「すばるん……?」
自分のベッドの上に、真帆を優しく押し倒す。
さっきまでの談笑とは明らかに雰囲気の変わった俺に、戸惑いを覚えているんだろう。
俺の下に仰向けになってる真帆の瞳は、不安に揺れてる。
「大丈夫。真帆のイヤがる事は、絶対にしないから」
声に出して誓う。自分にも言い聞かせる為に。
「んっ……」
「ん、ちゅっ……」
口付け。不安にさせないように、最初はただ唇と唇を合わせるだけ。
しばらく唇を重ねて、離す。
「あ……」
さっきまで閉じていた瞳を開き、俺の方に名残惜しそうな視線を送る。
大丈夫。これで終わりなんて、こっちだって出来ないんだから。
「ちゅっ、ぁむっ……」
「んぅっ……っは」
さらにニ、三回キスをしては離れてを繰り返す。
「んぁ、れろ……」
「んんっ!? ぁ……」
そしてついには深く唇を重ねて、彼女の小さな口の中に舌を差し込む。
よっぽどビックリしたんだろう。真帆は眼を見開いてしまってる。
けど驚いてるだけで、特に嫌がってる様には見えない。
なら、と俺は舌による蹂躙を続ける事にする。
「れろ、んちゅっ……」
「やっ、あむ、んぅ……」
無意識に、だろうか。次第に真帆の方も舌を絡め始める。
……熱い。真帆の口の中はとても。
特に絡まってくる舌は、冗談抜きで火傷してしまいそうだ。
「――はっ」
「――ぷはっ……ぁ」
息が続かなくなって、唇を解放する。
二人の間に、銀色の糸が架かった。
……マズいな。知識や写真とかとは次元が違う。
この光景は、理性に致命的なダメージを与えてくる。
「すばるん……なに、いまの?」
顔を上気させて、惚けた表情を向ける真帆の姿。
否応なしに昂ぶってくる。
「大人のキス。どうだった?」
「なんかアタマんなかメチャクチャになって、スゴかった……」
ムチャクチャに、か。なら、もっと翻弄してやったらどうなるんだろう。
「そっか。じゃ……」
俺はまた唇を近づける。真帆もそれに応えるように瞳を閉じて顎を上向かせる。
でも今回、俺は真帆が予想したように唇にキスはしない。
通り過ぎて、俺が口付けたのは、真帆の首筋。
「ひゃああああぅっ!?」
予想外の場所から齎された刺激に真帆が声を上げる。
可愛らしい声だ。もっと聴きたい。
「ぺろっ、れる……」
「やっ、すばるんっ! なめちゃ――ひゃっ」
夢中で舌を這わせる。
少女の肌はとてもきめ細かくて、舐めているだけなのにすごく気持ち良い。
口から漏らされる甘い声も相まって、一日中でもこうしていたいくらいだ。
けど、実際そういうわけにもいかない。本命は、これからなんだから。
「あ、あれ……?」
首筋を責めて真帆を翻弄しながら、その傍らで俺は真帆のネグリジェの肩紐に手をかける。
真帆が気づいた時には既に遅し。肩紐が外され、ネグリジェはずり下げられる。
というか、俺がずらした。
「ちょっ、ウソ……!」
素早く、もう片方の肩紐も外して、真帆の上半身を露わにする。
咄嗟に自分の身体を隠そうとする真帆の手を、掴んで止める。
「出来れば、ちゃんと見せてほしいんだ。真帆の身体」
「なっなんでだよぅ。こちとらすっげーハズかしんだぞ……」
顔を真っ赤にして腕に力を込める真帆。
一刻も早くさらけ出されてる部分を隠したそうだ。
「そうやってハズかしがってる真帆が可愛いし、何より綺麗だから」
「かっカワイイ!? キレイ!? あたしが!?」
「もちろん。なんでそんなに驚くかな?」
俺にとっては、それが疑問に思えてならない。
こっちの理性を一瞬で吹き飛ばしてしまうくらい、魅力的なんだから。
「うぅ……」
やがて観念したのか、真帆が腕から力を抜く。
改めて見るに、本当に綺麗な身体だ。
シミ一つないきめ細やかな肌も。
起伏が皆無なのは惜しいものの、それでも十分な柔らかさを予想させる胸も。
そしてその頂点にある小さなピンクの突起も。
ある意味、成長途中であるというのが信じられない。
これはこれで、完成された美に思えてしまうのだ。
「す、すばるん……あんまジロジロ見んなぁ……」
よっぽどハズかしいんだろう。潤んだ瞳は既に涙が零れそうなまでになってる。
それでもハズかしさを押し込めて、俺のために見せてくれてる彼女が愛おしくて。
「ゴメンゴメン。見てるだけじゃダメだよな」
だからこそ却って、もっといぢめてやりたい、という衝動を抑えられなくなる。
「いや、そうじゃなっ――ひゃうん!?」
真帆の胸に舌を這わせる。
「はんっ……れろ……」
「んっ、やぁ……すば、るん……っ」
丁寧に丁寧に。真帆の胸を唾液塗れにしていって。
俺は右の乳首を唇で挟んだ。
「んっ、じゅるるるるっ!」
「なっなに!? いやっ、吸っちゃヤダ! あああああああっ!」
そして唇をすぼめて強く吸い上げる。
かなり強烈な刺激だったんだろう。真帆が悲鳴を上げる。
「すばるん、今の、なに……?」
虚ろな瞳をして、口元にはだらしなくよだれを垂らしながら、真帆が俺に訊ねてくる。
「多分、イッちゃったんだと思うよ」
「イッちゃった……? ドコに?」
うん。真帆なら絶対、そう訊いてくると思った。
「さっき真帆、気持ち良くて頭の中真っ白になっちゃっただろ?」
「……うん。すばるんがなんかスゴかったから」
「あれがイクって事」
「……………」
相変わらず惚けた表情のままの真帆。
喋らないでいると、眼を開けたまま気を失ってしまってるんじゃないかと心配になってくる。
「ね、すばるんも気持ち良くなるとイクの?」
そうやって密かにやきもきしてると、ふと真帆がそんな質問をしてきた。
幾らか瞳がしっかりしてきたような気がする。
「ん、まぁ……」
さすがにこんなストレートに訊かれると、言葉を濁してしまう。
小学生に何を言わせてるんだと、僅かに理性も戻ってくる。
「ならあたしも、すばるんをイカせる! あたしだけ攻められるのってふこーへーだろっ」
「うわっ……!?」
けど、その理性もすぐにまた吹き飛ばされてしまう。
言い終わるかどうかのうちに真帆が俺を押し倒してきて、俺の上着を力任せに捲り上げる。
「ちゅっ、れろっ……」
多分、知識がないなりに考えた結果なんだろう。俺がさっきそうしたみたいに、真帆が俺の乳首に吸いついてくる。
けれど、気持ち良いには気持ち良いけど。
やっぱりソコは、本来の場所じゃないわけで。絶頂に達するほどの刺激にはとても及ばない。
「真帆、その……男はもっと、気持ち良い場所があるんだ」
それを言ってしまった時点で、きっともう後戻りは出来なくなっていた。
けどそんなの今更だ。どっちにしても、退く気も後悔する気もない。
……正直に言えば、やっぱり、眼の前の大好きな女の子にしてもらえるチャンスを、逃したくなかったっていうのがあるけど。
「それってドコ? すばるん」
思ったとおり、すぐに訊いてくれる。
本当にいい子だ。俺の事がホントに好きなのが分かる。
「真帆。ズボンとパンツ、脱がせてもらえるかな?」
「へっ……? ええええっ!?」
うん、そりゃ驚くだろう。視線を巡らせてみれば、なんかズボンの一部分が膨れ上がってるワケだし。
けどどうしても、真帆自身の手で脱がせて欲しかった。
うぅ、俺ってホントにヘンタイなのかも。もうミホ姉にからかわれても言い返せないかもしれない。
「ってかどうしたんだよこれ!?」
「真帆に舐めてほしくて、でっかくなってるんだよ」
「……っ」
『何が?』とは訊かない。それよりも自分の眼で確かめた方が早いと思ったんだろう。
ズボンに手をかけ、おっかなびっくり、でも一思いに、一気にずり下げる。
「わっわわっ……!」
戸惑う真帆。まあ初めて見たんだから、そうなるだろう。
こんなにも力強く勃ってるアレを見てしまったら。
「すっすばるん……ここ、なの?」
俺は無言で頷く。
「……………」
真帆はしばらく迷うように躊躇うように、俺の顔と息子を交互に見ていたけど。
往復を繰り返すたびに赤みを増してゆく顔をようやく止め、目を閉じ。
「っ……ぺろ」
ぎこちなく舌を出して、ほんの少しだけ舐めてくれた。
「……………」
急かすでも煽るでもなく、そんな真帆を見守る。
この子のペースでやってくれれば、それで良い。
「ぅんっ、れろっ……」
おっかなびっくりなのは変わらないけど、少しずつ舐めるペースが速くなってゆき、舌の触れる面積も広くなってくる。
当然その分、俺に与える刺激も強くなってくるわけで。
「うっ……」
さっきから、声を抑えるのが結構キツい。
「へへ……どーだ? すばるん」
「気持ち良いよ、すごく」
「そっか、よかった。もっともーっとキモチーくしてやっからな。ちゅっ、んりゅ」
微笑んでそのまま舐め続けてくれる真帆の髪を、優しく撫でてやる。
頑張ってくれてる真帆に、せめてものお返しに。
「ん……すばるん、くすぐったぃ」
とびきり甘い声で抑止力ゼロの抗議をしてくる真帆。
「んっ……!?」
教えてもいないのに、舌を竿の方まで伸ばし、舐め上げる。
「これも、キモチい〜い……?」
上目遣いで、けれども口元はイタズラを成功させた時みたいに吊り上げて、真帆が訊いてくる。
「気持ち良いっ、真帆、出来れば咥えてくれ!」
もうすっかり、俺は真帆の虜になっていた。
モノに与えられる刺激だけじゃない。
その表情が、声が、真帆の全てが、俺を魅了して止まない。
「……あむっ」
やっぱり少し躊躇いながら、でもちゃんと咥えてくれる。
瞬間、俺の脳裏に電撃が走った。
ただ口に含んだだけなのに、こんなにも気持ち良いものなんだろうか。
……いや、多分、真帆だからこそなんだろう。
好きな娘にしてもらってるから、尚更気持ち良くて。
「んぁ、ちゅるっ、れろ……」
だからこそ、愛しさ故に更なる高みを欲してしまう。
口に咥えてもらってその上で舐めてもらってまで。我ながら貪欲過ぎる。
ましてや、
「――真帆、ゴメン!」
「ん…――んんっ!?」
献身的に奉仕してくれてる彼女の頭を掴んで、無理矢理上下させるなんて。
けど、止められない。
「ンンッ、っお、んあぅ!」
真帆が苦しそうに瞳に涙を浮かべてるのを見ても。
何度も咽返りそうになってるのを声から察しても。
「真帆っ、真帆っ!」
罪悪感は覚えても、この快感を手放すという考えは持てない。
狂ったように名前を叫びながら、真帆の喉を犯してゆく。
快楽の階段を猛スピードで駆け上がっていって、
「――出るっ!」
「んぇっ? 〜――ッ!?!?」
最後にモノを真帆の喉の奥まで突っ込んで、欲望をブチ撒けた。
……………。
………。
……。
「――ハッ!」
慌てて飛び起きる。
辺りを見回す。自分の部屋。ベッドの中。隣には……誰もいない。
そしてパンツの中に違和感。
「……最悪だ」
夢精。下半身が気持ち悪い。
けど、最悪だとぼやいたのは、勿論その所為じゃない。
夢の中だったのがせめてもの救いだったが、俺は自分の教え子に、あんな事を。
悪夢と言っても良いだろう。
何より、心の片隅で「惜しい」と思った自分に気づかされた時、そう思った。