「もっかん。今日練習できないのか?」  
「うん。ごめんね真帆。ちょっと今日は用事があって」  
「そっか、ならしゃーないな!」  
 にこっと笑い、八重歯を見せる真帆。ああ、ちょっと罪悪感を感じる・・・・・・でも目的の為だもの、後悔してなんかいられない。  
 私、湊智花はこの後、昴さんのお家にお邪魔することになっている。目的はもちろん・・・・・・昴さんとつながる為。  
 ご、誤解しないように説明すると、昨日インターネットの某掲示板にこう書いてあったの。  
『思いを寄せる男性を横にして上から跨がり、一体化するとその二人は結ばれる』と。  
 このレスを見たときは電撃が走ったの。あの、昴さんと、む、結ばれるなんて・・・・・・  
 それで今日、お邪魔することになって・・・・・・でも問題は昴さんをどう寝かせるかだけど・・・・・・それに関しては作戦がある。  
 だから自信を持って、昴さんと一緒になるの!  
 
「そろそろ智花が来る頃か」  
 今日は練習に行くつもりだったのだが・・・・・・何故か朝食食べて以来、腹の調子が悪いのだ。だからお休みを貰った。  
 ま、練習メニューは教えてあるし、あの子達なら大丈夫だろ。  
ピンポーン  
「お、智花かな」  
 丁度、女バスのことを考えていた矢先のことだ、玄関のチャイムが鳴った。今日は智花が来ることになっている。  
なんでも、俺と一緒にバスケのDVDを見たいそうだ。うん、練習熱心でなにより。  
 
「す、昴さんっ!お邪魔しますっ」  
「ああ、どうぞ入って」  
 玄関にいたのは案の定、智花だった。なぜかピンと背筋を伸ばし、礼儀正しく挨拶をする。いつも朝練で入っているのに・・・・・・どうしたんだろ?  
 たどたどしく靴を脱ぐと、二人の足音が床に反射する。今日は母さんも出かけているので、智花とふたりっきりだ。  
「あの・・・・・・」  
「ん? どうした?」  
「い、いえ! 何でもありません」  
 何か俺の顔に付いてるのかな。理由を聞いてみても視線を逸らすだけで、答えようとはしない。DVDを見るから緊張しているとか?  
 智花ほどのプレーヤーだったら、例え画面越しの試合でも、まるで自分がそこに居るかのように感じる。とか・・・・・・  
 正直、うらやましいな。そんなんだったら。  
 
「どうぞ、上がって」  
「は、はいいっ!」  
 俺の部屋はちょっと散らかっていたのだが・・・・・・  
まぁ、誰か見知らぬお客さんが来るわけでもなく、いつも来ている智花なのでそんなに気にすることは無いだろ。そんなよそよそしい関係ではないし。  
「それじゃ、DVD入れるからベッドの上で待っててね」  
 本棚から例のDVDをとりだそうとした、そのとき、  
「あの、昴さん。ちょっとここに横になってもらえませんか?」  
「えっ?」  
「いえっ! 迷惑でしたら・・・・・・いいですけど」  
 徐々に語尾が小さくなっていく。寝てって・・・・・・まさか、智花がそんなこと。  
いや、いかんぞ。清純派の智花ともあろう者がそんなマネを・・・・・・・  
「智花。もしかして何か紗季に言われたのか?」  
 がしっ、と両肩をつかんで問いかける。  
「紗季は関係ないですよ。ちょっと、試したい技がありまして・・・・・・それが難しすぎて、寝てからじゃないと再現できないんです」  
 なんだ、バスケの技か。てっきり、紗季のマッサージをさせられるんだと思ってた。  
そうだよな。智花がそんなことするわけがない。疑って悪かった。  
 さっそく、智花に言われたとおりベッドに仰向けで横になる。  
「これで大丈夫?」  
「はい、そのまま両手を頭の上に持ってきてください。それから目を瞑ってそのまま待機しておいてください」  
 ふむ・・・・・・こうか。なんとも無防備な格好だな、どんな技をするんだろう。ちょっと楽しみかもしれない。  
 
 す、昴さんが無防備に横になっている・・・・・・どうしよう。私に出来るかな・・・・・・いや、やりますよ! やりますとも!  
 ゆっくりと昴さんのシャツをたくし上げる。そこにはバスケで鍛えられた筋肉が緩やかな曲線を描いていた。白くてすべすべした昴さんのカラダ・・・・・・はぅぅ。  
 はっ、赤くなってる場合じゃないわ。早くしないと。  
 そういえば、繋がるってどこで繋がればいいのかな。分からないけど、それっぽいところを探してみましょう。  
 
 智花がシャツをたくし上げていくと、そこにはがっしりと男らしい胸があった。少し勃起しているそれを、まじまじと眺める。  
 
(こ、これが昴さんの胸・・・・・・私と同じくらいかも)  
 少しショックを受ける。でもこんな所で立ち止まっている訳にもいかず、その先っぽを人差し指でつついてみる。  
「はうっ。どうしたんだ? 智花」  
「な、なんでもありませんっ」  
 何とかごまかせたことに安堵する。はやくしなければ・・・・・・昴さんに怪しまれてしまう。そう考えた智花に、焦りで頬に一滴、汗が伝う。  
(多分・・・・・・ここじゃないみたい。つまり、下?)  
 心臓の音を感じながら、ゆっくりとズボンを持ちあげる。中から生暖かい空気が漏れ、そこにあったのは・・・・・・昴のブリーフパンツだった。  
高校生でブリーフとは結構貴重だと思うのだが、そんなことは智花には分からず、ただ驚きで目を点にしていた。  
(昴さんって、こういうぱ、ぱんつをはいてるんだ・・・・・・昴さんのぱんつ・・・・・・ふえっ!)  
 すでに満足そうに頬を弛緩させる。でもここで終えるわけにもいかず、更にその奥――パンツを脱がそうとする。  
(ゆっくりと・・・・・・慎重に・・・・・・ひゃうっ! な、何? これ)  
 そこにあったのは、雄々しくそびえ立った昴の肉棒だった。さきほどの乳首を刺激する行為で恐らくこうなったのだろう。  
男を象徴するそれは、生命の鼓動を刻んでいた。  
(こ。これだわ。これに違いないっ!)  
 興奮し、既に試合モードになった智花は、その棒に指先を触れる。  
「と、智花。なんか体がヘンなんだけど・・・・・・なにしてるんだい?」  
「なんでもありませんっ。すぐに終わるのでもう少し待ってくださいっ!」  
 昴は疑問に思いながらも、同じ体勢を続ける。その間、智花は悩んでいた。昴側はこれで間違いない。でも・・・・・・智花のほうは?  
(こんな大きい棒が入るところなんて・・・・・・どこなの?)  
 まだ結論は出ないようだ。でも時間が無い。とりあえず、入りそうな口で試してみることにした。  
 舌の先を近づけ、先っぽに触れる。智花の唾液が伝って下に落ちていった。  
「うわっ。な、なんか今、衝撃が走ったんだけど・・・・・・どれだけ凄い技なんだ!智花!」  
 昴はとても嬉しそうに笑顔を見せた。多分、智花がこんな淫乱な事をしているとは知らず、刺激的な技をかけていると思っているのだろう。  
あながち間違いではないが。  
「れろ、んちゅ、むちゅ・・・・・・す、すばるふぁんの、大きくて・・・・・くちゅ、口の中に入らないですぅ」  
 いささか智花の小さい口では無理があったようで、全てを包み込み、繋がる事は出来ないようだ。  
 それに気がついた智花は、口を離すと自分の体を手探りで触り始めた。  
(どこ・・・・・・なんだろう。もうあと一つしかないけど・・・・・・でもあそこも入らなさそうだし・・・・・・ものは試しよっ!)  
 
 穴と言ったらもう一つしかない。智花は来ていた服を全部脱ぎ去り、生まれたままの格好になった。  
 そして、慎重に自分の体を重ね合わせて・・・・・・  
「んはっ!痛いっ!けどっ!昴さんと一つに・・・・・・ふわぁぁ」  
 昴のそれは、智花の体にはあまりにも大きすぎた。尋常ではない痛みが智花の秘所を襲う。  
「智花っ!なんか股間が・・・・・・熱いっ」  
 昴は依然として何が起きているのか理解していないようだ。彼も初体験なので、経験値の無い頭では理解出来ない。  
「昴さんっ!昴さんっ!」  
 叫びながら昴の上で体を痙攣させている。痛いという感情よりも嬉しさが上回っているようで、口からは笑みが漏れていた。  
 知識の乏しい智花には、この後何をするのかは分かっていなかったが、昴にとってその刺激は頂点に達するのに十分すぎるほどだった。  
「な、なんか変だ。何か来るっ!」  
 そしてついに昴は達し、白濁液を智花の中に放出した。何度も何度も痙攣して、智花のお腹を叩く。  
「はぁはぁ・・・・・・昴・・・・・・さぁん」  
 目をトロンとさせ、満足そうに昴に微笑みかける。でもこの体勢のままいるわけにもいかないので、慎重に立ち上がり素早く服を着る。  
 
「智花、もう終わったのか?」  
 昴も呼吸を整え、終わったことを確認する。着替えている最中だったので返答に困るが、これ以上待たせる訳にもいかず終わりを告げる。  
「昴さん。どうでしたか? 私の新技」  
「凄かったよ・・・・・・なんだか体力を凄く消耗したみたいだ。これなら相手の体力を奪って上手く試合を運べると思うよ!」  
 目を開き、立ち上がった昴は興奮した様子で智花の肩をつかみ、感想を述べる。  
 昴は智花がしたことなんて一切気がついてないようだが、彼の鈍さが治る日は来るのだろうか。  
「・・・・・・って、智花。服が乱れているようだけど、そんなにこの技は苦労したのかい?」  
「ふぇっ! す、すみませんっ! ちょっと初めてだったもので・・・・・・」  
「初披露だったのか。なら、仕方ないな」  
 
 二人、ベッドに並び、今後の練習について話し合う。その部屋のドアの隙間から覗く一つの視線があった。  
「あらあら、昴もついにオトコになったのね」  
 七夕さんは頬に手をつきながら、笑顔で二人の様子み見守っていた。  
 
「ええっ!トモ、つ、ついに長谷川さんとやっちゃったの?」  
「う、うん。あまり大きな声で言わないでよぉ・・・・・・」  
 次の日の昼休み。紗季を誰も居ない屋上に呼び出した智花は、紗季に昨日の出来事を事細かに説明した。  
 当然、紗季は驚いた様子で智花を見る。と同時に、紗季の心がちくりと痛むのを確認した。  
(トモがおめでたなのに・・・・・・なんだろうこの気持ちは。ううん。今はそんなこと考えている場合じゃない)  
 その感情は胸の奥に押し込むと、智花に再度質問する。  
「で、痛かった?」  
「・・・・・・痛かった。でも思ったよりは・・・・・・大丈夫だった」  
「そうなの。トモ、昴さんのベッドのシーツ汚しちゃだめよ」  
「へっ? 汚すってなにを?」  
 ぽかんと口を開けて紗季を見つめる。質問の意味を理解していないようだ。混乱する紗季。ゆっくりと頭を整頓し、さらに質問する。  
「何って・・・・・・そりゃ、入れたらすっごく痛くて、血が出るって教科書に書いてあったわよ」  
「ふえっ! おしりなのに血が出ちゃうの?」  
「・・・・・・いま何て言ったの?」  
 今度は紗季が口を開ける番だった。?マークが大量に浮かんでいる智花を横に、一つの結論が紗季の頭の中で導かれる。  
 そう、智花はあのときおしりの穴に入れていたのだ。知識の無い智花は、入れる穴といったらそこしか浮かばなかったのだ。  
「あ、あのね・・・・・・驚かないで聞いてくれる?」  
「うん?」  
 紗季はゆっくりと丁寧に説明する。みるみるうちに、智花の顔色が変わっていった・・・・・・  
 
「そ、そうだったんだ・・・・・・私と昴さんが、まだ繋がっていなかったなんて・・・・・・」  
「いや、繋がったというのは繋がったと思うけど、本当の意味では無いってことね」  
 肩を落としながら、落胆の表情を見せる。あそこまで苦労してしたのに、折角の努力が水の泡になったことがこたえたのであろう。  
 と思ったら、興奮した様子で顔を上げ、鼻息荒くして紗季に話す。  
「でも・・・・・・まだチャンスはあるってことだよねっ! それじゃ、本番に向かって作戦を練らなきゃ! よしっ! ありがとう紗季。私頑張るねっ!」  
 勢いよく立ち上がると、ダッシュで屋上を出て行ってしまった。今から高校に押しかけて昴を襲いそうな勢いだ。  
「トモ・・・・・・武運を祈る」  
 呆気に捕らわれながら、親友が成功するように、天高く昇る太陽に祈りを捧げるのであった・・・・・・  
 
 
 

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