「あぁっ……こっ、こんな筈では……アァーッ」  
 眩い照明に照らしだされたリングの上、RRの裏に隠された秘密を探るべく、内閣諜報部の密命を帯びて同大会に潜入した紅影は、第一回戦から予想もしなかった苦戦を強いられていた。  
 血の滲むような特訓で身に着けた忍びの技が、目の前の相手に全く通用しないのだ。  
 しかもフィジカル面において、自分とそれ程差の無いように見える小娘を相手にしての苦戦であり、戸隠流の正統忍術を受け継ぐ身としては、決して認められるような事態ではなかった。  
「ブッとばーすっ!!」  
 やけにどぎついメイクを施した小娘は、紅影の内懐で身を翻すと、両手で捕まえた彼女の上体を手前に引き倒しつつ、右足で内ももを跳ね上げた。  
「あぐぅっ」  
 強烈な内股でマットに叩き付けられた紅影の意識が薄れかける。  
「うぅっ……柔道?」  
 少女の技は確かに柔道をベースに組み立てられはしていたが、根本的なところでスポーツ柔道とは一線を画していた。  
 いわば命のやりとりをする戦場で発達した古式柔術といった方が近い。  
 四つん這いになった紅影は、ふらつく頭を左右に揺り動かして、なんとか意識を現実に繋ぎ止める。  
 休む暇も与えられず、今度は紅影のふくらばぎにストンピングが雨霰と降ってくる。  
「あぐっ……あむぅぅ……うがぁぁぁっ……」  
 柔術少女は紅影の足を徹底的に破壊する策に出たようである。  
「ねっ、狙いさえ分かれば……攻撃は読める」  
 激痛に耐えながら、紅影は冷静に敵の動きを観察する。  
 やがてストンピングを終えた少女は、マットの反動を利用して大きく跳躍した。  
「今だっ」  
 トドメに動きの大きいニードロップが来ることを読んでいた紅影は、急降下してくる少女の膝頭を、身をよじって避けた。  
「ヒィィッ」  
 全体重を掛けたニードロップがマットに突き刺さり、攻撃した少女自身が悲鳴を上げる。  
 
「受けるが良いっ!!」  
 その隙を見逃さず、紅影は捕まえた少女の左手を素早く折り畳み、キーロックに入る。  
「とくと味わえいっ!!」  
 完全に決まったキーロックに、少女の左腕がギシギシと悲鳴を上げる。  
「痛ぁいっ……痛いっ」  
 後数秒このまま続ければ、ギブアップか骨折によるTKOは目前であった。  
「これで私を大会に送り出した首相や頭領に対して、面目が立つというもの」  
 紅影が勝利を確信した時であった。  
「ふざけんじゃないよ」  
 少女は身をよじると、残った右腕を密かに回しこみ、中指を紅影の肛門に潜らせた。  
 肛門を深々と抉った少女の指が、紅影の体内を荒々しく掻き回す。  
「ひぁっ?いやぁぁぁ〜っ」  
 固め技からの離脱技として、柔術界に密かに伝わる特殊技法の効果は絶大であった。  
 思いも寄らぬ攻撃に、紅影は身をくねらせながら少女の左腕を放してしまう。  
「くはぁぁぁ……あぁっ……」  
 脊髄を脳まで駆け上った甘美な感覚に、紅影はうつぶせになったまま体をピクピクと小刻みに痙攣させる。  
「また汚れちまったよぉ……」  
 柔術少女は右手の中指を自分の鼻先に持っていき顔をしかめる。  
 そして身動き出来ないでいる紅影に、逆襲の手を伸ばした。  
「よくもやってくれたね」  
 少女は乱暴に馬乗りになると、紅影の顎に手を掛け思いっきり後ろに反らした。  
「アァァァーッ」  
 極限まで上体を反らされ、紅影の眉間に苦悶の皺が寄る。  
「こんなモンで済まされやしないよ」  
 柔術少女は酷薄そうに唇を歪めると、あろう事か紅影の面頬を顔からひっぺがえしてしまった。  
「イヤァァァァ〜ッ」  
 衆目監視の中、面頬を奪われた紅影の素顔に向かって、無数のフラッシュが焚かれる。  
 忍びの者にとって、素顔を見せると言うことは、裸を晒すより恥ずかしいことである。  
 
「キャハハハッ。いいざまだよ、可愛い子豚ちゃん」  
 少女は紅影の鼻の頭に指を掛けて鼻孔を大きく開かせると、カメラに向かって見せびらかせる。  
 それに飽きた少女は紅影の股の間に手を潜らせ、全身の力を込めて持ち上げる。  
 少女は逆さまに持ち上げた紅影の肩を、一旦膝の間に挟んで固定すると、両手を内ももに当てて思いっきり左右に開かせた。  
「オォ〜ッ」  
 満員の観客席から大きなどよめきが上がる。  
「ウァッ……グッ……ナムサンッ」  
 両足を大股開きにした恥ずかしいポーズで固定され、紅影は激しくイヤイヤをしてみせるが、無情なカメラマンたちは一斉にフラッシュを焚きまくった。  
「見られてる。私、恥ずかしい姿をみんなに見られてるわ」  
 会場に設置された大型スクリーン一杯に映った、自分の惨めな姿を食い入るように見つめるうちに、紅影の瞳が妖しい光を帯び始める。  
                                     ※  
「ふうん。この娘……真性のMね」  
 医務室のモニターで試合を観戦していた看護婦が、誰に言うともなしに呟いた。  
 上下逆さまになった紅影の、切なそうに顰められた眉や、潤んだように光る黒い瞳を見て、看護婦は嬉しそうに口元をほころばせた。  
「だとしたら、話は別だわ」  
 看護婦は思案顔になり、モニターの中でのたうち回るクノイチの姿を見つめる。  
「スパイだからって、リングの上で殺しちゃうのは勿体ないわ。真性Mの女を見つけるなんて、砂利の中からダイヤを見つけ出すより難しいんだもの」  
 その看護婦、RRの影のフィクサーことアナスタシアは、側近を呼びつけると何やら耳打ちをした。  
 モニターの中の戦いは、場外乱闘に移行しており、乗馬ムチを持った柔術少女がクノイチに迫っているところであった。  
「デーモンちゃん、やってお上げなさい。その娘はきついお仕置きを期待してるんだから」  
 後ずさりしながら、潤んだ瞳で敵を見つめるクノイチの姿に、アナスタシアは声を上げて笑った。  
 
 黒帯の少女悪魔は見下したような目でクノイチを睨め回すと、手首を返して右手に握った乗馬ムチをしならせた。  
 紅影は後ずさりしながら、額を流れ落ちる冷たい汗を右手の手甲で拭う。  
「うぅっ。あんな物で打たれたら……某といえど、只では済まぬ」  
 ムチの一撃は、下手をすれば致命傷になりかねないと分かっているのにもかかわらず、紅影は心の何処かから、不思議な高揚感が湧き上がってくるのを感じていた。  
 一方のデーモンも、怯えた獲物を確実に追い込んでいく過程に、嗜虐的な快感を押さえきれないでいた。  
「嫌らしい肉体しやがって。ムチの味をタップリ教え込んであげるわ」  
 空気を切り裂いて飛んできた革製のムチが、ビシッと音を立てて紅影の肩口に命中した。  
「あぐぅぅっ……くぅぅっ……」  
 流石に反射的に手甲をはめた腕で防御した紅影だったが、ムチの威力は、素手の相手を想定したディフェンステクニックでは、とてもカバーしきれないと悟る。  
 がら空きになった下腹に、ムチの第2撃目が食い込む。  
「うがぁぁぁーっ」  
 余りの激痛に、紅影は背中を丸めて前のめりになってしまう。  
 内閣諜報部から貸与された特殊繊維製のレオタードも、ムチの威力の前には只の薄布同然であり、身に食い込んでくる衝撃を和らげることは叶わない。  
「おっと。余りやっちゃうと、壊れちゃうわね」  
 紅影の戦闘力を一時的に喪失させたと確信したデーモンは、ムチ捌きにゆとりを持たせ、腕全体を振るうのを止めて、手首の返しだけを巧みに使う。  
 
 それでも充分鋭いムチのしなりが、ピシャリと紅影の背中を打ち下ろした。  
「あぅぅんっ……?」  
 明らかに最前までとは違う、鼻に掛かったような悲鳴が紅影の口から漏れ出した。  
 次の一撃は紅影の脇腹をピシリと打った。  
「んんん……んはぁぁぁ……」  
 打たれた脇腹を庇いながら、紅影はまたも甘い悲鳴を漏らせると、内股になった両足をブルブルと震わせ始めた。  
「なっ……なん……あふぅぅぅ」  
 ムチが体に食い込むたびに、紅影の背筋に甘い疼きを伴った快感が走り抜け、脳まで直結した神経回路を一気に駆け上がる。  
 やがて立っていられなくなった紅影は、膝から床に崩れ落ちると、尻を高々と突き出した無様な格好で四つん這いになってしまった。  
「オオオォーッ」  
 下半身をも総立ちにさせた観衆が、一斉にどよめきを漏らす。  
 紅影はなんとか立ち上がろうと足掻くが、体中を苛む甘美な疼きに邪魔されて、真っ白な尻を妖しくくねらせることしか出来ない。  
 ワンサイズ小さめのレオタードは、激しい動きのため尻の谷間に食い込んでしまい、今や完全にTバック状態になっていた。  
 デーモンは剥き出しになった尻に視線を落としながら手にしたムチを弄ぶ。  
「あぁっ……次は某の尻を狙っておる……うぅっ……このままでは」  
 
 大型モニターに映し出された自分とデーモンの姿を目にした紅影は、敵の狙いを的確に予想するが、この状態ではそれを遮る術は無い。  
 逃げるどころか今の紅影は、大画面モニターの中で尻をくねらせてのたうっている、自分の惨めな姿をうっとりと見つめていた。  
 紅影の耳が空気を切り裂くムチのしなりを捉えた。  
 次の瞬間、紅影の背中に熱い衝撃が走る。  
「はぁぅぅ〜ん」  
 更に次の一撃が彼女の太腿を痛打する。  
「くはぁぁぁ……」  
 次々に身に食い込んでくるムチだったが、紅影がせがむようにくねらせる尻だけには、一発も降ってこなかった。  
「いやぁぁぁぁ〜」  
 欲求不満から、とうとう狂おしい悲鳴を上げてしまった紅影を、デーモンは冷ややかな笑いを浮かべて見下ろしている。  
「何が嫌なんだい?」  
 ねちっこい視線を、獲物の体に絡み付かせながらデーモンが意地悪く質問する。  
「おっ……お願い……」  
 振り返った肩越しに、デーモンを見上げながら、紅影が消え入りそうな声で哀願する。  
「そんなに尻を虐めて欲しいのかい?それなら覚悟おし。デーモン様のお仕置きは、ちとキツいよ」  
 
 勝ち誇ったかのような笑顔になったデーモンは、フェンス越しに新たな責め具を取り出した。  
 デーモンが振りかざした責め具は、1メートル以上の長さの棒であり、その先端には人差し指だけを突き出した手が取り付けられていた。  
「……?」  
 不安と期待の入り交じった目で、異様な責め具を見つめる紅影。  
「これはね、くすぐり棒っていうんだけどさ。デーモン様の使い方は……こうすんのさっ」  
 言うが早いか、デーモンは手にした責め具を槍のように繰り出して、紅影の尻の中心を突いた。  
「はぉぉぉうぅぅっ……ナム……サン……」  
 実物よりも遥かに太い人差し指が、紅影のアヌスを貫き通した。  
「イヤァァァァ〜ッ」  
 脳天まで突き抜けた衝撃に、紅影は絶叫を迸らせると、背骨が折れんばかりに身を仰け反らせた。  
 節くれ立った人差し指は直腸の最深部まで達していた。  
「嫌よ、こんなの嫌ッ。抜いて頂戴」  
 紅影は媚びの入った哀願を口にする。  
「お前がコレを気に入ってることは、先刻ご承知よ。嫌よ嫌よも好きの内、ってな」  
 早くも自ら腰を前後に揺すり始めた紅影を見下ろしながら、デーモンがケラケラと笑う。  
「そう、がっつくなって。幸い試合時間は無制限だし、リング外ではギブアップ無しだ。お楽しみはこれからだぜ」  
 デーモンは一斉に集まってきたテレビカメラの群れを前に、ニヤリと顔を歪めた。  
 
「うっ、うむぅぅぅ……このままでは……はむぅぅ」  
 本来出口であるべき部分から、大振りのソーセージ程もある作り物の指を差し込まれ、苦悶する紅影の額から脂汗が流れ落ちた。  
 一杯に広げられた肛門の粘膜は、今にも引き裂かれようとしており、文字通り身を切るような痛みが走る。  
 それにも関わらず、太いモノをくわえ込んでいる奥底を中心に、甘美な痺れが紅影の下半身を包み込んでいた。  
「ふんっ、これくらいなんだい。毎朝これよりぶっといウンチしてるくせに」  
 くすぐり棒の先端を握ったデーモンが、ケラケラと笑い転げる。  
「お前、毎朝ウンチする度に、トイレで悶え狂ってんだろ?」  
「だっ、誰がぁ……うっ、あぁ〜っ」  
                                 ※  
 思えば、紅影が前回排便してから一週間が経過していた。  
 便秘気味の紅影は、戸隠流の漢方薬を常用していたが、不規則な生活を余儀なくされる身ゆえ、ここ一番、大事な時には浣腸を使うことが多かった。  
 この試合の前にも通路近くの観衆用トイレで、市販のイチジク浣腸3本を自らに施していたのであるが、秘薬を調合して作った愛用の忍び浣腸でなければ、頑固な便秘には効果がなかったのである。  
「ん……うんん……ダッ、ダメかっ……かはぁぁぁ〜」  
 ジョロジョロと音を立て、虚しく肛門から便器へと垂れ落ちる黄褐色の液体を見ながら、紅影は不慣れな洋式便器を呪った。  
「こっ、この様な不安定な便器が悪いのだ」  
 便座に足を置いて踏ん張った不自然な姿勢を、まさか間違いとは露知らず、紅影は悶々とした苛立ちを隠せなかった。  
「第一、これでは周囲から丸見えではないか。悪趣味なっ」  
 そう考えると、床より一段高い便座の上でM字開脚した自分の姿が、まるで変態ショーの舞台に立った踊り子のように思えてくる。  
 運の悪いことに、その時数人の男のグループがトイレに入ってきた。  
「まずいっ。某がこの様なところで用を足していると、余人に知られるわけにはいかぬ」  
 
 それに後、イチジク浣腸一本分のグリセリン溶液が直腸内に残っているはずであり、もしものことを考えると、それを出しきった後ではないと怖くてリングには上がれない。  
「えぇ〜い。早くせんかっ。男子のお喋りなどみっともない……」  
 紅影は猥談を続けながら、長々と小便を続ける男たちに呪詛の思念を送る。  
 丁度その時、前の試合が終わったばかりであり、次の試合までの合間を利用して用を足そうという観衆が、一斉にトイレに殺到してきた。  
「早くしろよっ」  
 紅影の入っている個室の前にも列が出来、盛んにドアをノックし始めた。  
「これは……男子便所か……ぬかった。紅影、一生の不覚」  
 性器を握った男達が板切れ一枚隔てた向こうにいるという状況が、再び紅影に変態ショーの舞台を思い起こさせた。  
「いかん……でっ、出る?……このままでは音と臭いが漏れる」  
 紅影はピクピクとひくつき始めた肛門を必死で引き締め、排泄欲求をコントロールしようとするが、一旦出掛かったモノは彼女の強固な意思をもってしてもどうにもならなかった。  
「うぐっ……ぐぁぁっ……ナムサンッ」  
 その時、試合開始5分前を告げる場内アナウンスとブザーが紅影の窮地を救った。  
 ようやく無人となったトイレで、紅影は安堵して排泄行為を再開したが、やはり出てくるのは黄褐色の液体だけであった。  
 このように心身を極限まで磨り減らしたままリングに上がった彼女が、デーモンに一方的に攻められたのも無理はなかった。  
                                 ※  
 肛門や直腸壁を一杯に押し広げられる感覚は、彼女がここ一週間欲して止まなかった快感である。  
「もっ……もう……」  
 刹那的な排便の快感ではなく、長く持続するA感覚に苛まれて、紅影の脳からは快楽物質が出っぱなしになっている。  
「あと少しだねぇ。もうちょっといたぶったら、あの技でトドメを刺してやるよ」  
 デーモンは酷薄そうな唇を舌舐めずりした。  
 
 前戯も無しに、強引に拡張げられた紅影の肛門であったが、時間が経過するにつれ、ようやく解れを見せ始めた。  
 緊張の極みにあった肛門括約筋が弛緩する頃には、紅影の鋭敏な感覚中枢は肛門周辺を支配している疼きをハッキリ快感として捉えていた。  
「くぅぅむぅ……そっ、そんな……しっ、尻で……おぉ、むぅぅぅ」  
 排泄器官で性的快感を得るという異常な行為を、紅影は理性で否定しようとする。  
 しかし更なる刺激を得ようと、勝手に動いてしまう淫らな腰は、既に彼女の理性の管制を受け付けず、本能の統制下にあった。  
 めくるめく快感の嵐に飲み込まれながら、紅影は更なる快感を貪るように尻を前後に大きく揺すらせ始めた。  
「オォォ〜ォッ」  
 巨大な人差し指が紅影の肛門にする様が、会場の大型モニターに大写しになり、観客が大きくどよめいた。  
 報道の美名を隠れ蓑にした変態カメラマン達がフラッシュを焚く度に、紅影の白い淫らな尻が暗がりに妖しく浮かび上がる。  
「エロ忍者が、すすぐり棒に屈服しやがったよぉ」  
 デーモンがクククと笑い、蔑んだような目で紅影を見下ろす。  
「デーモン、脱がせろっ」  
 観客席から下卑た怒号が上がるが、当のデーモンは取り合わない。  
「野暮は言いっこなしだ。武士の情けだよぉ」  
 余裕を見せて勝ち誇ったデーモンではあったが、恍惚の表情を浮かべて悦に浸っている紅影を見ているうちにムカッ腹が立ってくる。  
 デーモンは意地悪く、淫らにくねる紅影の尻の動きに同調させるように、手にした棒を前後に動かせる。  
 淫靡な摩擦力を奪われたことにより、紅影は急激な失調感に包まれた。  
 
「いやっ、いやぁ〜っ」  
 紅影は尻で円を描くように腰をくねらせ、不当に与えられ、そして奪われた摩擦感を取り戻そうとする。  
 紅影が必死で尻を蠢かせても、デーモンがその動きにシンクロさせるように棒を操作するので、折角の苦労も徒労に終わる。  
「いやっ、こんなのいやぁぁぁ〜っ。ねぇ……お願いっ」  
「慌てんじゃねぇよ」  
 哀願を繰り返す紅影を充分焦らしたと見るや、デーモンは手元のスイッチを操作し、下を指示する矢印ボタンを押した。  
「ヒィィィッ。なっ、中で動いてるぅっ?腸が……腸が痺れるぅぅぅ〜っ」  
 直腸一杯に侵入している作り物の人差し指が、紅影の体内でおいでおいでをするように屈伸を繰り返し、直腸壁を掻きむしった。  
「ぬわぁぁぁ〜っ。こっ、これはたまらぬっ……アヒィィィ〜ッ」  
 デーモンは紅影の反応を逐一確かめながら、指先の位置を微妙にずらしていく。  
「むぅぅぅっ。そっ、そこぉっ……いいっ、いいぃ〜っ」  
 もはや観衆のことなど忘れ、一際高く嬌声を上げる紅影。  
「見つけたよぉ、お前の裏Gスポットを」  
 ニンマリと笑ったデーモンは、そこで一旦間合いを取る。  
「こいつで往生しなぁーっ」  
 膣内のGスポットを直腸側から突く、幻の裏Gスポット攻撃が紅影に襲い掛かった。  
「うぐぅっ……ぐあぁぁぁーっ。ナムサンッ」  
 尿道口が弛緩し、小便を迸らせながら紅影は白目を剥いてのたうち回る。  
「まっ、待てっ……そんな……」  
 これまで味わったこともない快感に、紅影は究極の法悦境に浸る。  
 
「今だっ」  
 デーモンは対戦相手をいたぶりながら、どんなグロッキー状態よりも無抵抗になるこの瞬間を待っていたのだ。  
「風車絞めぇっ。うりゃぁっ」  
 デーモンは紅影の体を太腿の上で抱くようにして抱え上げると、両腋の下に腕を回して強烈に絞め上げた。  
「うがぁっ、ぐあぁぁーっ」  
 普通なら極められないような大技も、イッちゃてる状態の紅影には防ぐことが出来なかった。  
 両手と股間を強制的に開かせられた屈辱的なポーズで絞め上げられた紅影は、苦痛と羞恥心に真っ赤になって悶える。  
「おぉぉ〜っ」  
 観衆の目からは、2人の姿が人目も憚らず抱き合っているレズビアン同士に見えた。  
「あっ、しまった」  
 ここでデーモンは、自分がとんでもない間違いを犯したことに気付いた。  
「リング外じゃ、ギブアップは無しだった……」  
 慌ててサブミッションを解除し、紅影を肩に担いだままリングに駆け上がったデーモンに大きな隙が生じる。  
「受けるがよいっ」  
 デーモンの首に巻き付くように、自らの体を絡ませながらローリングを繰り返す紅影。  
「とくと味わえぃ」  
 紅影は充分に勢いがついたところで両足をデーモンの首にロックさせ、上半身の反動を利用してマットに叩き付けた。  
 脳震盪を起こしたデーモンはそのままピンフォールに入られ、無情のスリーカウントが数えられた。  
「うぅっ、辛うじて勝利はものにしたが……某の泣き所は皆に知られてしまった」  
 次の試合から、対戦相手が自分の肛門を狙って攻撃してくることは間違いない。  
 紅影は以降の対戦が、初戦以上の苦戦になることを覚悟し、表情を曇らせた。  
 

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