気心も知れ会って、お互いを心の友達とした二人の距離は近く  
アニタとひさちゃんは何気ない会話でも体をピッタリとくっ付けたりするようになる。  
 
別に何も気にもとめず何となくピッタリとお互いの体がくっつくような姿勢になるのだ。  
それをアニタが苦に思っているはずは無く、むしろかるい安心感や一体感を覚えているのだろう。  
 
そんな中でお互いのプライベートなどを話していったりするのだ。  
アニタが最初ひさに友達感覚で好きだと言ったのを皮きりに、合うたびに  
ひさの方から、好きと言い、アニタもそんなひさに好きと言うようになっていた。  
もちろん本当に仲の良い友達同士でも別に変ではない感じで。  
 
そうやってお互いの距離を縮めていったある日、場所は放課後の学校で  
いつも通り二人っきりで図書館で肩を並べてピッタリと体をくっつけてお互いの話をしている。  
そんな中での自然な流れで出てきた会話であった。  
「私ね・・アニタちゃんの事が好きみたいなの  
アニタちゃんと一緒にいるだけで死んじゃいそうなくらい嬉しいの・・」  
「ひさちゃん・・」  
そう言いながら、久は気のせいか、少しひとみをうるませながら真剣なまなざし  
でうつむいているようにも見える。  
どことなく落ちこんでるかのように下を向いたままの久。  
お互いを好きと言い合うのはいつもの事なのだが、今日はアニタに好きとい  
うひさの様子がいつもよりとても暗く、また簡単に好きといわずに死んじゃいそうなくらい嬉しいと  
いつもと違って言い方が違う。  
だが、そんな事を全然気に留めていないアニタは  
「うん」  
とやさしめの表情と声で平然と返す。  
「私も、ひさちゃんの事大好きだし、一緒にいると楽しいよ」  
もちろんアニタにとってこういうやりとりは友情の儀式くらいにとらえており嫌な事でも無い。  
 
久がアニタの方へそっと向きかえる事によって久とアニタの視線が合い  
お互いに見つめあう形になる。  
「うん・・・・・私ね、アニタちゃんといだけで、男の子といるよりもドキドキするの・・・」  
「え?」ギョッとしたアニタは表情がそれまでの笑顔から軽く怪訝な顔変わる、焦っているようにも見える表情だ。  
「アニタちゃん・・私、アニタちゃんの事が好きみたいなの・・・」  
「いや、でも!えっと、あの・・それってどういう意味?」  
意味合いの違いに気づいたアニタは顔をヒクヒクさせながら気まずそうにひさを見る  
「ごめんねアニタちゃん、きっと突然こんな事言われて迷惑だよね・・」  
「そ、そんなこと無いよ」  
「アニタちゃんは、周りにいる男の子よりも全然カッコよくて、ステキで・・・」  
「そんなこと・・・無いよ」  
「そんなアニタちゃんを見てると、ううん、一緒にいるだけで・・・いっぱい胸がドキドキしてくるの・・・」  
「ひさちゃん・・・」  
アニタはここでどうにかして、精神的な距離を取らないと逃げる口実が作れなくなってしまうのだが  
日ごろから自然と体をピッタリとくっつけ、繰り返すように、お互いを「好き」と言いあった日常が  
影響して、その行動をとることは容易ではないく、  
ここまでくると、もう冷たく突き放す事も全くできなくなってしまっている。  
「私・・変かな?」  
「いや・・変とかそういうんじゃなくって・・」  
「やっぱり・・・ダメだよね・・・」  
「でも・・・アニタちゃんが好きなの・・・」  
久はアニタの目を見つめながら体を更に密着させて重なるようによりそった。  
 
基本的にアニタにとってひさの好意は心地が良い  
だからアニタはひさの好意に対して厳しく返す術は全くもっていないのだ。  
アニタは顔を赤くして、カチカチになりながらひさをみている。  
「アニタちゃん・・・顔真っ赤・・・大丈夫?」  
アニタの方へと顔をぐっと近づけて久はアニタの心配をする。  
「だってひさちゃんがこんな事言うから」目を丸くして  
あたふたとした感じで赤くなったホッペを押さえるアニタ  
顔を近づけたひさに危険を感じホッぺ押さえるのと同時に顔を少しそらすが、その姿はどこか弱々しい。  
「赤くなったアニタちゃんの顔・・・とっても可愛い・・」  
今度はニッコリと笑ってそう言う久、そんなひさをみたアニタは更に顔を真っ赤にする。  
ねねねにピュア― ザ ダイアリーを読まれた時と比較できないほどの顔は赤く染まっている。  
そんなカチカチに固まったアニタを見たひさはどこか安心して彼女らしい微笑みをしながらアニタの目をじっと見つめる。  
「ねぇ、アニタちゃん・・・・」  
「何?ひさちゃん」とアニタが久の方へと顔を向けた瞬間とほぼ同時に  
久はそのまま顔を更にアニタへと近づけてくちびるとくちびるを重ねる  
アニタは顔を後ろにのけぞらせようとするにも、それを追うように  
久はアニタの口に数回に渡ってキスをした。  
「ひさちゃん・・ちょっとだめ!」  
キスを数回に渡ってされてから、気がついたように慌てて嫌がりだすアニタ。  
嫌がってはいても相変わらず顔は真っ赤にそまっている。  
「だって私達、女同士だよ?」と言うアニタ。  
この台詞もキスをする前に言えば有効だったのかもしれない。  
久の速攻によって彼女にしてはめずらしく気が動転してしまったらしく  
アニタにとっては気の利いた反論ができる状況はキスした後にしか無かったのだ。  
 

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