「俺、浮気するかもしんねーぞ?」  
 
 
行為が終わった後の寝物語に「将来の結婚」という、ささやかな夢について口にした塔子に、  
安仁屋は天井を目にして自信なさげに、ポツリと呟いた。  
安仁屋が基本的に女好きなのはわかっている。  
プロに行ってしまえば、元々整った顔立ちのいわゆるイケメンである安仁屋には、  
きっと綺麗な女子アナやファンの女の子達が群がるだろう。  
それでも。  
野球をやっている間は、その手の浮ついたコトから離れていたはずだった。  
 
 
(ずるい。恵ちゃんは、ずるいコトを考えてる。)  
 
裸の安仁屋の胸にすがりついていた、塔子は覚悟を決めた。  
目を据わらせて、至近距離から安仁屋を睨みつけた。  
 
 
「恵ちゃん。恵ちゃんが浮気したら、あたし、  
川藤先生か新庄クンと寝るからね。  
ゼッタイ、ゼッタイ、寝るからね!」  
 
 
想像して、安仁屋の顔から血の気が引いた。  
 
 

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