灯りのない部屋に衣擦れの音が響く。
ジュリエットは組み敷かれた体勢から逃れようと、必死にもがいていた。
「やめ…んっ!」
陰部を擦り上げられ、ジュリエットは思わず声を漏らしてしまう。
彼女に覆い被さる男がくすりと笑った。
「あまり暴れない方が良いですよ」
「ふざけないで!」
ジュリエットはあらん限りの怒りを込めて叫ぶが、男は余裕の態度でそれを見下ろすばかり。
「私、あなたがこんな人だとは思わなかった!」
「俺はこんな男ですよ」
強く寝台に押しつけられ、ジュリエットはきつく目を閉じる。
いくら剣の稽古を重ねても、根本的な男女の腕力の差はどうにもならない。この時ほどそれを悔しく思ったことはない。
「もう限界なんですよ、我慢し続けるのは」
耳元で囁くフランシスコの声は、どこか泣き出しそうにも聞こえた。
フランシスコはジュリエットの脚の間に膝を割り込ませた。
膝小僧を陰部に何度か押しつけ、ジュリエットが弱々しく身じろぎする様子を楽しむ。
「やっ…うぅ…」
「少し感じてきましたか?」
「そんなことあるわけ…!んぅっ」
罵声の途中で唇を塞ぐ。
嫌がるジュリエットの固く引き結んだ唇を、フランシスコは舌先でちろちろと舐めた。
優しく端から丹念になぞっていくうちに、息苦しくなってきたジュリエットは僅かに口を開いてしまう。
当然フランシスコの狙いはその瞬間。再び閉じられる前に、口内へ舌を侵入させた。
フランシスコに口内を蹂躙され、ジュリエットはパニックの寸前だった。
芝居の稽古の悪ふざけでエミリアにキスされたことはあるが、それはあくまで触れるだけのもの。
このような舌を絡めあう深いキスは、箱入り育ちのジュリエットの知識にはなかった。
フランシスコは唇を離した。ジュリエットがあからさまにほっとした顔をするのが可愛らしい。
わざと音を立てて、彼女の口から垂れた唾液を舐めてやった。思った通り、面白いくらいに真っ赤になる。
「やはりあなたは、可愛らしい」