幕間劇 帰ってきた恋愛小説家
蔵前のマンション、居間。
ミシェール:「それでは!せんせい、あけまして〜」
三姉妹:「おめでとうございま〜す!」
ねねね:「うむ、おめでとう!」
ミシェール:「ささ、どうぞどうぞ」(酌をする
ねねね:「ん、ありがと……ぷは〜」(盃をちび、となめてから飲み干す
ミシェール:「まあ、おみごと。ささ、もひとつ」(ぺちぺちと手を叩いて酌をする
ねねね:「ありがと……あんたたちも飲みなさいよ。おーい、アニタ、飲んでるかー」
アニタ:「うーい」
ねねね:「何それ牛乳じゃんよ。お屠蘇を飲め!お屠蘇を!」
マギー:「……こ、こちらも……どうぞ……」(ぱか、とお重のフタをあける
ねねね:「……ぉお!やるじゃん!」
マギー:「……ハッスルしました……」(顔を赤らめて
ねねね:「……おお、うまいうまい」(黒豆の煮物をつまんで
ミシェール:「わたしもすこ〜し手伝ったんですよ〜」
アニタ:「ミー姉、おもち焼いただけじゃん」
(おほほ、と笑ってコタツの下でアニタと暗闘するミシェール
ねねね:「ああ、そうだ……アニタ、こっちおいで」(手招きして
アニタ:「……なに?」
ねねね:「はい……お年玉」
アニタ:「ありがと……おおぉ!スッゲー。五千円じゃん!……ホントにいいの?」(ねねね、
笑いながらアニタをぐりぐりして
ねねね:「ま、正月くらい、ね……」
アニタ:「ありがと!よーし、これで久ちゃんの新作とカエルくんを……」
ねねね:「ちょっと!たまにはわたしの本も買いなさいよ」
アニタ:「わかってるってー!」
(ミシェールに目配せするマギー、うなずくミシェール
ミシェール:「あのー」
ねねね:「なに?……」
ミシェール:「わたしたちにもお年玉を……」
ねねね:「……あんたたち、いくつになった?」(ぎろ、とふたりをにらむねねね
マギー:「…………ムヒャ」
(あさっての方を向いてほほをつまむミシェール、ねねね、酒をあおる
ミシェール:「……そういえばせんせ、お体はだいじょうぶですか?」
ねねね:「?……元気だけど」
ミシェール:「そうですか?……なんだかうなされているみたいですけど……真夜中に『せんせ
い』、『せんせい』って、イイ声で」
(ぶ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。酒を吹くねねね
ねねね:「な、な、な、な、なにを!……」(ねねね、くちを拭って
ミシェール:「きっとあの人も心配しますわ……本当にご存知ないんですか?」
ねねね:「…………知らんな……」
ミシェール:「アニタちゃーん!お部屋のラジカセを持ってきてちょうだい。ちょっとこのテープを再
生……」
ねねね:「分かった!分かった!分かった!分かった!分かった!分かった!分かった!…
…いくらだ……」
(ねねね、懐からサイフをだす