What are little boys made of? 男の子って何でできてる?  
What are little boys made of? 男の子って何でできてる?      
Frogs and snails カエルにカタツムリ            
And puppy-dogs' tails, それに 小イヌのしっぽ         
That's what little boys made of. そういうもので できてるよ   
 
What are little girls made of? 女の子って何でできてる?      
What are little girls made of? 女の子って何でできてる?      
Sugar and spice 砂糖にスパイス                     
And all that's nice, それに 素敵なものばかり  
That's what little girls are made of. そういうもので できてるよ  
 
 
今日は珍しく、何の事件もない穏やかな一日だった。  
「今日はヒマね…」エイリアが指でキーボードをいじりながらぼやく。  
「まぁ、いいじゃないか。こういう日があってもさ」と、エックス。  
彼はせっせと今まで机の上に溜まりまくっていた事件の資料を整理している。  
「事件がないときはないときで、仕事も片付くしさ」  
レイヤーはモニターに向かって、一生懸命にレポートをまとめていた。  
ゼロは「身体がなまってしょうがない」とトレーニングルームのほうに先ほど出ていったっきり。  
「そういえば、アクセルはどうしたんだろうね?」  
だが、ムードメーカーでもあるアクセルの姿だけは、朝から見えなかった。  
 
「さぁ…。お休みの知らせだけはしてるみたいだけど…  
パレット? あなたは知ってる?」  
当のパレットは、モニターをボーッと見つめてた。  
「おーい。パレットちゃーん」  
ようやくピクンと反応するも、すぐに首を横に振る。  
「……………えっ? いっ、いえ…全然」  
そしてまたすぐに、魂が抜けたようにボーッとしてしまった。  
「…で、パレットもあの調子なのよ」  
「……ふーむ。  
アクセルにも会ってみようか?」  
「へ? どうやって? 私もエックスもアクセルの部屋のコードキー知らないじゃない。  
パレットもあんな調子じゃあ…」  
「…なに、プロに頼むさ」  
「はい?」  
ーーーー  
そして、エックスはエイリアと元第0特殊部隊のエキスパート、マグネ・ヒャクレッガーを連れてアクセルの部屋の前にやって来た。  
「ブロって…ヒャクレッガーさんの事だったのね」  
「しかに殿。拙者に何用でござるか?」  
「ヒャクレッガー。そのトノって言うのやめてくれない?」  
「なにを申される。処分されるはずだった拙者を救ってくれた殿に忠誠を誓うのは忍びとして当然にござる!!」  
力説するヒャクレッガー。"紅のアサシン"と呼ばれた頃の冷酷さは洗脳が解けた際にすっかり成りを潜めてしまったらしい。  
 
「まぁ二人とも。それはいいから…ヒャクレッガーさん。お願いしますね」  
「了解でござるエイリア殿。…いざっ」  
ヒャクレッガーは馴れた手付きであっさりとキーコードを入力して、ドアを開けてしまった。  
「すっごーい。あっという間!」  
「フフフ。元忍び部隊としては当然にござる。拙者のCPU内にはハンターベース内のパスコードデータはほぼ全て入っておるでござるよ」  
胸を張るヒャクレッガーに、突然エックスが彼の首根っこを掴んで自分のほうに引き寄せた。  
「…ヒャクレッガー。お前まさか時々覗いてやしないだろーね?」  
ヒャクレッガーは慌てて首を振る。  
「な…なにを申されるか! 主君たる殿と奥方様(エイリアの事らしい)の秘事を覗き観るような真似はできんでござる!!  
ボソボソ…(でも、まぁ…ホーネック副隊長殿に頼まれて女子のバスルームを盗み撮りするときは…)」  
「…ゴニョゴニョ(それ、後で2万ゼニーで俺にも売って?)」  
「ゴニョゴニョ(もーちろんでござる)」  
秘密裏に商談を進める二人にすかさずエイリアがツッコミを入れる。  
「こらこら二人とも! なにしに来たのよ!」  
ここでようやく、エックスも本来の目的を思い出した。  
「そっ、そうでした。…アクセル、勝手に開けちゃったけどいるのかー?」  
…返事はない。  
「入るわよー?」  
取り敢えず一言だけ言って、ドアの奥に入ってみる。  
部屋の明かりを付けると、即座にオモチャや漫画本やお菓子の袋が散乱して散らかり放題の部屋の様子が目に入った。  
 
「うわっ、だらしな!」  
「『トランスホーマー』に『ガンガルNEET』、『プリQ&A』…  
趣味が多彩と言うか飽きっぽい感じでござるなぁ…」  
「で、当のアクセルは…って、いた!」  
アクセル本人は、ベッドに仰向けの状態で横になっていたが…  
「は!」「うっ!!」  
「こっ、これは!!!」  
彼は、魂が完全に抜けきったような虚ろな表情で、カチンコチンに固まった状態で  
天井を見つめていた。  
目は真っ赤に充血して、昨日から全く寝ていないことがよく分かる。  
「あ、アクセル? いったいどうなっちゃったの?」  
「…完全にフ抜け状態になっておられる……!  
なにかよっぽどショックな事があったみたいでござるな…」  
心配そうに覗き見るエイリアとヒャクレッガーの間に、エックスが割り込んだ。  
「…どいて、二人とも」しかも手には、金属バット。  
「えっ、エックス!?」  
「殿! いったいなにをするつもりにござるか!?」  
「ショック療法! 目を覚ませゴルァ!!」  
二人が息付く間もなく、アクセルの頭に思いっきり何度もフルスィングをかますエックス。  
「わぁぁ! 殿がご乱心を!?」  
「ちょ! エックスやり過ぎ…」  
「おべろぽぶぱべ…って、なにするんだよエックス!!」  
意味不明の声を上げたあと、ようやく意識を取り戻したアクセル。  
顔に血管を浮かべてエックスの胸ぐらを掴む。  
「…気が付いたか? アクセル」  
ぱちくりと眼を閉じたり開いたりして、エックスとエイリアの顔を交互に見つめる。  
「…あ、あれ? そういえばエックスが…何で……ここ、に…」  
…そして、彼の脳裏に"ある映像"が鮮明に現れて……  
「……」  
また、フ抜け状態に戻ってしまった。  
 
「あら。また元に戻っちゃった」  
「重症だな…」  
「ふむ…そういえば殿とエイリア殿の顔を見ておったでござるな。…お二人とも、なにか心当たりはないでござるか?」  
エイリアは「いいえ」と首を振るが…エックスはビクンと反応した。  
「…殿!? なにか知っておられるな?」  
「いっ、いえ?? ぜーんぜん?? アハハ…」思いっきり動揺してるエックス。  
「エックス〜?」  
「殿! 白状するでござる!」  
次第にエックスは壁際に追い詰められる。  
「あ、あの〜」  
突然、エイリアとヒャクレッガーの後ろ…部屋のドアのほうから聞き覚えのある女の子の声が聞こえた。  
エイリアが振り返ると、開けたはずのドアは再び閉まっており、その前にはパレットが妙にもじもじとしながら立っていた。  
「あっ…。パ、パレット? どうし…」  
「ごめんなさい!!」  
エイリアが言葉を言う間もなく、パレットは勢い良く深々と頭を下げた。  
「ちょっ、どうしちゃったのパレット…」  
頭を上げたパレットは、即座に顔を赤く染める。  
「わ、私の…せいなんです。アクセルがそうなっちゃったの…」  
「はい?」「どう言う事?」  
「……」気恥ずかしそうにして、中々言い出せずにいるパレット。  
そんな彼女の肩をポンと叩いて、ヒャクレッガーが問いかける。  
「パレット嬢…いったいなにがあられた? 拙者は忍び故、決して口外はせん。  
殿やエイリア殿も同じでござろう。さ、話されよ」  
「本当ですか…? ヒャクレッガーさん」  
「忍者は味方に嘘は言わん!」  
パレットはもじもじしながらも、ようやく重い口を開いた。  
「…実は、昨日……」  
 
 
(パレットの証言)  
私達…遊園地から帰る際……、エックスさん達を追い掛けたんです。  
理由は…、単なる好奇心、と言った方が正しいのかもしれませんです。  
そこで……! 私達……!!  
『はぁっ…! あっ! あっ…! えっく…えっくすぅっ…!!』  
『っ、くっ…! エイ、リア……!』  
エックスさんと…、エイリアさんが…! そ、その…セッ、クス……! しちゃってるとこ…! 見ちゃったんですぅっ…!!  
 
「えーっ!?」  
「………」  
顔を湯沸かし器のように真っ赤になるエイリア。  
エックスは冷や汗をダラダラ流し、完全に黙り込んでいた。  
ヒャクレッガーはエックスを一瞬ジト目で見ると、すぐにパレットのほうを向く。  
「そ…そうであったか。確かに思春期の性格プログラムであるお主達ではさぞかし…なんと言うか、インパルスガン、いやいや、衝撃的…であったであろうな。  
だが、先ほど言っておった"私のせい"とは…一体?」  
「あと…、つ、続きが……あるんです」  
 
(パレットの証言、その2)  
『……!!』  
『……ゴクリ…』  
私達、完全に見入っちゃって…その場から動けませんでした。  
私達完全人間型レプリロイドはこういう事もできるって事は、知ってはいましたけど…。やっぱり聞くのと見るのとでは全然違って…  
しかも、よく知っている二人が…実際に愛し合っている所を…見ちゃったものでしたから…!  
そ、それで、私…動力炉が、バックンバックン鳴り響いて…  
なんか、込み上げてきちゃって……!!  
『あ、アクセルぅっ…』  
アクセルが…こっちを見た瞬間に…!!  
『な、なに……パ、レッ…』  
初めて……! キス…しちゃったんです。私のほうから。  
時間にしては短かったんだと思いますけど…! そのときはすごーく長く感じちゃいました。  
それで…唇を離した瞬間…  
『あ…アクセル。私…』  
『……………』  
『アクセル?』  
アクセルはその場に倒れちゃって…!  
『キャー!? アクセル〜!?』  
何度も起こそうとしたけど、全然意識を取り戻さなくて…!!  
それで私、何とか緊急転送装置の範囲までアクセルを引っ張って…帰ったんです。  
(証言終わり)  
 
 
「それで…部屋に連れていったのはいいんですけど…。今日になってもアクセルが姿を見せないんで…。  
私がショックを与えちゃったのかなぁって…」  
「そ…そっか。アクセルの欠勤の知らせを届けたのはあなただったのね…」  
「はっ、はい…。エックスさん、エイリア先輩。  
本当に、ごめんなさい…!!」  
半泣き状態で、ひたすら平謝りするパレット。  
エイリアはそんな彼女の頭を撫でて、優しく微笑む。  
「いいのよ…。悪いのはあなたじゃないわ。  
悪いのは……そこの性欲野獣大王よ。」  
冷静に、それでいて凄みのある声を出してエックスを睨むエイリア。  
「…ギクッ!!」  
エックスの肩がビクンと跳ねる。顔はアーマーと同じぐらい真っ青になっていた。  
「エックス〜! あなたパレットとアクセルが見ていたのを知ってたのね!?」  
「えっ? な、なななななななななんのことだかだか鷹?」  
元来あまり嘘はつけないエックスは完全に動揺しきっていた。  
「…殿。お覚悟を決められたほうが良いのでは?」  
ヒャクレッガーも最早完全にジト目である。  
「お、お前まで…!!」  
最早、エックスの回りは四面楚歌と化した。  
 
そして、とうとう観念したエックスはと言うと。  
「ハイ。知っていましたよ! 特にアクセルにはちょうどいい性教育だと思って知ってても知らないフリしてました!!」  
逆ギレの如く大声を張り上げるエックス。  
エイリアはそれを聞いた途端、何故かバックに炎と仁王の映像が浮かんだ。  
「じゃあエックス? あなたは私まで騙していたのね!?」  
エックスはその迫力にガクガク震えながらも必死に弁明する。  
「だっ、騙していた訳じゃない! 俺達がどれぐらい愛し合ってるのかっていうのを…」  
だが、マジギレしたエイリアがそれで収まる訳はなかった…  
「成敗!」  
強烈な左ハイキック。…しかもそれは皮肉な事にトレーニングの際にエックスが教えたものだった。  
「みっ、見事…!」  
エイリアの左ハイキックをまともに側頭部に受けたエックスは、オイルの血を吐いて床にドサリと倒れこむ。エイリアのKO勝ちである。  
「とっ、殿ぉぉーーー!!」  
「エックスさん…って、あ、あの、先輩!?」  
行き着く間もなく、今度はパレットがずるずるとエイリアに腕を掴まれ、引っ張られる。  
「…さて、それじゃあパレット。二人っきりでお話しましょうか。  
あなたの部屋がいいかしらね?」  
「えっ、え〜〜? エックスさんやアクセルは…」  
「いいのよ。エックスにはちゃーんとアフターケアをしてもらわないと、ね?  
ヒャクレッガーさん、あとは宜しくね?」  
ヒャクレッガーに向かってにこりと微笑むエイリア。…だがヒャクレッガーはまだ凄まじく残る怒気を忍びの直感で感じ取っていた。  
「りょ、了解にござる奥方さ…い、いや、エイリア殿!」  
思わず敬礼して、パレットを引っ張って出ていくエイリアを見送り届けたヒャクレッガーであった。  
 
ドアが閉まるのを見届けたあと、ペチぺチとエックスの頬を叩いてみる。  
「殿、殿! 起きなされ。」  
するとようやくエックスは目を開け、自分で起き上がった。  
「う、うーん…。素晴らしいキックだったぞ沢村…!  
ってあれっ、エイリアは?」  
「奥方様ならパレット嬢を連れて先ほど出ていったでござるよ。(さ、沢村とは一体?)  
…それより、アクセル殿をどうするでござるか?」  
さきほどアレほどのバカ騒ぎがあったにも関わらず、アクセルは相変わらずのフ抜け状態。前々意識がない状態だった。  
「奥方様は言っていたでござるよ?"エックスにアフターケアをしてもらわないと"と…  
確かに半分は殿の責任にござるぞ?(沢村とは何者…?)」  
「う…考えが甘かったと反省してます。  
でも…どうしようかな。この状態じゃあまともに話なんか出来そうにないしなぁ」  
しばらく二人で腕を組んで悩んでいると、突然、ヒャクレッガーのCPUにひらめきが生まれた。  
「こうなっては、いっそ頭の中で直接説得してみてはいかがでござろうか?」  
「…どう言う事だい?」  
「だからつまり…殿とアクセル殿の頭脳を一次的にリンクさせて…頭のサイバー空間の中で直接アクセル殿の意識に話し掛ける…という感じでござるよ。  
以上、説明終わり。」  
「…ええっ?」   
確かにアクセルが全然意識のない状態の今では、これしか方法はないだろう。  
「カンタンに言うけどそれって結構難しいんだぞ?  
設備だってここにはないし…」  
「フフ。大丈夫でござるよ。拙者におまかせあれ!」  
胸を張るヒャクレッガーだったが、もの凄い不安を感じずにはいられないエックスだった。  
 
 
 

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