……一秒……二秒……。  
 
上を向く愛莉の可憐な唇にキスをする。  
本当に唇の表面が触れるだけの、軽いキス。  
舌なんてもちろん入れられないっ。唇を動かすことすら許されない。  
 
……三秒……四秒……。  
 
 
「……っ……っ」  
 
俺の手を握る愛莉の手に力が込められる。  
唇はいまだプルプルと震えており、その振動が唇の位置を僅かにずらし、  
重なる面積をほんのちょっとだけ増やす。  
 
「……んっ……」  
 
……五秒……六秒……。  
 
ああ、でもやっぱり愛莉の唇、柔らかいな。しっとりとしていて、唇に吸いつくようで、  
……我慢しないと、つい動かしたくなってしまう。  
それにしたって、智花といい、真帆といい、紗季といい、ひなたちゃんといい、  
愛莉といい、女の子ってどうしてこういい匂いがするんだろう?  
みんなそれぞれ微妙に違うし、……ああ、駄目だ。頭がクラクラしてくる。  
 
 
……七秒……八秒……。  
 
今、愛莉とキスしてるんだ……。あの大人しく控え目な愛莉と……。  
ただ唇を合わせているだけなのに、さっきから鼓動がどんどん速くなって止まらない。  
握られた手から伝わる愛莉の鼓動もまた同じ。  
……ただのキスでこんなんなら、これ以上のことしたらどうなっちゃうんだろう?  
 
……九秒……十秒!  
 
約束通り、すっと唇を離す。  
名残惜しい気持ちはもちろんあったが、そこは鋼の意志でぐっとガマン!  
 
唇を僅かに離し目を開けると、愛莉のドアップの顔が飛び込んでくる。  
瞼をぎゅっと閉じて、顔じゅう真っ赤にしてプルプルと震えている。  
……なんか小動物みたいで無性に可愛く思えた。  
 
……かわいいな。愛莉。  
初めて会ったときに、地味な子だなんて思った自分に蹴りを入れたい。  
まあ、愛莉の可愛さは内面からにじみ出てくるものだから  
初対面では見抜けなくてもしょうがないのだが……。  
 
俺は愛莉の頭にぽんっと手を乗せると、さきほどと同じく撫で始めた。  
 
「終わったよ、愛莉。良く頑張ったね、えらいえらい」  
 
正直いつ気絶しても受け止められるように心づもりはしてたのだが、どうやら杞憂に終わったらしい。  
 
――と。  
 
「――っ――っ」  
 
愛莉の体が、ぴくんっ……ぴくんっ……と一定期間をおいて規則正しく跳ね上がる。  
 
「? 愛莉?」  
「――ぇっ――ぇっ――ふぇええええええええええええええええええええん!!!!!」  
 
突如俺の胸に顔をうずめて泣き出す愛莉。  
――って、なんで!?  
 
「うわあっ、愛莉、ごめん! やっぱり泣くほど嫌だった!?」  
「――ぇぐっ――・えぐっ――ひ、ひがうんです。……わたし、うれしくって。  
 ひっく……長谷川さんとキスでくるなんて……ひっく……信じられなくて……それで……」  
 
ああ、感極まって泣いちゃったのか。  
しょうがないよな、愛莉だし。むしろよく気絶しなかったと誉めてあげたいくらいだ。  
 
俺は愛莉の背中や髪の毛をさすったり撫でたりしてあげながら、愛莉が落ち着くまで待とうとした。  
 
……がっ。  
 
「ひっく……長谷川さんっ!」  
 
ぎゅうっ!  
むにゅっ!  
 
「!!!!!!!!!!!!??????????????????」  
 
嗚咽を漏らしながら、俺の体にぎゅうっとしがみつ愛莉。  
その体と体の間、ちょうど俺の腹から腰にかけての部分に、弾力性があって  
それなのにすんごい柔らかいモノが押しつけられている……。  
 
………………。  
……ええと、なんですか? このバスケットボール?  
 
いやさすがにそれは大き過ぎる。  
ハンドボール……いや、バレーボールはあるか……。  
 
ともかく丸い二つの球体が、俺と愛莉の間でむにゅむにゅと押しつぶされている。  
 
 
……おっぱい……だよね?  
 
……愛莉の……おっぱい……。  
 
――って、愛莉の胸、こんなに大きかったっけ!!!???  
明らかに小学生レベル超えてるぞっ!?  
 
 
 
俺の脳裏に過去のハプニングで垣間見た愛莉の胸や(主に真帆が原因)  
練習中、ジャンプするたびに体操服の上から揺れていたソレ(もちろん慌てて目を反らしたさ!)が  
矢継ぎ早に浮かんでは消えていく。  
 
……いやさ、たしかに以前からおっきいだろうなとは思っていたよ。  
……でもただでさえ身長を気にしているんだから、胸のことなんかもっと敏感なんだろうと思って、  
みんなの前では決して口にしなかったし、極力意識しないようにしてきたんだよ……。  
 
……でも実際に触れてみてわかったけど、――なにこの大きさ!!!???  
それもさ、まだ若いから(つか幼い……だけど)滅茶苦茶ハリがあるのか、  
つんつんっ――て、俺の腹をすごい突き上げてくるんです。  
 
……これは……凶器だ。  
 
 
……待て待て待て。  
……落ち着け、俺。  
あまりの事実に取り乱してしまったが、胸の大きさなんて関係ないんだ。  
俺が好きになったのは、あくまで愛莉の内面だ。  
 
大人しくて、控え目で、ちょっと引っ込み思案だけど、頑張り屋さんで、すっごくやさしい、  
――そんな彼女を好きになったんじゃないか。  
 
外面なんて、どーだっていいんだ。胸の大きさをあれこれ言うなんて、かえって愛莉に失礼だ。  
 
――でも、性格よくて可愛くてプロポーション抜群って、ほぼ最強じゃね?  
 
「…………」  
 
……はっ、な、なんだっ、今の悪魔のささやきは!?  
 
「…………」  
 
愛莉が両腕でひしっとしがみついているので、俺は解放された腕を、愛莉の腰にまわし、そっと抱きしめる。  
 
――きゅっ。  
 
――ほそっ! くびれっ、細っ!  
 
ああ、お尻も触って確かめたいが、そんなことしたら泣くどころの騒ぎじゃないし、  
つか、見ただけでもそのボリュームの凄さがわかるし……ああ、なに言ってるんだ、俺……。  
 
 
「……ぐすっ。……す、すいません。……いきなり……泣き出しちゃって……ああ、恥ずかしいなぁ、もう……」  
 
俺が支離滅裂になっている間に、落ち着きを取り戻した愛莉が、顔をおこしてそっと目元を拭う。  
そしてまだ涙の残滓が残った、濁りのない、純粋な瞳で俺を見上げる。  
 
「……長谷川さん、わたし、決めました」  
「……え、な、なにを?」  
「……これからは、わたしも、……みんなといっしょに……は、はせがわさんに、……  
その……いろいろ……してあげようって……」  
 
それでもやっぱり恥ずかしいのか、後半になるにつけ、すっごく小さくなる声。  
――って、なに!?  
 
「な、なにを言ってるんだ……いいんだよ、愛莉、無理しなくても。  
 そんなことしなくたって、俺は愛莉のこと、嫌いになったりしないよ……」  
「ううん。そうじゃないんです。……その、自分のためとかじゃなくって、  
 わたしが、長谷川さんにしてあげたいなって思って。……長谷川さんに、喜んでほしいから」  
「……愛莉」  
「だから、わたしができることなら、何だって長谷川さんにしてあげようって決めたんです。  
 え、え、え、えっちな、ことだって、今は無理でも、がんばっておぼえますからっ!」  
 
……愛莉。  
なんて……なんて健気な良い子なんだ!  
 
……でもね、でもね、今キミにそんなことを言われたら、俺の頭に、他の4人じゃできない、  
愛莉にしかできないような、あんなことやそんなことが怒濤のごとく襲いかかってくるわけで。  
 
ああ、内面はこんな健気で、やさしくて……そして外見は……顔立ちは整っているし、  
長身の割には腰とか異様に細くて、モデルみたいで……そのボリュームたっぷりの胸元と腰つきが……。  
 
……やばい。この子、もしかしなくてもメチャクチャレベル高くない?  
しかも俺好みの家庭的なタイプって……やばい、よく考えたら、もろ心臓ど真ん中な気がする。  
 
ま、まて、俺、この子とこれから……エッチなことするんですか?  
……耐えられるか、俺? ……襲わないか、俺? ばかっ、愛莉を襲うなんて、それこそ死んでもできないぞっ!  
も、もしかして愛莉って、ひなたちゃんをも超える、俺の人格最終破壊兵器なんじゃ……。  
 
そういえば愛莉って週三で筋トレやってるから、体引き締まってるんだよなぁ。  
くそう、どこのどいつだ、筋トレやったら背が伸びなくなるって言ったヤツ。  
……崇め奉ってやる!  
 
「すばるん!」  
「どわぁっ!?」  
 
俺が感慨に耽っていると、  
後ろからいきなり真帆が飛びかかってきた!  
 
「なに今度はアイリーンにばっかかまってるんだよっ! ってゆーか、なんか違う! あたしんときと愛のりょーが違う!」  
「バカッ、そんなことないって。な、智花?」  
「…………」  
 
……あれ?  
なんでそんな悲しそうな表情をするんだ、智花?  
 
「申し訳ございませんでした。私、昴さんが愛莉のことそんなに好きだったなんて知らなくて……」  
「……え? どうしたの、智花?」  
「それなのに私、べ、べろちゅーとか、はしたないこと言ってしまって。……そうなんですよね、昴さんは、愛莉のことが……」  
 
なんか智花が勝手に落ち込んでる。  
……あれ、俺、みんなには同程度の気持ちしか言っていないつもりなんだけど……。  
……いや、でもキスしていくにつれて意識していないうちにどんどんエスカレートしていったかも……。  
 
いかん。これは問題だ。  
少なくとも勇気を出して一番最初に告白してくれた智花に、そんな誤解を与えてはならない。  
 
「……智花、ちょっとこっちおいで」  
「……はい?」  
 
愛莉には申し訳ないがひとまず愛莉の体を離し、背中に真帆を貼り付けたまま、  
俺はこいこいと智花を手招きする。  
 
素直に俺の所にやってきた彼女の頬に手をやると、おもむろに唇を重ねる。  
 
「!!!???」  
 
唇を押し開き、深く重ねて、ついばむように動かす。  
 
「……んー、んー」  
 
吸う。  
 
「!!!!!!!」  
 
その後何度か同じ行為を繰り返した後、俺は智花を解放してあげた。  
 
「……はあっ……はあっ……」  
 
智花は息も絶え絶えだ。  
 
「……智花、これが俺の気持ち」  
「……ふぇ?」  
「……すごい自分勝手な考え方だけどさ、俺は、君たち5人とも。同じくらい好きだよ。  
 というか、君たち5人に順番とかつけたくないんだけどね。だから智花よりも愛莉が好きということもないし、  
 愛莉よりも智花が好きということはない。……今のところは」  
「……昴さん……」  
「それでも智花がそう感じてしまったとしたら、それは俺のせいだから。智花は一番最初に俺に気持ちを伝えてくれたのに  
 かえって言葉足らずになったのかもしれない。俺も緊張してたしね。智花……」  
 
俺は智花の瞳をみて、しっかりとした言葉でいった。  
 
「智花はとっても素敵な女の子だよ。俺は人間としても、ひとりの女の子としても、智花のこと大好きだよ。  
 まだわからないだなんて、はぐらかしてごめんね」  
「す、昴さん」  
 
感激のあまり涙ぐむ智花にそっと顔を近づける。  
 
「……じゃあ、次はべろちゅーだっけ? 智花が満足するまでたっぷりしてあげるからね……気絶しちゃダメだよ」  
「……ふぇ? ……ふぇぇぇぇぇぇ!?」  
 
 
俺が再度智花に口づけしようとすると、ぎゅっと首を絞められた。  
 
「こらっ、すばるん。なんであたしを無視するんだよ。みんな愛してるならびょーどーにしろっ!」  
「ウゲッ、ま、真帆!? おまっ、チョークはいってる!」  
 
背中におぶさったままの真帆が、ぎゅーーとチョークスリーパーを決めにかかる。  
俺がどうにかそれを振り払おうと腕や頭を動かしたため、必然的な事故がおきる。  
 
ちゅっ…。  
 
「……んっ」  
「うわっ」  
 
横を向いた俺の口に、身を乗り出してきた真帆の口がうまい具合にあたる。  
ちなみにびっくりして顔を離したのが真帆の方だ。  
俺はもうヤケだと開き直って、そのままの体勢で後ろ手に真帆の頭を支え、顔をひきつけ、そのハリのある唇に唇をはわす。  
 
「んーーっ、んーーっ」  
 
なぜだか真帆はキスしてとせがむ割には、いざしてみると嫌がる…とまではいかないが、若干の抵抗感がある。  
真帆が慣れていないからか、俺が下手なのか……まあ両方かな?  
そんな真帆の姿は普段と比べて逆に初々しくあるので、結構可愛く目に映るのだが……。  
真帆でもそう言われると喜ぶのかなぁ……?  
 
「……ちゅっ……んっ……じゅっ……」  
「……んーっ……んーっ……んんんーーーっ!」  
 
動かしてはその弾力に富んだ感触を堪能し、ときおり吸ってみたりすると面白いくらい素直な反応が返ってくる。  
いつもは小憎たらしい真帆が、キスの時は妙に可愛くなる。  
なら毎日キスしてあげたら真帆も少しはお淑やかなお嬢様になるんだろうか? うーん、そんな真帆は想像もできない。  
 
……ああ、そういえば真帆にもべろちゅーせがまれてたんだっけ。  
どうしよう。このまま舌を侵入させてしまおうか?  
でも真帆の場合、いきなりやったら紗季みたいに思いっきり噛まれそうだなあ。  
 
俺がそんな取り留めのないことを考えながら真帆の唇を吸っていると、ふいに唇が離れた。  
あれ、とうとう我慢できなくなったのかと思ったら――  
 
どすん!  
 
「……え? ええっ!?」  
 
背中におぶさっていた真帆がベッドの上にいちなり落っこちた!  
しかもそのまんま動かないしっ。  
 
「どわぁぁぁーーーっ!? 真帆っ、どーしたっ! しっかりしろ!?」  
「…………はえ? ……あ、ごめん。なんか体の力ぬけちゃった……」  
 
って、ああっ、この子また目の焦点あってないしっ。  
真帆、お前たかがキスで意識とびすぎっ!  
 
慌てて抱き起こすと、落ちたショックで意識が戻ったのか、真帆は「うーんっ」と背伸びをするように俺の首に手を伸ばして、ぎゅうっと抱きついてくる。  
 
「すばるんっ、今度はべろちゅーっ。約束だよ!」  
「……………………」  
 
いや、今までとはまったく違う意味で、恐くて出来ません。  
つーか、最初は一番危険だと思っていた真帆が、この手のことに関しては一番弱いってどーゆーことよ!?  
 
とはいえ、しなければしないでまた駄々をこねるからなぁ。どーしたもんか……。  
 
真帆に抱きつかれた体勢のまま思案していると、くいくいっと袖を引っ張られる。  
そちらを見ると――  
 
「……………………」  
 
……えーと、智花さん。そんな熱をおびだ瞳で見つめられても、俺の体はひとつしかないんですけど……。  
 
とりあえず先にするって言っちゃった智花を優先――真帆が黙ってはいまい。  
じゃあ、真帆を先にすまして――智花の無言のプレッシャーが強すぎます。  
それなら二人仲良くって――何を考えているんだ俺は!?  
なんだかさっきから頭が変な方向にしか働かない気がする……。  
 
「……はあ……」  
 
俺が疲れたため息を吐くと、くいくいっと智花とは反対側の袖が引っ張られる。  
そこにはひなたちゃんが満面の笑みで微笑んでいた。  
 
「おー。おにーちゃん、疲れちゃった? ひなが元気のでるちゅーをしてあげるよ」  
 
そういってくいっと小さな唇を突き出してくる。  
 
まあ、ひなたちゃんがそう言うならと、俺はそのサクランボ色の唇にちゅうっとキスをした。  
……おおっ、ホントだ! なんか不思議と元気が湧いてきたような……。  
 
…………。  
……。  
あれ?  
 
「すーばーるーんーっ!!!」  
「な、なんでひなたにはそんな自然にキスしちゃうんですかっ!?」  
 
えっ、だっ、だってほら、ひなたちゃんにキスしてあげるって言われたら、  
当然キスするのが男の義務というか…………あれっ、なんか俺、思考回路が書き換えられてる!?  
ひなたちゃんとキスして以降、ひなたちゃんのお願いをまったく拒否できない……いや、拒否しようとしない自分がいる……。  
 
「ヒナもドサクサまぎれでズルイぞ! いったい何回すばるんとキスしてるんだよっ!」  
「おーっ、ひなねー、おにーちゃんとなら、何回キスしてもしあきないぞーっ」  
「わっ、私だって、昴さんとだったら、何千万回だってキスできるんだから!」  
 
ああ、身から出た錆とはいえ、すんごい修羅場になりそうな模様……。  
 
パアァァァァァーーーーンッッ!!!!!  
 
――その時、小気味良い音が部屋全体に響いた。  
 
「いい加減にしなさいっ!!! あんたたち、いったいキスにどんだけ時間をかけるつもりっ!?  
 そもそも本来の目的忘れてるでしょ!?」  
 
超特大のハリセンをもった紗季が仁王立ちで俺たちの前に君臨していた。  
……ええと、とりあえずそのハリセンはどっから持ってきたの?ってツッコミはOK?  
 
「そんな細かいことはどーでもいいんです! とにかくっ、キスだけで貴重な時間を  
 もう2時間近く浪費してしまっているんですから。これからはもっとスピードアップしていきますっ!」  
「えーっ、なんだよそれーっ。あたしまだべろちゅーしてもらってないぞっ!」  
「ええとっ、わ、私もまだ……」  
「そんなもんはあとあとっ。とりあえずファーストキスはちゃんとしてもらったんだら、  
 そのへんは同時並列で進めていきます!」  
 
まあ、確かに結構時間がたっている気がするが……紗季、その時間の半分以上を、  
君とひなたちゃんが使っていることを、まさか忘れてはいないよね?  
 
って、いかんいかん。それこそ、そんなことはどーだっていい。  
次のステップに進む前に俺はどうしても言っておかねばならないことがある。  
 
「まてっ、紗季! こんなことはもう終わりにしよう! この際ぶっちゃけて言うが、  
 俺、このまま続けたら、さっきのひなたちゃんの時みたく、自分を抑えられなくってしまう!」  
 
この段階になっては、もう恥も外聞もあったもんではない。  
事実として俺はひなたちゃんを押し倒した。そしてさらに愛莉まで参戦してきたとなっては、最悪の事態が現実味を帯びてくる。  
この際あの動画がバレてロリコンと罵られようが、ミホ姉に半殺しにされようが、まず守るべきはこの子たちの身の安全だ。  
 
しかし俺の決死の願いも紗季はどこ吹く風といった感じだ。  
 
「ふふ、長谷川さん。ようやく私たちの魅力に気付いて素直になって頂けたのは大変嬉しいですが、そんなことで止めるわけにはいきません」  
「でもっ、俺、もしかしたら君たちを襲ってしまうかもしれないっ。そんなことは、絶対に避けたいんだ!」  
「大丈夫です。長谷川さんが私たちに襲いかかる点に関しては、すでに対抗策を考えてあります」  
 
自信満々に言う紗季に、俺は愚かにも驚愕と期待の眼差しを向けてしまった。  
 
「なにっ、こんな短期間にもう考えたのか!? そ、それはいったいどんなすごい策なんだ?」  
 
溺れる者は藁をもつかむというが、俺はまさに掴んでしまったわけだ。腐りかけの藁を。  
 
得意満面になった紗季は高らかに宣言した。  
 
「縛ります」  
 
 
 
 

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