「はぁ…」
俺は一人悩んでいた。
先日、泰輔と帰り際、シーに血が繋がってないことを言うべきだと言われたからだ。
もうシーだって21だし、充分大人だ。
でも、父親の過去を知って傷ついて泣いてしまうぐらい脆い妹だから、心配なのだ。
その時、もう店じまいして片付けていた店のドアを叩く音がした。
開けると、そこには静奈がいた。
「こんな遅くにどうしたよ」
「ちょっと聞いてよお兄!泰兄ってば、ひどいんだよぉー」
シーは独特のむすっとした顔で椅子に座って愚痴り始めた。
どうやらバイト代を使って豪遊してきた泰輔が、酔った勢いで女を連れ込みかけたことにシーがキレて出てきてしまったらしい。
「まぁ、あいつだって、きっと今頃反省してるよ」
「いいの!今日は顔見たくない気分!」
またむすっとした顔でごくごくと水を飲み干すと、シーは俺を見上げて無邪気な笑顔を向ける。
「今日は功兄の部屋に泊まろうかな!」
「…は!?」
「たまにはいいじゃない?」
さっきまでシーのことで悩んでいた身としては、いきなりのことにちょっときょどる。
あぁ、うん、なんて困っているとシーがまた少しむくれたような顔で。
「……だめ?」
なんて、上目遣いで言ってくるからこっちは断れるはずがない。
とは言っても、狭い一人分の部屋だから、仕方なく俺が床に予備の毛布を敷いて寝ることにする。
それを見たシーは、少し申し訳なさそうな顔をした。
「お兄、こんなとこに一人でいて…寂しくないの?」
「別に俺は馴れてるから」
俺が言うと、そう、ってシーは頷いて。持っていた鞄から何かを引っ張り出す。
「ねぇ」
「え?」
「ちょっと寝間着に着替えるから」
少しの間の後、シーがこっちをまた上目遣いで見つめてくる。
「…あの、出てってくんない?」
「……っあ!」
慌てて床から立ち上がった拍子に、低い天井にがん!と頭をぶつけてしまう。
「ちょっ、お兄、大丈夫!?」
「あ、あぁ、だい、大丈夫だから、うん、わかった、ちょっ、出てくるな!」
慌てて部屋から出て、ドアをばたんと閉める。
そうだ。よく考えたら、こんな歳になったシーと二人っきりになるのは…。
その時、ドア越しにかちゃ、と音がする。
恐らく、ベルトを外す音。その後、しゅる、と衣擦れの音がして、ぱさ、と布が落とされる音。
その音に心音が急に高くなってくる。それに、やけに身体が熱くなる。
…って、俺、なに考えてるんだよっ!!
「もういいよぉー」
「うぉ!」
いきなりシーの声が後ろからして、ドアが開かれてきょどる。
「なになにぃ?お兄、もしかしてー」
「ばっ、ばか!!な、何もしてねーよ!」
「…まだ何も言ってないんだけど」
シーはラフなTシャツと黒い短いパンツに着替えていた。
そこから覗く、白くて細い脚が月明かりに照らされている。
それを見ないようにしながら、じゃあおやすみ、と言って俺は寝転がる。
シーは疲れていたのか、すぅ、とすぐ寝息をたて始めたのが聞こえた。
俺は何となく眠れずに、天井をぼうっと見つめる。時間だけが過ぎていく。
「…うぅん……」
シーが小さく声を漏らして、寝返りをうつ。
その小さな声でさえ、昔の無邪気さは消えないものの、色っぽさを持っている気がする。
んー、とまた声を漏らしつつ、枕を抱き締めて。
「…うわ、ちょっ…」
そしたら、シーがまた寝返りをうって、ベッドから落ちそうになるのに慌てて起き上がる。
シーの身体は見事に床に墜落したが、俺が咄嗟に腕を伸ばして支えたので、衝撃はなかったようだ。
当の本人は全く気づかず、俺の腕の中でまた小さく声を漏らしている。
「全くもう…」
そう呟いて、ふと見下ろしたシーの少し楽な感じのTシャツの胸元から中が微妙に覗いて、慌てて目を逸らす。
ぶんぶんと首を振ると、そうっとシーの身体を押し戻すようにして、ベッドにまた寝かせる。
落ちかけていた毛布もかけてやろうと立ち上がる。
「んー…」
またシーが声を漏らして身体を少しよじるのに、どきりとする。
シーのTシャツは少し乱れて、細い腰のラインがちらりと見えていた。
風邪をひくと思って、直してやろうと恐る恐るTシャツに手を伸ばす。
その瞬間、シーがまた唸って身体を少しよじるから、手がTシャツに触れてしまう。
咄嗟に触れた感触が、柔らかくて。こ、これって…。
伸ばした手が、何故かシーの胸辺りに乗っているのに気づいて慌てる。
…って俺は変態か!妹だぞ!静奈は!
そう思いつつ、こないだの泰輔とのやりとりを思い出す。
――もし俺が、女として、シーのこと、好きだったら?
いや、そんなの、きっと無理で。シーはそんなこと知ったら、父親のことより傷つくかもしれない。
そう思った。シーを傷つけたくない。誰よりも大切だから。だけど。
「…っん、」
ただ触れているだけの手を、ゆっくり動かしてみる。
なで回すように胸辺りに触れると、シーがぴく、と小さく反応する。
それにまた、さっきのように身体が熱くなってきた。
「ん、んっ……」
ゆっくり何度も撫でるようにしていると、シーが小さく震える。
何度も撫でていると、だんだんシャツ越しの胸に少し固い部分が出来てきたのに気づいた。
それに指先で触れると、シーがぴく、と肩を震わせる。
「…しー…」
小さく名前を呼ぶ。愛おしくて仕方が無くなってきた。
どんどん身体が熱くなると同時に、俺の手の動きは強くなって。
戸惑いながらも、おずおずと少しだけ強めに胸の辺りを力を込めて触れる。
「っ、や…!」
すると、シーが一際高い声を上げてびくりと身体を跳ねさせる。
俺は吃驚して、やばいと思って手を引っ込めようとする。
その瞬間、ぱちりとシーの目が開いた。
「っ、うわ、わっ…!」
「……おにぃ?」
寝ぼけた様に、舌っ足らずに呼んでくるシーに慌てて。
引っ込めようとした手はまだ胸の辺りにあるのに気づく。
「……何、してんの?」
「い、いや、ち、違うんだよ、シー!」
言ってることとやってることが全然違う俺は、てんぱりながら手を引こうとする。
そしたら、温かいシーの手が急に俺の手に触れて驚く。
「……いいよ、別に」
「はっ!?」
「別に、…初めてじゃないし」
「ちょ、っ…!おま!」
「…嘘だよー。まだ、処女ですー」
そうおどけた台詞を言いながらも、シーの俯いた睫毛は震えて、声も低くて小さかった。
長い長い沈黙に、俺はもうこのまま消えてしまいたいとさえ思った。
暫くしてから、シーが目だけを上げる。また、俺がすげー弱い上目遣いだ。
「…お兄も、寂しいんだよね?」
「え?」
「ここにずっと一人でさ。ずっと、あたしたち二人の為に色々言ってくれてさ。あたし、本当は感謝してるの。お兄にすっごく」
「しー…」
「…だから、いいよ。お兄なら…」
そう小さな声で言うシーにどくん、と又身体は熱くなって。
強く抱き締めてしまいたい衝動に駆られる。
「でも、初めてだから…」
「…俺、だって、初めてだよっ…」
俺がぼそぼそと言うと、シーは起こしていた上半身をゆっくり寝かせて、俺の手をそのまま引く。
「…優しくして、ね。功兄」
俺はごくりと唾を飲み込んで、そのままシーの上に跨るようにしてベッドに乗る。
月明かりに照らされたシーは、今まで見てきたどんな女より綺麗すぎると思った。
「シー…ここ、気持ちよかった、か?」
「んっ…」
ゆっくり、触れたままだった手をシャツの上からまた優しく、撫で回すようにする。
「ん、わ、かんないけど…っ、なんか、変な感じ…」
「そっか。こうは?」
「っ、あんっ!」
小さく答えるシーが可愛いと思いながら、また強く揉むように触れると、シーは高い声を上げる。
「ん、ん…わか、んないよぉ…」
涙目でそう言いながら見上げてくるのだ。やばい。
「…な、直接、触ってもいい、か…?」
「ん、ぅ…」
俺が恐る恐る聞くと、シーはこく、と躊躇いがちに頷く。
ゆっくりシャツをたくしあげていくと、白い肌が露わになっていく。
当たり前だが、シーのそれはもう幼い頃のものとは違う。現れたシーの肌にまたごくりと唾を飲む。
「な、何でそんな見るの…」
「いや、シーさ、…すごく…綺麗だから」
「っ、お兄、恥ずかしくないの?そんなことっ…」
むくれたように言うシーが、照れてるって分かってまたドキドキする。
白いレースで覆われたブラジャーの上から、膨らみに優しく触れる。さっきよりずっと温かかった。
「っあ、…ん、」
ゆっくり撫でるようにするとシーが身体を捩る。
「気持ちいい、か?」
「ん、んっ…」
こくりと頷くシーに、また強く揉むようにする。
「お、お兄っ…ねぇ、」
「ん?」
「あ、あのさっ…ちゃ、んとさわっ…て、よ」
暫くそうしていると、シーが遠慮がちに言葉を返してくる。
「あ、あぁ、う、うん…」
「何でそんな、自信なさそうなのっ…」
「いや、あの、さ…」
目を泳がせる俺に察したのか、シーが少しだけ身体を起こす。
「…ここの、後ろ、にあるから」
「え?」
「ホック、外して」
「…お、俺が?」
「じ、自分でやるのなんか、恥ずかしいよぉ…」
「あ、そ、そっか、そうだよな…ごめん」
俺はそろそろとシーの薄い背中に手を伸ばして、ホックらしき部分に手をかける。
次の瞬間、はら、とブラジャーが取れる。
「っあ、やだっ…」
シーは顔を真っ赤にして慌てて胸を隠そうとする。
その仕草が可愛くて、そのままゆっくり肩を押してまた寝かせる。
「やっ、…あ、お兄…」
露わになった胸に手を添えて、直接触れるとシーはさっきよりもずっと甘い声を上げる。
俺はそのまま、シーの白い肌に吸い込まれるように唇を落とす。
「…ひゃっ!や、ちょっ、と…!」
「気持ちいいか?」
「っん、き、もちい、けどっ…」
もうシャツ越しに触れるだけで固くなっていたその紅い昂ぶりに唇をつけると、シーはびくんと全身で反応した。
恥ずかしそうにしながらも声を漏らす。
ゆっくり右手で柔らかい胸を揉みながら、左の乳首を吸う。
そのまま、ゆっくり左手をまだ履いたままのズボンへと伸ばして上から撫でる。
「っ…!お、にぃっ…」
シーがそれに反応して、涙目を見開く。
俺の身体は既に後戻りできないほど熱くなっていたが、相手は大事な妹だ。
「嫌なら、いいよ。シー」
「…っ、やじゃ、ないけど…」
優しく囁いてやると、シーは真っ赤にした顔を俯かせる。
「脱がせて、いい?」
「…っん…」
シーの顔を伺いながら尋ねて。ゆっくりズボンを下ろす。
ブラジャーと同じレースの白い下着が姿を現して。それを見ただけで、下半身に熱が一気に集中する。
「しー…」
「っや、…お、にぃ…」
緩くシーの身体を抱き締めながら、耳元で名前を呼ぶ。
そうして左手を下着の中に手を差し入れると、シーの身体が強張る。
初めて触れたそこは、俺と同じように熱を持っていて驚く。伸ばした指先が、くちゅり、と水音を立てて粘液に触れる。
「あぁっ…や、お兄っ、恥ずかしっ…!」
AVでよく見た、女が感じている証拠だ。シーが俺で感じてくれていたことが嬉しくてたまらなくなる。
手探りで割れ目に触れて指先を微かに差し込み、ゆっくりかき回す。またくちゅ、くちゅ、と卑猥な水音が響く。
シーはそれに顔を真っ赤にして唇を噛みしめる。
「っ…!」
触れていた手が何かつんと尖ったものに当たり、シーの身体がびくりと跳ねる。
震える身体を見下ろしながら、ゆっくり下着を下ろす。
まだこらの男の誰にも荒らされていない秘所が姿を現す。
「ひゃぁっ!?や、ちょっ…!」
そのまま衝動的に身体を下にずらして指先で探り当てたその尖った部分を口に含む。
シーは驚いたようで身体を仰け反らせて高い声を上げる。
「あぁっ、…そ、そんなとこっ…だ、めぇ…っ!」
制止の声を上げながらも、その部分は優しく強く吸うとどんどん紅く熟していく。
びくびくと身体を震わせながら身体を捩らせるシーに止まらなくなる。
――シー、お前が好きだ。…妹として、じゃなくて。
とろとろと蜜のような液が潤した溢れ出、割れ目はひくひくと震えている。
そこをじっと観察するとシーが恥ずかしそうに目を逸らすのが分かった。
「あっ…」
人差し指だけをそろそろと女の入り口に添えると、シーは声を漏らしてぐっと唇を噛みしめた。
「シー、お兄ちゃん、ここにいるからな」
「う、うん…」
「痛かったら、やめるから」
言い聞かせるように優しく言うと、シーは小さな子供のようにこくりと頷く。
それを合図に指先を熱い肉壁の中にそっと埋める。
「…痛いか?」
シーが首を振るのを確認してゆっくりと奥深くまで挿入すると、は、とシーが息を吐いた。
熱い。こんなに中は熱いものなのか。
遠慮がちに動かすと、中の熱い肉が指にまとわりつく。その感触だけで高揚する。
「しー…」
「んっ…あ、お兄…」
不安な顔をする妹の顔を覗き込んで、こつりと額を合わせる。
するとシーは微かに微笑む。昔から、シーの笑顔ひとつで俺は幸せになった。それは今でも変わらない。
「お兄…あの、あのね…」
「ん?」
「…キス、してくれない?」
小さく呟いてシーはちらりと俺を上目遣いで見つめる。
ここまでしておいて、キスするということが妙に恥ずかしくて顔が赤くなるのが分かった。
大事な妹と、本当の恋人同士になったようで照れ臭かったからだ。
「んっ…」
シーの柔らかな唇に己のそれを重ねる。鼻にかかった甘い声に酔いそうになる。
「んっ、ふぅ…んぅ、ん……」
どちらからともなく舌を絡め合う。熱く重なる息が体温を上げていくのが分かった。
そうしながら奥まで埋めた指をほぐすようにかき回す。
昔は小さくて可愛くて、俺が守ってやらなければと必死だった。
今はこんなに美しく成長して尚、俺のことを慕ってくれているシー。
シーのことは誰よりも長く見守ってきたのに、身体は俺の知らないところで大人に成長していた。
もしシーがそこらの男に抱かれるなんて今想像したら、俺は重い嫉妬どころじゃもう済まなくなりそうだ。
ゆっくりキスをしてやりながら焦らず指を増やしていく。
くちゅりと中でも熱い蜜が溢れ指に絡みつき、早く欲しいとねだっていた。
「しー…怖いか?」
「うっ、ん…ん、」
俺が優しく聞くと、シーは溜まっていた涙を一筋零して頷く。素直に言ってくれることが嬉しかった。
「でも、お兄、なら…やじゃ、ないよ…」
か細い声と見上げる目に、どくんと身体が熱くなる。
シー、頼むから、俺以外の男にはそんな顔も台詞もしないでくれよ。例え演技でも。
シーの細長い指が、おずおずと伸ばされてくる。
「うっ…」
それがズボン越しに俺の中心に触れると、思わず小さな声を漏らす。
自分でも驚くほどそこは熱くなっていた。どんなAVを見た時よりもだ。
「はぁっ、…しー…」
余裕のない声を上げる自分に情けなく思いながらも、ゆっくりズボンから己自身を取り出す。
熱くたぎったそれを見ると、シーは恥ずかしそうにまた目を逸らす。
「あ、そ、そうだ…あれ…」
ここまで来て挿入にはコンドームを着けなければ、と無駄に持っている予備知識が頭をよぎる。
確か、こないだシーが配ってたやつを没収したのが…。
するとシーの手が今度は俺の手首に伸びてきて掴む。
「…いいよ、お兄。そのままで。今日、危険日じゃないし」
「っ、そ、そう言ったって、お前…」
「それに、あたし…」
演技では魔性の本能を発揮するシーだが、俺の目の前にいるのは恥じらいを知る汚れない少女だった。
「…お兄の、ぜんぶがほしいよ…」
小さな声だがはっきりそう言った。いや、そんなことを言える時点で魔性なのか?
そんなことを考えている余裕はなかった。
「っ、シー!シーっ…!!」
シーの身体や今後のことを考えて、最後までやるのはもっと考えてやろうと思っていたのに、身体は勝手に動いて止められなくなる。
頭がついていけてない。こんな感覚知らなかった。
「はぁっ、あ…」
「くっ…」
熱く柔らかく溶けそうな入り口に己自身を押しつけ、ゆっくり腰を押しつける。
味わったことのない感覚にどうにかなりそうだ。
シーは苦しそうに顔をしかめてシーツを握りしめた。
僅かに残る理性を振り絞って、また軽くキスをしてやりながら慎重に腰を進める。
「くぁ、…シーの、中っ…熱い…」
「っふー…うぅっ…」
シーの頬は涙が止めどなく溢れ真っ赤に染まっていて、それが余計俺を煽った。
こんな無理やり侵入してくる俺の背中に必死に腕を回し、しがみつくシー。
俺は荒い息を吐きながらシーの肩に顔を埋める。
「はぁっ、はぁっ…」
「お…にぃ、…はいっ…た?」
「っく、は、いったよ…」
全てを収めると、その熱さに激しく突き上げてしまいそうになる腰をぐっと抑える。
「…痛くない、か?」
「ちょっ、いたい…かも、でも平気…」
「っ、ゆっくり、動く、な…」
ゆっくり微かに腰を動かし、自身を更に奥へ埋め込む。
それだけで内壁がきつく絡みついてくる感触に息を漏らす。
だんだん、顔を苦しそうに歪めていたシーの頬は紅潮し、艶っぽい息を吐き出す。
「シー…気持ちいい、か…?」
「んっ、もぉ、いちいち、聞かなっ…」
ぎゅ、と俺の肩に顔を恥ずかしそうに埋める妹に、ほんの少しの罪悪感が芽生える。
俺は好きでも、シーにとって俺は、やっぱり兄でしかないだろうに。
例え血が繋がっていなくても。…今、こうしているのだって。
「っ、また、可哀想な顔に、なってる…」
快感に潤んだ瞳で俺を見上げてくるシーをそっと抱き締める。シーの腕も背中まで回る。
「…あたし、本当に嬉しかったんだよ?ほんとはね、いつも心のどっかでお兄のこと想ってた。お兄よりずっと格好良い男も、優しい男もいっぱいいたけどさ。お兄といつも…比べちゃう、んだよね」
「シー…」
「こんなこと、誰かとするなんてまだ想像もできなかったし、したくないって思ってた。でも、お兄ならいいんだって…今日、分かったから…」
震える声で、しかし淡々と話し終わると、シーはちら、とまた俺を見上げる。
「功兄が、好きだよ…」
火照った身体を震わせながらも、健気に俺を見上げて伝えてくるシーに俺はうっかり泣きそうになっていた。
こんな俺を、ずっと兄として想ってくれて、そうでなくても好き、だなんて。
「お兄、と…ちゃんと今、繋がってる…?」
「…っあぁ、繋がってるよ…シー…」
「ぁ、すご…い…」
恐る恐るシーの指先が結合部に伸ばされて、熱い入り口に埋まっている俺自身を微かに撫でる。
その感覚にぞわりと背が震える。
「やっ!な、なにっ…」
「…あっ、わ、悪い…」
シーに直接触れられて、自身がシーの中でどくんと脈打ったのに、シーがびくんと驚いて手を引っ込める。
それに耐えられず、先程より大きく、ぐいっと腰を深めるとシーの身体が跳ねる。
「はぁっ!あっ、ぁっ…!」
「シー!シーっ…!」
「あんっ、ぁっ、やっ、こう…あぁっ!」
シーの中は熱くて狭くて、突き上げるたびきつく肉壁が絡みつく。
優しくすると決めたはずなのにそれに抗えず、何度も何度も激しく突き上げ、狭いベッドがぎしぎしと鳴っていた。
「やぁっ、おにぃ、あぁ、あっ、ん、んっ…!」
「くっ、ぁ、やばいっ…!シーっ!」
「あ、あんっ、あ、ぁっ、ん、んーっ…!!」
「…くぅ、ん…!!」
自身の先に熱を感じながら、最奥まで一気に突き上げると、シーが一際高い声を上げ、びくびくと下肢を戦慄かせる。
その搾り取るような締め付けに俺は呆気なく果て、熱い最奥まで己の欲望を吐き出してしまった。
「や…はぁっ、あっ…ぁ、…」
「…シー…?」
「お、お兄のが…中、に…きてる…」
荒い息を吐きながら、びく、びくと未だ身体を震わせるシーは嬉しそうに小さく呟く。
どくどくとシーの中を尚貪るように注ぎ込まれていくそれにすら、シーは感じて震えた。
「静奈…」
腕を回してきつく抱き締める。シーのか細い身体を全て俺のものにするように。
誰にも渡さない。シーはもう俺のものだ。手に入れたと、…そう思った。
「気持ちよかったか?」
「ん…」
少し戸惑いつつも尋ねてみると、シーはこくりと頷いて俺の肩に額をつける。
また強く抱き締めて、背中を優しくさする。シーは昔から、こうされると心地よくてすぐ眠りについた。
「功兄、優しくしてくれて…ありがと」
「いや、…俺…」
「でも、あたしたちって…兄妹なんだよね…」
ぽつりと腕の中でシーが呟いた言葉に少し黙る。今なら、言えるか。…今なら。
「シー、あの、な。実は、俺たちさ…」
「……」
「…シー?」
ふと目線を下ろすと、シーはもうすやすやと眠りについていた。
やっぱり疲れていたのだろう。最近それでなくても過去について色々とシーは考えすぎている。
…まだ、いいか。今はシーのことを大切にしたい。
囁いて毛布を肩まで引き上げ、シーを緩く抱き締め直す。どんなことがあっても守れるように。
「ぅん……」
またシーは小さく声を漏らして俺にすり寄ってくる。
その無邪気な寝顔はやはり、昔と全く変わっていない。
「…静奈、おやすみ」
どうかこの世界が、これ以上、この大切な人を傷つけないように祈りながら囁く。
程よく薄い桃色の唇にちゅ、と恋人のキスを落とすと俺も瞼を下ろした。
月明かりに照らされた世界が、何よりも綺麗に思えた。