気がつくと紅影はリングの上にいた。
「……なに?」
既に試合は始まっているらしい。目の前にいる相手を見て燻っていた思考が活動する。
「アナスタシア!」
「はぁい。気分はいかが?」
「黙れ。今日こそその首、もらいうける!」
「そんなに興奮しなくていいのよ。どうせ勝てないんだから」
「ふざけるな!……!?ふぁ!?」
紅影の声音が変化した。
「き、貴様…何をした!?」
「あなたに女の悦びを知ってもらおうと思って。いい話だと思わない?」
「く、おのれぇ……あぁ、胸が……きつい」
レオタードのなかで左右の乳房が膨らみ、張り詰めていくのを感じた。
「はぁ、はぁ……ひぃ!」
胸が布に押しつけられるもどかしさに胸を反らすと、
乳房全体が布に擦りつけられ自ら甘い痺れを喚ぶ。
「ふふ、いい感じよ」
期待と好奇の目で、アナスタシアを含めリングを取り巻く観客が紅影を見つめる。
そのなか、紅影の乳房は徐々に熱く、重くなり感覚も鋭くなっていく。
乳首は硬く立ち上がり、レオタード越しにでもその存在をアピールしていた。
「はうっ、くあぁっ!」
灼けつくような圧迫感に紅影は胸を蠢かすと、乳房はレオタードに擦れ、快感を生んだ。
快感に躯を焼かれ、胸をくねらせるとまた肉の悦楽を沸き上がらせてしまう。
何もできないまま、紅影は自分が自分を快楽責めする無限連鎖の中へ嵌まっていく。
「ああっ……あぁ……うっ、んむぅ……だめぇ、はうぅ……」
気がつくと、アナスタシアがじっくりと、さも愉しそうに汗が噴きでる紅影の表情を覗き込んでいた。
「どう?私の造った胸が大きくなる薬は。でも聞くまでもないわね。気持ちよさそうな顔してるもの」
「ば、馬鹿な……気持ちよくなど……くっ……ない!」
紅影は意志を振り絞り嘘を吐いた。しかし、紅影の嘘は誰の目にも明らかであった。
「あら、そう」
アナスタシアは紅影の震える乳房に両手を伸ばす。
「はっひいぃ!」
憎んでもあまりある敵の指によって熱い電撃を全身に走らせられる。
「あら?気持ちよくないんじゃないの?」
十本の指が無遠慮に紅影の胸を揉みしだく。