「元に戻りましたわ〜っ!」
「・・弥、生・・!」
感極まり、思わず弥生は秋華に抱きついた。
ずっと求め続けた少女に抱きつかれ、一瞬秋華は固まるものの、抱き締めようと、おずおずと手を回す。
――しかし。
スカッ。
彼が抱き締めようとした直前、彼女は彼の腕の中から逃れてしまっていた。
「・・・・え?」
余りの展開に呆然とする少年に、少女は困ったように言った。
「う〜ん、この体ですと、過去にはいけないようですわね。是非ともお義父様にお知らせしたかったのに」
「・・・・お、親父?」
「そうですわ。過去のお義父様はとても素敵なんですの」
その一言が少年の何かにヒビを入れたことに弥生は気づかなかった。
「とてもお優しくて、秋華様とケンカした時は、いつもお伺いして慰めて頂いていましたのよ?」
「・・・・へえ?」
今まで聞いたことのない少年の声音に、弥生は思わず振り向いた。
と、体が勢いよく傾いた。正確には、倒された。
はっとした時には、ベッドに押し倒され、秋華にのしかかられていた。
「・・・・秋華様?」
「親父親父って、うるせえんだよ。散々人を追い掛け回して、その気にさせたら今度は親父かよ?」
「そんな、秋華様、誤解で・・・・」
誤解を解こうとする弥生の口を強引に塞いだ。
しばらくして口が離れ、秋華は言った。その目に、嫉妬の炎を燃え上がらせながら。
「俺をその気にさせた責任はとってもらうからな」
そして、秋華は乱暴に弥生の服を剥いでいった。
「きゃあああ―――っ!!」
弥生の悲鳴が響く。
・・・・が、そこに含まれているのは、二割が『驚愕』で、残りは当然、『歓喜』だったことは言うまでもないことである。