大きな音がしたのに驚いたのだろう、駆けつけてきたアニタは部屋に入るなりその場の場景に  
目を丸くしていた。久美が校長室の床の上、あたりじゅう一面に散乱した本の上に寝転がっていたのである。  
 
「久ちゃん・・・」  
 
「あ・・・アニタちゃん・・・  
 わたし・・・転んじゃったみたいなの・・・えへへ  
 本、拾ってくれる?」  
 
久美はクラスの中でアニタにだけ見せる気安さで照れ臭そうに笑った。  
親しくなって数ヶ月、お互い口にこそ出さなかったが自分にとって相手が一番大切な友達だと  
普段の日常生活の中で充分に実感していたからである。  
 
「転んじゃったって・・・あ〜もうあぶないなあ、久ちゃん少しボンヤリしすぎ。  
 転んだっていったいどうやったらこんな風になるかな。  
 あ〜あ、スカートすっかりまくれ上がっちゃってるし・・・」  
 
「え!?  
 やだな。はずかしいよ」  
 
「髪の毛乱れちゃってるし・・・折角結んだお下げのリボンも・・・  
 ・・・・・・・・・・・・  
 久ちゃんの顔の・・・前髪も・・・目も・・・  
 ・・・・・・・・・・・・  
 唇も・・・開いてて・・・光ってて・・・  
 ・・・・・・・・・・・・」  
 
「・・・アニタ・・・ちゃん?・・・どうして黙っちゃうの?  
 ・・・えっ!?  
 んぅ・・・・・・」  
 
久美の口元を舐めるようにしてアニタが相手の唇の場所を探し求める。  
不慣れでぎこちないその様子はまるで小さな動物どうしか何かが顔を寄せ合って  
お互いを愛撫している様子にも似ているようにみえる。その後すぐに続いた行為もまた・・・  
口に唇が軽く押し当てられ、開いた口の歯の間から覗いた舌先がほんの少し絡み合って  
その相手の口の感触を確かめあっただけの、そんな軽いキスにすぎなかった。  
 
だがそれでも久美は口が離されると手で口元を覆うようにして紅潮した表情で目を見張ったまま  
床の上からアニタを見上げていた。口を隠した久美とアニタの視線はすぐに絡み合った。  
アニタもまた顔を真っ赤に紅潮させて目を大きく見開いてこちらを見つめたままだったから。  
 
「アニタ・・・ちゃん・・・」  
 
「久ちゃん・・・ゴメンっ!  
 あたし・・・変だ。  
 こんなの今までなかったのに・・・久ちゃんの顔見てたら・・・  
 久ちゃんの今の恰好見てたら・・・我慢できなくなって・・・  
 
 久ちゃんは女の子どうしでこんなの嫌だよね・・・こんなの変だよ。  
 あたしきっと変になっちゃったんだ・・・」  
 
床に仰向けに倒れた最初の恰好のまま身じろぎもせず大きな瞳でアニタを見つめ  
黙ってその言葉を聞いていた久美だったが、アニタの最後の言葉が終わらないうちに  
それをさえぎって張りつめていた感情の堰を切ったように返事を返しはじめる。  
 
「そんなこと・・・そんなことないっ  
 わたしアニタちゃんの事が好きだから・・・だから・・・  
 嫌なんかじゃない・・・嫌なんかじゃないよ・・・  
 でも・・・」  
 
「アニタちゃんは・・・アニタちゃんは素敵だし、クラスでも人気者だし・・・  
 お友達もいっぱいいるし・・・わたしは・・・アニタちゃんの他には本しか友達がいなくて・・・  
 わたしなんか全然魅力ないし  
 こんなわたしにはアニタちゃんは相応しくないよ。」  
 
今度はアニタが黙る番だった。  
何かを決心したかの表情で久美をじっと見つめる。  
 
「久ちゃん・・・前、開けるけどいいよね」  
 
アニタは返事を待たず、両手を上げて倒れた姿勢のままの久美の制服のブラウスに手をかけて  
2番目のボタンから順に下へ向かってボタンを外しはじめた。それが終わるとリボンの下からブラウスを  
左右に開いて身体を露出させる。  
 
もともと床の上で制服のクリーム色の上着の裾を大きくはだけて充分にあられもない恰好になっていたのだが・・・  
アニタがブラウスの前を開き終わると、久美の恰好はさらにその度合いを強めて一層しどけないものへとなってしまっていた。  
 
床に付いた腰と肩のあいだで少しだけ反り返るように持ち上げられている久美の身体、  
その白い肌をしたなだらかな腹部と、ブラウスの白い襟元の大きな赤いリボンの下で何となく痛ましい  
感じさえするほどに少女らしく盛り上がった白い胸のふくらみがすっかり露わになってしまっている。  
 
久美はその間中ずっと、何か知らない人を見るような不思議そうな瞳の色でその大きな瞳をしたまま、  
床の上からアニタを見上げたまま、じっとおとなしく自分の身体が剥き出しにされていくのを待っていた。  
 
アニタは剥き終わった久美の身体をじっと見おろすと、身体の横にひざまずいた恰好から右手を伸ばして  
久美と向かい合うようにしたまま相手の身体をまさぐる。  
 
「アニタ・・・ちゃん・・・」  
 
そのアニタに触られて久美の身体が瞬間、硬直する。  
 
「久ちゃんの身体、あたしなんかと違ってゴツゴツしたところが全然なくて  
 どこ触っても柔らかくって・・・本当に女の子って感じがする・・・  
   
 それに・・・お姉たちとも違っててなんだか折れちゃいそう。  
 身体中、全然無駄なところなんかないし・・・」  
 
アニタは久美のスカートのウエストのあたりから微かに反った久美の胴の横へと手の平をまわし  
そこから胸のふくらみのあたりまで身体の横を少しづつ手の平を滑らせるようにして久美の身体をまさぐっている。  
胸の脇にまで達すると今度は手を引き上げてふたつのふっくらとした胸のふくらみを順番に、その谷間になっている胸の間、そこから再び平たくなっているなだらかな腹部へとまさぐる手を伸ばしていく。  
 
そうして久美の身体、剥き出しの上半身を手でしっかりと確かめ終わると  
今度はためらい無くまくれ上がったスカートの向こうへと手を伸ばすと、指を下着の下に差し入れた。  
 
「アニタ・・・ちゃん・・・」  
 
「それにここ・・・もう湿ってる。  
 好きな子に身体を触られるとこうなるんだってお姉たちが言ってた。  
 ・・・久ちゃん、あたしが好きなの?」  
 
「うん。もう言ったよ。アニタちゃんが好き、大好きだって。」  
 
「・・・じゃあいいよね。」  
 
下着の下をただなぞるようにまさぐっていただけだったアニタの指が、今度は久美の性器の中へと  
差し入れられそのまま蠢動を始める。  
 
「あ、ああっ・・・くぅんっ・・・」  
 
久美のか細い身体、腰が跳ね上がった。混乱しているようにみえる瞳の奥で呟いているようにも見える。  
アニタちゃんの指、指が・・・こんな風に動かせるなんて・・・こんなの・・・こんなのあるのかな?  
 
無論、自分でも触ったことのない場所を他人に弄られている最中の今の久美には判断のしようがなかった。  
生まれて初めて好きになった人に自分の大事な場所を思うがまま好きなように触られ弄られているのだ。  
さっきまで身体を触られていた時にはそれでも顔を硬直させたままじっと自分の身体をまさぐるアニタの顔を見つめていることが出来た久美だったが、今ではそうしてアニタを見つめる余裕などなかった。  
 
瞳を大きく見開きその瞳の色を驚きの一色に染めたままその瞳を閉じることさえ出来ずに  
口からか細い泣き声を時折あげながらアニタの指が自分の性器に伝えてくる感覚を受け止めるのが  
せいいっぱいの状態になってしまっている。  
 
アニタはそんな久美の様子に一切構わなかった。  
伸ばした右手を久美の下着の下に差し込み思うがままに激しい指の動きを続ける一方で、上体を倒して久美に覆い被さるようにして久美の首元やお下げを結んだ白いリボンの下の耳元、その下の赤い大きなリボンに下で見え隠れして柔らかく震えている久美の白い胸のふくらみに顔を埋めて匂いを嗅ぐようにして愛撫を続ける。  
久美はその間も覆い被さるアニタの顔の横で大きな瞳を驚愕に見開いたまま刺激される性器の感覚に  
耐え続けていた。  
 
「久ちゃんの身体、女の子の匂いと・・・本の匂いがする。いっつも本と一緒にいるからかな?  
 それはお姉たちも一緒だけど・・・久ちゃんの身体の匂いは・・・なんだかちがう。  
 なんだか・・・久ちゃんが本そのものみたいな感じ。  
 なんでだろ・・・あたし本が大嫌いだったのに、久ちゃんだと全然嫌じゃない・・・」  
 
「アニタ・・・ちゃん。アニタ・・・ちゃんっ・・・」  
 
「久ちゃん・・・気持ちいい?」  
 
久美はかろうじて、といった様子でうなづいた。両手を頭の上に上げたままか細い声を上げ続け喘いでいる。  
アニタはその久美の頭の回りの、床の上で散乱している本を見ながら言葉を続ける。  
 
「久ちゃんそうやって本と一緒に床に散らばってるのが良く似合ってる。  
 久ちゃんも、なんか自分が本になったようなそんな気がしない?  
 ・・・あたしに操られて身体中ページをめくられて全部中を読まれてるところみたいな気が・・・」  
 
手を休めずに見つめるアニタには久美の瞳が中空を泳いでいて言われた言葉を反芻しているところなのが解る。  
 
「あ・・・ああ・・・っ・・・  
 ひぃんっ・・・」  
 
そして久美はすぐに追い詰められた瞳の色でアニタを見返すと、アニタの指を咥え込んだままの腰と  
靴を履いたまま床に立てた両膝をガクガクと震わせてアニタの指の動きに応える。  
その泣き声とその姿はアニタの言葉に同意している姿に他ならなかった。  
 
本の匂いのする身体の女の子?  
わたし・・・わたしが・・・大好きな本になってる?  
わたし、いま本になってアニタちゃんに読まれてるの?  
そんなの・・・そんなの・・・いけないことなんじゃないかな・・・  
 
だが性器からの刺激で途切れ途切れになりながら考えるその言葉の一つ一つが頭に思い浮かぶたびに  
その都度、その想いだけでそのたびに床の上の自分の身体が跳ね上がってしまっているのが  
久美自身で良く解ってしまっていた。  
 
ううん。間違ってるはずなんか・・・そんなこと、そんなことないよ・・・  
だって大好きな本になって、同じくらい大好きな人に読まれてて、そう思っててそう感じるだけで  
こんなに幸せな気持ちになれるんだもの・・・  
 
アニタは言葉を続けていた。  
 
「前にお姉たちに教わったから・・・自分じゃまだ試してないけど・・・  
 女の子が最後にどんな風になるかあたし知ってる・・・  
 
 だから・・・いいよね?ページ進めちゃっても。  
 あたし・・・久ちゃんの全部が見たい。」  
 
久美は床の上から片手を伸ばしアニタの手を押さえてかぶりを振った。  
声が出せずそれが精一杯の様子だった。  
 
アニタはそれに構わず久美をかき回す指の動きを強める。  
かつて感じたことの無い感覚に久美の腰が跳ね上がり目を中に浮かせたまま  
今自分を襲っている感覚が信じられないといった表情で口を半開きにしたまま頭を床に擦り付け短い前髪を揺らす。  
 
アニタちゃんの・・・アニタちゃんの指・・・すごい・・・すごすぎるよ・・・  
まるで本に出てくる魔法使いの指かなにかみたい・・・わたし・・・わたし・・・どうなっちゃうの?・・・  
 
この年齢の女の子としては限界以上の状態だった。靴を履いたままの両脚の靴下のフリルを揺らしながら  
床に突いて脚を立てているその両膝もガクガクと震えている。  
真っ直ぐに引き結ばれた口元からは声にしようとして声にならない泣き声が漏れ出ている。  
 
「久ちゃん・・・久ちゃん聞こえてる?  
 今、久ちゃんの最後のページをめくってあげるから・・・」  
 
そのアニタの言葉を理解した印に久美の見開いたままの瞳に一筋の怯えと  
紅潮したままの表情にさらにひときわ鮮やかな朱色が走った。  
泣き声を上げ身を反らすその姿を見るアニタの脳裏にはその久美の泣き声とお気に入りの赤毛のアンの一節を読み上げる久美の声が二重写しになって響いていた。  
 
アニタは頭の中でその久美のセリフを反芻する。  
・・・・・・  
・・・・・・  
久ちゃんを好きに決まってるよ。いつまでも心の友達に・・・心の友達に決まってる。  
だから、だから久ちゃんを全部見せて・・・  
ほら・・・  
1・・・  
あっ  
2・・・  
あっ  
3・・・  
ああっ・・・  
 
アニタが3つ数え終わると同時に久美はアニタの掛け声と共になすがままに操られて果てた。  
剥き出しの華奢な身体を自分に出来るかぎり精一杯に反り返らせて硬直させ、そして崩れ落ちる。  
信じられないといった表情で瞳を大きく見開いたまま床の上で。  
 
その床の上の久美の身体の周りには本が散乱したまま散らばっていて、それまで知らなかった感覚へと導かれながら、否応なくアニタの指に性器と身体を揺すられながら、久美はいつの間にか掴んでいたそのうちの一冊の本をしっかりと握りしめていてその本を手に握りしめた姿のまま絶頂に達していた。  
 
そんな姿の久美の脚の間、何かを漏らしたかのように濡れようやく震えの収まったその場所からアニタが指を引き抜いて、久美を気遣いながらまくれ上がったスカートを元に戻し開いたブラウスを戻して息づく久美の身体を覆う。  
 
部屋のその場一帯には久美の、本を握りしめた女の子の息遣いとその行為の余韻、  
床に広げられて読まれた女の子、本となって読まれた久美の身体から立ち上っているかのように感じられる本の匂いがあたりに漂いつづけていた。  
 
アニタは床の上に横たわる久美の白く光る身体を見おろしながら目眩に似たようなものを感じていた。  
自分はこの心の友達、本の匂いのする女の子、久美の身体と今のこの姿を・・・一生忘れられないだろうという予感に震えながら。  
 
 
 
すべてが終わったあと久美は身を起こし身繕いを始めた。  
床の上にペタンと座り込んだままうつむき加減でブラウスの前を閉じてボタンを閉め始める。  
その姿にさっきまでの行為のあいだとは違う何か近づきがたいものを感じながら  
アニタはその久美に声をかけた。  
 
「久ちゃん、ゴメン・・・こんな事するつもりなかったんだけど・・・」  
 
制服を着終わってこちらを振り返った久美は目に一杯涙を溜めていた。  
 
「ううん・・・解ってる・・・。わたしが悪いの・・・  
 女の人にこんな風にさせちゃうのは・・・私が変だから。」  
 
「久ちゃん・・・」  
 
アニタの制止する声を振り切って久美はその場を走り去った。  
部屋には呆然と立ち尽くすアニタひとりが残されたままである。  
 
「久ちゃんが変って・・・わかんないよ・・・  
 あたしやっぱりわるいことしちゃったのかな・・・」  
 
そう呟くアニタを眺める2つの影があった。  
久美が走り去ったのとは反対側のドアの隙間には女子生徒2人の顔が並んでいた。  
2人は顔を見合わせてうなずき合うと  
 
「あ〜あ。いいところまでいってたんだけどね〜」  
「そだよね〜」  
「菱石の鬱もこれで解決と思ったのに〜」  
 
と声をひそめたままヒソヒソとつぶやきあう。アニタと久美のクラスメイト、千穂と灯子の二人組である。  
どうやらそこでアニタたちの破廉恥な一部始終を観察していたらしい。  
 
「深く愛し合いながらもすれ違う二人。  
 そこにはディープでダークな越えようにも越えられない同性どうしという壁が!  
 ここはひとつ・・・」  
 
「!?」  
「いつのまに・・・」  
 
いきなりその場面に割り込みながら3人目がドアの隙間に頭を出した。  
さらに面倒なことに・・・といった表情がアリアリの先客二人をよそにその3人目が叫ぶ。  
 
「この西園なつめが一肌脱がないと駄目みたいよね。  
 西園なつめ主催、菱石さんは男と女どっちを選ぶの?決断支援パーティの開催が  
 今、たった今、この場で決定したわ!」  
 
と。  
 
 
 
(終わり)  

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル