「ねぇ、何で私のことを『委員長』って呼ぶの?」
思えば今日は朝から雨が降りっぱなしだった。
じめじめした空気の中で、少しピリピリしてたんだと思う。
「え?」困惑するスバル。当然だ。昨日休んでいた分のノートを取っていてくれたルナに、お礼を言いに来たのだ。
はっと我に帰ったルナは、慌てて誤魔化した。
「いや…!何でもないわ。さっ、帰りましょ。行くわよ、ゴン太、キザマロ!」
「「はい!」」
(委員長…?)
帰宅後、ルナはまっすぐベッドに飛び込んだ。
―自分はスバルに惹かれている。初めはただ、「ロックマン」に対する憧れ、という感情しかなかった。
それが今、恋に変化しつつある。自分でも分かっている。
(分かっているのに…)
「委員長」と「ミソラちゃん」という下の名前での呼び方に自分と響ミソラとの差を感じていた。
スバルが響ミソラとデパートで一緒に買い物をしているのを見たとき、胸が張り裂けそうになった。
自分の方がスバルと多くの時間を共有している自信があった。
毎日のようにスバルと会い、学校に来るように説得し、学校に来るようになってからは毎朝一緒に通学していた。
響ミソラのように、前線で共に戦うことはできないが、スバルが戦うときは必死に生還を、勝利を祈っている。
(悔しい…)
スバルの力になれないことが、ただ、どうしようもなく悔しかった。
ピロロロ…ピロロロ…
「あら、メール…?」
メールの着信に気づいたルナは、トランサーを手に取った。
「誰からかしら…」
それは、紛れもなく、スバルだった。
「委員長、今日元気なかったけど大丈夫?」という内容のものだった。
(―『委員長』…か。きっとそれが元気のない原因なんだけどね)
ため息を吐くルナだったが、とにかく返信を打たなくては、と思い作成画面を開いた。