……しゅっ……しゅっ……しゅっ……。  
 
「……うぅ……」  
 
股間を手で擦られる感覚が、再び俺を襲う。  
白く、細く、そしてちょっと冷たい少女の指が、俺の熱いモノを、ゆっくりとリズミカルに擦り上げていく。  
 
「……どうですか、長谷川さん? 気持ちいいですか?」  
「……ノーコメント」  
「ダメですよ。ちゃんと言ってくれないと、上手いか下手か  
 わからないじゃないですか」  
 
不服そうな言葉の中にも、少し不安さを感じさせながら、少女は聞いてくる。  
彼女の手つきはとても初めてとは思えないほど的確なものだったが、  
俺がビクンッと反応するたびに、同じようにビクッ動きを止めてしまうところは、  
見ていてなんとなく可愛かった。  
 
「……上手だよ、紗季。とても初めてとは思えない」  
「……それは……少しは勉強しましたから……」  
 
恥じらうように視線を反らしながら紗季は答える。  
 
結局、俺は自室のベッドの上で、再び彼女たちに股間を晒すこととなった。  
一番手は、朝、撮影役に回ってろくに触れなかったということで紗季。  
そして俺(の股間)を囲むようにぐるりと他の子が座っている。  
……もっとも、そのうち一人は背を向けたままだが……。  
 
「ほーら、アイリーンっ! もうビデオ撮ってないんだから、ちゃんと見なきゃダメだぞ!」  
「無理っ、無理っ! わたしっ、ぜったいムリ!」  
 
そりゃ今朝みたアレがまだ目に焼き付いているだろうから、直視するなんて無理だろう。  
それなら部屋から出て行った方がいいような気もするが、  
そこは自分ひとりだけ仲間外れになりたくないという微妙な心理が働いてるせいか。  
 
とにかく愛莉は、いやいやするように、背を向けて、耳を塞いで、頭をぶるんぶるん振っている。  
――と、そこに近付く影ひとつ。  
 
「おー、あいりー。カメさんみるのいやなら、ひなといっしょにおにーちゃんの顔みてよー。  
おにーちゃん、きもちよくなると、すっごくかわいい顔するんだぞー」  
「え……、長谷川さんの、……顔?」  
「そうだ。あと、昴さんに手を握ってもらったらどうかな。あんまり怖がってばかりいたら  
昴さんにも失礼だし、まずは昴さんの体に慣れていくことから始めたらいいんじゃないかな」  
 
……それは一理ある。  
愛莉でなくとも、普通の女の子がいきなり男のモノを見ろを言われても引くだけだ。  
とりあえず、まず男に慣れていくという意味で、軽い身体的接触は有効だろう。  
 
「…………あの、そじゃあ、……長谷川さん、……手を、握っても……いいですか?」  
「……ああ、愛莉がいやじゃなかったら、……いいよ」  
「はいっ」  
 
愛莉はこの数日見たことのない、嬉しそうな笑顔を見せた。  
そして、俺に近付き、差し出された手を、両手でそっと握る。  
 
「ふぁ……やっぱり、おとこのひとだ。……おっきい、手ですね」  
「ごめんね。豆だらけで、ゴツゴツしてるでしょ」  
「そ、そんなことないですっ! おっきくて、あったかくて……こうしてると、なんだか……とても……安心します……」  
 
そう言って、きゅっ…と俺の手を握る。  
うわっ……なんだろう。今下半身丸出しで、ナニを弄られているっていうのに、  
こうして愛莉に手を握られている方が、よっぽど気恥しく感じる。  
 
愛莉も愛莉で両手でぎゅっと手を握ったまま、少し赤らんだ顔をあげて、じっと俺の顔を見つめる。  
その隣では、ニコニコと笑顔のひなたちゃんが、同じように俺の顔をじっと見つめている。  
……でも、できれば顔を見るのは遠慮してほしいんだけどね……。  
 
……しゅっしゅっ……しゅっしゅっ……。  
 
「でもやっぱり不思議な形してますよね。……こことか」  
「あうっ……」  
「そーそー。ねーすばるん、ここはなんてゆーの?」  
 
紗季が俺のカリの裏を指で擦り、真帆が指指して訊いてくる。  
 
「そこは……カリっていうんだ」  
「かり? なんでかりってゆーの?」  
「そんなの俺だって知らないよ」  
「ふーん……で、ここは気持ちいいんですか?」  
 
すりすりとその部分を擦りながら訊く紗季。  
 
「……気持ちいいよ。……すごく」  
「じゃあ……ここは?」  
「っ!」  
 
俺の反応に、紗季がニタリと笑う。  
紗季が触ったのは、裏スジだ。  
 
「……そこも、気持ちいいよ……」  
「……ふふん、ここが、男の人の一番気持ちいい場所なんですよね?」  
 
……くそう、わざとやってるな、こいつ。  
 
紗季は裏スジをこすこすと執拗に擦り続ける。  
 
「あぅっ、……でも紗季、そこばっか触っちゃ、ダメ! 他の場所も  
 まんべんなく触って、ときどき擦るくらいがちょうどいいから……」  
「え、わ、ごめんなさい。そ、そーですよね、まんべんなく、ですよね」  
 
俺に指摘されて、泡を食ったように他の部分を摩り始める紗季。  
小さく「やっぱり知識だけじゃよくわからないな……」と呟く声がその唇から聞こえる。  
 
……この子もちょっと耳年増だけど、根は真面目で、しっかりしていて、すごく良い子なんだよなあ。  
――なんでこんなことになってしまったんだろう?  
 
でも、自分の股間に群がる彼女たちを見て、俺は少しだけほっとする。  
実際ナニを弄られているわけだが、紗季の言う通り、彼女たちは性的疑問を  
解消するといった方に興味が注がれており、最初俺が危惧したような  
淫靡な雰囲気にはなっていない。  
 
よくよく考えて見回してみれば、服を脱いでいるのは俺だけ(しかも下半身のみ)で  
女の子たちはビシッと衣服着用である。  
これならば少し行き過ぎの保健体育授業で通るのではないだろうか?  
……いや、やっぱダメか……?  
 
そんな甘いことを考えていると、ちょっと落ち込んだ感じの紗季が、無念そうに俺に詫びてきた。  
 
「……すいません。どうも私の知識だけでは、長谷川さんを気持ち良くさせてあげられそうにないです。  
 ……真帆のマネになるのであんまりやりたくなかったのですが、  
 やはり長谷川さんを気持ち良くさせた実績のある手段をとらせていただきます」  
 
いや、君の知識と手つきはかなり高レベルだと思いますよ。  
正直、将来が恐いくらいです。  
つか、真帆のマネってもしかして……。  
 
「……くちゅ……くちゅ……くちゅ……」  
 
今度は目で見てわかった。  
紗季が口を閉ざしたまま、モゴモゴとほっぺたを動かす。  
 
「だ、ダメだ紗季! それは駄目だっ!」  
「…………?」  
 
口をモゴモゴさせたまま、コクンと小首をかしげる。  
 
「ほらっ、やっぱり、人の唾液をつけるって、汚いだろ? あ、別に、紗季のが汚いって  
 いってるんじゃないんだっ。どっちかっていうと汚いのは俺の方で……」  
 
「でも、すばるん、つばつけてからのほーが、すっげー感じてたぜ!」  
「……うん。滑るから、こすりやすいしね」  
「そこ! よけーなこと言わないっ」  
 
紗季は俺の目をじっと見つめながら、くちゅくちゅと頬を動かし続け、そして――  
俺のモノへと顔を近づける。  
 
「ん――」  
 
小さな唇から、にょきっと赤い舌が割って出た。  
彼女の白い肌と比べると随分と赤みを帯びた舌が、亀頭スレスレまで接近する。  
そして、僅かに開いた唇から、唾液がつつーっと舌を伝わり、亀頭の先へ糸を引くように落ちていく。  
 
「……れろ〜」  
「――ッ」  
 
――駄目だって言ったのにっ……!  
生温かい紗季の唾液が、俺のモノへとゆっくりとまとわりついてくる。  
ああ、やっぱり目でみると凄い効果だ。  
 
そして、唾液をまぶしながら、くちゅくちゅと手の動きを再開させる。  
 
「ぐぅ――!!!!!!!!!」  
 
股間の感度が一気に跳ね上がった。  
 
「……うふふ。なんとなくわかっちゃいました。長谷川さんがダメっていうことは、  
 ……ホントは気持ちいいってことなんですね?」  
「ち、ちがう! ほんとに……」  
「――えいっ」  
「ぐほっ」  
 
紗季が濡れた指先で裏スジを撫で上げた。  
 
「ふむ。ここぞというときに使えば効果てきめんと」  
 
「長谷川さんは、女の子によだれを塗りたくられて、擦られるのが好きな、  
いけない男のひとなんですね」  
 
彼女の眼鏡ごしに見える瞳の中に、俺はゾクリとするものを感じた。  
……あれ、……保健体育……どこ行った?  
 
俺、もしかして、彼女の入れてはいけないスイッチ、入れちゃった?  
 
「それで、長谷川さんは真帆みたいに乱暴にされるのと、  
 トモみたいにねっとりされるの、どっちがいいんですか?」  
「ど、どっちもダメ!」  
「そうですか。両方ですか。欲張りさんですね」  
 
紗季の手が唾液まみれのモノを、ゆっくり、ねっとりとなぶってゆく。  
 
「ぐぅ」  
「あれ? でもあべこべってことは、もしかして……」  
 
今度は裏スジを連続して強くこすり始める。  
 
「あうっ! あ、あぁ、あぁっ、ああっっ!!」  
「あ、やっぱり気持ちいいんだ。むー、騙してたんですね。お仕置きです」  
 
今度は手で握りながら素早く高速運動を開始した!  
くちゅくちゅと唾液が摩擦で飛び散る音がする。  
 
「違う! 確かにそれも気持ちいいが、そんなにっ強っあっ!」  
「もう口は信用できませんので、長谷川さんの体に直接聞くことにします」  
「ねー、もっかん。サキのやつ、アイス・エイジモード、入ってない?」  
「……うん。昴さん……壊れちゃわないかな……」  
 
ぐちゅぐちゅぐちゅと凄まじい音を立てて、しごき上げられるマイ・サン。  
 
「長谷川さん、ココをこんなに大きくさせて、……ほら、亀頭がぷっくり赤く膨らんでますよ。  
 カリのところ、……こーやって、親指と人さし指の間で擦られると、気持ちいいんでしょ?」  
 
「――ぐうっ、――ひぃっ――あぁぁつ!」  
 
「私のよだれが、長谷川さんと手の間で、ぶちゅぶちゅ泡だってますよ。  
 白くて……まるで精液みたい。…………んー、ほら、またよだれを垂らして、  
 大きくコスコスしてあげますから、いっぱい、気持ち良くなってくださいね」  
 
「――らめっ、――それいじょぅ、―くふぁっ!」  
 
目からチカチカと火花がとびそうだ。  
股間からの刺激が、頭を壊していく。  
ウソだ。ぜったい嘘だっ。  
これ、小学生の手技じゃないぞ!  
知識だけでこーなるもんじゃない、――天性だ、この子は、天性の――女王様だっ!  
 
「ほらほらほらっ――もう限界ですか、ダメですよ、長谷川さん。まだ…………」  
「…………」  
「…………」  
「…………」  
「…………(ニコニコ)」  
 
突如として、女王様の手が止まった。  
 
なっ、なにっ! もーすこしでイケそうってところで止めるなんてっ!  
くそっ、焦らしのテクニックまで身につけてるのか、この子はっ。  
 
畏怖の念を抱きつつ、紗季の方を見ると、なぜか彼女はぼうっとしたまま俺を見つめていた。  
その両脇には同じような表情の真帆と智花。俺の手を握っている愛莉も同様だ。  
そして、ひとりだけニコニコと笑顔なひなたちゃん。  
 
気付くと全員が俺を見つめていた。  
 
「……え、なに、みんな、どーしたの?」  
 
荒れた息を整えつつ声をかけると、ひなたちゃん以外の子が、瞬間的に顔を赤くして、ばっ顔をそむけた。  
なんとあの真帆さえもだ。  
 
「ふぁ……あの、昴さんの顔というか、感じている仕草が……とっても……」  
「……かわいい……。は、長谷川さんて、ほんと……可愛い表情をするんですね」  
「……うん。長谷川さんが気持ちよさそうにしてる顔って、なんか女の子みたいで……ドキドキしちゃいました」  
「なー、おにーちゃん、かわいーだろー」  
「あ、あたしも、いま、いっしゅん、すばるんのこと、おそいそーになった……」  
 
いや、もう襲われてるから。それもかなり激しく!  
つーか、年下の女の子にかわいいとか言われても、ただただ恥ずかしいだけだっ。  
 
「てか、顔ばっかみてないで、手を動かせ手を!」  
 
そういうと「ご、ごめんなさいっ」といって、慌てて作業に戻っていく。  
ふーっとため息を吐いてから、……あれ? 今のセリフ、間違ってない?と自問する……。  
 
「そ、それで、あの、……次はどうしましょう。  
 やっぱりほっぺたでスリスリとかした方がいいんですか?」  
 
こすこすと手を上下に動かしながら、ちょっとクールダウンした様子の紗季が上目づかいに訊いてくる。  
さっきの超絶手技で頭の半分が壊れかけた俺は、女王様にほっぺスリスリは似合わないなー、  
でも逆に背徳感があっていいかも……などと、バカなことを思いつつ、何気なく答えてしまった。  
 
「いやっ、まあ、それもありかもしれないけど、普通はこういう場合、  
 舐めたり咥えたりするのが一般的じゃ……」  
 
そこまで言ってから、はたっ……と自分の言葉の意味に愕然とした。  
 
俺……今、なんつった?  
 
「……なめる?」  
「……くわえる?」  
「……コレを……ですか?」  
 
そういって、ナニに目をやる女子小学生一同。  
空気が一瞬のうちに引いていくのがわかった。  
 
……もしかして、いま、しょーがくせいにふぇらちお要求しましたか?  
 
「ちょっと待って! タンマ! 今のなし! 今の言葉、取り消しますっ!」  
 
お、お、俺は、小学生の女の子に、なんてこと頼んでいるんだっ!  
たしかに普通はそうかもしれないけど、それを小学生に頼むことは異常だ!  
 
 
「……あのぅ、昴さん……」  
 
おずおずと手を挙げて智花が質問をしてくる。  
ああ、やめてくれ。そんな困った目で俺を見ないでくれっ!  
 
「そ、そのぅ、……し、舌で、舐めて差し上げるのは、私としては全然、構わないのですが、  
……できれば、その前にして頂きたいことがありまして……」  
 
顔じゅう真っ赤にして智花が言いづらそうに話す。  
 
「あっ、も、もちろん、ちゃんと洗って綺麗にしてからね!  
 それでもダメなら殺菌消毒でも滅菌消毒でもなんでも……」  
 
――って、なに俺、してもらうこと前提で話を進めようとしてるんだっ!  
 
「いえ、その、そういうことではなくて、……それは別に……気にしないし……  
じゃなくって! ……あの……はじめて……なんです……」  
 
「……?」  
 
そりゃ、フェラチオなんて初めてだろう。  
逆に小学生で既に経験済みだったら恐いぞ。  
 
「…………」  
 
……ああ、わかっているさ。今、それをやらせようとしている鬼畜な男がいるな。ここに。  
 
「うん。やったことないから嫌なんだろ。だから別に無理して……」  
「そうではなくて、……だから……初めてなんです……キス……」  
「…………え?」  
 
…………キスって、あれ? 接吻? 口づけ? マウストゥーマウス?  
 
「……ああ、キス……ね。そ、そう……そりゃ、は、はじめて……なんだ」  
「……はい。初めてなんです。ですから……」  
 
智花は顔をもう真っ赤っかにしながら、俺のモノをすっと指さす。  
 
「これが、初めての相手というのは、いくらなんでも無理なんです!」  
 
 
…………。  
……ああっ、そーゆーことね!  
そうか、彼女的には、一応、これもキスの分類にはいるのか。  
 
「じゃあ、仕方ないね。無理してするようなことじゃないし、こんなことはもうやめよう」  
 
俺は納得して、大人の対応をしたつもりなのだが、智花はなぜか紅いほっぺを少し膨らませ、  
小さな声で何か呟いた。  
 
「すばるさんの……どんかん……」  
「え? なに、智花?」  
「な、なんでもありませんっ! で、ですから、……は、は、初めてを、  
 ちゃんとした人に、してもらえてれば、……舐めてあげられると思うんです」  
「うん。それはそうだろうけど、今、この場にそんな人はいないんだから、  
 今日は無理でしょ?」  
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」  
 
……なんか智花が、大変なことになってる。  
 
ぶんっぶんっと、俺を指さして、仲間に訴える。  
 
「うん。すばるんが悪いね」  
「100%長谷川さんが悪いですね」  
「長谷川さん、ひどすぎますっ。智花ちゃん、可哀想……」  
「おー、おにーちゃん、だめだぞー」  
 
え、なに? 俺、全会一致で否決されるの!?  
だって……智花はキスをしたことがないから、口でするのが嫌で、  
口でするには、まずキスを先にしなくちゃならなくて、  
その相手は今ここにいないんだから、口ではできない……。  
 
――何も間違ってないよな、俺の理論?  
 
 

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