思わず、べたんとベッドの上で尻もちを付くような形になってしまうアクセル。  
「ま、まったく…びっくりしたじゃないかぁパレットぉ…」  
「…そんなに……感じちゃったんですか?」  
少年は恥ずかしさにそっぽを向いてしまう。少女はそんな彼の様子を見てふふっと笑ってしまう。  
「…な、なにがおかしいんだよ」  
「別にー。アクセルだってかわいいなって思っただけですよー」  
「な! なななな……」  
おたおたするアクセルを尻目に、パレットも顔を赤くしてもじもじとする。  
「あ…。その」  
「な…なに?」  
「もっと、触ってみて…いいですか? アクセルの、その…お、おちんちん……」  
少女の爆弾発言に湯気が出そうになってしまう。  
アクセルもさっき散々パレットの胸を弄ってしまったので、嫌だとは言えなかった。  
「!! …う、うん……。いいよ」  
「じゃあ…し、失礼します」  
「ど、どうぞ…お手柔らかに」  
改めて見るとアクセルのそれは、さっき向かい合ったときに見たものよりも大きく、グロテスクなものに感じた。思わず少女も息を詰まらせてしまう。  
「(う、うわぁ…。こ、これが男の人の……)」  
右手で、竿の部分をゆっくりとしごいてみると、さっきよりも、敏感に感じているのが分かる。  
「(あ…。さっきまでの私みたい。アクセル…真っ赤になって我慢しちゃってるです。可愛い♪)」  
精神年齢は同じぐらいのはずなのに、まるで年上のお姉さんになったような気分になってしまう。  
 
先端を半分覆っている皮を、指でゆっくり剥いてみると初めて外気にさらされた亀頭がビクビクと蠢き、先端から薄い汁のようなものが出る。  
「…!!(え、えと…。た、確かこうやって舐めてあげるんでしたっけ…)」  
顔をアクセルの股間に埋めるような形になり、そのままその小さな下で、先端をチロリと舐めてみる。  
「く、ああっ!!」  
途端にアクセルの腰が浮き、今までにない快感が襲った。  
パレットはそれに構わず、手の動きはそのままに先端だけでなく亀頭の裏側や筋のほうも舐めてみる。  
「!! パ、レットぉっ…、な、なんかボク…なんか、で、出ちゃうっ…」  
「…!?」  
アクセルが涙目でパレットの頭を掴んでしまう。そして、蟻が這いずり回るような感触が背中を覆ったあと…  
「…くああっ! ぱ、れっとぉぉっ!」  
ドクン!! ビクッ、ビュッピュクンビュルンッ・・・!!  
少年は生まれて初めて"射精"した。  
今まで溜まりに溜まった少年の青臭い精液は少女の口だけでなくその幼さが残る愛らしい顔にまで容赦なく飛んだ。  
パレットはなにがなんだか分からず、最初は呆然としてしまったが、すぐにハッと気付いて顔を赤くする。  
「あ…。す、すごいです。こんな…いっぱい」  
「ご…ごめん。我慢できなくて…」  
ぜえぜえと息を切らして謝罪するアクセル。  
「いいんですよぅ。…えへへ。でもなんだか嬉しい。私なんかで…こんなに出してくれたんですね……」  
はにかむような笑顔を見せた後、自分の顔にかかった精液を指ですくって、舐めてみる。  
 
「うわ。なんか苦いですぅ〜…。でもこのぐらいなら飲めるかな?」  
「わーわわわ! 舐めなくていいって!!」  
少年は慌ててテーブルの上に置いてあったティッシュを二、三枚取って彼女の顔を拭いてやる。  
「あ、ありがとう…」  
「いや…いいって。ボクが悪いんだし…。」  
きれいに拭き取った後、アクセルはパレットと向き合いながらも居心地悪そうによそ見をしてしまうと、ボソボソと呟くように言う。  
「あ…あの。パレット…」  
「…なんですか?」  
「その…。ぼ、ボクもさっきの続きをしたいっていうか…」  
「ふぇ?」  
言ってる意味が分からなかった。  
数秒、間を置くとようやく少女のCPUの解析結果が出て、カーっとなってしまう。  
さっきの続き…。それはパレットが止めた事で中断してしまった、少女の下の方への…。  
「だ、だめ?」  
"だめ"…などと言える訳がない。少女自身も、先ほどからむずむずと感じる下の方からの火照りを抑えられなかった。  
コクンと一回、首を縦に振ると、お尻を付いたままの体勢で、アクセルに見せやすいように震えながら両足をM字に開く。  
「こ…、これで……いいですか?」  
少年の胸が更に高まる。気安め程度にうっすらと生えた茂みの下の、少女のまだ誰にも見せた事のない、禁断の蕾。  
すぐに鼻に香る、甘ったるい花の蜜のような香り。割れ目からは、とろりと液のようなものが溢れていた。  
 
「(っ…!! さっきは…よく見えなかったけど、これが…!!)」  
アクセルも、さっきパレットがしてくれたときと同じように顔を少女の股間に埋めるような体勢になった。  
「さ…触るよ?」  
「う…うんっ……」  
"エックスは…どうしていたっけ?"と必死に昨日の事を思い出してみるが、もやもやしていてなかなか思い出せない。  
取り敢えず、指で小陰唇のところを広げて、触ってみる。  
「……!! ひゃっ…」  
にちゃりとした蜜の感触と共に、ピクピクと少女の身体が震える。  
「(う、うわぁ…! 凄く柔らかい…。なんか湿っぽくて、ふにゃふにゃしてて…)」  
指も、人指し指だけ挿れてみる。  
「…んっ!!」  
パレツトの顔が一瞬歪む。  
少女のそこは、指が第一関節が入ったぐらいでも、ギチギチに指を締め付けた。  
「…!!(うっ…! 柔らかいけど、な、なんか凄く狭くて…ほ、本当にボクのがここに…?)」  
擦るように触っているうちに、頂点のほうから小さな陰核…クリトリスが出てきたのが理解できた。  
「(え、ええと…。と、取り敢えずボクも…)」  
さっきパレットがやっていたように、舐めてみる。ビクンと少女の脚が震えて、蜜が大量に溢れ出る。  
「(…!! パレット、ここが感じるんだ…)」  
「ひあっ…!! だ、ダメぇ…!! そんなとこ…! 汚いですよぅ……!!」  
「汚いもんか…。パレットのここ、ピンク色で…とてもきれいだよ」  
「やっ……、そ、そんな事……やぁぁんっ!!」  
アクセルは感じてると分かったクリトリスを中心に、隅々まで夢中になって舐め続けた。  
 
「んっ! は、アアっ、あくせるぅっ…はぅん、んあっ!!」  
それと同時に、少女の嬌声も高まっていく。  
次第に少年自身も、下半身のほうから込み上げる猛り狂うような欲望を抑える事ができなくなっていった。  
この少女が欲しい。愛しい。自分のものにしたい。メチャクチャにしたい…。自分の手で。  
舌で嬲り続けるのを止めると、少女を再び押し倒して、上から見上げる体勢になる。  
少年と少女の、潤んだ視線が重なる。  
「んあ…。アクセル?」  
「パレット……。好きだよ。大好きだ」  
これ以上ないぐらいに、まっ赤っかに染まるパレットの顔。もちろん、アクセル自身もおんなじような顔になっているのだが。  
「…!! な、ななななんですかぁ〜、今更…」  
口ではこう言っても、嬉しさを隠しきれなかった。思わず綻んでしまう。  
「今のうちに、言っときたかったんだ…。」  
「!?」  
少年の表情は穏やかだった。  
「(あ…。アクセル、かっこいい……。でも…)」  
パレットはその顔を逞しいと思うと同時に、少しだけ寂しさも感じた。  
まるでお別れの言葉のようだった。遠くへ行ってしまうかのような。  
「ボク…、挿れたい…! パレットの、全てが欲しい」  
「……!!」  
少女は赤らんだ顔を、思わず手の平で包んでしまった。  
そしてようやく感じた意味を理解できた。  
確かにこれは、少年期のお別れ。大人の男になる第一歩。そして、自分も少女の時代に別れを告げ、女になる為の…。  
胸の高鳴りが止まらない。期待と恐怖が交差する中、少女はおずおずと、一度だけ首を縦に振った。  
 
それを確認すると、少年はゆっくりと腰を近付けて自らのペニスを少女の花弁にの入り口に当てがった。  
「…っ!!」  
少女の顔に恐怖の色が浮かぶ。  
大好きなアクセルに初めてを捧げられる。少女としてはとても喜ばしいはずなのに。だが、やっぱり恐い。  
そんな彼女の表情に胸を痛めたアクセルは宥めるようにまぶたに、おでこに。唇に。啄むようなキスをする。  
「にゃあ…、アクセルぅっ…」  
「い…痛かったら言って? ボク、な、なんとか優しくできるように頑張るからさ」  
少年の不器用な優しさが、パレットには堪らなく嬉しかった。  
「う…うんっ……!」  
ひとつ、深呼吸をしたあとに目を閉じる。それは了承の合図。  
「じゃあ…、いくよ」  
「…ん。いいよ」  
少年はなるべく痛みを与えないように、ゆっくりと、自身を少しずつ少女の膣内へと沈めていった。  
「! く、うっ…」  
とうとう迎えつつある処女喪失の痛みに、パレットはぎゅっと下唇を噛む。  
そしてその時、つい先刻にお茶を飲みながらしていたエイリアとの会話が頭に思い浮かんだ。  
 
 『先輩…あの、その、お、男の人に…エックスさんに挿れられるのって…どんな感じなんですか?』  
 『…だ、大胆な事聞くわね…!! そうね……』  
「っ……!!」  
まだ入り口に先端が少し入っただけなのに、もう達してしまいそうに締め付けられる。  
それを必死に堪えながら、更に奥に、深く沈めていく。  
 『…正直言うとね。まだ…入ってくるときは、正直言ってまだ…私も恐い』  
 『……』  
「くっ……いっ、痛っ……!!」  
少女の顔が苦痛で歪み、シーツを千切れそうなぐらいきつく掴む。痛みが、ますます激しさを増す。  
少年は心の中で謝罪しながら、腰に力を入れる。  
 『でもね……』   
「……っっ!!」  
「う…ああっ!!」  
同時に、悲鳴のような声を出す。  
とうとうアクセルの一物がパレットの処女膜を完全に穿ち、根本まで入りきった。  
二人の結合部分から、愛液と共に純潔の証がぽたぽた流れ出る。  
「あ…あ、アク…セル……!」  
少女の瞳から一雫の涙がこぼれ落ちた。  
「……!! パレット…! ごめん……。ごめんね…」  
アクセルの口から出たのは、謝罪の言葉だった。  
確かに好きな女の子をこうして抱けたのは、堪らなく嬉しい。  
でも、優しくしたかったのに、全然できなかった。こんなにも苦痛を与えてしまった。少年は自分の無力さと未熟さが歯痒かった。  
 
「う、ううん。謝らないで…」  
少女はそんなアクセルに、涙を零しながらもにこりと微笑んだ。  
 『その後すぐに…、すごい、…………幸せな気持ちになれちゃうの。』  
確かにこの涙は、苦痛からのものではなかった。少年を受け入れる事が出来た、彼とこうして、ひとつになっている事への悦びの涙。  
痛みと同時に、どうしようもない幸福感が少女を包んでいた。  
 『それで…その瞬間ってなにか…凄くて。  
 "ああ、私って今幸せなんだ"って自分でも実感できちゃうの』  
今、パレットはエイリアが言ってた事が全て真実だった事を肌で実感していた。  
少年の背中にゆっくり両手を回す。  
「だいじょうぶだから…、う、動いても…いいですよ?」  
こんな事を言われたら、こっちだって耐えられない。アクセルはコクリと頷くと、ゆっくり、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。  
「はっ…あ……んあっ…」  
愛液と血液が潤滑油の役目を果たし、思ったよりもスムーズに動ける。腰を動かす度に、少女の膣内は時に柔らかく、時に万力のようにきつく、少年の逸物を締め上げる。  
「あっ…! す、凄いよ……! パレットの中…!! 熱くて、ギチギチしてて…こんな、キモチイイ…」  
何度も繰り返していくうちに、血液と共に溢れ出る液の量が増えていき、腰の動きも自然と速くなっていく。  
「んあっ! あっ、あ…! ひぁっ、アクセルっ…!」  
「ご…ごめん! ダメだっ…加減が出来ないよ…もう、きもち、良過ぎてっ…!!」  
遂に少年の中で、理性のタガが音を立ててキレた。  
少女の腰を掴んで、先ほどとは比べ物にならないぐらい激しく動く。  
「はぁぁっ! あ! んあっ…ひあぁ! っあんっ!!」  
少女の声色にも、だんだんと快感の色が濃くなっていった。  
 
顔が向き合い、どちらともなく奪い合うようにキスを交わす。  
「ん…、ふぐ、んんむ、ふんんっ…!!」  
「ん、くっ、ンンッ…」  
互いの感触も、呼吸さえも奪い合うように、夢中になって互いを蹂躙しあう。  
「あっ…! あっ、ふあ、あく…せるっ、あくせるぅっ……!!」  
「…っと、パレット……、ぱれっとぉっ…」  
名前を呼びあい、初めての快感を懸命に貪りあう。ベッドのきしむ音と結合部分から繰り返される水音が、部屋中に広がっていた。  
心も身体も、全てが溶けていく。二人がひとつになっていく。腕に力を込めて、強く強く抱き寄せあう。  
「パレット…パレットぉ……!! く、う…」  
「アクセルぅ…、すきぃっ、だ、大好きぃぃっ…!」  
やがて、少女の身体がブルブル震え、膣内の締め付けも増していく。  
それと同時に少年の身体にも、先ほどとは比べ物にならないなにかが昇り詰めっていくような快感が襲う。  
「くぁっ…! アクセルっ…、私っ、わたし…! 恐い、なにか…なにか来ちゃうっ…!!」  
汗と涙をまき散らしながら、少女はイヤイヤをするように頭を振る。  
「パレット…! ご、ごめんっ…!!  
ボ…、ボクも、なんだかっ…もうっ、限界っ、かも…!!」  
少年も同調するかのように高まっていき、限界まで、腰を動かす。手と手を、ぎゅっと握りあう。  
「うあ…ああぁっ! だめ…だめぇぇっ! あくせ…あくせるぅっ!!」  
「ボク…ボクっ……!!」  
最後の力を振り絞るように、一番奥まで繋がりあう。そして、CPUがリセットされていくような真っ白い快感とともに、それは爆ぜた。  
「ふああっ! あうっ! あ、くせ…あああァァあああああ―――――!」  
「くあぁっ!! ぱれっ…ぱれっとぉおっ!」  
ドクンッ!ドクドクッ!ビュクン、グピュ、ドビュルッ!ビュクン、ビクッ・・・!  
背中を弓のように反らし、少年は少女の膣内でそのありったけの欲望を吐き出した。  
そして少女も、自分の中で吐き出されていく精液の快感に酔いしれながら、意識をオフラインの世界へと手放した。  
 
しばらく後、アクセルはゆっくりとまぶたを開け、目を覚ました。  
「…お、おはよ」  
薄ぼんやりとした視界の先には、先ほど互いに初めてのセックスをしたばかりのパレットが、気恥ずかしそうに微笑む。  
その顔が確認できた途端に、先ほどの行為がまっ先に記憶に蘇り、湯沸かし器のように真っ赤になってしまう。  
「あー! おおおおはよ…」  
「ま、まぁわたしもさっき目覚めたばっかりで…  
せ、正確には…午後7時なんですけどね」  
ちらっと時計を見ると、確かに時間は午後の7時を過ぎていた。  
どうもなにか、気まずいような雰囲気が流れる。  
「あ、あの…」  
しばしの沈黙の後、口を開いたのはパレットのほうだった。  
「えっちな事…いっぱいしちゃいましたね」  
「…ぶっ!!」  
アクセルの顔から、やかんのように湯気が出る。  
シーツを見ると、自分の精液を拭き取った後と、破瓜の血液が既にしみになっていた。  
それを見て、改めて先ほどまでの行為が夢じゃなかった事を知った。  
「あー…。その。パレット…さん」  
「は、はい? …何ですかぁ…?」  
いつもと全然違うアクセルの口調に、パレットもつい改まってしまう。  
「ぼ、ボク……、ちゃんと、責任は取るからね…」  
「……!!」  
今度はパレットの顔から湯気が吹き出す。  
 
もじもじしあううちに、二人は寄り添うような形になり、はた、と顔が向き合う。  
そんなお互いの顔をまじまじと見つめあううちに、なんだか笑いが込み上げてきた。  
「…ぷっ」  
「くくく…」  
「あははははは! アクセル顔まっ赤っかですぅ〜!」  
「そ、そういうパレットだって、トマトみたいだよ! はははは…」  
どこが変わったのか。二人にはわからない。  
でも、分かった事は。  
二人の間の距離がぐっと近くなっただけ、と言う事。  
「そろそろ、ご飯にしません?」  
「さんせー! なに食べる?」  
これからどうやっていけば大人になれるのか?  
答えはまだわからない。  
「せっかくだから、一緒に作ろっか?」  
「うん! それもいいですね!」  
だが、これからはひとりじゃない。  
これからは、二人で少しずつ、大人になっていこう。  
焦らず、一歩一歩……!  
 
+END+  
 
 
 
*おまけ*  
そして同じ頃、オトナ達はどうしていたかと言うと…  
・ヒャクレッガーの場合  
「殿…一体どうやってこれを……」  
先ほどエックスから貰った紙切れのようなものには、こう書かれていた。  
『アニメ映画 鋼鉄王子・エピソード3 帝王の逆襲!!』  
全世界で大人気放映されてるアニメ映画の第三弾の、プレミアチケットだった。  
公開直前のこのチケットは、最高15万ゼニーにまで価格が跳ね上がっていた。  
「問題は…誰と行けと言うのでござろうか?」  
ただしそれは、二人ひと組のペアチケットだった…。  
本来はエックスはエイリアと一緒に行くつもりだったのだろう。  
だがエイリアに、アニメを見るような趣味がある訳がない。  
「そういえば副隊長殿(ホーネック)が、見たがっていたような…だが男同士で行くような趣味は拙者にはござらんからなぁ」  
売るべきか、売らざるべきか。大きく悩むヒャクレッガーだった。  
 
・レイヤーの場合  
完成したレポートを届ける最中、レイヤーはバッティングセンターのほうからもの凄い歓声が響いているのを聞いた。  
「あら。なにかしら…」  
ちょっと興味にかられて覗き見てみると…  
「うおおおおっ!!」  
ハンター、職員が見守る最中、ゼロがバットを持って思いっきりバッティングをしていた。  
「す、すごいぞゼロ先輩! もう238回連続ホームランだ!!」  
「お、おいひょっとして先輩のあのフォームは……!  
伝説のスラッガー…  
Taro Yamada……通称…」  
『DOKABEN!!』  
カキーン! という軽快な音とともに、またボールがホームランポケットに消えた。  
「(はううっ…!! 飛び散る汗、降り乱れる髪…!! す、素敵ですゼロさん…!!)」  
その様子を影から、デジカメで撮影しながらうっとりとしながら見守るレイヤーだった。  
もちろんレポート提出がもの凄く遅れたのは言うまでもない。  
 
・エックスの場合  
「申し訳ございませんでした」  
ムスッとした表情でベッドに腰掛けるエイリアに、土下座で深々と頭を下げているエックス。そんな彼と、昨日貰った指輪をちらっと見た後、ふうっとため息を付いた。  
「…ま、いいわ。許してあげましょ。そんなに怒ってないから」  
「有り難き幸せ! …これは、ほんのお詫びの気持ちです」  
そして、傍に置いてある紙袋から、菓子よりのようなものを取り出して、彼女の前に差し出した。  
「あら、シバマタシティーの『虎屋』のくずもちじゃない!」  
「エイリア甘いもの大好きだったろ?」  
途端に目をキラキラ輝かせるエイリア。やっばり女の子は美味しいものに弱いようだ。  
「エックス、やっぱり大好きよ! …食べていい!?」  
「どーぞどーぞ。俺は後でいいから先に食べていいよ」  
嬉しそうに包み紙を破いて、中身を取り出す。  
「いっただきま〜す!」  
「どーぞどーぞ…フフフフフ」  
この瞬間のエックスの不気味な瞳の輝きに、エイリアは気付かなかった…  
…一時間後。  
「え…えっくすぅっ……! なんか、身体が…熱いのおっ…!!」  
エイリアが顔を赤く染め、震えるように自分の身体を抱き締める。それを見てるエックスの表情は妙に楽し気だ。  
「な…なにを笑ってるのぉ?」  
「さて…。そろそろ俺も食べようかな?」  
訳が分からなかった。  
「へ…? な、なにを?」  
「何をって、エイリアに決まってるじゃないか。美味しかったかい? (ヒャクレッガーに調達してもらった)"媚薬"入りのくずもちは」  
エックスの顔がにんまりと笑う。  
「………!!」  
謀られた……!! この瞬間エイリアは全てを悟った。  
「愛してるよ…エイリア♪」  
「ううっ…やっぱりこうなるのね……」  
でもやっぱり彼から離れられないエイリアなのでした。  
 
 
そして、翌日…  
「お前ら全員"職務怠慢"で減給な(怒)」  
「「「「「「「え――――――――――っ!!」」」」」」  
 
シグナス、ご立腹。  
大人の世界は甘くない。…と言う事をまた一つ学んだアクセルとパレットでした。  
 
*おしまい*  
 

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