ハイスクールの頃から追いかけてきた宿敵―デキシー・クレメッツを倒し、気分は最高!  
…のはずだった。  
何かが足りない。アイツの倒れた姿を見たかったはずなのに…  
モヤモヤとした思いを抱えながら、着替えを持ったアタシはシャワールームの扉を開けた。  
アタシがここで一番お気に入りの場所。  
選手が女性ばかりとあって、シャワールームは凝った造りになってるの。  
淡いピンクのタイルにいい香りのシャンプーやソープ。まるでヨーロッパのプチホテルみたい。  
あら、先客…  
ホルスタイン柄のベストとチャップス。下にはブルーのショーツがちょこん、と置かれてる。  
本人は「ワイルドでセクシー!」なんてほざいてたけど、ダサいよ。  
胸のモヤモヤを払うように、アタシは扉を開けた。  
いくつかならんだシャワー、数人一緒に入れる広いバスタブ。  
壁づたいのシャワーを陣取ってるアイツがいた。  
豊かに実ったヒップ。くびれたウエスト。背中の面積からはみ出す牛みたいなバスト。湯をはじく白い肌。  
髪を洗い終わったアイツがゆっくり振り向く。  
 
「あら、今からシャワー?」  
豊満な肢体と、なーんも考えてないバカ面がアンバランス。  
人の気持ち知らないで…本当、変わってないんだから!  
「ええ、そうよ」  
「ふーん」  
それ以上は興味をなくしたのか、アイツは体を洗い始めた。  
白い肌を白い泡が覆っていく。首筋…肩…バスト…  
「背中、洗ってあげるよ」  
自分で言ったはずなのに…そのセリフに内心驚いちゃった。  
心臓がバクバクしてる。頬が熱いのは湯気のせいじゃない。多分。  
「ありがと。ハイ」  
なんでもない事のようにアイツはスポンジをアタシに渡す。  
そう、そうなのよ。アタシがいつも悩んで…それなのにアイツはいつも違う何かを見てるんだ。  
それからアタシは…あぁ、思い出すだけで赤くなっちゃう。  
アタシは自分のバストに泡を塗り付けて、ガバッとアイツに抱きついた。  
丁度フルネルソンの体制ね。色気のない話だけど。  
「ちょっ…アイーシャ、何のつもりよ!?」  
慌てふためくデキシーの声、初めて聞いたわ。  
「何って…洗ってあげるのよ。アイーシャ様に洗ってもらえるんだ。有り難く思いなよ」  
 
「なに考えてんのよ!やめっ…んんっ!」  
今のはアタシが乳首をキュッと摘んだから。力でこられると厄介だし、抵抗を封じておかなきゃね。  
素早く首筋に唇を這わせる。そのまま耳たぶへ…ピンクの唇へ。  
デキシーはしばらく唇を固く結んでいたけど、バストを優しくマッサージしながら舌で唇をツンツンしていたらようやく開門された。  
すかさず舌を入れこんだアタシ。歯列をなぞり、お目当ての舌を見つけてからませる。  
「んっ…んんっ…ふぁっ」  
無粋なシャワーの水音とアタシ達が舌を絡ませる音がシャワールームに響き渡る。  
アタシの手はデキシーの下腹部に達しようとしていた。  
柔らかなヘアを泡立て、中心のクレバスに指を滑り込ませる。  
「アイーシャ…もう…やめてっ…んあっ…ねぇ、お願いよ…!」  
デキシーの眉が切なげに寄せられ、屈辱か快感か目が潤んでる。  
そうよ。アタシが見たかったのはこの顔なんだ。  
「嫌ならアタシを殴ってでも止めてみたら?あんたなら出来るでしょ」  
クレバスを探りつつ、反対の手でとうに解放しているデキシーの手を握る。  
だらりと力が抜けていたデキシーの指が、アタシの指を強く握り返してきた。  
 
「リング以外で…あんたに暴力ふるいたくない…」  
潤んだ目でアタシを見据え、つぶやくデキシー。  
なによそれ…反則よ!  
「ねぇ、だからもうやめてっ…おかしいわよ…女同士でこんな…」  
「芸能界じゃ珍しくないわよ」  
 
…アタシに女の味を仕込んだのも女優だった。  
まだ駆け出しの頃、テーマソングを歌った映画に出ていた新人女優―  
暇を見つけては唇を寄せ合い、身体を弄り合った。  
その後、彼女はいくつもの賞を取り演技派女優に…アタシは世界の歌姫に。関係は自然消滅してしまった。  
 
それ以来、無性に女の柔らかな肌に溺れたい時があるの。  
もちろん、イイ男の逞しい腕に抱かれるのも好きよ。それとこれとはアタシの中では別物。  
相手には不自由してないわ。けど…  
「デキシーが欲しい。欲しいの。今更気づいたのよ…」  
アタシは愛撫を再開しながらデキシーの耳元で、喘ぐようにささやいた。  
 
観念したのか、デキシーの身体から力が抜ける。  
アタシはすかさずアイツの身体をひっくり返した。  
白く大きなバストの中心には、淡い色の大きめの乳輪。乳首はピンっと立ち上がり、アタシの愛撫を待ってる…  
下から持ち上げるようにタプッともみ出し、乳首を上に摘み上げ、指を離すとプルンっとバストが波打った。  
「あっ…ちょっと…オモチャじゃないのよ!」  
そんな顔で睨まれても怖くないよ。  
「ゴメンゴメン。洗ってあげる約束だったわね」  
アタシはデキシーのバストに自分のバストを合わせ、ゆっくり動き始めた。  
デキシーの真っ白な肌とアタシの褐色の肌。チョコレートとバニラのクリームのように溶け合ってる…  
自分でも、その光景はもの凄くエロティックに感じた。  
硬く立った乳首が擦れあい、甘い痺れが下腹部から湧き上がってくるわ。  
口付けをしながらも、手はクレバスをかき分けてラビアを指で挟み擦りあげ、クリトリスを親指で軽く押した。  
「あっ…あぅ…あぁぁ!」  
気持ちいいでしょ?分かるのよ、同じ女だから。  
「はぁ…はぁっ…あ…」  
デキシーの豊満な身体から力が抜ける。  
アタシはぐったりしたデキシーの身体をシャワーで洗い流した。  
床にへたり込んだアイツの脚を、アタシはゆっくりと開いた。  
金色の柔らかなヘアに覆われたサーモンピンクのプッシー。ぐっしょりと濡れて、テラテラ光ってる。  
ヘアをかき分け、ここよ!と主張しているクリトリスに唇をよせた。  
チュッと吸い上げるとデキシーの嬌声が上がる。  
「うぁっ!あっ…あんっやぁ!」  
上目使いで見上げると、デキシーと目が合った。ふふ、涙浮かべてる。  
「まだ終わらないよ」  
アタシは人差し指と中指をゆっくりとプッシーにあてがい、埋めていった。  
「はぁっ…」  
目をギュッとつむり、のけぞるデキシー。  
焦らすようにゆっくりと指を抜き差ししていく。  
乱暴な真似なんてしないわ。あくまで優しい…女の指を教えてあげる。  
クリトリスをいじりながらの指の抜き差しに、デキシーはすっかり感じいってるようだった。  
きっと今まで、スポーツのような健全なファックしかしてこなかったんでしょうね。  
「あぁぁぁっ!」  
ググッと奥まで差し入れた指を、中で広げる。  
柔らかくアタシの指を包んでいた内壁がピクリと蠢いた。  
 
脚を広げたまま、肩で息をするデキシー。  
「どう?ディックとはまた違う感じでしょ?」  
耳元でアタシが囁くと、荒い息のままコクン、と頷いた。  
満足したアタシはデキシーから離れた。  
―はずだったんだけど、腕を強く掴まれて床に転ばされた。  
形勢逆転。上気した顔でニッと笑うアイツ。  
「やられっぱなしは嫌…あたしもやったげる」  
そうだった。コイツはかなりの負けず嫌いだったんだ。今までそれがアタシに向けられる事が無かったから、忘れてたわ。  
「オーケー、上等よ」  
デキシーの頬に手を寄せ、強気に振る舞う。本当はものすごくドキドキしてるのに。  
ティーンの頃の初体験も、初めて女と寝た時も、今の興奮にはかなわないかも知れない。  
合図のように目を閉じると、デキシーの唇がそっと降りてきた。  
 
デキシーのセックス…アイツのファイトスタイルを見れば分かるでしょ?力まかせその物って感じよ。  
グイグイとバストやヒップを揉みしだかれる。  
こんな強さでディックを握られたら、普通の男は折れちゃうんじゃないかしら?  
ギュッと抓られた乳首がジンジンとうずく。痛みなのか快感なのか、自分でもわからない。  
まじまじとアタシのプッシーを見てつぶやいた言葉は忘れられない。  
「男はこんな所によく突っ込む気になれるわよねぇ」  
ねぇ、って言われても困るわよ!しかもアタシを目の前にして!  
悪気はないんだろうけど、やっぱり無神経だわ。コイツ。  
「えーと…ここ、かな?」  
ヴァギナを探り当てたデキシーが、指を一気に突っ込んだ。  
「あっ…あひっ…きゃぁ!」  
アタシの悲鳴がバスルームに響く。  
ひたすら繰り返される指のピストン運動。他の奴なら横っ面を張り倒してる所だけど、そんな気は起こらなかった。  
アタシのプッシーがデキシーの乱暴な抽挿に「もっと突いて!」と叫んでる。  
「あぁぁぁ!デキシー…うあっ、あぁっ!」  
外に聞こえるんじゃないか、なんて余裕は無かった。  
ガクガクと腰を揺さぶり、断末魔の獣みたいな嬌声を上げる。  
「すごい…指が抜けなくなりそう…」  
アタシのプッシーはいわゆる名器で、ベッドを共にした男からはよく絶賛されていた。  
デキシーは感想を素直に述べただけろうだけど、嬉しかった。  
鍛えてて良かった…って思ったもの。  
デキシーの一言に一喜一憂するアタシは、やっぱりコイツに振り回されてるんだ。  
 
そんな事を考えていたら、グイっと強い不意打ちを喰らい、一回目の波がきた。  
「あっ…あぁ…ねぇ…指、抜いて」  
不満そうな顔で渋々と指を抜くデキシー。  
アタシは達した後の重い身体を起こし、デキシーに覆い被さった。  
「アイーシャ…?」  
いぶかしげな顔でアタシを見上げるアイツを尻目に、開かせた足の間にゆっくりとプッシーを近づけた。  
お互いのラビアを合わせ、リズミカルに腰を動かす。  
「あ…はぁっ…あうっ」  
「いいでしょ?アタシはすごく気持ちいい…」  
ラビアとクリトリスが擦れ合い、クチャクチャと粘着質な音が鳴る。  
女同士のいい所は終わりがないって所ね。ねっとりした愛撫を一日中でも続けられる…  
デキシーの手がアタシのヒップをぎっちり掴み、腰を押し付ける。  
アタシ達はそのまま夢中で腰を振った。めくれ上がったクリトリスが当たって…すごくいい。  
アンタも気持ちいい?感じてくれたらすごく嬉しい。  
あ、そろそろ…クる。  
アタシはデキシーのバストを握り、一層強く腰を振った。  
「うっ…あぁぁ!」  
「デキシー…デキシー!」  
痛みを覚えるくらい強い快感が身体を貫く。  
アタシ達は快楽にとろけきったお互いの顔を見つめると、深くキスをした。  
オーガズムを迎えた後のけだるい心地よさに身をまかせる。  
シャワーで軽く身体を流したアタシ達は、バスで身体を密着させていた。  
シャワールームでは開放的になるのか、他の選手達の意外な素顔を見る事が出来た。  
ガキんちょ2人が潜りっこをして先生に怒られてたり、ニンジャガールがシャワーに驚いてたり(徹底したギミックよね)。  
でもシャワールームでこんな事をしたのはアタシ達くらいだろう。  
アタシはデキシーの肩口に顔を埋め、スリスリと甘えた。  
「あんたって猫みたいね」  
猫…初めて言われたわ。女豹に例えられた事はあるけど。  
「でかい山猫。でも甘えん坊なの」  
ふんだ…  
「アタシが猫ならアンタは牛よ」  
「あら、胸のこと?」  
「違うよ。バッファローみたいに荒くれだって事」  
「言ったな!こらぁ!」  
アタシ達はじゃれあって、お互いの顔にキスの雨を降らせる。  
最初は屈辱に満ちた顔を見るのが目的だった。やっぱりコイツにはかなわないわ。全然悔しくないアタシはイカレてる。  
「ねぇ、来月ニースの別荘に行くの。一緒に行かない?」  
「私と…?いいの?」  
「アンタと行きたいのよ。デキシー」  
貴重なオフを、アンタとのメイクラブに費やしたいの。  
 
ニースでのバカンスは楽しかったわ…  
昼間は健全にマリンスポーツを楽しみ、部屋の中では2人共一糸まとわぬ姿で、じゃれあった。  
フルーツやスウィーツを口移しで、極上のシャンパンはバストやクレバスの器で味わった。  
そう…楽しかった。最後の夜までは。  
最後の夜は2人でラブチェアに座り、録画していたランブルローズの試合を見ていた。  
この選手はここのガードが甘い。こいつのこの動きが出たら気をつけろ…  
って真面目に勉強会をしていたの。不真面目な格好で。  
ヒノモトとデキシーの試合を見ていた時、アタシは思わず言った。  
「ねぇ…ちょっとくっつきすぎじゃない?」  
だって、他の選手より間接技を多く掛けてたのよ。  
「はぁ?何言ってるのよ。レイコにはそんな不純な思いは抱いてないわ」  
「何よ?じゃあアタシとの事は不純だって言いたいの?」  
「そんな事言ってないでしょ!?この分からず屋!」  
「なんですってぇ!この白豚女!」  
「白豚ぁ?メスゴリラのくせに!胸も筋肉なら頭も筋肉なのね!」  
「頭もアソコも締まりのユルい奴に言われたくないね!」  
「「…ブッ潰す!」」  
頭の中で、ゴングが鳴った。  
その後?…あれが試合だったら、大熱狂だったと思うわ。  
部屋を彩っていたお気に入りの家具は凶器に。  
この日のために用意した、セクシーなランジェリーはボロ布に。  
聞こえてくるのは嬌声ではなく  
「沈めぇぇぇっ!!」だの  
「くたばれェェェ!!」だの物騒な掛け声。  
闘いは朝まで続き、帰りはお互い一言も口をきかなかった。  
でも、アタシは喧嘩をしてもやり直せると思ってたの。  
…だからアイツがヒールに転向した時は心臓が止まるかと思ったわ!  
あれってアタシのせいなの?  
思わず「頭…大丈夫?」って聞いちゃったもの。まぁ、大丈夫じゃなかったんだけどね…  
アタシをボコボコにしたインチキ警部は、そのままバイクに乗って去って行った…それっきり音信不通よ。  
そのイライラで最近のアタシは、ラフファイトが多くなってる。自分でも分かるわ。  
この際だからアタシもヒールに転向しようかしら?  
…そうよ。そうだわ!ヒールになればアイツに会えるかも!  
筋書きはそうね…「世紀の歌姫、ショーダンサーに転落!」なんてどう?  
そうと決まれば早速準備よ!  
ずっと追いかけて来たんだ。こんな事で挫けてらんないわ。  
…待ってな、アタシのカウガール!  
 

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