最初はやる気なんてなかった。ただ仕方なくそうした。
きっかけは何気なく目を向けたことだった。
幼い肢体から打ち放たれる放物線、それを見た時、俺の内に秘めたるものが揺さ振られた。
今までは、まるで抜け殻のように萎んでいたはずなのに、その瞬間、一気に燃え上がり、確かな熱を身体に感じた。
それは恋にも似た感覚だった。
しかし、その放物線は永遠に失われてしまうかもしれないという事実を知ってしまった。
失われずにすむには奇跡のような勝利を手繰り寄せるしかない。
でもそれを助けてくれる人は誰もいない。……そう、俺を除いて。
もう止まらなかった、止められなかった。
俺は叫んだ、失っちゃだめだ、だから守らせてくれと……
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・・
・・・
「どうしたんですか、昴さん?」
なぜか隣にいる智花が声をかけてきた。
「なんで居るの、智花?」
「まだ寝惚けてるんですか? 一緒にお昼寝したじゃありませんか」
そういえばそうだった。
「突然、大きな声を出されたんでびっくりしました」
「ああ、ごめん。智花達と初めて会った時の夢みてた」
「? それでなんで大きな声が出たんですか?」
「ふふ、内緒」
「もう、昴さんのいじわる」
――そんな会話をしながらまた微睡みの中に戻っていくある日曜日の昼下がり