「神様・・・イスカンダール様・・・どうか、私に力をお貸し下さい。  
 ・・・・・世界を救うために。  
 そのためなら、私は全てを失ってもかまいません。  
 どうか・・・・・」  
 
固く目を閉じ、顔の前で両手を組んで祈り続けている女騎士。  
・・・ただ静かに。  
彼女の前にはテトラフォースと呼ばれる不思議な四角錐。七大驚異にあったものを、ある少女に譲ってもらったのだが、確かに力が感じられるのだか彼女にはそれをどう扱って良いものか皆目見当もつかず・・・しかし、失われし神の力が宿っていると信じ、毎夜祈りを捧げていた。  
その時、彼女の頭の中に何かが流れ込んでくるような、今まで味わった事のない感覚が襲った。  
『な、何?・・・あ、頭が・・・』  
ぐらり、と平衡感覚を失った身体が床に倒れる。鎧がぶつかる音が夜の城内にひときわ大きく響いた。  
間を置かずにばたばたと何人もの兵士が廊下を走ってくる足音。  
「ジーン様!ジーン様、どうかなされましたか?」  
その声で我に返ったジーンは慌てて体勢を直して扉の向こうに声を上げる。  
「なんでもない!下がりなさい」  
「はっ」  
先程の奇妙な感覚はすでに消えていたが、ジーンはただテトラフォースを見つめていた。  
『・・・声が聞こえた・・・』  
 
その夜を境に、彼女はだんだん狂っていく。  
 
それから、城内ではジーンに関する様々な噂が飛び交い始めた。  
若くして領主直属の騎士に任命されたが、決してその立場に奢ることはなく、庶民の立場から物事を考えることで信望も高かった。しかし、  
「あいつ、何かあったのかな」  
「あんなに信心深かったか?」  
「時々、ぶつぶつひとりで何か言ってるんだ、ちょっと怖いよ」  
そういった不穏な噂が城内に広まっていた。  
だが、そういった一方で、  
「この前の御前試合で男の中に混じって優勝したらしいぜ」  
「なんだか急に・・・綺麗になったよな」  
数少ない女騎士ではあったが、特別目立つといった事もなかった彼女の周りにいつも多くの男が集まるようになっていた。  
いつしか彼女はその実力と実績で一小隊を任されるようになり、彼女の下についた兵士達は皆、身を挺して彼女を守るようになった。  
だが、言い寄ってくる男には全く興味がないようだった・・・夜になると、彼女は決して固く扉を閉ざした自室から出てくる気配がなかったからだ。  
 
そして二つの月が浮かぶ夜、彼女はベッドの上で身をよじっていた。  
「神様・・・イスカンダール様・・・  
 はい・・・・はい、世界のためなら、私はどうなってもかまいません。」  
既に、彼女は身に何も纏ってはいなかった。  
「はっ・・・ふぅっ・・・・ん・・・  
声を押し殺しながら、彼女は自慰に耽っていた。  
いや、自分でしているのか、そうではないのか・・・わからなかった。  
彼女の傍らにはテトラフォースが3つ、淡い光を放っていた。  
「この身は・・・神様のもの・・・」  
ジーンは足を開き、そこを両手で広げた。  
「どうぞ・・・捧げます・・・私・・の・・・」  
そこはにわかにひくついて、とろとろと溶けて月光に光っていた。  
そこに・・・硬質の、冷たい何かが押し付けられるのを感じた。  
「ひっ・・・」  
氷のように冷たいそれがゆっくりと埋め込まれていく。固くて冷たい、しかし波動のような力が感じられて、それは身体の内部に直接響いていた。  
「あ・・・あぁ・・・・・」  
ジーンの身体は金縛りにあったかのように、あるいは何かに押さえ付けられているかのように動かなかった。抵抗できないまま、ただ自分の中に何かが挿入されてゆく。  
「あぁ・・・?・・・か・・・みさま・・・力の・・・代償?  
 もちろんです・・私は、この身がどうなろうと・・・世界を救うためなら・・・」  
その時、ぶつん、という音と共に一気に最奥までそれが入り込んだ。  
 
「あぁぁッ!!」  
何も、見えなかった。ただ目の前は黒い闇、彼女はただ複数の男達に弄ばれるように全身を責められた。  
胸を揉みしだかれる感覚、耳の中に舌が入り込んでくる感覚、口の中に異物が押し込まれて喉に広がる苦み・・・  
首を、脇を、太ももを、ありとあらゆる部分を嘗めまわされ、吸われ、時折歯を立てられる感覚。  
 
  『力をやろう。だが、その代償にお前の身体を頂く』  
 
はっきりとそう聞こえた。  
「・・・ん・・・んんッ!!  
後ろの穴に、先刻前を押し広げたあの異物があてがわれ、無理矢理、力のみで内部にねじり込まれた。  
「ッ・・・あぁ・・ぐッ・・ん、んんーーーーーッ」  
口の中にも同じ感覚。それはずるずると身体の奥深くに入り込んでゆく。  
やがてそれは大きさを増し、奥を突き広げていきながら何度も出入りをくり返す。身体の内部で擦れあい、波動が共鳴して全身に激しい苦痛と、それ以上に鮮明な快感を与える。  
「んッ・・・んーーッ・・・ん、んう・・ッ」  
もう既に限界まで追い込まれていたが・・・それは、ギリギリのところで動きを変え、ジーンはただ拷問のような時間を味わっていた。  
「イきたい・・・もう・・・」  
 
  『良かろう・・・望みを叶えてやろう・・・』  
 
一斉に突き込まれ、内部に熱い流れが射出され、同時にジーンは絶頂を迎えた。  
満たされたと同時に、自分の中に自分のものではない力が宿ったのを確かに感じていた。  
 
 
目が覚めた時・・・既に彼女はジーンではなかった。  
傍らにある3つのテトラフォースが鈍く輝いていた。  
「私はこの世界の救世主・・・私がこの世界を守る・・・誰も私を止めることなど、できない・・・」  
 
 
Fin  
 

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