無事に脱衣とその後の群舞中心の中盤が終わり、後半のソロパートがやってきて、ウェンディは再び中央のステージに上がり再びその場に座り込んでみせた。  
 
音楽に合わせた振り付けで膝を抱え込んでみせたり悪戯っぽい瞳で脚を伸ばしてからかうように観客に突き出してみせたりする。  
それが終わると両腕を身体に添えるようにして手を後ろの床に突き、その体勢から前に投げ出されぴったりと膝を閉じている両脚をゆっくりと開いていってM字に開脚する。このソロパートは今回新しく追加された振り付けだった。  
 
開脚する前の・・・両膝を付けて前に投げ出した両脚のつま先まで・・・ウェンディは神経を集中させる。  
今、ウェンディの裸の身体にはエプロンドレスの白い布地が身体を包むようにまとわりついているだけだった。  
後ろに手を突いて前に突き出す恰好になったそのエプロンドレスの下の胸が、布地の下で上下しているのが自分でも解る。  
パンプスを履いた足の甲まで真っ直ぐ伸ばして・・・足のつま先だけが床に着くような感じで・・・  
少しづつ開いていくストッキングをつけた両脚が綺麗に見えるように・・・  
 
その様子と両脚をゆっくりと開きながらそれまでとは違いやや真面目な表情にも見える脚の向こうのウェンディの表情とに観客たちが居住まいを正す雰囲気が壇上のウェンディに伝わってくる。だが当のウェンディ自身は落ち着いていた。  
これはかなり先輩たちと練習したから・・・大丈夫、大丈夫。  
 
そう心の中で呟きながらウェンディは音楽に合わせ、今度は開き終わった脚に力を入れて腰を宙に浮かせた。  
そのまま腰をゆっくりと持ち上げていき、それから同じようにゆっくりと床の上に戻す。開脚した脚の中央を覆っているエプロンの前掛けの丈が足りるかどうかだけが唯一気掛かりな事だったが、それも脚の間で手で引っ張って下に伸ばしてみた限りではなんとか大事なところを隠す分には足りている感触だった。  
 
そこから今度は両肘を床に突きその後ろに仰け反った姿勢のままで腰を斜め前に突きだしてみる。  
2回・・・3回・・・。左上に持ち上げた腰を上げたままぐるっと回して右上へ、もう一度左上に腰を回してまた降ろす。  
 
これならなんとかなりそう。ウェンディは確かめ終わると観客たちに自分の開いた脚越しににっこりと微笑みかけるとダンスミュージックに合わせて本格的に開脚したままの腰の上下動を開始した。  
 
脚の中央に天井から真っ直ぐに床まで貫いている鉄の棒か何かがあるのを想像してそれを腰でやさしくゆっくりと撫で上げるような感じで・・・  
それがおわったら同じように脚の中央で撫でるように下に降ろす・・・解ったわねウェンディ・・・  
1で上げて2で降ろす。3、4は休みで・・・テンポアップしてきたら1で上げ下げ。  
そんな風に特殊工作部の先輩たちには振り付けの指導をされていた。  
 
1で上げて2で降ろす。3、4は休み。  
1で上げて2で降ろす。3、4は休み。  
1・・・2・・・3、4。1・・・2・・・3、4。  
ウェンディは心の中でカウントしながら音楽に合わせ休みなく腰の上下動を続ける。  
 
笑顔を忘れないでね。笑顔よウェンディ。先輩たちにはそう厳しく言い渡されていた。大丈夫・・・ウェンディは微笑んだ。  
笑顔には自信があった。滅多にないのだが任務で良くやったと誉められたときなどに思わず相手にむけて浮かんでしまう表情である。  
 
両脚の向こうに見える観客たちの中には普段ウェンディに用事を言い付ける職員達の姿も何人か見える。彼らには普段のウェンディの今と同じそんな表情に見覚えがあるはずだった。何たって私は愛と思いやりのウェンディと呼ばれているんだから・・・  
 
・・・まあ相手の都合の良い時ばかりそう呼ばれるような気がするのは置いておくとしてだけどっ。  
ウェンディはそう思いつつ腰を上げ下げしながら両脚の向こうの観客たちに明るい笑顔を向ける。  
 
1・・・2・・・3、4。1・・・2・・・3、4。  
1・・・2・・・3、4。1・・・2・・・3、4。  
 
エプロンドレスのフリルで覆われた右肩を中心に上半身を跳ね上げるようにして、その後突き出す恰好になった胸からおなか、そしてくびれた腰へと身体全体をくねらせるように動きを伝わらせて最後に開脚した足に力を入れて腰を持ち上げる。  
 
右肩から身体全体をくねらせて腰へ・・・次には左肩から・・・最後に腰・・・  
エプロンドレスをつけた身体をうねらすように下半身全体で撫で上げるように優しくテンポ良く笑顔で前を見つめて・・・  
 
1・・2・・、3、4。1・・2・・、3、4。  
1・・2・・、3、4。1・・2・・、3、4。  
 
音楽のテンポが上がりウェンディはそれに合わせて身体全体の動きと腰の上げ下げのペースを上げる。  
身体全体のうねるような動きがそれにつれて激しくなっていく。  
テンポの合間を見て真っ直ぐ前を見たままうなじに手をやり片手で揺れる髪を掻き上げる振り付けのしぐさが辛くなってくる。  
 
1、2、・・・。1、2、・・・。  
1、2、・・・。1、2、・・・。  
 
あ・・・・・・!?  
はうっ・・・(泣)  
 
大きく開脚した腰の動きが激しくなって、それで脚の中央を覆っているエプロンの前掛けの丈を気にして手を前に伸ばし前掛けを掴んだ手を下に伸ばしてみたウェンディはその結果引き起こされた事態に狼狽した。  
ゆったりと開くように寸法が採られたエプロンの胸元が全体が下に引っ張られた為に大きく開いてしまって  
身体をねじる動きをした時、そこから豊かではないがそれなりなボリュームがある筈の胸がはみ出て露出してしまったのだ。  
 
1、2、1、2、1、2、1、2。1、2、1、2、1、2、1、2。  
1、2、1、2、1、2、1、2。1、2、1、2、1、2、1、2。  
 
中断する訳にもいかずウェンディは音楽に合わせた腰の動きを続けながらあわてた。  
 
あふぅっ、どうしようどうしようどうしたらっ・・・考えるのよウェンディっ  
ええと・・・えっと・・・えっと・・・  
 
結論はわりとすぐに出た。それは・・・  
・・・・・・どうにもならないんですけどっ(泣)  
というものだった。  
 
エプロンドレスのフリルの付いた胸元から、むき出しになって淡い色合いの乳首を覗かせて揺れる自分の胸を見つめながらウェンディは泣き笑い状態になった。大きく開いたエプロンの胸元が、バストの下までずり落ちて乳房全体を持ち上げていてそのせいかいつもより高く盛り上がった乳房の先端がフリルとこすれて堅く尖っていて、ふたつともそれぞれ外側を向いて天井を指すように露出したままピンク色で健気に上を向いてゆれている。  
 
なんとか隠そうにも音楽のテンポが速くなっているので片腕と肘で片手を支え、もう一方の手でまくれ上がらないようにエプロンの裾を押さえるのに両手は塞がっていた。というか身体を支えられなくなってきたので仕方なくエプロンを押さえる手も床へ戻してしまう。  
 
開演の前に先輩たちは、もし大事なところが見えてしまったらどうするんですかっ!と問いかけるウェンディに大丈夫よ、と答えていた。  
 
上は大丈夫。上の人に許可取ってあるから。まあ宴会の余興だから仕方ないだろうって許可してくれたわ(笑)。  
だから上は見えてしまっても大丈夫よ。全然まったく完全に問題なし。  
下は・・・下はまあ・・・なんとか死守してね(笑)、と。  
 
ウェンディの脳裏にはウェンディに面と向かってにこやかにそう言う先輩たちの笑顔が浮かんだ。  
大丈夫って・・・大丈夫って・・・大丈夫って(泣)  
うわん・・・頑張るのよウェンディ。あともうちょっと・・・もうちょっとのはず・・・  
 
1、1、1、1、1、1、1、1・・・、1、1、1、1、1、1、1、1。  
1、1、1、1、1、1、1、1・・・、1、1、1、1、1、1、1、1。  
 
ボーカルがそれまでの物から艶っぽい女性の喘ぎ声を模したものに代わっていて、ウェンディはその中を息を荒げ身体をよじりながら腰を振り続ける。腰を上下動するたびに自分の白い両方の乳房が揺れるのがウェンディの視界に入りさらにその広げた両脚の向こうには観客の姿が瞳に映るのだが、今のウェンディにはそれを気にしている余裕はなかった。  
 
1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1  
1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1  
 
音楽のテンポが極限まで上がってウェンディは腰の上下動を維持するので手一杯になった。  
ウェンディの白いエプロンの柔らかい布地は、肌から流れる汗で湿ったようになって脈打つようにうごめくウェンディの身体にまとわりついている。そこから露出しきっている揺れる自分の胸越しに観客たちの姿を見つめ腰の上下動を強めてみせる。  
あえぎが・・・一杯一杯になってしまっていて・・・それにつれてウェンディは頭の感覚が痺れるように感じていた。  
 
顎を引き上半身を起こして観客の姿を映している瞳がおぼろげに虚ろになってきて、緩んで半開きになりつつある口元から漏れ出る吐息がボーカルのあえぎ声なのか自分のものか区別できなくなってきている。腰の上下動はさらにテンポを早めている。  
 
1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1  
1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1  
 
あ・・・でも・・・ほらっ  
もうちょっと・・・もうちょっとで・・・  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あはっ(笑)  
 
ウェンディは剥き出しの胸の向こうの白いカチューシャを付けた金髪の下の顔を嬉しそうにほころばさせるとその笑顔のままで開いた両脚の腰の動きにアクセントを付けてみせる。  
 
ほらっ(笑)・・・ほらっ(笑)・・・ほらぁっ(笑)・・・  
あ・・・・・・  
・・・・・・あはっ(笑)。終了っ(笑)。  
 
ウェンディは安堵の思いで可愛らしくにっこりと微笑んだ。  
音楽がそのフレーズを終えていた。振り付けを無事完了してやりとげたのだ。  
 
ウェンディは最後に痙攣するような腰の上下動を2・3度観客たちに見せたあと、笑顔を顔に浮かべたまま  
床に上体を倒し頭だけをもたげて前を向き、開いた両脚を前に大きく投げ出して大きく息をつく。  
 
やった。やったわウェンディ。あなたはやればできるのよっ!  
 
ウェンディは心の中でそう呟くと乱れた前髪のむこうの表情で安堵の微笑をしてみせた。  
脚のあいだに挟んだ白いエプロンの布地が前を隠していることを確かめるようにして軽く曲げて立てた膝の脚を動かしてみる。  
激しい運動のために身体がまだ火照っていて、両肘を床に押しつけるようにして胸を持ち上げ片手で前髪をかき上げるしぐさをすると赤くなった乳房の先端を露出させたままの胸元から甘い自分の体臭が漂ってくるような気がする。  
 
身体が・・・脱力してしまってぐったりしてエプロンドレスの前からむき出しのままの胸や紅潮したままの顔も・・・  
汗が伝わっていてみっともないかもしれないけれど・・・  
 
エプロンを付けた褐色の肌をした裸の身体のあちこちを余韻に震わせて、露出したままの白く光って見える胸を大きく上下させて息を継ぎながらその時のウェンディは沸き上がる安堵の想いと、何かをやり遂げた、その気持ちで一杯だった。  
でも・・・まだこれで終わりではない。  
 
ウェンディは今度は身体を前に倒して肘を突き、後ろへと両脚を伸ばして床に腹這いの姿勢になった。  
ここからウェンディの最後のソロパートが開始される事になっていたのである。  
 
負けるなウェンディ、ファイトだウェンディ・・・  
 
手を腰に回してゆっくりと汗に湿った白いガードルを外しそれを客席に投げ入れて  
ウェンディは再びそう心の中で呟くとそのうつ伏せの姿勢のまま裸の腰を上に持ち上げ始めた・・・  
 
 
ウェンディは肩の所まで引き上げた両手を自分の身体の両脇にぴったりと付け、胸と腹をひんやりと冷たい床にべったりと着けて完全にステージの床にうつ伏せになった姿勢で金髪を下に敷いて自分の横顔を同じように床にこすりつけるように押しつけていた。  
そこから・・・両脚を大きく開いたまま、まず最初に床に膝を立て次いでその両膝をどんどん身体の前の方へと引き寄せていく。  
 
その途中、床に伏せたその恰好でウェンディはその金髪の髪に白いカチューシャを付けた頭をもたげ不安そうに何度も何度も後ろを振り返る素振りを見せる。そんな様子のまま音楽に合わせて立てた両膝がゆっくりと身体の方へ引き寄せられ、それにつれてウェンディの裸の臀部が同じようにゆっくりと床から高く持ち上がっていく。  
 
ステージの上に流れる音楽の盛り上がりが最高潮に達して、ウェンディが両膝を自分のウエストのすぐ横まで引き寄せ終わったときウェンディはステージのスポットライトの下、両手を握って前に揃え、上体を犬のように床に伏せ、胸と腹を床に着け、細いウエストを極限までくびらせて、床に膝を突いた両脚で腰を支えそのうつ伏せの姿勢のまま、高々と自分のむき出しの裸の臀部を天井に向けて突き上げているようなそんな恰好になっていた。  
 
練習の時は下着を着けていたから解らなかったけどっ・・・  
 
天井に向かって突き上げられた下半身の汗に濡れた肌に、壇上の広々とした空間を流れる冷たい空気の流れが伝わってきていてウェンディは広い場所で自分の裸の尻をむき出しにしている今の自分の姿を強く意識させられてしまっていた。  
双丘の裂け目、臀部の奥にまでステージの冷たい空気が差し込んでくる感覚がしていた。  
 
エプロンドレスの後ろはウエストで大きな蝶結びになっている幅が細めのリボンが身体にまとわりついているだけである。  
ウェンディのエプロンドレスのフリルの付いた肩紐はクロスせずに直接両肩の脇を通って胸当てへとつながっていて後ろ姿の背中は大きく露出して裸のむき出しのままだった。  
 
ウェンディの背中の3角形に浮き出た肩胛骨の突起、  
そこから身体の中央をなだらかなカーブを描いてウエストへと続く背骨の窪み、  
くびれたウエストが持ち上げられたその上へと続く辺りにある臀部の2つの窪み、  
そしてふたつに別れた汗にぬれた白い双丘  
両膝を床について高く持ち上げられた腰を支えている両脚の太股。  
 
そういったものが全て、床に伏せたウェンディの裸の姿が今、すっかりむき出しのそのままで壇下の観客に向けて晒されている筈だった。  
 
えっと・・・この恰好って目の前の人たちから見たらどんな恰好に見えるんだろう・・・  
 
ウェンディは自分の瞳に正面の観客たちの姿を映しながら不安げに考えていた。  
今日のパーティは英国政府関係のお偉い様たちも多いように見えた。  
 
床にそろえた握った両手の上に顎をのせて前を見ているこの恰好だとお客さん達がよく見える・・・ウェンディは会場前列のたくさんの来客たちの前で自分の全裸に近い恰好を意識して落ち着かない気持ちになった。正装したいかにも貴族然といった様子の来客たちの前で自分は小動物の、というか犬の伏せみたいな恰好で前を向き剥き出しのおしりだけを高く上にあげている・・・  
 
その高く持ち上げられ丸みをおびた部分が光って白く褐色の肌から浮かんで見えるはずの自分の臀部が震える様子を好奇に満ちた眼で見つめる観客たちの姿をウェンディは想像していた。  
 
褐色がかった柔らかいミルクコーヒー色の肌に、白いエプロンドレスと白いフリル付きのカチューシャだけを身に付けたメイド姿の自分・・・  
褐色の肌の裸身に金髪、青い目をして多分その顔を赤らめたまま前を向いているメイド姿の壇上の今の裸の自分は・・・  
 
そうとりとめもなく考えていると両手の上の自分の顔がさらに紅潮してくるような気持ちがしてくる。  
 
それに・・・下着を着けていないと・・・この恰好だと後ろから見られたら大事な場所がまる見えに・・・  
・・・それも露骨にっ(泣)  
 
ウェンディは身動きの利かないその不自由な体勢でもじもじと少しだけ上げたままの腰だけを動かして見せる。  
だが状態は変わりなかった。うつ伏せのままウェンディの臀部は腰から双丘にうつる部分から上が垂直に天を向いて真っ直ぐ観客たちに見える形で正面を向いていて、当然その裏側に位置し有るモノ全てはステージ上や舞台袖のスタッフたちから丸見えの筈だった。  
 
考えては駄目よウェンディっ・・・これからが大変なんだからっ・・・  
それに後ろに居るのは女の子ばかりなんだし・・・少しくらい見えても全然大丈夫っ!  
 
これからはじまるこの最後のウェンディのソロパートはとにかく最高に難度が高かったのである。  
ウェンディはステージ上の、今の自分の恰好を想像して弱気になりかける自分を叱咤する。  
 
集中するのよっウェンディっ!これは任務なんだからっ!任務に集中しなくては駄目っ!  
 
ウェンディは金髪の前髪の下の顔を観客たちにしっかりと向け直して前を向き、後ろに腰を高々と上げたそのままの体勢で、褐色の裸身を少しだけ緊張させて次に来るはずの瞬間をじっと待ちかまえた。  
 
覚悟を決めた様子の金髪の下の青い瞳に眼前の前列の観客たちの姿が映る。そして・・・  
ソロパートの音楽が唐突に開始され、スピーカーから重低音のドラムビートの一発目がステージとその上にうつ伏せになっているウェンディの肌を震わせる。  
 
「あふぅぅっっ!!!」  
 
それに合わせて全身の筋肉を総動員し、持ち上げて高々と天井を向いているままの腰を  
後ろから前へと大きく思い切り突き上げられたような形で動かして見せたウェンディは思わず大きな鳴き声を上げた。  
 
瞳が・・・後ろに大きく臀部を突きだしたままの恰好で床の所まで下げた頭をもたげて前をしっかりと見つめながら・・・  
そのウェンディの瞳が限界まで大きく広げられて、青色をした瞳孔が驚きを表すようにまん丸に開かれてしまう。  
腰のその動きをして見せる為に使われた背中の筋肉が悲鳴をあげて一瞬耐え切れないと思えるほどの  
激痛が走ったのである。  
 
「あ・・・・・・っ・・・・・・ふうっ」  
 
あまりの痛みに開かれきって固定されたままの青い瞳の端に涙が沸き出て盛り上がってくる。そのまん丸な瞳孔を微かに移動させるとその瞳に目の前の観客たちの姿が映りウェンディは思わずその涙顔をそれまでより一層紅潮させた。  
だがどんな風に見えるかを気にかける余裕などはなかった。目を大きく見開いたまま高く上げたままの腰を震わせそろそろと動かしてみせてなんとか息がつけそうな位置まで移動させたのだが、そのとたんに再び背中に激痛が走ってしまう。  
 
「んっ・・・んっ・・・んぅ・・・」  
 
パニックになったウェンディは必死になってむき出しの臀部を振り動かした。  
瞳孔を開き瞳を見開いたまま自分の身体をさぐる瞳の色で少しでも苦痛が楽になる位置を求めて剥き出しの双丘を揺らし動かす。後ろから見ればその腰を振り脚が開かれるその脚の中心部の様子は・・・  
だがその様子が後ろから見ているスタッフたちにどんな風に見えてしまうかを気にする余裕もなかった。  
 
ようやく少し楽になる位置を見つけるのだが・・・そこからわずかに身体を動かすそのたびに痛みがぶりかえしてきてしまい、それを悟ったウェンディは背中を伸ばして頭を床からもたげ、正面を向いたまま八の字に眉をあげて両目をしっかりと閉じ、そんな表情を正面の観客たちにさらしながら、小さく開いてしまっている唇から長く長く伸ばしたあきらめの悲しい鳴き声を漏らす。  
 
「あ・・・あ・・・あ・・・っ・・・  
 あっ・・・あっ・・・ああっ・・・(泣)」  
 
それはいかにも悲しげで切なげな今殺される瞬間の動物の鳴き声のように自分自身の耳に響いていた。  
 
練習の時は何ともなかったのだが・・・ここまでの振り付けで相当に身体がそうとうに酷使されてきていた上に、ここにきて腰を後ろから突き上げられるように前後にうごかすという極限の動きを要求されて、  
そのために全身の筋肉が限界にきてしまって激痛が走ってしまったのに違いなかった。  
 
というかっ・・・ウェンディは心の中で泣きべそをかきながら考えていた。  
 
だいたいにして身体が柔らかい方だったのが幸いしたとはいえ、  
自分一人だけで断続的に身体を大きく前後に揺らすこんな動きの振り付けは・・・最初から無理があるのだ。  
こんなのが出来るのは世界中でウェンディだけだろう。  
 
ウェンディは片方の肩を持ち上げ背中から腰へと確かめるように身体をくねらせてみた。背中だけではなくて酷使されてきた腰にも違和感がある・・・  
 
やばい・・・やばいわウェンディっ!  
 
ここまできてステージを中断するのは言語道断なのはもちろんの事、もし痛みが激しくなって動けなくなってしまったら・・・目もあてられない。このステージは決して失敗するわけにはいかないのだ。世界中に中継されるのだからっ!  
 
だいいち動けなくなるって・・・こんな恰好のままで?(泣)  
多分最後まで続けられるとは思うのだけどっ・・・・・・  
 
 
あまり確信は持てずにいるままに、最初のビートの一発目に続く短い間奏が終わってしまっていた。  
予定されている振り付けのとおり、ウェンディはダンスミュージックのビートに合わせ身体を断続的に前後に揺らし続けた。  
スパーン・・・スパーンという具合に小気味よい音を立てて連続して刻まれるビートがステージをはじめとして会場じゅうに響き渡る。  
それに合わせる形で床に伏せ腰を高く上げたウェンディの身体全体が前後に小刻みに揺り動かされ続ける。  
 
ビートに合わせて身体を揺らすたびにウェンディの背中には激痛が走った。ウェンディは意図しない声が口から漏れるのを防ぐため唇を真っ直ぐに引き結んでそれに耐えた。両手は拳を握りしめたまま顔の下にそろえて床にしがみつくような姿勢でくびらせた腰と胸を床にこすりつけ続けるような恰好になってしまっている。  
 
ウェンディは動きに合わせてむき出しの肩や床に顔を押しつけるようにして白いカチューシャを付けた金髪の頭を左右に振り続けた。  
そのゆれるカチューシャの金髪の下の碧眼には正面の観客たちの姿が映り続けている。  
 
さらにこのソロパートには一緒に踊る仲間たちも参加するようになっていた。ウェンディの背後でラインを作って群舞を続けるメイド姿の女の子たち、それが一人ずつ踊りながらウェンディのところまでやって来て、背後の腰の後ろで軽くステップを踏みながらしばらくの間それぞれ手の平を使ってウェンディの腰をゆっくりと撫で回すといったアクションをしてみせて、それが終わるとまた列に戻っていく。  
ウェンディ自身はその間もずっと、刻まれるビートに合わせて身体を小刻みに前後に揺する動きを続けていなくてはならなかった。  
 
1人2人3人・・・。4人目のあたりにはもうすでに、ウェンディは身体の痛みで頭を左右に振る振り付けをする余裕が無くなってしまっていた。  
開いたままの瞳も・・・少しだけ虚ろになってしまっていたかもしれない。長時間の運動で酸欠になってしまい、おなじく開いたままになった唇から少しだけ舌を見せてまるで動物のようにハァハァと喘ぎ続ける。  
やや寒めの会場の空気の中で吐息が白く丸まって見えていて、ウェンディの喘ぐその様子と同時に、激しい運動で火照ってしまっているウェンディの身体の熱っぽさ、その身体の様子まで壇下で見守る観客たちに伝わってきてしまっていた。  
 
ウェンディの上体は姿勢を保てずにすでに床にべったりと伏せられていて、乱れた短い金髪に囲われた傾けた顔だけをなんとか床から上げて正面を向けた状態で、そこから前後に揺らし続ける腰だけを高々と持ち上げて間断なく振り続ける様子をステージ上で観客たちにさらしている、今のウェンディはそんな状態だった。  
 
ビートに合わせて後ろから突き上げられる動きをするたびに、前にそろえた握った両手に力が入り、むきだしの肩全体が前に押し出されて目を閉じ眉根を寄せて小さく悲鳴を上げるように口を開ける。そして前を向けて床から持ち上げたままのそのウェンディの顔の動きがそのフリルに覆われた肩や背中のその上の肌にかすかにかかる金髪を揺らしてみせる。  
 
頬を床に擦り付けるようにして裸身を揺らしながら少しだけ涙の浮かんだ目を閉じると、高く持ち上げた臀部の谷間に集まった汗がそこから腰に向かってくぼみの間を伝わり落ちてきてそれが背中の途中で止まるのが感じられる。  
 
その全身の汗のしずくはそこから身体の脇をとおり、胸のふくらみを伝わって最後にその乳房の先端でしずくになって床に滴り落ちる。喘ぎ声とともに揺れ続けるウェンディの身体のそんな様子も観客たちには見えてしまっているかもしれなかった。  
 
5人目と6人目のメイドは2人同時にやって来ることになっていた。2人はメイド服の衣擦れの音をさせながらウェンディに近づくと、床で揃えて握った両手の上に顔を載せ、正面を向いて喘いだ様子を見せながらうつ伏せで高く上げた腰を振り続けるそんな裸のウェンディの左右に白いペチコートの端を覗かせたスカートを翻しながらそれぞれ立て膝で座り、ウェンディの肩にそっと手を触れる。  
 
2人はむきだしの肩を持ち上げゆっくりとウェンディの上体を起こし始める。音楽に合わせたその動きが終わるとウェンディは左右から身体を支えられながら抱きかかえるメイド2人にもたれ掛かり、両脚を立て膝で大きく開いたまま垂直に身体を起こした姿でその裸身を正面から観客たちにさらす恰好になっていた。  
 
ううっ・・・なんだかとってもっ・・・(泣)  
 
恥ずかしい気持ちをウェンディは感じていた。自分は身体にまとわりつく薄く柔らかいエプロンドレス一枚しか裸身を隠すものがなくせいぜい後は頭に着けた白いカチューシャと首元のフリル付きの首衿と黒いリボンタイだけの姿なのに、その一方で自分を抱きかかえる2人はきっちりとメイド服を着込んでいる。ステージの上でそのあいだに挟まれたほとんど裸の自分の姿はっ・・・(泣)  
 
激しい運動に身体だけでなく顔も火照った状態なのが感じられて、それに汗に濡れた身体はまるで自分の身体でないように感じられてその剥き出しの裸の肩、背中や胸、上半身から力が抜けた・・・柔らかい裸身をさらした状態になってしまっていた。  
 
そしてメイド2人は今、そんなウェンディの身体を左右から支えながら、エプロンから露出してしまっているウェンディの2つの乳房を観客たちに披露するような振り付けを見せている。  
 
それはただ左右からメイド服の黒い長袖の白い袖衿の先の女の子の手で、ウェンディの乳房の下をそっと支えているだけの・・・  
前もって決められていた通りの振り付けに過ぎなかったのだが・・・そうされながら自分の裸身を観客たち目にさらし続け、観客たちの視線と向き合い続けるウェンディには、その見つめられている間の時間が練習のときよりはるかに長く感じられた。  
 
震える睫毛を伏せた目でこっそりと下を向くと、うつ伏せで胸を冷たい床にこすりつけ続けていたためか、その勃起した先端だけでなく腫れて尖ったようになってしまっている乳首全体が火照ったように赤くなってしまっているのが目に入る。  
それに・・・両方の乳房のふくらみがはじまるあたりの、胸のなだらかに盛り上がり始める丸みを帯びた部分が、汗で濡れて不自然に白く光ってその丸みや肌の感触を目にする観客の視覚に強調しているように見えた。  
 
おまけにその尖って外を向いて上向いている両方の乳首の先端あたりから・・・濡れた汗の冷たいしずくが乳房のふくらみを下に向かってつたっていく肌の感覚がウェンディに伝わってくる。観客たちが自分のその乳首から乳房を伝わってゆっくりと落ちていく汗のしずくを息をのんで眺めているように・・・ウェンディには感じられていた。  
 
はうっ・・・  
 
2人のメイドが左右から今度はそのウェンディの露出した乳房を手で揉みしだきはじめる。ウェンディは背後の2人に寄りかかるようにしながら正面の観客たちに瞳を向けたまま、突きだした胸を押し潰すように丹念に揉みまわされ、指のあいだにはみ出る濡れて赤く光る乳首を彼女たちの白い指で擦られるようにつまみ上げられ弄り回され続ける。  
 
あ・・・あ・・・あ・・・  
 
丸みを帯びた部分だけが生々しく白く光る乳房、その肌の色と白い指、赤く尖る乳首が乳房の揉みしだかれる様子と一緒に観客たちの眼にさらされていて、それに合わせるようにウェンディの息を詰めたような小さな喘ぎ声がステージから聞こえてくる。  
そのステージの上に響く抑えた女の子らしいその喘ぎ声がウェンディ自身の耳にも嫌でも入ってきてしまっていた。  
身体を指でまさぐられる感覚の中で脳裏に特訓のときの先輩たちの声が響いてくる。  
 
・・・きちんと瞳を開いてまっすぐお客様の方を見て。普通な様子でただひたすらされてればいいのよウェンディ。楽でしょう?  
で、その様子をみんなに見てもらってればいいの(笑)  
 
我慢できずに変な声が出そうだったら、ちゃんと前見たまま唇噛んで見せてればいいし・・・そうそう、そんな感じよ(笑)  
笑顔を忘れないでね、笑顔が大切よ、ウェンディ!(笑)  
 
・・・って、普通な様子って・・・わたしの身体にも都合というものがあるんですけどっ(泣)  
 
それでもウェンディは左右から胸を揉みしだかれ続けながら、白いフリルのカチューシャを付けた頭を左右に振りながら揺れる金髪の前髪の下で開いた青い瞳に観客たちの姿を映しながら、その胸から伝わってくる感覚に耐え続けた。  
 
だがここまでの激しい運動で火照った身体が敏感になってしまっていて、その肌に与えられる刺激に耐え続けるのは難しかった。  
ウェンディはときおり揺らす頭を左右に向けて、自分の乳房を一つづつ弄り続ける2人のメイドに手加減を懇願するようなそんな瞳を向けるのだが、2人のメイドは前もって先輩達に言い含められているらしくその手の動きに容赦がなかった。  
 
いじられ続けるウェンディの乳首は指になじむどころか今やその刺激を痛いくらいにまで感じ始めてしまっている。  
 
次の7人目のメイドがウェンディの背後に立ったとき、左右から胸を揉みしだかれるのに耐えるのが精一杯でウェンディはそれに気が付かなかった。  
ステージの上で小刻みなドラムビートが続く音楽が再開されて、背後に立ったメイドがウェンディの腰を両手で掴んでうながすようにウェンディの裸の臀部を前後に動かし、その動きで始めて次の振り付けに気付かされる。  
 
腰の動きの振り付けが再開される予定だった。  
ウェンディは左右に控えた2人のメイドに胸を揉まれながら腰の前後動を続けて見せなければならないのだ。  
あと何人か分・・・全部で15人だったっけ?(泣)  
 
ウェンディは身体をまさぐられ続けながらゆっくりと自分の大きく開いた両脚と腰の状態を確認しつつ  
立て膝の姿のまま腰の前後動を再開し始める。汗で濡れた乳首の先を指で擦られるたびに、腰を振ってみせるたびに、以前とは違う背中に引きつるような震えの感覚が走り始めたのが解り、それと同時にウェンディはもはや自分の喘ぎ声を押さえておけないことに気付かされていた。  
 
あきらめを含んだ瞳の色で、開いた瞳に好奇を露わにして見守る壇下の観客たちの姿を映しながら 
その瞳のまぶたをゆっくりと開け閉じしながら、ウェンディは正面を向いた顔の小さな唇をゆっくりと開きはじめ観客たちの耳に残る喘ぎ声をもらしはじめた。  
 
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・  
 ・・・あ・・・・・・あぅんっっ(泣)」  
 
吐息と・・・泣き声混じりの喘ぎを漏らし、メイドの指に乳首を押し潰されながらウェンディはなきべそをかいていた。  
 
うう・・・(泣)。  
もう・・・耐えられそうにないんですけどっ(泣)  
 
 
 

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