とある研究室。あたりは暗い。  
「…ん……んぅ…?」ふと目を覚ましたレプリロイド。  
正体はルミネ。新世代レプリロイドの先駆者として、旧世代を淘汰すべく活動している。  
その容姿はいささか中性的だが、本人は真っ当な男である。  
ルミ「…これは…一体…」  
覚醒したルミネの状況は、いささか特殊であった。手足を拘束具で固められ、  
両手を上に空に吊り上げられた状態である。その拘束は硬く、新世代の力も歯が立たない。  
「お目覚めかい」  
突然、視界に入らない背後から一人の男が現れた。  
ルミ「…あなたは……!?」  
ルミネの視界に入ったのは、シグマの犬として動く旧世代レプリロイド、VAVAペンテだ。  
ルミ「VAVA、これは一体どういうつもりですか。早く私を解放しなさい!」  
VA「ふっ、はははっ。何を慌てているんだ新世代。未来のレプリロイドはそうも感情的なのかい?」  
ルミ「…ふざけるな!言うことを聞け!」  
VA「ククッ、うるさい奴だ。そんなに自由になりたいのなら、自分の手で破壊すればいいだろう」  
ルミ「くっ……!」  
そんなこと、今更言われるまでもないことだ。自分の力で解決できたら、とっくに行っている。  
ルミ「…一体、何のつもりですか。このようなことをするからには、何かしらの目的があるのでしょう?」  
ルミネは考え方を変えた。実力行使が無理なのなら間接的にでも、とにかくこの状況を打破しようと。  
VA「ほう、思ってたより物分りがいいな。お前の言うとおりさ」  
ルミ「そうですか。ならば、速やかにその目的とやらを教えなさい。ある程度のことは、私が力になりましょう」  
旧世代に立場が負けるのはプライドに触るが、そのことは事後処理でかまわない。今はとにかく、状況を変えたい。そう思っての言葉だった。  
VA「そうか。なら、とっとと用件を済まさせてもらおう」  
そう言うとVAVAは突然、ルミネの股座に手を突っ込んだ。  
ルミ「!?何をする!」  
さすがのルミネも驚きを隠せない。所詮旧世代の抱く目的など、力が欲しいから改造しろとか、新世界での地位を約束しろとか、その程度の無粋な野望だと思っていたからだ。  
VA「ふふ、貴様は内面は気に食わんが、外見は相応に好きでな。しかし男を相手にするというのも寒い話だから、少々手を加えさせてもらった」  
VAVAはそういうと、ルミネの外装とアーマーを破り捨てた。  
ルミ「なっ、これは!?」  
首を傾けて見えたのは、女性化された自身の体だった。  
 
VAVAに上半身のアーマーを破り捨てられたルミネは、反射的に、唯一動く首を傾けて自分の体を覗き込む。  
すると・・・。  
ルミ「なっ!?」  
その視界には、淡く膨らんだ自身の胸部が映った。胸は先の衝撃と緊張で、しっとりと汗が這っている。  
その胸の大きさは一目では通常の男性と大差ないものだが、毎日自分の体を見るルミネ自身にとっては、その変化はあまりに大きく見えた。  
 
ルミ「くっ・・・!これは、一体!?」  
状況が読めず、慌てふためくルミネ。そしてその様子を、すぐ隣にいるVAVAは楽しそうに見ている。  
ヴァ「クゥーッハッハッハ!情けねぇなあ新世代さんよ。乳がちっとばかし出てきたぐらいで、そうも滑稽になるとはなぁ」  
ちっとばかし・・・立場的に強者である彼にとっては、今の弱者、ルミネがそう映るのだろう。  
だがルミネからすれば、知らぬ間に体の自由を奪われ、挙句にはその身が勝手に改造されているのだ。  
そしてその相手が、イレギュラーとしての残忍さは名高いVAVAなのだ。皮肉にも、新世代のルミネの優秀なCPUは、  
今この状況が非常に危険だということを、否応なく伝達させた。まさしく、絶望的である。  
ルミ「グッ・・・・・・クソッ!!」  
冷静なルミネも、つい感情が表に出てしまった。その様子に、VAVAは待っていたぞとばかりに反応する。  
ヴァ「フフッ。打つ手無し、逃げよう無しということがわかったようだな。まぁ暴れてくれるのを静観するのも  
楽しくはあるが、あんまりうるさいのも厄介だからな」  
彼の余裕は、どこまでも崩れない。さりとて、崩す手もない。  
ヴァ「さぁて静かになったところで、とっととやることやらせてもらおうか」  
そう言うとVAVAは、右手を突き出し、ルミネのわきの下を掴んだ。ちょうど親指が、その胸の頂に痛々しく食い込んだ。  
ルミ「ヒッ!イタイィィッ!!」  
突然で、それでいて容赦のないVAVAの手に、ルミネは心底から声を上げた。そして心なしか、その声は女性のソレに似ているように聞こえた。  
ルミ「イァッ・・・クッ、何を・・・する・・・!」  
痛みをこらえ、ルミネは必死に声を絞った。だがその間も、VAVAの指が、荒々しく自身の左胸を揉んで止まない。  
ヴァ「何をぉ?そうだな・・・・・・・。あえて言うなら、俺は自身の欲望のなすがままに動く、純粋なイレギュラー行為をしてるのさ!!」  
言葉の後、彼は大きく笑った。楽しそうな笑い。満足そうな笑い。勝ち誇ったような笑い。狂ったような笑い。  
痛みに悶えながらもルミネは、耳に悪い声だとはっきり思った。  
 
体を束縛され、あまつさえ肉体を女性のものに改造されてしまったルミ姉。そしてそれを弄ぶのは、旧世代の中でも下衆を極めるVAVA。  
慣れない体とズタズタにされたプライドが、徐々に彼女の感情を揺さぶる。それはやがて、恐怖へと転じていく。  
そしてただ、抵抗の言葉を絞り出すことしかできない哀れな状況。ルミ姉はもはや、儚い自我を保つことだけで精一杯であった。  
 
あれからもVAVAは、舐るように、ルミ姉の上半身をじわじわと揉んでいた。相変わらず、汚い声を吐きながら。  
いや、その手はもはや、揉むといった甘い表現を通り越しているだろう。  
それは、握撃。鋼の指を、弱々しい肉体に容赦なく喰いつかせるのだ。  
しかもそれは、体が壊れる紙一重にまで、力を制限するのだ。それを、幾度も、何箇所にも、長時間、生身に与えられる。  
いっそ、この体が壊れ、何も感じなくなる方が楽かもしれないと思うほどの激痛。しかし、その気に反する攻撃の半端さが、余計に痛みを煽る。  
その影響でルミ姉の体は、その色が赤を通り越して段々と青ざめ、所々に紫色の斑点が浮かんできていた。  
神秘の色であり、彼女自身のモチーフカラーである紫が、なんとも醜く、痛々しい。  
当初は淡い肌色に染まっていた可愛い生身が、今では汚れた地面に転がされた後のように、所々に異色が這っていた。  
 
そして痛みに蝕まれたのは、体だけではない。ルミ姉の心も、大きく変化させていた。  
当初は、その痛みに反応して体を揺さぶったり、大声を上げて抵抗の意を示していたが、今では完全に黙秘を貫いている。  
心を殺せば、何も感じないといわんばかりに、何も喋らず、微塵も動かない。まさに、なされるがままの状態。  
だがそれは諦めではない。いつかこの、滅すべき旧世代に復讐する機会を狙っての、構えの態勢なのだ。  
それが、今の自分にできる最善の策だと信じ、ただ、時が過ぎるのを待つばかりであった。  
 
しかし当のVAVAは、この状態が面白いはずがない。  
残虐的思考が全てである彼にとってすれば、全く反応を示さない今の彼女は、壊れた玩具に過ぎない。  
いっそ、そんな僅かな心持も砕けるほどに刺激を与えてやろうかとも考えた。  
いやしかし、無理に扱って万一壊してしまっては、それはあまりに惜しい。まだまだこの女には、楽しむ余地があるだろう。  
なら、痛みにはある程度の慣れを持ち、変な考えを抱ける様にまでなったこの女を、さらに追い込むには何が必要か。  
・・・結論はすぐに出た。まさしく、VAVAらしさが集約された、非情な答え。  
それは、徹底的な絶望だ。  
状況を変えられないほど、そして、そんな考えを抱く余裕もなくなるほどの状況。  
そこに追い込むことによって、VAVAは、この玩具で最高に愉しむことができる。  
(しょうがねぇ・・・予定より少し早かったが、あいつを使うか・・・)  
この事をあの女に伝えたら、奴はどんな反応をするだろうか・・・。そう考えると、VAVAは笑いが止まらなかった。  
だが、お楽しみはこれからだ。焦る必要はない。徹底的に遊び、愉しみ、そして壊す。それが彼流の、イレギュラー行為なのだから。  
 
ルミ姉の、建前の悠然な表情が崩れる時は、静かに迫ってきている。  
 
(…痛い……)  
VAVAが何を思ってか笑っている様子を傍目に、ルミネは体にじわじわと襲ってくる痛みを耐えていた。  
元々半端な生身は、襲ってくるVAVAの力を扱いきれず、淡く腫れてきている。  
それで胸の辺りが膨らみ、願いもせずその体が僅かに女らしく見えるようになっていったのは、皮肉な話である。  
 
「随分と苦しんでいるようだな」  
VAVAの声だ。苦痛に歪むルミネの顔を垣間見て、嘲笑している。  
そしてその様子は、突然の笑いに何を思ったか知らないが、幾分余裕が増したように思える。  
「………」  
しかしそんな事は関係なく、ルミネは口を開けない。無論、目もあわせようとしない。  
先に決めたこと。それは、VAVAを相手にしないこと。そうすれば、余計なことを起こさずに済むと考えてのことだ。  
だがその考えは既にVAVAには見透かされているということを、彼女は気付けないでいる。  
それこそが、その実は、彼女は状況を冷静に観察できない状態だということの、証明でもあった。  
 
「…いいだろう。そこまで黙り込むというなら、俺にも考えがあってな…」  
そう言うとVAVAは、逆手で、闇の奥から誰かを呼び出すような仕草をする。  
すると、その手の向いた方から、一体のレプリロイドらしき影が段々とこちらに近づいてきた。  
体の大きさは、ルミネをゆうに越えるようだ。その足音も、無骨で重々しい。  
「…?」  
不可解な様子に、ルミネも眉をひそめ、影を凝視する。  
そして、そのやってきた影の正体を見破って、その顔はすぐに崩れた。  
「!? お、お前は…!!」  
それは、恐怖などの感情に動かされたようなものじゃない。  
単純に、唖然。驚くような顔で、闇から浮かんでくるシルエットに目をやっている。  
そしてVAVAは、心が動き、動揺する様子のルミネを見て、一段と楽しそうになる。  
「フハハハッ、今宵は特別な時だからな!!貴様のために、スペシャルな催しを用意してやったぜ!!」  
そう言ってVAVAは、またも、醜い笑い声を高らかに上げた。  
だがその笑いは、先に増して開放的だ。きっと奴が思いえがいていた事は、この展開だったのだろう。  
しかしそんな様子もいざ知らず、ルミネは未だに、その現れるシルエットに心奪われていた。  
 
彼女は、奴の正体を知っている。いつか手中に収め、わが手の駒にしようとした存在。  
そう奴は、その闇から現れた者の正体は、まぎれもなくシグマだった。  
 
「なぜお前が・・・・」  
ルミネは眼を疑った。  
自分の手駒として操っていた男とはいえ、奴の存在感とその立場には一目置いている。  
いくら昔、同じ側で戦ったもの同士とはいえ、親方であったシグマが、一兵に過ぎないVAVAの言うことを  
人形のように聞くなど、考えられない。ルミネは正直に、この状況を理解できなかった。  
「ふん。多少は察しがつくと思ったが、案外鈍いようだな」  
そんな彼女の様子を見てか、VAVAは動き、シグマの目前で手を掲げる。  
「何を・・・?」  
「コイツの正体は、これさ!!」  
するとVAVAは、かつての上司に躊躇なく、その胴部を手で薙ぎ砕いた。  
バキィッという音と共に、シグマの上半身は空を舞い、地に叩きつけられ、転がった。下半身は膝を屈して倒れこんだ。  
壊された際の心無いうめき声が、ルミネの耳に障る。  
「なっ、何のつもりだ・・・・?」  
ルミネはVAVAに問いかける。  
VAVAはそれに言葉で答えず、代わりに指で、その答えを示した。  
 
VAVAの指先には、先の倒れたシグマの上半身が横たわっている。  
ルミネはその様子を見ていると、その徐々の変化に気付いた。  
シグマの上半身は段々とその形を、色を、大きさを変え、やがて一般のレプリロイドへとその姿を変えていったのだ。  
見回してみれば、その下半身も、いつの間にか一般型へと姿を変えている。  
「これは・・・、新世代型レプリロイド・・・!!」  
「そうだ。さっきのシグマは、貴様ご自慢の、新世代レプリロイドのコピー能力による複製さ」  
皮肉な話だ。  
自分の世代の繁栄のために築き上げたレプリロイドのコピー能力が、一転して敵の玩具となっているのだから。  
そしてよりにもよって利用されたのが、一番のご自慢であったシグマのボディのコピー能力なのだ。  
実際は、笑えない話だ。だが今のルミネには、それを冷笑するだけの冷めた感情があった。  
「さすが、貴様が銘打つだけのことはあるな。新世代であれば、たとえ汎用型でも  
優秀なコピー能力をもっていやがる。おかげで、数の用意には困らなかったぜ」  
そう言うとVAVAは、また闇の奥から、新たなシグマ型レプリロイドを呼び寄せた。  
どうやらその闇の奥には、まだ幾体ものシグマが待機しているようだ。  
考えただけで薄気味が悪い。ルミネは言葉なくそう思った。  
「まったく、助かったぜ。ボディまで再現してくれれば、こちとら手間が省けるんでな」  
VAVAは、自分の構想通りの進展に、やや気が浮いているように見える。以前より頻繁に笑いをこぼし、余裕を垣間見せる機会が増えた。  
「くっ・・・一体何のつもりです!!」  
そんなVAVAの様子にルミネは感情を揺さぶられ、それは負け犬の遠吠えのように、自身の不安をかき消すように吠えた。  
だがそれは、VAVAの気分を煽るに過ぎなかった。  
「おぅおぅ、急に元気が湧いてきたじゃないか。だがそれでこそ、墜としがいがあるってものさ」  
そう言うと、VAVAは新たなシグマ型レプリロイドにサインを送る。  
それに反応して、シグマ型は突然うめき声を上げながら、その下半身を徐々に変化させていった。  
「なっ、何を・・・!?」  
しかし、ルミネの言葉を待つことなく、シグマの下半身はやがて完成した。  
 
シグマ型のその腰からは、生身の異形な突起が伸び出ていた。  
突起は全体が黒々とてかり、ビクビクと暴れるのを押さえつけられてるかのように波うち、異常なまでの太さを維持している。  
それはまさに、男性器そのものだった。  
(・・・ウッ・・・・・)  
ルミネはそれを見て、何か体の底から、まるで本能からか、今までにない嫌悪感を抱いた。  
「ッハハ。なかなか立派なものだろう。今からこいつが、お前の相手をするのさ。  
本当は俺自らが相手をしてやりたかったんだが、あいにく俺にはあんな趣味の悪いものを自分の体に取り付ける気はないんでね」  
相手・・・?一体何を言っているんだ。  
いくらそれは異形のものとはいえ、VAVAに身を虐められる程の恐怖を与えるほどのものには見えない。  
ルミネの困惑はすぐ顔に出る。  
「・・・のん気だな。知らない方が幸せとは、よく言ったものだ」  
そう言うとVAVAは、突然ルミネの下半身のアーマーに手をかける。  
「ぅあっ、コラ!!何を!!」  
「まぁいい・・・今すぐ教えてやるさ!!」  
ルミネの静止などお構いなく、VAVAはそのアーマーは一気に引き破った。  
「ヤァッ!!!!」  
ルミネはほのかに女性の気を帯びた驚きの声を上げたが、それが改造された影響か、本能からかは定かではない。  
 
アーマーとは名ばかりの薄布が剥がれたその身は、健康的な肌色に染まり、体のごとく小さい。  
太ももは足先まで太さの変化に乏しく、未成長ゆえの弱々しい可愛げな魅力が伺える。  
そしてその、足の付け根と腰が繋がりあう領域の真中には、同じく未成長の儚い女性器が見える。  
視点を変えれば、小さいお尻も覗く事ができる。まさしく、一糸纏わぬ状態だ。  
「ワァッ!?みっ、見るな見るなぁ!!!!」  
ルミネは顔を真っ赤に染め、太ももを閉じてその股座を隠そうと必至になる。  
しかし宙ぶらりんのままに足先が固定されているので、下半身を動かすにもその程度が限界なのだ。  
そしてその程度ではまともに箇所が隠れるわけもない。  
むしろ隠そうと慌てふためくルミネ自身が、クールな普段とのギャップを生んで、淡い艶気を魅せる。  
「ウゥッ・・・・」  
ルミネはどうしようもなく、とりあえずももを軽く交差させ、恥ずかしさでわだかまる心を眼を伏せることでごまかす。  
だがそれで気持ちが解消できるわけはなく、脚はいまだモジモジと動き、視線も顔の色も落ち着く気配がない。  
「ほう、普段は冷静沈着な貴様も、一肌脱げばなんとも弱々しいじゃないか」  
気持ちを煽るように、VAVAが言う。  
その言葉に、ルミネはキッと視線を向けて反抗の意を示すが、言葉は出さない。いや、出ないのかもしれない。  
今更だが、彼女はVAVAに囚われた時点で、普段の冷静さや判断力をとうに失っているのだ。  
そのことに彼女自身が気付いていないのが、何よりの証拠である。  
「フフッ、よかったよかった。まだまだ、抵抗する元気があることがわかったよ」  
そう言うとVAVAは、未だ怒涛の男根を携えるシグマ型に、動作も言葉もないサインを送り、動かす。  
するとシグマ型はルミネに近づき、精一杯閉じていた彼女の脚をいとも容易く開いてみせた。  
 
「アッ、やめろ!!」  
開けばそこは、何も視界を防ぐものはない生身の体があった。太ももも、お尻も、女性器も、それは菊座まで、何もかもが見えてしまう。  
ルミネの羞恥心は極まる。  
「やめろ!!離せってば!!」  
ルミネは耐えられず、できる限り体を揺らし、シグマ型の手から逃れようと必至になった。  
その様子が気に入らなかったか、シグマ型は一度その脚を掴む手に力を込めた。  
「んあぁっ!!」  
いくら元は汎用型とはいえ、コピーした者がシグマとあれば、その力は決して生半可ではない。  
その上、今はVAVAの言うことを聞くことしかできないただの人形だ。そんな奴が、半端な加減という器用な事ができるはずがない。  
手に込められた力は緩みがなく、ルミネの全身に激痛が走る。耐え切れず、ルミネは抵抗を止めた。  
「くぁ・・・うぅ・・・」  
ルミネは冷めない痛みに悶えている。今やすっかり、抵抗の意が萎えてしまった。  
「そうだ、下手な真似はしない方がいい。貴様にはまだまだ壊れてしまっては困るからな」  
VAVAの言葉が、ルミネの心に深く突き刺さる。あまりに悔しくて、その眼には涙が湧いてきた。  
だがルミネは、唇をギリリと噛み、必死に耐えた。  
今ここで、奴にこれ以上の弱みは見せたくない。それだけは、譲れない気持ちだった。  
 
だがそれも、かすかなプライドがみせる、寂しい行為に過ぎなかった。  
 
 

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