昴さんのことでいっぱいいっぱいになってしまい、
とんでもないことを誘導尋問されてしまったこともあったけれど
昴さんに嫌われなかったことに安心し、
最近癖になってしまったことに比べれば、些細なことですよね……
<<恋する智花さんは切なくて(仮)>>
いつしか日課となっていた、昴さんの家までのロードワーク。
眼が冴えてしまい、始発まで待ち切れずに昴さんの家まで走っていったあの日から
私はこの時間も大切にしたいと思うようになっていました。
決して遠くはないけれども、近くもない距離。
それでも色々と考えながら走っていると、不思議とあっという間なのでした。
今日はお義母様に何を教えてもらおうかな、
今日は昴さんに何を教えてもらえるのかな、なんて。
「起きれない日もあると思うから、良かったら使ってね」
と渡して頂いた合鍵を取り出そうとしていると
私に気付いたのか、お義母様が開けて下さいました。
「おはようございます、七夕さん。」
「いらっしゃい。ご飯の予約を忘れてしまったのを思い出したの……えへへ」
お料理を教えてもらう前にシャワーを借り、朝練後に昴さんがすぐ入れるよう予約を入れること
.昴さんに朝ご飯のお時間を伝える前にお料理を教えてもらうことが、私のささやかな楽しみです。
今日もまた一品、昴さんのお好みのレパートリーを増やすことができました。
7時頃になったら起こしてあげてねと部屋に戻る七夕さんと別れてからのことは、全く覚えていません。
気がつけば私は、ひたすらに昴さんに接吻をしていました。
お疲れなのか、ちっとも起きる様子のない昴さんにどこか安堵しながら。
暑さのあまりはだけてしまっている肩と背中を
私の昴さんだと言わんばかりに啄ばんでしまっているとき等
本当は目立つ所につけてしまいたいという気持ちを自戒するのが大変でした。
……夢だと思ってくださってるなら、却って好都合じゃないか。
……夢だと思われているなんて、私には魅力を覚えて下さらないのでしょうか。
そんな想いの二律背反が、私の理性を形骸化させているのかもしれません。
他のことを考えようとしても、結局は昴さんへの想いが募り、心身が切なくなるだけでした。
昴さんの男性の象徴にそっと手を添えたとき等、
それだけで、私の中の慕情と愛欲の奔流が激しさを増すのを感じざるを得なくなるのでした。
(んっ……ぁふ……昴さん、今朝もお元気です…… )
接吻した途端にじんわりと下着が滲んでしまった私は、はしたない子なのでしょうか。
そんな自問自答をしている間に、夢中になってしまっていたのでしょう。
ふと気づけば、独特で不思議な味のするあの粘液が、私の奥をうちつけるのを感じていて
私は、昴さんの腰の上に跨っていたのでした。
至福の時を過ごしていたからか、とても長い時間が過ぎたようにも感じられていたのに
時間を確認すると、まもなく7時。
つまり実際には、50分足らずしか経っていませんでした。
「そろそろ、朝ご飯のお時間だとお伝えした方が良さそうですね……」
後始末をした私は、まずシャワーをお借りして名残惜しみつつも汗等を流し、
昴さんを改めて起こす為、部屋に向かうのでした。
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結局、初めてだったその日も
バスケの練習中に破れてしまったのだと信じたい位あっさり受け入れてしまい、
達成感や悦びで麻痺していたのか痛みを感じることもなかったのですが
昴さんから与えられる白濁の愛を受け止めるその行為にも、
そのうちに夢中になってしまうとは、ゆめ思わないのでした。
結局、ある日に昴さんに夢だと思われたことが、私にとって決定的だったのかもしれません。
昴さんの服やお布団に付いたら大変と思ったからで、他意は無かった筈なのに。
そもそも、真帆達に練習のことで遠慮する必要がなくなったことへのお礼がしたいからだった筈なのに。