ひとりでお留守番のマギー。いつものようにジャージ体育座りでむさぼるよーに  
次から次へと本を読んでゆく・・・すると。  
「こ・・・これは・・・(ポッ)?」  
いったい何冊目だったろう、もはやタイトルを選びもせず適当に山の中からひっぱりだした一冊。  
『秘本・おなにぃ大全』  
思わずマギーは周囲に視線をめぐらせた。しかし大丈夫、いまは他に誰もいない。  
最初はおそるおそるページをめくっていた指がしだいにスピードアップするまで、  
さほどの時間はかからなかった。  
そして、ある箇所でその指がピクリと止まる。  
『・・・以上の実験から、分厚いハードカバーの書籍もかなり有用であります』  
(た・・・ためしてみよう・・・)  
 マギーはベランダもふりかえり、チェックした。万一カタギじゃないハトに見られ  
でもしたら大変だからだ。  
(分厚い本の角を・・・こうして・・・すりすりすりすり・・・)  
 
 しだいに新鮮な快感が高まり、190センチ近いマギーの長身がビクンビクンとのけぞる。  
せつないような、半ば泣き声に近いあえぎが、知らず唇からもれる。  
「むひゃ・・・むひゃひゃ・・・むひゃ、ひゃふうっ!・・・む、むひゃっ、ひゃ」  
  ガチャッ  
あまりの快感に、マギーは玄関の開いた音にも気付かなかった。  
 
そして破局が訪れた。  
「マー姉・・・あえぎ声、ヘン」  
突如頭上から降ってきた幼い声。一瞬頭が真っ白になったマギーがふりあおぐと  
そこには中学校から帰って来たアニタ、さらにはひさちゃんまでが顔を真っ赤に  
して立っている。  
(終わった・・・私の人生は・・・終わった・・・)  
 マギーは股間にねねねの新作を挟んだまま石と化し、心の中でつぶやいた。  
 
 
その日以来、「紙の三姉妹」は「紙の姉妹」へとその名を変えた。  
ショックのあまり家出したマギーの行方は、いまだ杳として知れない。  
 

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