「もうすぐ卒業だね……」
「そういえばそうだね。すっかり忘れてた」
練習後の帰り道で、智花と真帆は語り合った。
「もう終わっちゃうんだなあ……知らない間にそんな時期になってたね」
「よく考えたら初等部終わり、みたいな。中等部に進むんだからあんまり実感ないけど」
「卒業する時にこうなってるなんて思いもしなかったよね。女バス始めた頃なんて、もうメチャクチャだったよね……」
「だよね。すばるんに会う前、バスケやる前なんかまるで……死んでた。毎日ただ無駄に過ごしてた気がする」
「私、昴さんに出会えて……本当に良かった。あれで救われたよね。もしあの時昴さんがいなかったら、
きっと何もないまま小学生終わってたと思う」
「私……何か初めてはすぐ飽きて投げ出してたから……すばるんがいなかったら、バスケやめてた」
「私も」
「この頃、思うんだ。もっと早く、バスケ真剣にやってたらなって」
「私もそう思う」
「みんな、がんばってたんだよね。私たちがおしゃべりしてる間に、練習してたんだよね」
「そうだよね。そんな人たちに勝とうと思ったら……マジで死ぬくらいやらないと追いつかないよ」
「初めから真面目にちゃんとやっていれば、こんな思いをしなくてすんだのにって」
「私ってほんとバカって落ち込むことあるよね」
「男バスとの試合の時みたいに、いつも土壇場で大逆転、ってうまくいくほど甘くなんかなかった。
いやというほどわかったなあ……」
「結局、真面目にコツコツやってきた人、そういう人が勝つんだよ、きっと」
「真面目に努力、これが成功への一番の近道なんだよね……昔の青春ドラマじゃないけど」