させた。
・・・だから、フェラムが続けた言葉と彼女の行動とが自分を通り越して一致してみせたとき、それに対応することが全くできなかった。
「貴女は男たちにはあげない。総統閣下にもご遠慮願うわ。だって、貴女はもう私のモノなんだもの。私だけのモ・ノ」
指先が固まり、動けなくなる。待ちに待っていたタイミングが、あっさりとその手の中から滑り落ちたのが自覚できた。
半秒ほど遅れてわかった事実は、目の前の女がおもむろに自分の頬をそっと挟んで、赤く色づいた唇を自分の唇と深く、熱烈に重ねてきた・・・ということだった。
(・・・え・・・えっ?・・・な・・・な、なっ、何・・・!?)
あまりに突然の出来事に思考が追いついてくれない。ぐらぐらして、どうしていいのかわからない。
甘さすら感じるほどに柔らかく薄い舌がいきなり口の中に潜り込み、口腔から脳に直接生々しい水音を響かせてきた。
(キ、キス・・・されてる、のか!?どうして・・・ま、待て・・・ちょっと待て!こんなの、変・・・お、おかしい!あたし、敵、は、初めて、逃げ、お、女同士・・・!)
顔が内側から火照って目が回る。自分のものかフェラムのものか判別しにくい唾液が絡み合う唇の端から垂れて糸を引いた。
ニュルニュルと蠢いてチュルッと引き抜かれる赤い舌が、同じくらい赤い唇の上を蠱惑的に這う。
「ふぅ・・・美味しいわ。それにとても可愛い顔をするのね、マリノ。思った通りだわ」
「・・・な。な、なっ・・・何を・・・」
頬を両手で挟まれたまま覗き込まれても、何も言い返すことができない。行動に結びつけることもできない。
何も知らない小娘そのもののような、朱に染まった狼狽しかできなかった。
「くすくす。私が貴女を捕まえた理由・・・それはね?こうして貴女と二人きりで遊びたかったからよ。たっぷり・・・。誰にも邪魔されずにね」
謳うようにうっとりと言い、マリノの頬を優しく撫でる。その手つきと愉悦の色に潤むフェラムの瞳が、マリノの背中に予感を走らせた。
これから何をされるか、自分の立場を漸く悟って、胸が早鐘を打つ。慌ててうつむいて目を逸らそうとすると、顎を指先で掬い上げられ、上向かされた。
「私は貴女が気に入ったの。マリノ・・・素敵な声を聞かせて頂戴?踊って頂戴」
「いっ・・・イヤ・・・やめ、あたしに触るな、触らな・・・んっ、んンッ!」
再度重ねられた妖しく柔らかな唇から、フェラムの唾液が垂らし込まれてきた。嚥下せざるをえないほど手慣れた舌づかいで、巧みに喉の奥に流し込んでくる。
「むぅっ・・・んむ、んーっ・・・!」
何か蜜のような薬を含んでいたのか、それともそのように唾液の成分を操ったのか、飲み干すと喉が甘く焼けて胸の奥が心地よく爛れた。
気づくと、フェラムの舌を無意識に求めていたとしか思えない自分がいる。慌てて首を振って唇を外すと、今度は頬に口づけられ、下から上にねっとりと舐められる。フェラムの両手はいつの間にか、自分の胸の下に移動していた。
やめろ・・・と視界に捉えて首を振る間もなく、下から優しくつかまれ、キュッと持ち上げられる。無駄に揺れないようにと乳房を左右から支えている胸甲が皺になり、白い布地がぴっちりと張った。
「きゃぅ・・・!」
「うふふ・・・大きいわねぇ・・・。でもすごく窮屈そう・・・これじゃ、体に悪いわよ?」
心配そうな笑みを作るフェラムの指先の爪が尖り、マリノの胸の上を這った。胸の谷間に張られた真っ白な繊維に、上から下へプツプツと穴を開けられていく。
丁寧に丁寧に穿たれた小さな点線は、最後まで打たれるのを待たずに中の乳房の弾力に負けて、穴同士を繋げてプチプチと裂けていった。
「あっ、やっ・・・だめ、みっ、見るなぁっ!」
マリノの悲鳴も既に遅く、両側の濃いピンクの胸甲を押しのけて、玉汗を吹き満々と張った乳房がフェラムの前に弾け出た。
「素敵よ・・・マリノ。美味しそう、たまらないわ」
たっぷりと実りながらも重さで垂れ下がらず、健康的に跳ねて落ち着いたマリノの双球をうっとりと見つめるフェラム。愛おしげな表情で、乳房を掌にのせて優しく揉みはじめる。
持ち上げられて宙に浮いた乳首が、揉まれるのに合わせて不規則に向きを変えた。
「あっ・・・は・・・くぅ・・・っ」
決して乱暴になることなく、だが遠慮をすることもなく、汗で滑る乳房に埋まり、深く揉み込んでくるフェラムの指。
うつむいて直視するわけにもいかず、視線を宙に泳がせるが、間断なく乳房の弾力と柔らかさとを試し続ける妖鳥の指づかいに、何度もそちらへと目が吸い寄せられそうになる。
「ひァッ・・・!」
ヌル、と生々しい触感で乳肌を舐め上げられた。乳房の下側の生え際から円を描いててろてろと這い上るフェラムの舌に、
マリノは忍耐力を試され続ける。油断すればすぐに甘い声を上げそうになる唇を必死に引き結んで耐える。
だが、そんな儚い意地も、淡いピンクに火照った肌に頬ずりをされ、舌が乳房の頂きに近づくにつれて徐々に塗りつぶされていった。
「うふふ・・・イイわ。すごくイイ顔よ・・・わかるわよ、しゃぶって欲しいのね・・・?」
「ち・・・ちがぅ・・・もう、や、め・・・舐め、な・・・ッ」
唇の端から涎を零しながら歯を食いしばるマリノ。フェラムのキスと乳房への丹念な愛撫に応えて、乳暈ごときつく勃起したマリノの乳首に粘膜そのものの熱さと柔らかさを含んだ舌が優しく絡みついた。
「きゃぁンッ! くひぃィッ」
食べてしまうのが勿体なくて舌の上で転がし続け、時折軽く歯を立てては中の果汁を少しだけ味わう。木苺を口の中で弄ぶ子供の仕草が一番近かった。
赤く膨らみ先端の窪みを収縮させて舌の上で震えるマリノの乳首を、フェラムはたっぷりと口に含み、舌を絡め、甘噛みして愉しそうに味わう。
窪みを舌で甘く押されて根元から歯でコリコリとしごかれ、舌を絡めながら吸われる。
(だ・・・だめっ、だめ、だめ、ダメぇッ、・・・・ッ、――――ッ!!)
必死に耐えていた体内の甘い媚熱が、とうとう乳房の中で熱い果汁となって弾けた。頭の中に白い火花が散って、目の前が虹色に歪む。
油を落としたみたいに崩れた視界が落ち着きを取り戻すと、顔の前では涙でぼやけたフェラムの妖笑が待っていた。
「・・・イッちゃったみたいねぇ?」
ふるふると、力なく首を振るマリノ。
「おっぱいを吸われただけでイッちゃうなんて・・・すごく感じやすいのね。それとも、余程欲求不満だったのかしら?」
ふるふる、ふるふると首を横に振る。自分があれほど耐えようとしていた瞬間を迎えたところをしっかり間近で観察されていたと思うと、頬が羞恥で溶けるほどに心が締め付けられた。
しかし、その一方で、そんな感覚さえ必ずしも不快ではないと感じてしまう。達したばかりで息も荒く、大きく上下する乳房の敏感になっている肌に、気遣うこともなく再びフェラムの指が触れてきた。
「あっ・・・だめ、今・・・触らないで・・・」
当然マリノの制止など聞かず、むしろそんな表情の彼女を楽しんで、フェラムは勃起のおさまらない乳首をつまんでキュッキュッと丸めた。切なげに目を閉じ、上向いたマリノの体がそれに合わせてピクンピクンと震える。
「もちろん、まだ満足してはいないわよね・・・? 私だけが美味しく味わうのでは貴女が可哀相だから、貴女にも素敵なものをご馳走するわ。欲求不満には、これが一番よ・・・。ぅンっ・・・」
親指と小指の間を使って、片手でマリノの両方の乳首を同時に構っていたフェラムが甘い声を出す。敏感な躰には強すぎるままの刺激にどうにか理性を維持しつつも、そちらを見遣ったマリノは思わず息を呑んだ。
身体をくの字に曲げて自らの性器をまさぐり始めたフェラムの手の中から、臍の方に向けて赤黒い肉色のものがギュッと伸びてきたのだ。
呼吸が止まると同時に、ひどく生々しく感じる唾が喉を滑り落ちた。手を離すと、フェラムの股間には、斜めに立っているだけで臍を越えるほどの長さを持つ、紛れのない勃起した男性器が準備を終えていた。