内閣調査室長官に導かれて監査室に入った古泉首相は、普段からにやけた顔を更に綻ばせていた。  
「そう? いよいよRRに派遣する潜入捜査官が決まったの?」  
 首相の頭のことは郵政民営化のことで一杯であり、RRの目的を探ることなど、はっきり言って関心はなかった。  
 しかし日米共同でコンバットDNAの情報を探るという約束をプッシュ大統領とかわした手前、前向きな態度を示さなければならない。  
「誠ちゃんじゃないの? 今度こそ国民栄誉賞あげたのに」  
 首相は先のオリンピックの後、国民栄誉賞を辞退したメダリストの顔を脳裏に描く。  
「我々が技術提携している信州の忍びの里から協力を得ることにしました」  
 長官は声をひそめて首相にささやく。  
「へぇ。それじゃクノイチなの? その娘」  
 首相は内調の持つ意外な伝手の広さに、軽く驚いてみせる。  
「はい。ですから、格闘技の方は当然として、肝心の潜入捜査の方面でも大いに期待出来るでしょう。無論、あっちの方も厳しく仕込まれてはいますが」  
 
 長官は急に下卑た顔を見せ、クククと嫌らしく笑った。  
「君、もう試したの? 駄目だねぇ、備品を私的流用したりしちゃあ」  
 そう言って長官を責める総理の鼻の下も異様に伸びている。  
「備品の性能チェックも私の業務範囲ですので。それより総理、御決裁を戴く前にチェックの方をよろしくお願いします」  
 長官は椅子に腰掛けた総理に向かって決裁書を差し出す。  
「ふぅ〜ん、紅影ちゃんっていうの。バスト85、ウェスト66、ヒップ83……イイ体してんじゃない」  
 別添のプロフィールに目を落とした総理は、目を細めてウンウンと頷く。  
「それではお目通りを」  
 長官が分厚いシャッターを上げると、絨毯の上に転がされた黒髪の女が姿を現せた。  
 女の着ている鎖帷子を模したような網目調のレオタードが、室内灯の光を反射させて魚の鱗のようにギラギラと光っている。  
 忍びの里の推薦とは言え、現時点では海のものとも、山のものともつかない紅影に信用をおくわけにはいかず、万一に備え、彼女の体は頑丈な鎖で厳重に縛られ、口には固く猿轡が噛まされていた。  
 その上、屈強の自衛隊員6名が、常に自動小銃の照準を彼女の頭部と心臓に向け、首相の安全に万全を期していた。  
 
「これじゃチェックも何も出来ないじゃん」  
 苦笑いした総理に了解を取った長官は、自衛隊員に紅影の戒めを解くように指示する。  
 鎖を解かれた紅影だったが、手錠と銃口の包囲だけはそのまま維持された。  
「紅影。古泉総理である」  
 長官の時代がかった口上に、紅影は絨毯の上に三つ指をついて土下座のポーズをとる。  
「紅影にてございまする」  
 声を掛けられるまで、そのポーズをとり続ける紅影。  
「いいよ、いいよ。楽にしてよ」  
 その言葉に、紅影はようやく面を上げた。  
「別嬪さんじゃないの。クノイチなんかにしとくのは勿体ないんじゃない?」  
 得意のお愛想を口にしながら立ち上がった総理は、ズボンのチャックをゆっくり下ろす。  
「紅影。お前のテクニックをご披露するのだ。総理にご奉仕しろ」  
 紅影は長官の命令従い、総理の足元ににじり寄っていき、自衛隊員は最高司令官たる総理を守るべく、自動小銃の銃剣を彼女の体に突き付けた。  
「少しでも不審な動きを見せたら撃て」  
 長官の厳しい命令を聞きながら、紅影は総理の股間からはみ出たモノを両手で押し戴き、唇を近づけて接吻をした。  
 
 そして長い舌を伸ばすと、総理のモノに絡み付かせるようにしゃぶり始めた。  
「うぐっ、上手いじゃない」  
 徹底的に性技を叩き込まれたクノイチのテクニックは、本場アメリカの高級娼婦には及ばないものの、充分高い水準にあるといえた。  
 口一杯に総理のペニスを含んだ紅影は、敏感な部分に舌先を這わせ、喉の奥まで亀頭を飲み込んでしゃぶり尽くす。  
「もっ、もう……君ぃっ」  
 快感に耐えきれず、首相が達しようとした時、紅影の指先が尿管のツボをきつく押さえ,貴重な精子が漏れるのを防ぐ。  
「あががぁ……」  
 年輩者の乏しい精液の流出を防ぎながら、同時に目から火花の散るような快感を長くもたらせる、紅影の性技が決まった。  
 総理が余韻を楽しんでいる間に、長官は手慣れた様子でレオタードのクロッチ部分にあるホックを外す。  
 締め付けを失ったクロッチ部分は上部へ弾け上がり、デリケートなラインで構成されたヒップが露出された。  
 
 同時に剥き出しになった秘密の部分は既に湿り気を帯び、縮れた飾毛には露が降りたようになっていた。  
「これ紅影、はしたないではないか。総理の御前であるぞ」  
 長官の叱責を手で制し、総理は紅影に尻を向けるように命じる。  
「これは美味そうな桃だ。有り難く頂戴するよ」  
 総理は我慢出来ないといった風情で、四つん這いになった紅影の腰にむしゃぶりつくと、脈打つ怒張を濡れたスリットに突き入れた。  
「うむぅぅっ」  
 余りに乱暴な扱いに、紅影は呻き声を上げて歯を食いしばる。  
 古泉首相の、年輩者とは思えない突き上げが紅影の腹の中を掻き回し、思いもよらなかった快感を彼女にもたらせる。  
「どうした紅影。だらしないぞ」  
 本気でイキ始めた紅影の顔を覗き込んだ長官が、からかうようにせせら笑う。  
 実はこの余りに敏感な感度の良さが、紅影が一流のクノイチになれない原因であった。  
 責めをおねだりするように開閉を繰り返す紅影のアヌスに、首相は指を2本くぐらせる。  
「ひぃやぁぁぁ〜っ」  
 悲鳴を上げて背筋を仰け反らせた紅影の結合部分が、一際固く締め付けられ、古泉総理の我慢が限界を超える。  
 
「紅影ぇっ、中に出すぞぉっ。ウオァァァーッ」  
 獣じみた声が上がると共に、総理の分身が精子を吹き上げながら紅影の体内で猛烈に跳ね回る。  
 同時に紅影も熱いものを迸らせて果てた。  
                                 ※  
「なかなかのものでしょう。如何でしたか」  
 失神したクノイチに、物欲しそうな目を向けて長官が言った。  
「いいじゃない。けど怖いのは、敵に捕まった時、拷問を受けてあっさり僕の名前を出しちゃわないかってことなんだ」  
 国民の支持率だけが武器である総理は、自分の名声を傷つけかねない存在を、敵の懐に送り込むことに一抹の不安を感じた。  
「そのご心配は……この女は自らに加えられた苦痛を、快感に変換させる術を心得ていますので」  
 長官はしたり顔で、備品の特製を説明する。  
「それも試しちゃったの?」  
 総理が呆気にとられたような顔を長官に向ける。  
 
「いささか。総理もお試しに?」  
「郵政関連法案が否決されたら衆院解散なんだからぁ。安心させてよ」  
 自衛隊員たちは失神したままの紅影の体を抱き起こすと、天井から垂れ下がったフックに手錠の鎖を引っ掛けて、万歳スタイルに吊した。  
 そして自分たちの最高司令官たる総理大臣に、恭しく革製のムチを手渡した。  
「本気でやっちゃっていいの?」  
 ムチを振るポーズをとりながら総理が長官に問い掛ける。  
「遠慮なく。スパンクが強ければ強いほど、このマゾ忍者は嬉しがりますから」  
 その言葉を受け、総理の容赦のないムチが紅影の尻をしたたかに打った。  
「ヒヤァァァ〜ッ」  
 尻を打ったムチの先端部は、一呼吸遅れて紅影の体に巻き付くように回り込み、彼女の腹部に打ちつけられる。  
「くはぁぁ〜ぁっ」  
 肺中の空気を全部吐き出すような悲鳴が上がり、紅影は体を激しくくねらせて身悶えする。  
 その悲鳴に興奮した総理は、次々にムチを振るって紅影の体を滅多打ちにしばき上げる。  
 
 空を切り裂いて飛来したムチが紅影の背中に、太腿に食い込む度に熱い悲鳴が上がり、鎖がジャラジャラと虚しく鳴る。  
「ほら総理、ご覧下さい」  
 長官はグッタリとなった紅影の尻を開いて陰部をさらけ出させる。  
 紅影の性器はパックリと開いた絶頂相を示しており、無数に吹き上げた潮が洗剤の泡のようになってこびりついていた。  
 その後ろでは、やはり興奮しきったアヌスが更なる刺激を欲するように、ピクピクと痙攣を続けている。  
「如何です?」  
「ふむ、これなら安心。RRへの派遣を認めよう」  
 大いに満足した総理は差し出された決裁書にサインし、印鑑を押した。  
「是非とも生きて帰ってきて欲しいねぇ。帰ってきたらまた楽しみましょう。今度は二人っきりでゆっくりと」  
 首相の短い昼休みは終わりを告げようとしていた。  
 

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