私の愛する人は、私にこんなにも優しくしてくれる。
なのに。
どうして。
こんなにも涙が溢れてくるのだろうか。
「すまない」
優しく涙を拭ってくれる。
違う。貴方は何も悪くない。悪いのは私だ。
愛する妻が居るのを知っていて貴方に迫ったのは私。
心が得られないなら体だけでも、なんて虚しくなるだけだと知っているのに。
「紗季」
長谷川さんが私の名を呼ぶ度に、私のカラダはさらに熱く燃え上がる。
「長谷川、さんっ」
私が甘く長谷川さんの名を呼ぶと、長谷川さんの動きが少し速まる。
「んっ、はぁっ」
長谷川さんがそうして私を突いてくる度に、私は鼻にかかった淫靡な喘ぎを漏らす。
「くっ……」
彼の突き入れに反応して締め付けが強まると、彼は何かに堪えるように顔をしかめる。
そして、私が長谷川さんをギュッと抱き締めると、彼も私をきつく抱き返してくる。
ずっと欲しかった長谷川さんの温もりを逃がさないように私は力を込める。
長谷川さんは器用に腰だけを動かして私を責める。
彼のモノが私の最奥に触れる度に起こる圧倒的な快感の濁流に意識を飛ばしそうになるが、彼にしがみつくようにして堪える。
愛する人に与えられる快感はこんなにも愛しく、そして哀しいものなのか。
そんなことを感じながら、私は嬌声をあげ続ける。
「んぁぁぁぁ!」
もう何度目の絶頂を迎えたのだろう。
彼が休み無く突いてくるせいで、私は休むことが出来ず、ずっと快楽を感じ続けている。
もうカラダに力が入らない。
蕩けている、とでも表現したらいいのだろうか。
「紗季っ、俺、もう!」
しばらく突かれていると、彼が限界を訴えた。
さんざん悲鳴をあげてきた子宮が疼く。
私の中の雌があるいは顔を出したのだろう。
彼の精を受けたい、そう思った。
「中に……っ!」
「それは……」
「今日は、大丈夫です、からっ!」
嘘だ。
今日は危ない日なのに、頭で考える前に喋っていた。
彼の背中に両足を絡めて、逃げられないようにしようとする。
後悔は、ない。
「紗季、紗季っ!」
動きが激しくなる。
最高の絶頂が迫ってくる。
もう何を叫んでるのか分からない。
何も考えられない。
おかしくなりそう。
だめ、だめ、すごい!
トんじゃう!
長谷川さん……!
「くっ、紗季っ!」
「んあああああ゛あ”ぁぁ゛ーーーーーっ!!」
・・・・
お腹の上に熱い精液が放たれるのを感じて、この人は昔から変に律儀だったなと思い出しながら、私は激しい絶頂に意識を手放した。