俺は負けたはずだ。  
再起動したばかりの頭をどうにか動かしながら記憶を辿っていく。  
そう俺は負けたはずなのだ、このリサイクル研究所で。  
そこら中のジャンクで足場が悪かったのもあった、今まで倒したイレギュラーを出現させてきたのも少なからず動揺した。  
しかし、それ以上に彼女は強かった。  
結局、たいした手傷も負わせられぬまま腹に錨を喰らい、過度の負荷がかかった俺の体は動かなくなりついでに意識も飛ばしてしまったのだ。  
そんなチャンスを敵が逃すわけはない、後は破壊されるのみだ。  
だが彼女はそうしなかったようだ。  
今現在動けないものの五体満足な体が証明している。  
どうやら自分は仰向けのままジャンクの上に転がされているらしい。  
手足を拘束しているのもジャンクの固まりのようだ、なかなかに丈夫で全く体が動かない。  
少しの間どうにか動こうとしてもがいているとジャンクの海の中から派手にしぶきをまき散らせつつ鮫が現れた。  
「どうやら起きたみたいだなエックス、それじゃあDNAをもらおうか?」  
特徴である陰気な引きつり笑いをさせながら鮫を模したアーマーを纏った女性が俺の目の前に立つ。  
「何が目的だ?メタルシャーク・プレイヤー。」  
俺は彼女、メタルシャーク・プレイヤーの言葉を無視しつつ疑問をぶつけた。  
「だからDNAをもらうって言ってるだろう?あまり好意的でもないようだから手早く終わらせてもらうけどね。」  
彼女の言葉の意味を解すことが出来ずにいると、いきなり彼女は俺のアーマーに手をかけ、それを外部から強制排除した。  
 
「何をする!って顔をしてるなぁ?いいよ、そういう顔はなかなかにそそる。」  
彼女の意図を理解しこれから自分がされるであろう事もすべてわかった、しかし。  
「レプリロイドは人間じゃない、人間を満足させるための疑似生殖器はあっても精液は出せないぞ。」  
「そんなことはわかってるさエックス、でも擬似的にイくことはできるだろう?それでお前の頭の中が真っ白になってる間にお前のDNAデータをいただこうって寸法さ。」  
そんな馬鹿な。  
「お前は私の体で気持ちよくなれるし私は新たな研究対象を手に入れられる、winwinの関係じゃないか。」  
「待っ…。」  
「五月蠅いよ。」  
人間離れした力を出せるレプリロイドの手で口をふさがれる、四肢を固定されている今、これをやられると抵抗も出来ず完全に声が出せない、俺はもはや喋ることすら出来なくなってしまった。  
すでにアーマーは外されているので俺は今完全に裸になっている、なんとかして頭から手を離そうと首に力を加えているとペニスに冷たい指が滑った。  
「なんだ準備は出来てるじゃないか、とりあえず一回目は手で抜いてみようか本番はその後だ。」  
言うと同時に彼女はペニスを責め始めた、指を円形にし亀頭をゆっくりとさする。  
こんな事になれていないのですぐに亀頭からカウパーがあふれ出てきた。  
それを円滑油にしてペニスを握り激しく扱いてくる、俺は口をふさいでいる彼女の手を唾液で濡らしながら悶えていた。  
俺の顔を見ている彼女の顔は少し前よりも楽しそうだ、よほどこういう事が好きなのだろう。  
程なくして俺は絶頂を迎えた。今まで味わったことのない快楽で体を固定されていなければ飛び上がっていたかもしれない。  
そんな俺を満足そうな表情で見下ろしながら彼女は口を開いた。  
 
「意外と早いね、実は期待とかしてたかい?そういえば言い忘れてたけどデータを取られたら死ぬから次からは我慢した方がいいと思うがね。」  
それだけ言うとまだ息を荒くしている俺から口の拘束を解き、自らのアーマーを排除した後に俺の体の上にまたがった。  
「ま、我慢が出来るのなら…という話だけど。」  
その言葉を合図にペニスが秘所に飲み込まれていく、指とは違う熱を持った肉の感触がすぐにペニスを絶頂へと向かわせようとしてくる。  
人間を模したレプリロイドは体内までもそれそっくりに作られているらしい。  
彼女は膣内の締め付けを強くし、腰を激しく打ちつけてくる。  
その激しい責めにあったせいで、せっかく口の戒めを解かれたのに口から出てくる言葉はあえぎ声だけだった。  
すぐに俺は絶頂に達してしまう、そんな俺を彼女は惚けた表情で愛しそうに抱きしめ深い口づけをする、その際に少し大きいくらいの乳房が俺の胸板でつぶれる。  
しかし、惚けているとは言っても彼女は肉体的な快楽で酔っているのではない、精神的な快楽で酔っているのだ。間違いなく俺を責めることを楽しみ、喜んでいる。  
しかし惚けながらも男を悦ばせることは忘れない。  
緩やかに腰を振りつつ舌で乳首を舐めてくる、唾液がべったりと塗られたのをみて乳首に甘噛みをする。  
 
普段なら痛がりもするだろうが興奮しきった体にもそれすらも快感となってしまう。  
「こんな事でも感じるのか、むしろこういうのが好みなのか?なかなかアブない趣味だね。」  
膣内ではペニスに緩やかにうごめく肉ひだが少し焦らすように快感を与えてくる。  
そんな責めにあっているせいで断続的に絶頂をし続ける。体は痙攣を起こし、あえぎ声を出すことを止めない口からはメタルシャークの唾液と混ざった俺の唾液があふれ出す。  
何回目かも数えられない絶頂の後、久しぶりに彼女は口を開いた。  
「お前ががレプリロイドじゃなかったらもうとっくに私は孕む量の精液を注ぎ込まれているんだろうな、もっとも私は妊娠しないけどね、それとそろそろお前死ぬよ、いい加減本当に我慢したら?手伝うよ。」  
そういうと彼女は腰の動きを止めてしまった。  
「あぁ、でも頼んでくれたらイかせてやらないこともないよ、どうする?」  
快楽で頬を染めた彼女の顔よりもさらに赤い口が三日月型に開かれる。  
異常な快楽で気が触れてしまいそうだったこともあり死の恐怖よりも完全に快楽が勝っていた。  
「イかせてくれ…。」  
もう蚊が飛ぶ音のような声しか出なかった。  
「よく聞こえないな、なんだって?」  
「イかせてくれ!」  
本当に最後の力だった。  
「よくできました、でも最後の気力をこういうところに使うかねぇ?浅ましいよ。」  
あざ笑いながら彼女は褒美といわんばかりに腰を振った。  
しかし何度も絶頂させられていることもあり長く保つことは出来ない。  
最後の絶頂とともに頭の中が真っ白になっていった。  
「本当に私のモノになってからまた会おうエックス。」  
そんな声が混濁していく意識の中で聞こえたような気がした。  
 
 
 
 
 
 
 
「起きろ。」  
声に気づいて目覚める、どうやら気を失っていたらしい。  
今までのことが夢かと思われたが行為の後はしっかりと残っていたし拘束も変わっていなかった。ちがうのはメタルシャークが武装をしているところだけである。  
しかしなぜ俺は死んでいないのか。  
「実はデータを奪ったら死ぬって言うのは嘘なんだよ、それに本当は奪うんじゃなくてコピーだし。」  
内心ほっとしていたがそうなると彼女の目的がさっぱりわからない、きょとんとした目で彼女を見つめていたら信じられないことを彼女は口走った。  
「いや、でもお前はこれから死ぬよ抜け殻君、データは私の中にあるから、ボディは残ってると色々と邪魔なのさ。」  
何の行動もとれなかった、きっと表情を変えることすら出来ていなかっただろう。  
「じゃ、さよなら、エックスは私の中だけで生きてるから心配しないでね。」  
死ぬ目際に見た彼女の笑顔は今まで見た中で一番嬉しそうで、一番楽しそうだった。  
 
 

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