「すばるんのアホっ!ヘンタイ!!エッチのちんちくりん!!バカのとろろそば!!!」  
「はいはい。でも真帆の肌、すごくスベスベで気持ちーぞー」  
「ほ、ほめられても嬉しくないっちゅーの!ってゆーかどーしてこーなった!!」  
「………うん、それはこっちのセリフだから」  
 
二の腕から肩にかけて、腕を這わして一撫でしてやる。  
うーん、小学生の肌って素晴らしいな!  
 
 
───というわけで。  
身体を丸くして横向きで背を向ける真帆を、後ろから抱きしめている俺の図が完成したのでありました。  
 
そう。  
彼女が『自分は犬だ』と言い張るものだから、彼女をもっと犬らしくしてやるために仕方なく……全裸に剥いてやったのだ。  
あ、もちろん犬の耳と首輪とリードは残してあります。当然です。わんわん。  
ちなみに尻尾は服に取り付けるタイプだったので、泣く泣く外してしまいました。わんわんわん。  
 
ただ、先日のような失敗をまた繰り返すわけにはいかない。  
素っ裸になった真帆が風邪を引いてしまわぬようにきつく抱きしめて温めてやっているつもりなのだが、返ってくる言葉は罵詈雑言のオンパレード。  
何故だ。何故この自称忠犬は、ご主人の好意を素直に受け取ってはくれないのだろう。  
 
何はともあれ、少しは無鉄砲な彼女にも『非常事態の危機感』というモノを堪能していただけただろうか。  
ここ数日で俺はそれを何回経験したことか………まぁそのほとんどは、自分の行いが返ってきただけではあるのだが。  
 
 
───え?この件に関してはもちろん真帆の自業自得だよ?  
多分きっと。  
 
「なー真帆、そろそろいーだろ。前はご褒美だって見せてくれたのに、今日は何でそんな隠すんだ?」  
「あっ、あったりまえだろっ!他人に服ぬがされて、オマケにハダカまで見られたら誰だってハズカシーに決まってんじゃん、このアホすばるんっ!!」  
 
うむ。  
とはいえ、どちらも『裸になっている』という事実に変わりないではないか。  
 
もういっそ泣いてしまいそうな勢いで、顔をトマトにしてそう叫ぶ真帆。  
そーかー。要は他人に服を脱がされたのが恥ずかしーのかー。でもここまできたらあんまり関係ない気もするけどなー。  
 
───それに、今の俺の位置からだと、丸見えで丸出しなのだ。  
彼女が先程弱点だと断言し、今だに一つの紅いキスマークが残る……その部分が。  
 
「───ちゅっ」  
「んぎゃっ!」  
 
そのマークに上書きするようにして、唇を置いてやる。  
すぐさま効果が現れ、彼女の身体から力が抜けてゆくのが分かる。  
 
「───れろ、れろれろれろっ!」  
「ひゃああっ!んにゃあああああ!!!」  
 
今度は舌で舐め回す。  
相変わらず美味しいうなじだ。  
 
再び弱点を攻められたことによって、堅牢だったガードが少しずつほぐされてゆく。  
自分の身体を守るように抱いていた手が、緩んで隙間だらけになってくる。  
 
 
───今だ。  
 
俺は彼女の手を掴み、グイッと割りこむように開く。  
同時に上から覆いかぶさるようにして、もう二度と横向きになれないようにロックする。  
そうなって、今更『しまった』という表情をする真帆。  
 
見下ろすとそこには、白く健康的な肌。  
ぺったんこな胸と、その頂点に二つずつ主張する突起。  
とてもあの活発な彼女の身体とは思えないくらい、細くてしなやかなライン。  
 
彼女の、真帆の、一糸纏わぬ肢体が俺の目に映しだされた。  
 
「───んやああぁっ!!!」  
 
思わず彼女の胸元───鎖骨の辺りにキスを落とす。  
守り通してきた身体を見られた恥ずかしさと、初めて鎖骨にキスされたショックから大きく声を上げる真帆。  
 
………しかし、本当によく感じる身体である。  
こんなんじゃ将来大変だぞー。きっと。  
 
「っく、ふえっ……なんだよっ、あたしのハダカ見たって別にいーことないだろっ……!」  
 
しまいにはしゃくりあげるような声で、俺に訴えかけてくる。  
普段なら『どうしよう、泣かせてしまった』と思うところなのだろうが………今の俺には全くダメージがない。  
 
何故なら………今の真帆の泣き顔は、男の嗜虐心を呼び覚ましてありあまる、とってもとってもとーっても危険なモノなのだ。  
くそっ、先に俺の方がどうにかなっちまうぞこれは!  
 
「ごめんな、真帆……でも、男ってのは……好きな人の裸を見ると、つい興奮しちゃうんだ」  
「ひっく、ひっく………そう、なの?ってことは、すばるんはあたしのハダカを見て………コーフンしちゃった、ってこと……?」  
「……うん」  
 
うつむいて、少し考えこむようにしたあと……うへへーとニンマリ笑みを浮かべる真帆。  
その様子は悲しいというよりも、むしろ嬉しそうな感じで……  
 
「好きなヒト、かぁ………え、えへへへ………そ、それなら、許してやってもいいぜっ!」  
「……あはは、ありがとう。真帆」  
 
はにかみ混じりに笑いながら、つけたままの犬耳をぴこぴこ揺らす真帆。  
あのーすいません、そろそろ自分、悶え死にそうなんですが。ってゆーか『好きな人』って言われただけでこんなんになるとか可愛すぎるだろ……。  
 
心からどんどんと勢いよく溢れてくる感情。  
抑え切れない、真帆への想い………というより、もっぱら欲望だった。  
 
だ、ダメだ………。俺の理性……どこ行った……誰か、誰か俺に理性を分けてくれ……。  
 
「……なぁ真帆。キスされるのは、好きか?」  
「……うん。好き。すばるんのキスって……その、たまにビクってなるけど、あったかくってほっこりするから、好き……!」  
 
そう言って、微かに照れたままニッコリと笑ってくれる真帆。  
………もうやめてください。しんでしまいます。  
 
「じゃあさ……いま裸の真帆が、もし身体中にキスされたとしたら……どんな感じになると思う?」  
「………あっ」  
 
握っていた手が、びくん!と震えたのが分かった。  
 
───想像したのだろう。想像してしまったのだろう。  
唇やうなじ、鎖骨にキスされただけでもとろけてしまうのに、ましてや全身にキスされようものなら………と。  
 
「───ひゃっ!」  
 
彼女の返事も待たず、まずは上腕部───三角筋の辺りから腕や手にかけて侵攻を開始する。  
ちゅっちゅっとキスを数回して、たまにつうーっと舌でなぞってやる。その繰り返し。  
 
……それだけのものなのに。  
 
「ひっ!!ダメ、すばるんっ!そ、そんな、全身なんて………ホントにヘンになっちゃうよおぉ……!」  
 
このとろけ具合である。  
 
ヘンになっちゃいそうなのはこちらも同じだ。もう本当に可愛すぎる。  
可愛いなんて言葉じゃ足りない。ラブリー?もえ?激ラブ?  
 
……どれも違うな。オマケに若干古い気がするし。  
あぁ、自分の語彙の少なさが嫌になる。  
 
「ちゅ…ちゅぱっ」  
「あっ、あああっ……!」  
 
そうこうしているうちに、彼女の左肩から手の甲にまで辿り着く。  
人差し指をふにふにと摘んでやる。うわっやわらかい。何でこの子の指、マシュマロになってんの?  
 
「す、すばるん……くすぐったいよぅ」  
「うん……すごくやわらかくて、いつまでも揉んでいたくなるよ……真帆の指」  
「会話になってないだろっ!ひゅうんっ!」  
 
指と指の間にキスをすると、一際こしょばそうな声をあげる。  
なるほど……女の子っていうのは、色んな場所が性感帯になってるんだな………。  
 
───って、ショウガクセーにセーカンタイってあるのか?  
 
「じゃあ……そろそろ、こっちに行こうかな」  
「こっちって───んぎゃっ!」  
 
俺の視線にいち早く気づいた真帆は、とっさに胸の辺りを空いている方の腕で防御する。  
しかしこっちだって、それは予測済み。  
それどころか、対抗策だってちゃーんと用意しているのだ。  
 
おもむろに舌を出して、彼女の手首に押し当てる。  
それを、真横にスライドさせて………  
 
れろぉーーーーーーーーーーっ。ちゅうっ。  
 
「!!!!!!!!!!!!!!!」  
 
手首から脇にかけて一直線に舌を走らせ、とどめのキスを脇にする。  
当然真帆は、電気を流されたように痙攣し、しばらくトリップ状態に陥る。  
 
その間に脱力した両手を束ねて、彼女の首からぶら下がっているリードで縛り上げる。  
最後に持ち手の方を、枕の上のベッドフレームに括りつけて、ほら完成。  
 
もうこれで腕を下ろすことは出来ない、弄りたい放題の忠犬まほまほの出来上がりだ。  
 
 
………果てしなくヤバい方向に向かっている気がするが、きっと気のせいだよね。  
 
「さーて、どうしようかな……」  
「ぎ、ぎゃあぁっ!何コレっ!!やめっ、す、すばるんホントにやめてっ!!これ怖い、こわいよおおぉ……!!!」  
 
恐らく、今の真帆の頭の中を巡っているのは───無抵抗のまま、身体中をこれでもかというほど舐めまわされて、狂いそうになっている自分の姿。  
 
そう、腕を拘束されたとはいえ、今から彼女が受ける行為自体は同じだ。  
 
ただ……自分の身をある程度でも防御する手段が残っている状態と、全く防御出来ずされるがままである状態とでは、肉体的に受ける刺激は同じでも、精神的なダメージが全く違ってくる。  
 
ましてや今の真帆を取り巻く環境は、過去最大級のピンチに該当するであろう、非常に絶望的なもの。  
身を守る服は全てひっペがされ、動けないように馬乗りになられて(もちろん重くないように、体重は自分の膝にかけている)、オマケに両腕を縛られて固定されている。  
 
……これだけでも、暗がりや怖いものが苦手な彼女としては相当心細くなるはずなのに……更には目の前に飢えたライオンが迫っているのだ。  
怖くないわけがない。  
 
「だいじょーぶ、大丈夫だって。優しくするから」  
「うん、うんっ……で、でも、ヘンなことしちゃダメだよっ……?」  
「いや、変なことはするけどさ」  
「そこはヒテーしろよ!ますます怖くなるだろっ!?!」  
 
はーはーと息も絶え絶えの様子で叫ぶ真帆。  
大丈夫、大丈夫……と耳元でささやきながら優しく頭を撫でてやると、こくこくと小刻みに首を縦にふる。  
 
なるほど……この子が今のこの状況でも何とか耐えられているのは、ひとえに俺に対しての信頼と愛情の表れなのかもしれない。  
いわば地獄の底に垂らされた、一筋の蜘蛛の糸。  
 
なら……その信頼を裏切らない程度に、彼女の忠誠心をくすぐりながらいじめてやるのも一つの手だろう。  
 
「ところで真帆ってさ、ココ……舐められたことある?」  
 
胸の突起を指さして、訪ねてやる。  
すると当然ながら顔を真っ赤にして、  
 
「んなことあるワケないだろっ!」  
 
という返事が返ってくる。  
 
「なら……覚悟しといてくれ。きっと、すごいことになるだろうからさ」  
「だからやめろって言ってんだろっ!?ホントにこわいんだってばぁ……!!」  
 
これだけの会話で、ブルブルと身震いさせてパニック寸前にまで陥ってしまう。  
実際どんな風に感じるのかは、舐めてみてからのお楽しみだが……これまでの真帆の敏感さを考慮すれば、その刺激は飛び抜けて強いものに違いない。  
あと、第二次性徴が始まった頃はすごく敏感になるらしいからなー。誰が言ってたかは忘れたけど。  
 
「じゃあいくぞ………れろぉーーーっ」  
「ひいっ!」  
 
ひたり、と乗せるように舌を置き、まだふくらみのない右胸を、ぐーるぐーると円を描くようになぞっていく。  
 
「どんな感じだ、真帆?」  
「あっ、あっ、あっ………!!」  
 
ぴく、ぴくと時たま身体を引くつかせながら、目を見開く真帆。  
こんなに幼い身体をしていても、感じるとかってあるんだな……。  
 
そんな呑気なことを考えながら、描いてる円の半径をゆっくりと小さくしていく。  
目指すは右胸の中心部、薄紅色の可愛い突起物だ。  
それに伴い、真帆の喘ぐ声の間隔が短くなってゆく。  
 
「ほーら、もう少しで……」  
「あっあっあっあっ!や、やあぁっ……!」  
 
背中を弓なりに仰け反らせ、ブルブルと震え上がる身体。  
 
でも幾ら敏感だとはいっても、彼女はまだまだ小学六年生。  
色んな面に置いて未熟である彼女に、あまりに鋭い快感ばかりを詰め込みすぎるのも良くないだろう。  
 
なので、近づけたはずの舌を……逆に、少しずつ、円は描いたままで離してゆく。  
 
「───っ……あ、れ?」  
 
安堵のため息をつく真帆。  
ようやく一難去ったか。そんな表情だった。  
 
……だが彼女はきっと知らないに違いない。  
残念ながら、『一難去ってまた一難』という言葉が日本にはあるのだということを。  
 
今の真帆を言い表すなら、緊張が解けてホッと一息。  
言い方を変えれば───そう、スキだらけ。  
 
「………ちゅっ」  
「ひっっっっっっっっ!!!!!」  
 
不意打ちのキスを、小さく主張している乳首に優しく浴びせる。  
それを受けて、完全に脱力していた身体が大きく跳ねあがる。  
 
「……どうだった?」  
「だ、ダメ……ダメだよぉ……!こんなの続けられたら………!!!」  
 
すいません。  
一度に色々と詰め込むのは何だかんだと言いましたが……俺が見たいのは、ありとあらゆる快感を詰め込まれてよがり狂ってる忠犬まほまほさんなんです。  
 
「続けられたら、どうなるか………見てみたいと思わない?」  
「思うワケねーだろこのアホすばるんっ───あっ、あっ、ああっ!!!」  
 
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……と連続で可愛い突起にキスを落とす。  
それだけで真帆の口は、喘ぎ声のみを再生する壊れたCDウォークマンのようになってしまう。  
 
「じゃあ、次は───」  
 
舌をなぞらせる。  
胸の突起からみぞおち、ヘソ、脇腹。  
そして下腹部。股の間。目的地である、神秘の花園へ。  
 
「───……ココ?」  
「あ、あたしに聞くなぁ……っ!」  
 
見たところまだ未開の地であり、当たり前だが少しも開いている様子はない。  
だが───  
 
「もしかして───」  
 
それは単なる予感、感覚のものでしかなかった。  
あり得ない。小学六年生である彼女が、その未開の地を少しずつとはいえ潤わせ始めている、なんて。  
 
でも……快楽に敏感で、今まで散々愛撫されてきたこの身体なら───そんな気がしたのだ。  
 
ぴたり。  
 
「んあ!」  
 
疑惑の部分に人差し指を押し当てる。  
跳ね返してくる瑞々しい肌。侵入者を拒む硬さ。  
 
「にあぁああ!!」  
 
割れ目を強く押してみる。  
爪の辺りだけが、わずかに侵入する。  
 
くにくにっ。  
 
「ひぃいぃっ!!」  
 
入れた指をわずかに動かしてみる。  
びくんびくんと腰が跳ねる。  
 
「───っあッ!!」  
 
引き抜く。  
その人差し指に───微かな、湿り気。  
 
「………おいおい」  
 
唖然とする。  
もちろん自分の持っている性知識なんて大したものではないし、その全てが正しいとも思っていない。  
 
だが………こんな小さい子が、弱い部分を執拗に愛撫されていたとはいえ………わずかばかりでも、濡らしているなんて。  
 
「なぁ……真帆」  
「な、なんだよぅ……」  
「今度は俺、ここにキスしたくなってきた」  
「はあっ!?!?!?!?!?!?!?」  
 
今度こそ、よがり狂ってる彼女が見れるかもしれない。  
その期待を込めて、彼女の両太ももをしっかりと押さえ込んだ。  
 
「あっ、頭おかしくなったんじゃねーのっすばるん!そんな、ば、ばっちーところっ!!」  
「でもここ触った時、真帆、メチャクチャ反応してたからさ」  
「だっ、だからって……う〜!恥ずかしいコトばっかり言うなぁ!思い出させんなぁ!!」  
「でも本当のことだし」  
「うっさい黙れアホすばるんっ!」  
 
これ以上の言葉は無粋だ。  
要は、やってみれば分かることなのだから。  
 
「───ひいっ!!!」  
 
まずは太ももの付け根。丘のふもとを攻めてやる。  
それだけなのに、ビクビクと身体を震わせてあられもない声をあげてしまう真帆。  
 
下から上へ、ツンと酸っぱいような匂いの漂う太ももと下腹部の境目を、丁寧にゆっくりと舐め上げてやる。  
 
「ううう〜っ、ソコはホントダメだってばっ!ヘンに、へんになっひゃうぅ……」  
「いいんだって、変になっちゃっても。俺はキスが大好きな真帆に、もっともっと気持ちよくなってもらいたいだけだから」  
「で、でもぉ……───ひやあああ!!!」  
 
耐えるように縮こまらせていた真帆の身体が、途端に解放される。  
割れ目の中心部にキスを落としたからだ。  
 
「………ほら、やっぱり」  
「あっ、あ、あっ………!」  
 
今までこんな感覚は体験したことがないのだろう。  
心底驚いた表情で、虚空を見つめる真帆。  
 
中心部に近づいたことで、酸っぱい匂いがより強くなる。  
味わったことのない風味。普通なら違和感を感じるのかもしれない。だが今の俺にとってその匂いは、雄を誘う雌のフェロモンのような……甘酸っぱい蜜の香りにしか思えなかった。  
 
ちゅうううううううっ。  
 
「なぁああああああっ!!!!!」  
 
この状態で本能に勝てるわけもなく、思い切り彼女の蜜に吸い付いてしまう。  
それは同時に、彼女の敏感な部分に吸い付いているのと同じことで。  
 
「ちゅ、ちゅっ…ぷはっ。はは、すごいな……真帆」  
「あ、あっ……ココだけ、他とぜんぜんちがっ………!」  
 
気持ちいい。  
そこまでは行かないのかもしれないが、元々キスをされるのが好きな真帆のことだ。他の場所にキスされるのとは違う、何らかの感覚があったのだろう。  
むず痒い。こしょばい。もしくはそれ以上の………言い表せない何かがあったに違いない。  
 
恥ずかしさと心地良さにも似た感覚がない交ぜになり、ぼーっと呆けたような表情をする真帆。  
こういうのを、『出来上がってきている』というのだろうか?  
それならば………もう、トドメを刺してしまってもいいだろう。  
 
さあ。  
思う存分よがっている真帆の姿を、俺に見せてくれ。  
 
「よし。じゃあそろそろ……ラストスパートだな」  
「えぇえっ!!?で、でもあたし……こわいよっ!ヘンになっちゃわない?死んだりしないよねっ??!」  
「大丈夫だって………ヘンになるくらい気持ちよくって、死んでもいいって思えるほどになるかもしれないけど」  
「す、すっ───すばるんのバカあっ!!!やっぱりやめようよっ、あたし、あたしっ───!!」  
 
混じりっけのない、本当に泣きそうな顔で俺にすがってくる真帆。  
信頼という名の蜘蛛の糸が切れる、一歩手前。  
 
……ちょっとやりすぎたかな。  
これ以上追い詰めると、強い信頼関係で成り立っているこのプレイにヒビが入ってしまうかもしれない。  
 
俺は彼女を抱き寄せて、そっと頭を撫でてやる。  
 
「大丈夫。どんなに真帆が狂いそうになってても、ずっと側にいるから。抱きしめてやるから……」  
「ふぇ……すば、るん……んっ」  
 
優しくキスをする。  
彼女の瞳から一筋、溜まっていた涙が零れ落ちた。  
 
「………うん。わかった。すばるんのこと、信じる」  
「………ありがとう、真帆」  
 
そう。  
怖いものが苦手なくせに、意外とこの子は窮地に強いのだ。  
思えば大事な試合や勝負どころで必ずと言っていいほどクラッチシューターとして活躍してくれたのは、他でもない彼女だった。  
 
その力の源は………窮地に追い込まれても揺らぐことなく仲間を信じる、この強い心なのかもしれない。  
なら俺は、彼女の心意気に応えてやらなくては。  
 
「真帆、ちゅっ、うんっ……」  
「ん、ちゅっ、んふうっ……」  
 
キス。  
彼女にとってもはやキスとは、最大級の愛情表現であり安心できる一番の要素な気がする。  
深く深く口づけてやることで、彼女の心を少しでも落ち着かせてやろうとする。  
 
「───ふああっ!」  
 
キスをしたままでくりくりと割れ目をなぞってやると、唇をほどいて目いっぱい喘ぐ真帆。。  
 
「こらっ真帆、だめだろ、せっかくキスしてるのに……」  
「ら、らってぇ………!」  
 
言い表せない快楽。  
未知の恐怖。  
自分にかけられている、今までにない類の計り知れない愛情。  
 
それら全てが混乱の要素となり、真帆の精神状態を追い詰めていく。  
 
「大丈夫……大丈夫だから……」  
「うん……」  
 
一言うなずいて、今度は真帆の方から唇を重ねてくれる。  
あんなに普段は自由奔放な彼女が、今は俺のために精一杯尽くしてくれている。  
その事実がますます俺を興奮させ、より激しく彼女を求めてしまう。  
 
「ちゅう………んふっ、れろ」  
「んんんんんんんんんんん!!!ふうううぅんんんん!!!!!」  
 
まだ未成熟とはいえ立派に女性の象徴である割れ目を刺激され、ビク!ビク!ビク!と跳ねる真帆。  
怖がらなくったっていいんだ。狂いそうになっても。いっそ狂ってしまっても………俺が受け止めてやるからな。  
 
………むしろ、彼女に狂わされているのは俺の方かもしれないけれど。  
 
「まほ、っぷはっ、可愛いよ、ちゅうっ、んっ───」  
「ぷあっ!すばるん!んっ、んあっ!!んんんー!!!」  
 
口と口が合わさって、その中で反響する彼女の喘ぎ声。  
 
指先から感じる、粘液をかき混ぜる音。  
最初に触ったときに比べると、少しずつではあるが量が増えていってる気がする。  
 
上下に跳ねるだけだった真帆の身体が、次第にくねくねと這い回る虫から逃れるような動きをするようになってゆく。  
きっとその虫は、彼女のまっさらな身体に快楽の卵を産み付けていっているに違いない。  
 
「んふぁっ!あ、あああ!すばるん、ダメえっ!あたし、んぷっ、ちゅ……はっ!ホントに、おかひくっ……あああああ!!!」  
 
トドメとばかりにアソコを激しく弄りながら………親指で割れ目の上の方で主張する、本当にささやかな突起を軽く潰してやる。  
同時に彼女を強く抱き寄せ、唇をきつく吸い上げてやる。  
 
……約束したもんな。側にいる、抱きしめてやるって。  
 
「んひっ───」  
 
唇の端から、空気を吸い上げる音。  
 
「んんんんんんんんんんんんんあああああああーーーーーーー!!!!!!!!!」  
 
縛られた腕をつっぱらせ、そのままどっか飛んでいってしまうんじゃないかというくらいに身体を浮き上がらせる。  
 
お互いの口の中という狭い中でキンキンと耳が痛くなりそうなくらいに反響する、彼女の甘い絶頂の声。  
それを一つたりとも逃すまいと、隙間なく唇を押し当てる。  
 
やがて声がか細いものになり、少しずつ小さくなってゆく。  
それを見計らって唇を離すと、先程まで声をあげていたその主はくたーっと脱力して指一つ動かさなくなっていた。  
 
「ふぁ……えへへ………」  
 
一つ、気になることがあった。  
恐らく初めてであろう絶頂を迎えた彼女の顔は、一体どうなっているのだろう。  
 
気になって顔を覗き込んでみると───そこには、全く焦点のあってない瞳があった。  
身体の芯から脱力しきった、いや、安心しきったような、一言で表すなら『ふにゃ〜〜〜』という言葉がピッタリな、その表情。  
にへら〜とした笑みを浮かべながら、一言。  
 
「すば、るんっ……あたし………あたし、へんになっちゃった……へへ……」  
 
とか呟いて、妖艶な笑みを浮かべていた。  
 
…………………。  
 
何これ。  
どこぞのエロビデオの撮影会ですか?  
 
うわぁ、もう、小学生でもそんな表情出来るのか……ていうか、小学生がそんな顔しちゃいけませんってば。  
竹中だってこんな真帆の姿を見ちゃったら、ソッコーで目移りしちゃうんじゃないだろうか。  
 
「………おーい、真帆ー」  
「………へ?」  
 
俺?  
俺はもちろん───とっくの昔に、心を奪われてしまっている。  
 
むしろまだ足りない。  
彼女が大好きな『キス』とやらを、もっともっとぶちかましてやりたい。  
 
彼女が何も考えられないくらいに喘ぐその姿を、もっともっと見ていたい。  
真帆の絶頂した姿。緩みきった表情を見た俺の理性は………一つ残らず、完膚なきまでに吹き飛んでいた。  
 
「俺はまだ……したりないぞ、キス」  
 
両手の五指をゆるやかに開いて、彼女の鎖骨辺りから優しく撫でるようにすぅーーーっと下に降ろしてやる。  
胸、脇、腹、へそ、下腹部、そして太ももへと。  
びくんびくんと跳ねる身体をよそに、目的の場所まで辿り着くと………その手で彼女の足を開き、固定する。  
両手はリードによって拘束され、足は俺自らが割り開いてしまっている。もう逃げられない。  
 
割れ目から微かに見える、一筋の液体。  
そこにキスをする。  
 
「にあっ!」  
 
そんなのはまだまだ序の口。  
そのまま下から上へと、舌を押し付けてからなぞってやる。  
 
「ああああっ!そ、そんなっ……!」  
 
真帆の方も、まだ終わりではないとようやく悟ったのだろう。  
それどころか………先程よりも強い刺激が自分に訪れる、と。  
 
「んにゃあああああああっ!!!す、すばるんっっっ……!」  
 
唇をアソコに押し付けたまま、舌を出してれろれろれろーっと割れ目をくすぐってやる。  
それだけで真帆はたまらないような、高く甘美な声で鳴いてくれる。  
 
徐々に口の中を支配してゆく、彼女の粘液の味。  
たまらなく甘酸っぱい、蜜の味だ。  
 
「あっあっあああーーーっ!!!ダメ、すばるん、すばるん、またへんになるよぅ!こわい、こわいよぅ!!!」  
「大丈夫だ真帆!俺がついてる!幾らでもへんになっていいんだからなっ!」  
 
そう言って、ほんの隙間だけしか見えない割れ目の向こう側にゆっくりと指を入れる。  
今度は第一関節まで入れることが出来た。  
 
つっこんだ指をぐにゅぐにゅと遠慮無くかき回しながら、その上にある───先程よりも少し膨らんでいる蕾にキスをした。  
 
「ひゃあああああああああああああああああっっっ!!!!!!」  
 
再び絶頂。  
ぴゅっ、ぴゅっ、と液体を飛ばすソコに、慌てて口を押し当てる。  
あえて表現するなら、それは………男を誘い、篭絡するフェロモンのようなものだった。  
 
本来は美味しいと感じるかどうか、微妙なところかもしれない。  
でも今の俺には、美味しい以上の何か………それこそ自分の中の本能が求めているような、そんな味に感じたのだ。  
 
そのキツイフェロモンは男としての本能をますます呼び覚まし、蜜を求める蝶のように彼女を求め続けてしまう。  
 
「はっ、やっ、やめっ───ああああっ!!もういいよっ、すばるん、やああーーーーー!!!」  
 
限界まで腹を空かせた蝶は、やっと見つけた一輪の花から、空っぽになるまで蜜を吸い上げる。  
身体中を紅くして汗を振りまきながら首をしきりに振るその姿。彼女の小さな身に襲いかかってくる快感は、一体どれほどのものだろう。  
 
「ひやああああ!すっちゃやああーーー!!ひうううっっっ!!!!」  
 
身体中を苛む快楽という名の電撃。  
それに打たれ続けて狂ったような声を上げる真帆。  
 
 
普通の状態なら……その声を聞けば間違いなく戸惑い、そもそもこうなる以前にやめていただろう。  
 
ただ……俺は、一つだけ重要なことを見落としていた。  
普段こそ子供っぽくてやんちゃな行動が目立つ彼女だが……その実、一人の立派な女性であるのだと。  
この身体が秘めていた、女としてのポテンシャル。それを完璧に見誤っていたのだ。  
 
男を誘う、雌の姿。  
今の真帆は、まさしくそれそのものだった。  
 
 
 
どれだけの間………彼女の身体に夢中になっていたのだろう。  
気がついた時には自分の口周りは愛液でべとべと、目の前の少女はというと………完璧に気を失っていた。  
 
 
 
※  
 
 
 
 
「……すばるんなんて、きらいだ」  
「……ゴメンナサイ」  
 
またまた一時間後。  
そこには地べたに這いつくばり、土下座をしている俺の姿。  
 
「………ッ!!!もうホント信じらんねー!!あんっっっだけヒトが泣きながらやめてくれって言ってんのに気絶するまで続けるとか!ほんっとありえねー!!!きーーーーっ!!!」  
「……返す言葉もございません」  
 
酷い目にあわされた怒りとか、恥ずかしさとか、怖さとか、色んな感情が入り混ざってモヤモヤしてるのを吹き飛ばさんとばかりに唸る真帆。  
 
目が覚めた彼女は、横にいる俺のことをじとーーーっとした目で見ると、開口一番『すばるんのバカ。アホ。ヘンタイ』と罵倒三連発を言い放った。  
そしてそっぽを向くと、丸くなって布団にうずくまり……先程のことを思い出したのか、ぐすぐすと泣き始めたのだ。  
 
行為中のようなおかしなテンションも何のその、さすがに慌てふためいた俺は、どうにか許してもらおうと精一杯努力しているのだが……。  
 
 
……………てゆーか、真帆に泣かれてやっと色んな意味で目が覚めたみたいだ。  
 
俺………何てことをしてしまったのだろう。  
 
 
「っつーかなんであんな所キスされるとあんな風になっちゃうんだよっ!!さては知ってたな、すばるん!!!」  
 
少し普段のテンションを取り戻したのか、びしっと俺を指さして糾弾する真帆。  
ちなみに腕を縛り付けてたリードはとっくにベッドから解いてある。本人にはつけたままなのだが。  
 
いえ、そりゃもう。  
女性で言う、弱点中の弱点ですから。  
うなじなんか目じゃない……と思う。  
 
「……はい」  
 
虚ろな返事を返す。  
頭の中でぐるぐると、さっきまで自分が真帆にしていた行為がリピートされる。  
 
……本当にどうすればいいんだろう。  
 
真帆の気持ちを確かめるとか言っておきながら、自分の気持ちを真帆に伝えるとか言っておきながら………結果として、その彼女を傷つけてしまっただなんて。  
 
小学生に手を出したということ。  
真帆を泣かせてしまったこと。  
取り返しのつかないことをしてしまったこと。  
 
 
……………ふと思う。  
 
十年後、二十年後………この出来事を思い出して、真帆は何を思うのだろう。  
断言出来ることは、どう転んでもいい思い出としては処理されないであろうこと。  
 
……うああぁああ………。  
 
「……最初は、真帆が好きって言ってくれるのが嬉しくて。  
 普段見れない真帆の一面とか、その犬耳とか色々見てたら……自分でも訳わかんなくなって……ホントに何て謝ったらいいのかわからないんだけど……ごめん。本当に、ごめん……」  
「まー分かってたけどね!あたしのジョセーとしてのミリョクってヤツがどれほどのものか、すばるんにも分かったであろう?はーっはっはっは!!」  
 
……あれ?何か違うくないか??  
 
心底うなだれてもう謝るしかない俺に対して、天蓋付きベッドの上で立ち上がって明後日の方向を向くと、腰に手をあて大声でがははと笑い出す真帆。  
前言撤回。やっぱこの子、自分が何されてたのか分かってまへん……。  
 
「ともあれっ!」  
 
その言葉を皮切りに、大の字に手を広げてくるっと一回転。  
こちらを見ると、いつものあの笑顔を見せてくれた。  
 
「こーしてあたしがすばるんのことが好きってことが伝わって、すばるんも……あたしのことが好きなんだってわかったことだし、許してやんよっ☆」  
 
いやいやいやいや……許しちゃマズイだろう。  
女の子がそんな貞操観念では近い将来、身を滅ぼしてしまいかねないぞ。  
 
 
………今の俺みたいに。  
 
しかも真帆さん、あなたは仮にもこんな豪邸に住んでるお金持ちの一人娘なんだから、その分一般の女性よりもワルい男に狙われる確率が高いと思うぞ。  
とりあえずここは、教育的指導を………  
 
「…………………はい。ありがとう、ございます」  
 
合意があったわけでもないのにこれだけ身体を好き勝手されて、そんな軽く許しちゃいけないだろ。  
こういう時は、まず相手に責任を取ってもらうべきだ。  
金銭的な償いなり行動での償いなり何でも好き勝手言っちゃっていい。それくらいの大罪なのだから。  
 
それでどうしても解決しない、もしくは相手が逃亡を企てるようならば……親御さんに相談して、最終手段として警察を呼ぶことも考えるべきだ。  
 
そう言いかけて、口に出しかけて……結局発言できなかった。  
 
 
………無理。  
んなことできない。  
 
理由は簡単。俺だって……俺だって、自分の身は可愛い。  
たとえそれが、自分の撒いた種だったとしても………最悪の場合、然るべきところへ連れていかれ、今までの友人関係や自分の生活を崩すようなことをすすんで出来るほど強い人間じゃない。  
 
自分から進言すべき立場だということは分かってる。  
でも出来なかった。一瞬でそんな覚悟、決められるわけがなかったのだ。  
 
「そのかわり………すばるんには、ひとつバツを用意してあります!」  
 
俺の心境と対照的な軽いノリのまま、ぴっと人差し指を立ててにひっと笑う真帆。  
 
どんな罰なのだろう。  
もういっそのことズバッときっつい重罰を言い渡してほしい。  
 
若気の至り、なんて言葉で説明がつくレベルはとうに通り越してしまっている。  
かと言って、自分から署に出向くような勇気もない。  
 
ならばいっそのこと………被害にあった張本人から申し出てもらった方が楽だ。  
執事でもメイドでも、何なら親や警察だっていい。気の済むだけ、好きに呼んでしまってくれ。  
 
「これからいつ、いかなる時でも………あたしがすばるんに会いたいと思った時は、会いに来てください」  
 
なのに、返ってきたのは予想外すぎる命令。いや、お願いと言っても差し支えないかもしれない。  
へへへっ、と屈託の無い笑みを浮かべて、こちらに手を差し伸べる真帆が、そこにいた。  
 
要はこういうことだ。  
貴方はそんなに悪いことをしたわけじゃない、そんなことより気持ちが伝わったんだからよかった。  
好きの気持ちが高じてやってしまったことなんだし、今日のことは水に流して明日からはまたいつも通り過ごそうじゃないか………と。  
 
決して彼女は俺に気を遣っているわけじゃない。それは痛いほど伝わってくる。  
ただ、それは自分がされた行為の重要さが分かっていないからこその態度であって……事実をひた隠しにする今の俺は、ある意味真帆を騙していることになるのだ。  
 
 
……もうだめだ。こんな無垢で純粋な気持ちを向けてくれる少女に、ウソをつくことなんて出来ない。  
 
「………真帆。今回俺がやったことは、そんな軽いもので済まされるようなことじゃない。  
 世間的にいうなら……その、犯罪の部類に入ることなんだ。そんな俺がまた真帆と会うなんてもっての他だし、バスケのコーチだってもう───」  
「───うん。なんとなくわかってたよ?」  
 
手を差し出しても全く反応のない俺を見かねて、だらんと垂れ下がった俺の左手をとってぎゅっと握リしめる。  
 
「こんなえっちぃことしたの初めてだし、なんとなくだけどイケナイことだってのはわかってた」  
「だったら何で───!!!」  
 
思わず握られた手を強く握り返し、顔を上げる。  
 
「だって好きだから。すばるんのこと」  
 
その俺を上から叩き伏せるようにして、全てを許容してしまう一言を繰り出す。  
 
「すばるんにだったら、どんなことされてもへーきだと思ったから。まー今日のはさすがにやりすぎだけどさっ、まだお互い慣れてないことだし許してやんよっ!」  
 
何も言えなかった。言い返せなかった。  
人を好きになることって……人を愛することって、こんなにも色んなことを受け止めてしまえることなのか……。  
 
「あとは、すばるんも……あたしに会いたくなったらいつでも言ってくれていーんだからなっ!」  
 
そう言って───俺の手に渡されたのは、彼女が未だにつけっぱなしにしていたリードの持ち手。  
 
「……………」  
「……? どしたの、すばるん?」  
 
どうする。  
ここでこの手綱を取ってしまえば、もう俺は戻れない気がする。  
 
好きだという一言で片付けられるのか。  
でもだからといって、この子の想いを無視出来るだろうか。  
 
 
どうする。どうする。どうする─────────  
 
 
「………わかった。ありがとな、真帆」  
「うむ、よろしいっ」  
 
リードの持ち手を受け取った俺を見て、満足そうな顔をする真帆。  
 
そう………時間とは、今一瞬この時が全てではない。  
明日だって、明後日だって続いてゆく。  
 
それならば……今の状況としっかり向き合って、じっくりと時間をかけて考えればいい。それでどうしても納得が行かないようならば、今度こそ覚悟を決めて親にでも警察にでも出向こうじゃないか。  
 
きっとそのための時間を、彼女は……真帆は、俺にくれたのだ。  
 
 
 
 
 
 
 
………そう思っていた。  
 
でも、今思えば……この時が、事実上最後のチャンスだったのだろう。  
この申し出を受け取らず、しっかりと彼女を諭してあげることが出来ていれば、あんなことにはならなかったに違いない。  
 
坂道を転がり落ちる……天国へと堕落していく第一段階。  
今の俺は、その一歩を確かに踏み出していだのだ。  
 
 
 
 
 
─交換日記(SNS)─ ◆Log Date 8/○○◆  
 
『やっほーいみんなー!まほまほさんのおかえりだよーん!  
  まほまほ』  
 
『元気そうね、真帆。じゃあ早速だけど報告タイムいっときましょう。昴さんとは今日一日、どんな感じだったの?  
  紗季』  
 
『にひひー。まずね、すばるんにだいすきってつたえてきた!  
  まほまほ』  
 
『ふえぇっ!?ホントに言っちゃったのっ!??  
  湊 智花』  
 
『おー。まほすごいなー。やるやるー。  
  ひなた』  
 
『ふあぁ……!そっ、それで、長谷川さんは……?  
  あいり』  
 
『うん!すばるんも、あたしのことがだいすきだって、いってくれたよ!!!  
  まほまほ』  
 
『ふえええぇ……す、昴さんが、真帆のことを………。  
  湊 智花』  
 
『落ち着きなさいって、トモ。どうせ真帆のことだし、長谷川さんだってその場しのぎで真帆に合わせただけだって。まぁ事実、好きなことに変わりはないでしょうけど……特別な「好き」ってことじゃないと思うわよ。  
  紗季』  
 
『こらーーー!!シツレーだぞサキ!あたしだって、サキにいわれたとおりしっかりスキってつたえてきたんだかんなっ!!!  
  まほまほ』  
 
『ほうほう。で?どうせ「すばるん大好きー」って抱きついて終わりでしょ。それならトモにだって出来るわよ。  
  紗季』  
 
『でっ、出来ませんっ!!そんな恥ずかしいこと出来ませんっ!!!  
  湊 智花』  
 
『ひな、いつもおにーちゃんに大好きっていってるよ。だめ?  
  ひなた』  
 
『きしし、はたしてもっかんにおなじことができるかなー?  
  まほまほ』  
 
『ど、どんなことをしてきたの………?  
  あいり』  
 
『私も聞きたいわね。単純に好きって言っても、伝え方は人それぞれ、千差万別よ?  
  紗季』  
 
『ふふんっ、まずはねー、すばるんにいっぱいキスしてきた!  
  まほまほ』  
 
『……………はっ?  
  紗季』  
 
『………真帆?さすがに、冗談だよね………?  
  湊 智花』  
 
『おー!いーなーいーなー。ひなもおにーちゃんとキスしたいなー。  
  ひなた』  
 
『ナニいってんだサキ、ウソなわけねーだろっ!あたしはすばるんのことがスキなんだし、キスなんていくらでもできらー!  
  まほまほ』  
 
『えっ、えっ、えええええっ………!!!  
  あいり』  
 
『ほいでもって、すばるんもあたしにキスしてくれたんだぜ!これってすばるんもあたしのことがスキってことでいーんだよなっ、サキ?  
  まほまほ』  
 
『おー、でもそんなことしたら……。  
  ひなた』  
 
『……そんな………。智花ちゃん……………。  
  あいり』  
 
『真帆あんたいーかげんにしなさいっ!!!トモも、これでゲームオーバーってわけじゃないんだからっ!  
  紗季』  
 
『……えっ、私?あはは、私は別に気にしてないから大丈夫だよ。よかったね、真帆……。  
  湊 智花』  
 
『何言ってるのっ!昨日電話でも話したでしょっ!今こそ実行の時よ!諦めたら試合終了なのよっ!?  
  紗季』  
 
『ぶーぶー。せっかくすばるんとリョーオモイになれたのに、なんでそんなつめたいんだよー。  
  まほまほ』  
 
『このバカ真帆っ!少しはトモの気持ちも考えなさいっ!!  
  紗季』  
 
『そうだよ真帆ちゃん!これじゃあ智花ちゃんがあまりに可哀想だよっ……!  
  あいり』  
 
『へ?ほんならもっかんだって、すばるんにスキだーってショージキにいっちゃえばいーじゃん。あたしはちゃんといったよ?  
  まほまほ』  
 
『………そうね。真帆はそういうやつだったわ。分かった、トモ?本人がそう言ってるんだから、トモだって素直になっちゃえばいいの。じゃないとずるずるこのままよ?そんなの嫌でしょ……?  
  紗季』  
 
『………分かった。私………頑張ってみる。  
  湊 智花』  
 
『へ?がんばるって、なんのハナシ???  
  まほまほ』  
 
『ふふ、それはこっちの話よ。頑張ってきなさい、トモ。  
  紗季』  
 
『おー。よく分かんないけど、がんばれともかー。おー。  
  ひなた』  
 
 
 

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