「次はココか」  
 
紗季とのプレイをたっぷり楽しんだ後、俺は3人目の待つ部屋へと向かった。  
 
結局、紗季とは4回もしてしまった……。  
 
どうもプレイの後というのは苛めてしまった罪悪感とかがあって、  
必要以上に甘くやさしくしてしまう傾向にある。  
 
もしかして紗季はそれを狙っているのか?  
 
まあ昨日はみんなバレンタインの準備があるとかで忙しく誰ともしてないから  
通常よりは持つと思うけど……。  
 
二人終わった時点ですでに7回ってマズくない?  
 
てかこの様子だと今日は裸リボンがデフォルトらしい。  
残るは3人。  
やばいぞう。真帆はともかく、ひなたちゃんと愛莉の裸リボンはもはや兵器だ。  
いやでも、智花の裸リボンもなかなかの破壊力だったから、  
真帆のつるぺた裸リボンだって、どんな威力を秘めているかわからない。  
 
……生きて帰れるかな、俺。  
 
 
 
俺は期待と不安に胸を膨らませながら、新たに紗季に渡されたメッセージカードと鍵を持って、次なる部屋へと急いだ。  
 
もっともカードに書かれているのは、次の部屋の場所とタイムスケジュールだけであり、  
誰が待っているかは書かれていない。  
 
「って、これ時間ギリギリじゃないか!」  
 
だいたい一人二時間ほど時間が割り当ててあって、その間に移動や休憩で一時間ほど時間を取ってあるのだが……。  
 
……紗季さん、あなたこの一時間、めいっぱい延長しましたね?  
たしか3回目が終わった後で、ちらっと時間を確認して、そのうえでもう一回っておねだりしてきましたよね?  
 
……それに喜んで応じてしまった俺も俺なんだけど……。  
どうも俺も紗季も一度火がつくと、なかなか治まらないらしい。  
 
……ま、過ぎたことは仕方がないとして、今は全力で急ぐのみだ。  
 
開始時間より5分ほど遅れて、俺は3人目の女の子が待つ部屋の前に辿り着いた。  
おっとり刀で鍵を開け、扉を開くと部屋の中に飛び込む。  
 
「ごめん! ちょっと遅れた…………って、ええ!!??」  
 
部屋の中で俺を待っていたのは、またまた大きな箱だった。  
 
……いや、これって、もう箱ってレベルじゃないだろ?  
 
体育館のように広い部屋の中には、ハーフコート1面分はあろうかというほどデカイ箱がそびえ立っていた。  
 
でもディテールはちゃんとプレゼント用の箱のそれで、幅1メートルは有ろうかというどでかいリボンが付いている。  
 
「………………これ、どうやって中に入るんだ?」  
 
箱の側面……というか壁を見渡してみたが、紗季の時とは違ってどこにも扉らしきものはついていなかった。  
 
……まさか、こんな大きな箱を上から開けろって言うんじゃないよな?  
見上げれば箱の高さはゆうに二階分はある。  
だいいちどうやって上まで登れば……。  
 
 
「……あれ?」  
 
よく見ると2階部分はバルコニーみたいになっていて、そこをずーっと目で追っていくと  
箱の端っこに簡素なハシゴがかかっているのが見える。  
 
これか……と思いつつハシゴの方へ歩いて行くと、そこにはカゴと一枚の張り紙がしてあった。  
 
『ここで裸になってね(はーと)まほまほ』  
「?」  
 
どうやら3人目はここの家人、三沢真帆であるらしい。  
 
はて?  
裸になる理由など今更わかりきっているのだが、  
箱を開ける前に脱げとは少し気が早い。  
 
箱に入ったら即プレイってこと?  
まあ箱の中で脱いだりするのは窮屈かも……とさっきまでなら思ったが、  
この箱のでかさならそれもないだろうに。  
それとも内部では服を脱げないような構造になっているのだろうか?  
 
考えても仕方ないので、とりあえず言われた通り服を脱ぐことにした。  
 
「……パンツは……どうしよう?」  
 
真帆の場合「裸っていったんだから男は黙って全裸だっ!」とか文句を言ってきそうだからな。  
でもさすがにフルチンで部屋の中を歩くのは恥ずかしいので、パンツは履いたまま、  
それ以外の服は脱いで用意されたカゴに入れると、梯子を昇って箱の上に降り立ったのだった。  
 
バルコニーからは、箱の上部が一望できた。  
うむ。上から見てもやっぱりでかい。  
そして蓋の一部にぽっかりと四角い穴があいているのが見えた。  
 
もしかしてあそこが入口か?  
そう思って、穴に近づき、そっと中を覗き込むとそこには……!  
 
 
「……………………え?」  
 
目が点になった。  
 
俺の眼下に広がるのは、一面の茶色い液体の海だった。  
 
てっきり真帆がいると思ったのに、箱の内部はプールのような構造になっていたのだ。  
 
そして箱の中から、むわっとむせ返るような甘い匂いが襲いかかってくる。  
 
……この匂いって、もしかして……。  
 
「すばるん! 背中がガラ空きだぜ!」  
「な!?」  
 
呆然と佇んでいた俺の背後から、聞き慣れた少女の声がした。  
慌てて振り返ると、そこにはすっぽんぽんの体に髪を結ぶのと同じグリーンのリボンを巻き、  
さらになぜだか水中ゴーグルにシュノーケルというキテレツな格好をした真帆が  
仁王立ちで立っていた。  
 
「真帆!? 女の子が裸で仁王立ちはいけません!!!」  
 
はしたないのでとりあえず注意。  
この子を見ているととても大金持ちのお嬢様には思えない。  
そういうところも大好きなんだけどね。  
 
「すばるんっ! もらったぁぁぁーーーー!!!」  
「ぬあっ!?」  
 
驚きのあまり真帆のタックルをまともに受けてしまった俺は、  
真帆を腰にぶら下げたまま茶色い液体の海へと真っ逆様に落ちたのだった。  
 
 
ざっぷうーーーーーーーーん!!!!!!  
 
とっさに真帆を庇うように抱きしめて、受け身をとろうとするも、激しく水面に背中をたたきつけられる!  
 
うわっ、痛い! なんだコレ!  
そして水よりも異様にドロドロした液体の中に頭まで沈んでしまう。  
 
……ぶくぶくぶく。  
 
ざっぱあーーーーーーーーん!!!!  
 
「がふっ。げほっ、ごほ! な、なんじゃっこりゃあ!!!???」  
 
口に入ってきたその甘ったるい液体を吐き出して叫ぶ。  
 
こ、これは、――チョコレート!?  
茶色い液体の正体は、プールいっぱいのチョコレートソースだったのだ!  
てか温かいからプールというよりチョコレート風呂?  
とにかく俺が落ちたのは、チョコレートソースで満たされた小さなプールほどはある浴槽の中だった。  
 
なんだってこんな馬鹿馬鹿しいっていうか、もったいないことを……。  
 
「コラ真帆! 危ないじゃないか!? ……って、真帆?」  
 
気が付くと先ほどまで抱きしめていた真帆がいない。  
いけない! まさか頭でも打って溺れてるんじゃ!?  
俺が焦ってチョコレートの水面(みなも)を見回すと……。  
 
 
スーーー。  
 
「…………」  
 
俺の3メートルほど前方に、にょきっとシュノーケルが突き出ていた。  
さらに茶色い藻のようなものが二つ、一緒になって動いている。  
 
……髪だね。  
 
それはスーーーとまっすぐ俺の方に向かって近づいてきたので、  
俺は目の前まで来たところでシュノーケルをがしっと掴んで上の穴を塞いだ。  
 
「…………」  
「…………」  
「…………」  
「!?!?」  
「…………」  
「!??!?!?!?!!?!?!??!」  
 
ざばっ!  
 
「――ぷはっ!? ひ、ヒドイよ、すばるん! 穴ふさぐなんて!」  
「まーほーっ。それはこっちの言うセリフだ! いきなりタックルして突き落とすなんて危ないだろ。  
 ……それにこの風呂ってもしかして……チョコレート?」  
「うん。そう! 今日はバレンタインだから、まほまほ特製人間チョコフォンデュだよ!」  
 
全身チョコまみれになった真帆が、元気よく答える。  
あーあー、せっかくのかわいい顔と綺麗な二つ結びの髪が、チョコに濡れてベチョベチョだ。  
 
「どーお、すばるんっ。スゴイでしょ!」  
「ああ、凄いよ。色々な意味で真帆にしかできないな。  
 でもひとまずあがって、髪を洗っておこう。そのままじゃチョコが固まってガビガビになっちゃうよ」  
「ええーーーっ、ヤダヤダ! せっかく用意したんだから、もっと遊ぼーよう!」  
「ちゃんと後で遊んであげるから、今は一刻も早く髪の毛を……って、こら待て、真帆!」  
 
真帆を抱きあげて湯船から出そうとするが、ちゅるんっとチョコレートソースで滑ってしまい、なんなく俺の手から逃れる。  
 
「やーだよっ。へへんっ、捕まえられるモンなら捕まえてみな!」  
「だから髪を洗うだけだってのにっ。こらっ、……うわっ、このっ!」  
 
何度も真帆の体に腕を回すものの、その度にまるでウナギのようににゅるんっと滑って、なかなか捕まえることができない。  
なにせ真帆の裸体はひっかかる部分がまったくない健康優良児――部内トップのつるぺたロリボディの持ち主なのだから。  
 
俺の腕から脱出した真帆は、すいーーーと器用にチョコの海の中を進むと、縁に置いてあったエモノを手に取った。  
 
「今度はまほまほの攻撃だよっ。すばるんっ、覚悟しな!」  
 
そう宣言して俺に向けたのは両手持ちの水鉄砲――ウォーターガンだ!  
それも圧縮空気を使う超強力なタイプだ。  
 
「ていやっ!」  
「どわっぷ!」  
 
凄い勢いで俺の顔を直撃したのは、もちろんあまーいチョコレートソース。  
くそっ、こんなものまで用意しているなんて!  
 
「真帆っ、武器を使うなんて卑怯だぞ! こっちは丸腰なのに!」  
「ナニ言ってんだよ。すばるんなら、こんなハンデよゆーだろ。  
 それにパンツはいてんだから、マルゴシじゃないもんね!」  
 
あーもうっ、相変わらず変な方向で絶大に信頼してくれちゃって、この子は。  
それに丸腰の意味違うし。  
 
とにかく早く捕まえないことには、あの栗色の綺麗な髪が傷んでしまう。  
 
しかしこのチョコレートソース、たぶん固まらないように、かなり多めに牛乳とか生クリームが  
入っているんだろうが、それでも体にまとわりついてきて動きづらいったらありゃしない。  
それに比べて真帆は体が小さく凹凸が少ない分俺より動きやすいし、  
なおかつウォーターガンで遠距離から狙い撃ちしてくるから、いくらなんでも分が悪すぎだ。  
 
「ええいっ、こうなったら……許せ真帆! 秘技、掟破りのビックウェーブ!!!」  
 
ざばあああっ!  
 
「うわあああーーーっ!」  
 
両腕を水中に突っ込んで力いっぱい振り上げ、水ならぬチョコレートソースを大津波のように真帆にぶっかける。  
真帆一度波によって沈んだ後、ぷはぁっと勢いよく水面に顔を突き出した。  
 
「ず、ズルイよ、すばるんっ! それは反則だ!」  
「武器を持ち出した時点で、そんなことを言われる筋合いはないっ。ほらっ、大人しくこっちに来なさい」  
「なにおーっ、ならこっちだって。……とりゃあっ!」  
 
ばしゃんっ!!!  
 
「甘いっ! そんな距離からじゃ届かないぞ!」  
「くそぉーっ、ならっ」  
 
同じように手でチョコをかけるも届かないと見た真帆は、スーーーと俺に近づいてくる。  
よしよし、うまい具合に向こうから寄ってきてくれたぞ。  
 
「よぉーーーしっ、……てりゃてりゃてりゃてりゃ!!!!」  
「ちょっ……わぷぷ! こら、やめろっ、真帆!」  
 
そう思ったのも束の間、ちょうど射程距離ギリギリに入ったところで、真帆がばしゃばしゃと  
凄い勢いで手を動かし、連続チョコ攻撃を仕掛けてきた。  
 
「ならばこちらもっ、とりゃあっ!!!」  
「きひっ、あまいぜっ、すばるん!」  
 
俺は先ほどと同じように、ざばあーーーっと大波をたてるが、真帆はなんなく避けてしまう。  
 
「なにっ!?」  
「モーションが大きすぎるんだよっ。こーゆー時は大技より小技の連続攻撃の方がユーコーなんだぜ!  
 ほりっ、てりゃてりゃてりゃてりゃてりゃてりゃ!!!!!!!」  
「ぬあーーーーーーーーっ!!!!!!」  
 
バシャバシャとチョコレートの飛沫の中に埋もれる俺。  
ダメだっ、こんな体を使った遊び、現役小学生には敵わない。  
 
しかしこちらとて年長者の意地がある。こんなところで遅れをとるわけにはいかないのだ!  
 
「てりゃてりゃてりゃてりゃてりゃてりゃ!!!! …………あれ? すばるん、どーしたの?」  
 
真帆が手を止めて飛沫がやむと、そこに俺の姿はなかった。  
 
「すーばーるーん、どこいったのー?」  
 
途端に不安そうになって、真帆がキョロキョロと俺を探しながらすすーーと前に進んでくる。  
 
そうして先ほどまで俺が立っていた場所まで来ると――  
 
ばっしゃーーーーーーーん!!!!!  
 
「んぎゃああああああああああっ!? で、でたああああああ!!!!!!!!!!」  
「……はい。捕まえた」  
 
チョコの湯船の中に潜っていた俺は、水中でがしっと真帆の体を抱きしめると、そのまま勢いよく立ちあがったのだ。  
 
「ヤダヤダヤダ! 助けてすばるん! 妖怪チョコ人間でたああああああああ!!!!!」  
「だあっ、落ちちゃうから暴れないの! それに誰が妖怪だっ、俺だよ、俺」  
「ふぇ……すばるん?」  
 
ぽかぽかと手足を暴れさせる真帆をどうにか抑え込み、顔についたチョコを拭って見せてやる。  
 
「……よかった〜。紗季がこんなことしてたら、もったいないお化けがでるぞって言ってたからホントに出たのかと思った」  
「……まあ、出てもおかしくないほど、もったいないことは確かだけどね」  
「やだよう。おどかすなよう、すばるんぅ……」  
 
怖がりの真帆が、ひしっと俺に抱きついてくる。  
決して抱きつかれて嬉しくなるような体つきではないのだが、  
俺がこの半年の間で一番体を重ねてきたのは、何を隠そうこの真帆の小さな体なのだ。  
 
……いやロリコンとは関係ないよ? それとはまったく次元が違う話で  
この子の幼い体にはエッチな秘密がいっぱい詰まっているのだ。  
 
……今日はどうにか3回で押さえておきたいところだけど、どうだろ。  
やっぱり4回目突入しちゃうんだろうなぁ。  
 
子供特有の熱くてプリプリの素肌の感触に、思わず目じりを下げながら、  
俺は真帆の耳元でやさしく囁く。  
 
「ほらっ、とにかく一度ちゃんと髪洗っちゃおうな。いい子にしてれば、もったいないお化けも許してくれるからさ」  
「……はぁーい。……えへへ、でも楽しかったね、すばるん♪」  
 
……まったく。泣いたカラスがもう笑った。  
 
 
 
俺は真帆を抱っこしたまま浴槽を上がると、すぐ横に備え付けられていた洗い場に移動した。  
それにしても……洗い場にはシャワーは元より、高級そうなシャンプーやトリートメント、  
リンス、ボディーソープなどが一通り揃えられていた。  
 
……ここって、確か部屋の中だったよな? こんなものを即席で用意してしまうとは……  
やはりあのメイドさん、只者ではない。  
 
……でもここまで有能なメイドさんだったら、そもそも主の無謀な計画を止めてほしかったのだが……。  
 
抱きあげていた真帆をお風呂用の椅子に座らせて、シャワーでザザーと髪と体についたチョコレートを洗い流していく。  
 
「うわあっ、すばるん、熱いよう!」  
「最初だからそう感じるだけ。だんだんいいお湯加減に感じてくるよ」  
「えー。…………あ、ほんとだ、なんかぬくぬくしてきた。はー、ゴクラクゴクラク」  
「そーだろ。……ではお嬢様、わたくしめが御髪を洗いますので、どうかじっとしていてくださいませ」  
「くしし、おー、くるしゅーないぞっ!」  
 
そしてまずはとにかくっ、髪の毛を洗い始める!  
 
二つ結びにしていたリボンと、ついでに体に巻いていたリボン(どちらもチョコまみれで、ただの黒い紐と化していた)  
を取り除き、シャワーでお湯を流しながらが、両手使って髪に纏わりついたチョコを丹念に洗い落していく。  
 
5分ほどかけて、お湯でできる限りチョコを流し終わったら、今度は真帆の髪にあった専用のシャンプーを手に取り、  
たっぷりと泡立ててから髪に馴染ませ、もみ洗いを開始する。  
 
「ふふ〜〜〜〜ん。んー、気持ちいいよう、すばるんっ」  
 
指の腹で頭皮をやさしくマッサージしてあげると、真帆がふにゃりと気持ちよさそうな声を上げる。  
 
「くすっ。どこかかゆいところはございませんか、お嬢様?」  
「えーとね、うーんと……右のわきっちょがちょっとかゆいかな?」  
「ん? ここかな?」  
 
こしこし。  
 
「んんーーーっ! ソコソコ! すばるんってば相変わらず『てくにしゃん』だな」  
「それは真帆たちにたくさん鍛えられたからね」  
「へっへー、感謝しろよっ、すばるん!」  
 
……ちなみに髪を洗うテクニックについてなので、誤解のないように。  
 
いつ誰から始めたかははっきり覚えてないのだが、こうやって一緒にお風呂に入った場合、  
女の子の髪を洗うのはたいてい俺の役目となっていた。  
 
女の子たちは髪を洗ってもらうのが嬉しいらしく、俺も最初の頃はうまくできなくて戸惑っていたのだが、  
最近ではかなりハマってきてしまっている。  
 
真帆の栗色のキラキラ光る髪やひなたちゃんのウェーブのかかった柔らかな髪なんかは、  
見ているだけでもうっとりしてしまうからな。  
それを自分の手で洗うことができるなんて、至極の贅沢だ。  
 
そんなわけで隠れた特技となりつつある、女の子の髪洗い。  
やっぱり洗ってて楽しいのは真帆とひなたちゃんの長い髪だ。  
指に纏わりつく髪の毛の柔らかさがもう堪らない。  
 
ただ難点なのは……二人とも長い時間じっとしていてくれないということ。  
特にひなたちゃんはすぐに後ろを向いて…………つまり、俺と対面になってしまうから、色々と困る。  
「ひなもおにーちゃんを洗ってあげるねー」と無邪気に手を伸ばしてくるんです。色々な所に。  
 
その点、智花と愛莉はお行儀よくて、洗っている最中は大人しくしてくれるから洗いやすいんだけど……。  
大変申し訳ないが、やはり長い髪の方が洗いがいのあるのが事実だ。  
 
もちろん、二人の髪を洗うのが嫌なわけではない。  
愛莉なんか最初は真っ赤になって固くなっているのに、  
洗っているうちに気持ち良くってうっとりとしてくる表情なんかは非常にそそるものがあるし、  
最近髪を伸ばしてきた智花は将来期待大だ。  
短い髪がハラリとこぼれてうなじが覗く瞬間も格別だ。  
 
そしてなんといっても、俺がもっとも洗いがいのあるのは、紗季の腰まで届く長い髪だ!!  
いやもう、なんというか、指から快楽が沸き上がってくるといっても過言ではない。  
あのボリューム満点の豊かな髪を、前洗いして、シャンプーをたっぷり使って洗って、  
そしてしっかりと洗い流して、トリートメントまでキッチリとやって、最後にドライヤーで乾かす。  
 
はっきり言って重労働だ。  
 
だが終わった後の達成感と、紗季の恐縮した中に隠しきれない溢れだすような笑顔が、俺を世にも幸福な気持ちにさせてくれるのだ。  
 
うむ。あれも一種のプレイと言えるかもしれない。  
最近は、時間があれば三つ編みまで俺がやっている。  
 
最初はいびつな三つ編みになっちゃって解こうとしたんだけど、紗季がこれでいいですって言って  
真帆に笑われるのも構わず一日ずっと過ごしてくれたのは嬉しかった。  
 
それ以来研鑽を重ね、今では三つ編み以外の髪の結い方も一通りマスターしてしまった。  
女の子の髪を洗うこともすっかりうまくなったし、もしかしたら俺って、保育士とかに向いているのかもな。  
 
「ねーすばるん。まーだー?」  
 
そうこうしているうちに早くもまほまほ姫がじれてきてしまったらしい。  
 
「まーだーだよ。チョコレートをきちんと洗い落さないと髪が痛んじゃうからね。もう少し我慢して」  
「えーっ、退屈だよう。どーせまた入るんだからいーじゃん」  
 
そんなことは到底許可できないので、俺は泡の付いた手で、こしょこしょと真帆の喉をくすぐってやった。  
 
「きゃははっ、やだすばるんっ。くすぐったいってば!」  
 
俺の手に纏わりついて可笑しそうに笑う真帆。  
この子の場合、口でダメといっても効果ないので、こうやって気を紛らわせてあげるにかぎる。  
とはいえこの方法もそんな長くは持たないのだが。  
 
俺は手際よくシャンプーを洗い流し、トリートメントを行うと、お湯に浸しといたタオルでキッチリと髪を巻く。  
よし、これで多少飛沫がとんでも髪は汚れないだろう。  
 
「ほい。お待たせ、出来上がりだよ」  
 
途中何度か真帆の相手をしてやりながら、どうにか髪を洗い終わることができた。  
 
「サンキュー、すばるん! じゃあ今度はあたしがすばるんの髪を洗ってやんぜ!」  
「……いや、それよりも、チョコレート風呂にもう一回入るんじゃなかったの?  
 真帆の用意してくれたチョコ、まだじっくり味わってないしさ」  
「おー、そーだった。じゃーすばるん、はいろーぜ!」  
 
……危ない危ない。真帆に髪を洗ってもらうと……想像以上の悲劇がおこる。  
まだその心配はないとはいえ……毛は俺にとっては命そのものなのだ。  
 
真帆はマッパのまんま、俺の腕を掴んで、チョコレート風呂へと引っ張っていく。  
……もう見慣れてはいるんだけど……女の子なんだから、もう少し恥じらいというものを持ってほしい。  
 
……しているときは、あんなに女の子らしい声で啼くのになあ……。  
 
チョコレート風呂に浸かると、真帆が俺に寄りかかって、タオルで巻いた後頭部を胸板にコツンとくっ付ける。  
 
「うぅーーーーん! 気持ちいいねっ、すばるん!」  
「あはは……そうだね」  
 
いや、なんか体じゅうの皮膚からチョコレートが浸透してくるみたいなんですけど。  
 
しかし改めて見回してみると、よくもまあこんなものを作ったものだ。  
だいたい5メートル四方の浴槽に、チョコレートソースがなみなみと湛えられている。  
前にテレビでチョコレート風呂というのを見たことがあったけど、あれは専用の入浴剤だったが、  
これは本物のチョコレートソースを使っている。  
舐めてみたら濃厚なカカオとまろやかな生クリームの味がした。  
 
凄いと思う前に、もったいないと感じてしまうのは正常な感覚だよな?  
普通、考えてもいろんな問題があって実行できないぞ。  
 
それをいとも容易くやってしまうとは、さすが三沢真帆、さすが久井奈聖といったところか……。  
 
呆れると同時に感心してしまう俺から離れて、真帆がくるりとこちらを向く。  
そしてざばーーーと立ち上がると、首から下をチョコレート漬にして、笑顔で宣言した。  
 
「じゃじゃあーーーん!!! そんなわけで改めまして! これがあたしのバレンタインチョコ。  
 まほまほをチョコに漬けて食べちゃう『まほまほちょこほんでゅ』だよ。さあ、めしあがれ!」  
 
……いや、『さあ』と言われても、なんか今さらな気がするのだが……。  
そういうセリフは攻撃する前に言ってほしかったぞ。  
 
「……ありがとう、真帆。すごく嬉しいよ」  
 
とはいえ、ここまで大掛かりに用意してくれたチョコを無駄にするのは失礼だし、  
なにより、言葉とは裏腹に、チョコの中に沈む俺のイチモツは、  
これからの真帆との行為を想像して、ギンギンに勃起していたりするのだ。  
 
……それじゃ、今日もかわいい声をたくさん聞かせてもらうとしようかな。  
 
真帆は『さあ、来い』とばかりに両手両足を広げて大の字になっている。  
 
俺は子供っぽい真帆の体の中で唯一女性らしさを醸し出す丸みを帯びた腰からお尻のラインに手を添えると――  
 
「んにゅっ!?」  
 
幼い恥丘のてっぺんに舌をペトリと広く付け――  
 
れろぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!  
 
「んにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」  
 
恥丘からお腹、鳩尾、胸、喉、顎にかけてを一気に舌で舐め上げたのだった。  
 
チョコレートで褐色になった真帆の体の中で、アソコから顔まで一直線に白い肌のラインが表れた。  
 
「……じゃあ、まほまほちょこふぉんでゅ、体の隅々まで一滴残らず美味しく頂いちゃうからね」  
「はひ……あひ……んっ……ちゅぱっ……すばるんぅ……」  
 
口にたまったチョコをゴクリと飲み込むと、目の前にある愛らしい唇にたっぷりとキスをした。  
 
 
 

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