「あぁ〜ああ。また負けちゃった」  
 試合を終えたばかりの藍原誠は選手控え室のシャワールームで、火傷しそうな熱いシャワーと冷水を交互に浴びて、肌を引き締めているところであった。  
「でもいい試合だったから、悔いはないわ」  
 体にまとわりついた汗や臭いとともに、終生のライバルと目していたアイグルに対するわだかまりも、排水口へと流れていくような気分であった。  
「負けちゃったのは残念だけど、これでスッキリ柔の道へ戻れるわ」  
 誠はシャワーの蛇口を閉じると、両手の手のひらで自らの頬に平手打ちを浴びせながら気合いを入れた。  
「誠っ。ガンバッ」  
 誠はバスタオルを体に巻き付けると、スッキリした顔でシャワー室を出た。  
                                 ※  
「アイグル……ちゃん……?」  
 誠は自分に与えられた豪華な控え室のソファーの上に、バズローブを纏った愛くるしいモンゴル少女が座っているのを見つけて驚いた。  
「どうしたのアイグルちゃん?」  
 誠は試合に勝って喜んでいるはずのアイグルが、不機嫌そうに眉をひそめているのに気付いた。  
「誠、負けて、喜んでる。不自然」  
 誠にはアイグルが言わんとすることは理解できたが、負けてまた得る物を模索するのが自分の進む道であると、純朴な異国の少女を納得させる自信は彼女にはなかった。  
 
「そりゃ負けて悔しいよ。でもね、今回はアイグルちゃんの方が強かっただけなんだから。あたしが負けても仕方ないのよ。それだけだよ」  
 誠は自分の心中をそう言って説明するしかなかった。  
「誠、ブスの上に、ウソつき」  
 アイグルは誠を睨む目に力を込めながら吐き捨てた。  
「あのねぇ。アイグルちゃん、しつこいよぉ」  
 誠は本気で怒る気にもならず、拳骨を振り上げるお芝居をするが、アイグルは眉一つ動かさない。  
「ルール無しなら、誠、アイグルに負けてないと思ってる」  
 その言葉を聞いた誠は思わずドキリとする。  
「ルール無用の柔術の技さえ使えば」  
 試合中ピンチに陥る度に、誠がそう考えたのは事実である。  
 誠は柔道が正の格闘技として柔術から進化するため、切り捨てていった邪の部分をも、しっかりと習得していたが、決して使わない裏技として自ら封印してしまったのである。  
「このままだと、誠、柔道から獣道に堕ちる」  
 アイグルは最前までとはうって変わって悲しそうな目になる。  
「だから、別の形で、決着、つける」  
 アイグルは真っ直ぐに誠の目を見据えて、キッパリと言い切った。  
「別の形ぃ?」  
 呆気に取られた誠が目をパチクリと瞬きさせるのを尻目に、アイグルは着ていたバスローブをその場に脱ぎ捨てた。  
 
 小柄だが引き締まった白いボディに、黒々とワイルドに茂った股間の縮れ毛が異様なコントラストを見せていた。  
「アイグル……ちゃん……?」  
 誠は訳が分からないといった風にポカンと口を開けて、ただそれを見つめるしかなかった。  
 その鼻先にアイグルが異様な物を突き付ける。  
 それは各選手に割り振られたホテルの自室に備え付けられているゴム製の張り型であり、アメリカ到着以来、誠も毎晩のようにお世話になったモノである。  
 しかしアイグルが突き付けてくる張り型は、誠が気に入った挙げ句、こっそりお持ち帰りしようと自分の鞄に忍ばせている物とは形状が違った。  
 電池の入った取っ手の部分から突き出ている男性器を象ったゴム部は通常通りなのだが、違うのは逆方向に深い角度でもう一本、同じサイズのゴム製品が突き出している点であった。  
 呆然として立ちすくんでいる誠を尻目に、アイグルは足を肩幅に開いて中腰になると、角度の深い方の張り型を自らの女の部分にめり込ませていった。  
「ウッ……クウゥッ……」  
 アイグルは苦悶の呻きを上げながら、アメリカンサイズのモノをすっかりくわえ込むと、本体からフンドシ状に伸びたベルトを固く締め、張り型を股間にしっかりと装着してしまった。  
「ア……アイグルちゃん……?」  
 あたかも股間に巨大な男性器を生やしたようなアイグルの姿から、誠はなぜか目がはなせないでいた。  
 
「先にイッた方が負け」  
 アイグルの目に異様な光を見て取った誠は後ずさる。  
「なに言ってるの、アイグルちゃん?」  
 アイグルは聞く耳も持たず、ダッシュで一気に間合いを詰めると、誠の股間に腕を回し込んで片足タックルに入る。  
 そして強靱な下半身に全力を込めて、誠の体をリフトアップすると背中から絨毯の上に叩き付けた。  
「くはぁぁぁっ」  
 受け身を取り損なった誠が、肺中の空気を吐きだして苦悶する。  
 持ち上げられた拍子に合わせ目の緩んだバスタオルがはだけ落ち、誠の水蜜桃のような胸の膨らみが、申し訳程度に恥丘を飾る柔毛が顕わになった。  
「イクッ」  
 アイグルは誠の両足の間へ強引に割って入ると、狙いを定めて一気に股間の花芯を貫き通した。  
「イヤァァァーッ。アッ、アイグルちゃん……やめっ、やめてぇぇぇっ」  
 アイグルは泣き叫ぶ誠を見下ろし満足そうに微笑むと、ゆっくりと腰を動かし始めた。  
「いやっ、いやっ。こんなのいやぁぁぁ〜っ」  
 一流アスリートの例に漏れず、誠の処女膜は厳しい鍛錬の末に自然消滅しており、また自ら操るバイブレーターで開通式は既に済ませていたのであるが、他人の手によって神聖な場所を踏み荒らされるのは勿論初めての経験であった。  
 そんな誠の気持ちを踏みにじるように、アイグルのモノは誠の小陰唇と膣道を押し広げては突き進み、膣壁を掻きむしるように後退する。  
 
 その動きはアイグル自身の膣内に埋没しているゴム製の巨根にもダイレクトに伝わり、目の眩むような快感を伝えてくる。  
「まっ、誠……すごいよ……うぅぅ〜っ」  
 誠を失神させようと激しく動けば動くほど、自らにもリバウンドしてくる快感にアイグルは最初のクライマックスを迎えて体を激しく痙攣させる。  
 しかし戦いのイニシアティブは依然アイグルが握っており、浅くそして深くと、波状的に繰り返して誠の体内を掻き乱す。  
 最初は嫌悪感と苦痛だけを感じていた誠だったが、アイグルの巧みな腰使いに翻弄されて女の本能を爆発させてしまう。  
「アァァァ〜ッ。ウゥーッ」  
 歯を食いしばって快感に耐えようとした誠が、股間から熱いものをほとばしらせて激しく腰を痙攣させ、アクメに達した。  
「これで、1対1。アイグル、負けない」  
 本物の男とは違い、決して果てることのないゴム製の凶器は、双方の体内を跳ね回って2人の美少女を快感の海に溺れさせる。  
「アイグルちゃん。誠、負けないよっ」  
 ようやくコツを掴んだ誠は、アイグルが背中を反らせた一瞬の隙を突いて胴締めに入り、そのまま体を入れ替えて騎乗位をとる。  
「いっけぇぇぇーっ」  
 誠は鍛え上げた臀筋に力を込めて張り型を力一杯締め付けると、もの凄い早さで押しを上下に動かし始めた。  
「これ、ダメェェェ〜」  
 一気に形勢を逆転されたアイグルは、黒目を瞼の裏側へと潜り込ませながら激しく首を振って悶えまくる。  
 
「良くない、気持ち良くないっ」  
 アイグルは言葉に出して快感を否定し、ともすれば遠のきそうになる意識を必死で現世に繋ぎ止めようとする。  
                                 ※  
「あたしが貸してあげたダブル・ディルドー。なかなか楽しく使ってくれてんじゃなぁ〜い。オホホホッ」  
 秘密の研究室で、隠しカメラのモニターを見ていたアナスタシアが、さも面白いといったように笑い転げた。  
「どっちが勝っても、いずれは私の可愛いペットになるんだから」  
 モニターに写った誠とアイグルの饗宴に流し目をくれるアナスタシア。  
「外道っ。どこまで人の道を踏み外せば気が済むというのだ」  
 天井から鎖で吊された紅影が吐き捨てるようにアナスタシアを罵った。  
「あらぁ〜。勝手によそのおうちをコソコソ嗅ぎ回ろうとしたワンちゃんが、他人のこと言えるのかしら」  
 視線を紅影に移したアナスタシアが鼻で笑う。  
 この部屋に忍び込もうとピッキングに夢中になっていた紅影は、背後から忍び寄ったアナスタシアのスタンガンによって意識を奪われ、気付けば両手を真上に上げたスタイルで天井から吊されていたのだ。  
 戒めを解こうと必死で身悶えする紅影であったが、鎖はジャラジャラと音を立てるだけで、一向に緩もうとはしなかった。  
「ワンちゃんには躾が大切よねぇ」  
 アナスタシアは乗馬ムチを手に椅子から立ち上がると、ムチの弾力を確かめるように何度も曲げながら紅影に近づいていった。  
 
「外道がぁ……」  
 観念したように黙り込んだ紅影は、ムチの衝撃に耐えようと身を固くして待ち受ける。  
「その目が気に入らないのよっ」  
 スナップの利いた一振りが、両手を上げてがら空きになった紅影の脇腹に食い込み、スパンと小気味いい音が響き渡った。  
「あぅぅぅっ……うぐぅぅ」  
 焼け付くような痛みが紅影を襲い、ギリリと食いしばった歯の隙間から苦悶の呻きが漏れる。  
 続いて防備の薄い背中に、剥き出しの太腿に鋭いムチが食い込み、紅影の体で唯一自由な手首から先だけが虚しく宙を掻く。  
「はぉぉぉむぅ……くはぁぁぁ〜ぁっ」  
 紅影の体が動くたび、体に貼り付いた網目のレオタードが照明を乱反射させ、魚の鱗のようにギラギラと輝いた。  
「止めてっ、止めてあげてちょうだい」  
 手術台に乗せられ、大の字に固定された日ノ本零子の悲痛な叫びが部屋に響き渡る。  
「よしなさい。貴女の復讐は私たち姉妹にだけ向ければいいでしょう」  
 自我を蘇らせたことにより、高潔さを取り戻したノーブル・ローズこと日ノ本富士子も丁寧だが厳しい口調でアナスタシアをたしなめる。  
 ノーブル・ローズの方は、妹零子を見下ろす位置に、鉄パイプを組み合わせたような奇妙な拘束具に捕らわれて身動きできずにいた。  
「あ〜らぁ〜。勘違いしてもらいたくないわね。このワンちゃんはムチでしばかれて、悦んでいるんだからぁ。そういう特殊な体質なのよ。ねぇ、ワンちゃん」  
 アナスタシアがホホホッと笑い声を立てる。  
 
「だっ、誰がぁ……うぅっ」  
 口では否定する紅影であったが、その固く閉じられた内腿は、お漏らししたのではないかと見まごうばかりにヌルヌルになっている。  
「ほらぁ、無理しちゃってぇ。これだけの証拠を晒しておいて、それはないでしょ」  
 アナスタシアはムチの先を使い、紅影の股間からヌルヌルを掻き出すように動かす。  
「むっ……うむぅぅ……」  
 紅影は顔を紅潮させて必死で快感と羞恥に耐えた。  
「それとも……」  
 アナスタシアはムチの先端をノーブル・ローズに向けながら言った。  
「あなたが代わって責めを受けるとでもいうのかしら?」  
 ノーブル・ローズの、縦筋が透けんばかりに薄く作られたタイツの股間を、アナスタシアのムチがなぞり上げる。  
「うっ……うぅっ」  
 媚薬の効果で感覚を剥き出しにさせられたノーブル・ローズが低い呻き声を上げる。  
「姉さんっ。富士子姉さんに手を出さないでっ」  
 手術台の零子が身悶えするが、手足を縛る頑丈なベルトに邪魔されてどうにもならない。  
「美しい姉妹愛だこと」  
 2人のやりとりを見ていたアナスタシアがニッコリと微笑む。  
「けどね。あたしはそう言うのが一番嫌いなんだよっ」  
 鬼の形相になったアナスタシアが振るった厳しいムチの一撃が、ノーブル・ローズのタイツを、皮膚ごと引き裂いた。  
 
 一気に形勢を逆転させた誠は、ウサギ跳びで鍛えた強靱な足腰を使ってアイグルを翻弄する。  
「アイグル。死ぬ、死ぬぅ」  
 アイグルの膣の中で暴れまくる張り型は、誠の腰に押し込まれる度に、空気を送られて大きく膨らむ仕掛けになっていた。  
「誠ぉ、ズルイ〜ッ」  
 アイグルは喘ぎ声の合間を縫って抗議の言葉を口にする。  
「だって、アイグルちゃんの方はベルトで固定されてるんだもん。条件は五分五分だよっ」  
 誠は騎乗位からの容赦のない腰使いでアイグルを絶頂へと導いていった。  
 既にまともな思考力を失ったアイグルは、狂ったように絶叫を上げながら自らも腰を突き上げて快感を貪る。  
 その泣き顔を見た誠が「アイグルちゃんのいき顔。可愛いな」とふと気を逸らした瞬間であった。  
 僅かに出来た隙を見逃さず、アイグルが腹筋を使って下半身をVの字にかい込むと、戻す力を利用して上半身を勢いよく持ち上げた。  
 
「しまったぁ」  
 慌てる誠の腰を抱え込んだアイグルは、きつく抱きしめながら人間離れしたパワーで一気に立ち上がった。  
「アイグル、勝つ」  
 腰を突き出して立ったアイグルは、張り型を誠の中に突き入れたまま、接合部分を中心に誠の体を空中で半回転させた。  
「イヤァァァーッ」  
 大事な部分をえぐり取られるような感覚に、誠は絶叫を迸らせてしまった。  
「倒すっ」  
 アイグルが誠の体に手を添えて地面に叩き落とした時、2人の体位はバックスタイルになっていた。  
「やだぁっ。こんなのいやぁ〜っ」  
 背後から貫かれた誠は変態チックなラーゲに赤面してしまう。  
「これ、犬や羊と同じ。動物のスタイル」  
 
 再び攻守ところを入れ替え、イニシアティブを奪い返したアイグルは、今までの借りを返すかのように猛然と誠を責め立てた。  
 カクカクとリズミカルにアイグルの腰が前後する度、張り型が誠の奥深くまで長いストロークで責め立てる。  
 バックを取られることにより、誠からの責めはほとんど効果を失い、一方的な攻撃を受け続けることになった。  
「こっ、このままじゃ。誠、イッちゃうぅ〜っ」  
 その位置が偶然メイク用の鏡台の前であったため、誠の目に、犬のように後ろから犯される自分の姿が飛び込んできた。  
「あっ、あたし……あたし犬みたいに、いやらしい格好でやってるぅ〜っ」  
 誠は真っ赤に染めた顔を、両手で覆いイヤイヤをするように首を左右に振る。  
 一計を巡らせたアイグルは、膝の裏に手を掛けて誠の体を抱え上げると、M字開脚させて結合部を真正面に晒した。  
 鏡に張り型に占領されて大きく膨らんだ誠の性器が映り込む。  
「いやぁぁぁ〜っ」  
 余りの恥ずかしさに、誠は目を瞑って顔を右下方に背けた。  
「ダメェェェッ。見るぅぅぅっ」  
 アイグルが膝の屈伸を使って、誠の体を上下に揺さ振る。  
 誠の大事な部分に、自分のほとんど全体重を掛けられ悶絶してしまう。  
「むぐぅぅぅ」  
 
 白目を剥いた誠は口の端から泡を吹き始め、いよいよ勝敗は決したように見えた。  
                                 ※  
 一方のアナスタシアは攻撃目標を、手術台で大の字に固定された零子に変更していた。  
 真っ赤なマニキュアを塗りたくった細い指が、零子の履いている朱色のホットパンツのジッパーに掛かり、ゆっくりと引き下ろされる。  
「くっそぉ〜。ヤメロォーッ」  
 歯を食いしばって、なんとか戒めを解こうと零子が暴れるが、分厚い革で出来たベルトはビクともせず、代わりに擦り切れた零子の手首から血が滲んでくる。  
 ホットパンツのジッパーが一番下までおろされると、不必要なまでに濃い毛がこんもりと現れた。  
「ホホホッ、あなたノーパン主義なのね。それにしてもすっごく濃いわね。まるでウニみたい」  
 秘密を見られてしまった零子は真っ赤になって黙り込む。  
「これじゃハイレグも着れないじゃないの。やっぱり隠しておいてあげる」  
 そう言って笑ったアナスタシアがジッパーを勢いよく引き上げたので、金具に絡まった陰毛の束が引っ張られ、ブチブチと毛根から抜けた。  
「痛ぁぁぁぁ〜っ」  
 敏感な部分にカミソリで切り付けられたような鋭い痛みが走り、零子が腰を浮かせてのたうった。  
「あ〜らぁ、ごめんなさいねぇ」  
 わざとやった行為に対し、アナスタシアはわざとらしい謝罪を口にした。  
 

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