北大陸の大ミミズの穴の中、ヴァージニア―――ジニー・ナイツたちは、好奇心ゆえの探索を行っていた。  
人一倍好奇心が高く、物怖じしないジニーの性格を考えれば、ノースゲートという未開の地を前にして黙っているわけが無かった。  
ジニー、プルミエール、ロベルト、グスタフという四人のパーティを組み、何人も先行するディガーがいるという大ミミズの巣へと入ったのだった。  
生息するモンスターの種類は主に蟻と植物とスライム。  
蟻と植物はこちらから手を出さない限りは共倒れしてくれるが、  
スライムは分裂を繰り返し、倒しても倒しても減らず、倒すたびに体液が飛び散り、ジトジトとした穴の中の気分をさらに悪いものとさせてくる。  
 
「大ミミズって名前の割には、さっきから出てくる敵にそんな奴いねーな。  
うー、こんなでけー蟻だと人も食いそうでおっかねーぜ」  
年長者のロベルトは、今までの戦闘で生じた喉の渇きを訴え、酒瓶を開けて一口に含んだ。  
本当は喉の乾きというより気分的なものが大きいが、この一杯で今までの戦いの疲労もやや取れた。  
酒瓶を振るとちゃぷちゃぷ音がするものの、随分量が減ったもので、そろそろ補給に帰りたいと思っているときだった。  
「帰ったらぐいーっと一杯、お冷でも飲んで、それからアルコールがたっぷりな蒸留酒でも飲んで・・・」  
帰ってからの皮算用に考えを奪われていると、足元がお留守に。  
コツと地面のでこぼこに足が突っかかり、体勢を大きく崩した!  
「うわわわわわっ!!」  
そのまま倒れてはならん、と本能が働き、ミミズ穴に無数にある木のツルを掴み、何とか転倒を防いだ。  
しかし、それで済むわけが無い。  
蜘蛛の巣のように張り巡らされたツルは、この地に生息するアリの主食なのだ。  
更には地中のいたるところに根を張っており、一部を強く引っ張るとどこかが崩れることもある。  
 
次の瞬間、目の前には緑と赤の甲殻に包まれた巨大蟻キャリアーアントがボタッと落ちてきた。  
複眼とロベルトの二つの瞳がぴったりと合った。  
「ブーーっ!!!」  
思わず口の中に入っていた酒を思いっきり拭きかけ、キャリアーアントを怯ませる。  
穴の中は薄暗く、蟻と遭遇すると思わずロベルトが叫んで一歩下がってから戦闘準備をとっていたが、  
この時はかなり接近を許していたため、距離をとる前にキャリアーアントは距離をあっという間に縮め、ロベルトのブーツに噛み付いた。  
「うおっ!」  
足を振って、何とか剥がそうとするロベルトだが、この甲虫の力は予想外に強く、ブーツを破って、足に蟻の歯が当たっているのが分かる。  
(食い破られる、500CRもしたのに! 俺の血と汗となみだが詰まったこのブーツが蟻如きにアリだーーっ!!)  
訳が分からない言葉が頭を駆け巡る中、救いの手(杖)が入った。  
「もー、ロベルト〜、それでも男なの! プルミエールの方がまだ男らしいよ」  
長く束ねた髪の毛を払い、ジニーがロベルトの足に噛み付いたキャリアーアントの脳天へ杖を思いっきり叩き付けた!  
二度、三度、骨を砕くような力で銀還の杖をたたきつけると、キャリアーアントの力が緩んだ。  
「もういっちょ!」  
そして、ブーツから離れたところでゴルフのように大きく振りかぶって杖を回し、壁の方へと突き飛ばした!  
 
その後ろから、気が強そうな面体のもう一人の女性プルミエールが突っ込んできた。  
「ちょっとジニー、その言い方は私に失礼じゃないかしら!?」  
といいながら、プルミエールはジニーへの怒りをそのまま押し込めるかのように槍をキャリアーアントの硬い甲殻に突き立て、  
蜘蛛の巣にかかった獲物のようにじたばた暴れ始めたが、体重を込めて無理やり押し込んだ。  
蟻はなおも生きており、6本の足をばたつかせ、プルミエールを弾こうとするが、突然の横からの追撃によって頭部が吹き飛ばされ、生命活動を止めた。  
「大丈夫か? ロベルト、プルミエール」  
「ああ、ちょっと靴がやられたけどな」  
羊のような頭をしているグスタフが、赤い色の剣についた蟻の体液を拭き取りながら聞いた。  
しかし、まだこの辺りに敵がいるという警戒を捨てきれず、辺りを見回すと、プルミエールの後ろにもう一匹別の蟻が居ることに気付いた。  
アリが既にこちらへと飛んでくる勢いで攻撃へと転じていたため、声を出して警戒をすることも出来ないため、とっさの判断で彼女を突き飛ばした!  
急に標的が変わったものの、アリはそのままグスタフの胸部へと鋭い歯を立てた!  
「うぐっ!」  
彼の胸板にアリの歯が噛み付くと、苦痛に顔をゆがめたものの、構わず逆の手に持つ黒い鉄製の剣で蟻の頭部を吹き飛ばした!  
頭部を失ったアリの胴体はほんの少しジタバタともがいたが、やがて無駄と悟ったかピクリとも動かなくなった。  
「グスタフ、やるやる〜!」  
ジニーが賞賛の拍手とともに茶化すと、グスタフは黙って周りを見回した。  
他にアリが居ないことを確信すると、ふぅと大きく息を吐いて、剣をしまいプルミエールの方を向いた。  
「無事か! プルミエール」  
「これぐらいなら問題ないわ。」  
といって、戦いの最中に乱れた髪の毛を払うと、ジニーが後ろからプルミエールの肩を掴んだ。  
「そうそう、プルミエールはこんなんじゃ全然堪えないよ。ね〜ロベルト〜」  
「え、俺!? 俺に聞か…」  
突然話を振られたロベルトは、ブーツに空いた穴を見ていたためすぐには反応できず、おたおたと返事を返した。  
「ジニー! もうちょっと言い方があるんじゃないかしら!?  
いい加減にしないと私も怒るわよ」  
ロベルトの台詞の途中で、プルミエールが割り込んできた。  
さっきから全然いい所が無いロベルト、かと言ってこの二人の言い争いには巻き込まれるとほとほと困る。  
「まあまあ、二人とも落ち着きなって、喧嘩の仲裁にはこのロベルト様が」  
とでも言おうものなら、  
「五月蝿い!」  
「ロベルトは黙ってて! これは女同士の話だよ!」  
と、女性方二人は象も逃げる大声を出してロベルトを威嚇した! 悪いのは多分ジニーなのに、プルミエールにまで敵扱いされた。  
さすがにこの二人の喧嘩に逆ギレする度胸はないロベルト。グスタフの隣に座ると、退屈を紛らわすために煙草をふかした。  
 
隣で黙々と読書をするグスタフは沈黙に慣れている男だが、ロベルトはちゃらけた雰囲気が好きな男で、ミミズの穴に何日も閉じこもっていると気が滅入る。  
(何の因果でノースゲートに来ちまったんだか。確かどっかのディガーがここで一山当てたから、俺もそれに肖れるかなーって思ったんだったかな・・・。)  
声に出すことでもないし、グスタフが自分の愚痴を聞いている訳も無い。  
二本目の煙草に火を点けてもなお、女方の話は続いていた。  
どうせまたジニーが好い様に言い包められて、頬を膨らませて怒って戻ってくるだろう。  
口喧嘩というのは不思議なもので、将棋やチェスのような頭を使う者が強い方が勝つことが多い。経験や頭がモノを言う。  
頭を使ったゲームは、ジニーはそれほど不向きではない、少なくともロベルトよりは強い(というかロベルトが弱すぎる)。  
だが、プルミエールはかの大カンタールの娘、その遺伝子からか、どれも天才的な腕前だった。  
取っ組み合いなら分からないが、口喧嘩では、九割九部九厘ジニーに勝ち目は無い。だが、止めると怒られるのでそれも出来ない。  
女の口喧嘩は長い。その長い時間、ロベルトは暇。  
暇潰しは、煙草の煙をドーナツ状に出すことぐらいしかない。地味に舌が痛くなるからあまりやりたくないが。  
 
煙をドーナツ状に吐き出す暇つぶしにも飽きが来た頃だった、ジニーとプルミエールの喧嘩も一段落したようだ。  
ジニーがズカズカと強い足取りで戻ってくるかなーと思っていたら、どうやら違うようで。  
いつもなら口喧嘩の後は怒った顔をしているジニーも、この時に限ってはご機嫌のようだった。腕をぶんぶん回して、準備運動をしているようだ。  
「どうしたんだいジニーちゃん? プルミエールに口喧嘩で勝ったのかい?」  
ロベルトは煙草を踏み潰して火を消すと、ジニーに問いかけた。ジニーはくすっと笑うと、笑いとは別の微笑を浮かべた。  
「ぜーんぜん、プルミエールはすぐにこっちの揚げ足を取るし、理詰めで来るから、すぐに言い負かされちゃった。  
だけど、私が先にクヴェルを見つけたらプルミエールが私に謝る! ってことを了解させたの!」  
「え、え?何でそんな結論に・・・」  
話の展開が急に変わった。不思議な展開に思うロベルトに、ジニーは自分の長い髪を見せて、ロベルトに触らせた。  
「ほら、何日もここで探索ばかりしているから、私の髪の毛は泥んこ(言わないけど何日も着替えないから気持ち悪いし)。  
よーく見るとプルミエールもそうだったから、私言ってみたの。『早くクヴェル見つけて外に出てシャワー浴びたい』って。  
その時にこの勝負を持ちかけたの。そうしたらプルミエールは簡単に了解したよ♪」  
「取れなかったら、貴方が私に謝るということになっているわよ」  
確認するようにプルミエールは後ろで言った。ジニーは舌をべーっと出して、プルミエールから目を逸らした  
「おいおい・・・」  
ロベルトはすぐにクヴェルは無理だろ、と思った。ここがメガリスならまだしも、生憎ここは大ミミズの穴、クヴェルは隅から隅まで掘っても出てこない。  
おそらくプルミエールも取れっこないと知っていて了承した筈だ。ツバメの巣の中から子安貝を探すようなものだが、ジニーらしいといえばジニーらしい。  
「じゃ、私探してくるから!」  
目標が決まると早かった、三代以上に渡って優秀なディガーを輩出したナイツ家に生まれた血が騒ぐらしい。四代目になれるか否か。  
プルミエールは好きにすれば、と他人事のように見送り、グスタフはジニーに傷薬を渡すと、また本を読み始めた。  
「おいおいジニーちゃん!一人じゃ危ないって!」  
「平気よ、これでもディガーの端くれよ! おじいちゃんは初仕事で3つもクヴェルを探したんだから、私だってやれる!  
それに、なんとしてもプルミエールを謝らせるんだから!」  
あのタイクーン・ウィルの孫娘に握りこぶしを作って言われると、こっちもどうしようもないものだ。  
危険だったら絶対逃げるんだ、というアドバイス一つ言ってロベルトはつまらなそうに腰を下ろし、また煙草に火を点けた。  
 
「むー、全然それらしいのないなー」  
有る訳が無いのだが、それでもジニーは蟻や植物を類稀なる戦闘センスで蹴散らして、ずんずんずんずん奥へと進んでいく。  
途中で何回かアイテムは拾ったが、ツールばかりだった。  
やがて歩くのも億劫になり、木の根を見つけると泥をはらってからそこへ座った。  
「お腹減ったなぁ」  
ジニーはまだ14歳、育ち盛りにある。腰にかけてあるポシェットから乾パンや缶詰を取り出して、一人でモグモグ食べて、空腹を満たした。  
お腹は膨らんだが、一人で食べる食事は味気なく、ちょっと寂しかった。  
彼女はディガーの端くれ(自称)だが、実のところディガーが単独で行動することはほとんど無い。  
ある時はヴィジランツと共に、またある時は他のディガーと共同で。  
ディガーの仕事に危険は付き物だから、その危険を乗り越えるために仲間と一緒に行動し、乗り越えられない危険を察知して逃げるときには感性の鋭さが問われる。  
祖父ウィリアム・ナイツも、危険な仕事の時には分け前が減ることも承知で4人行動をし、  
ヴァイスランドにて、元々は人間だったが、メガリスの力で不死となった獣とは生半可に戦わず、逃げることだけに没頭した。  
サンダイルの世界では15歳が大人と子供の入れ替わりとされる。ジニーはまだ14歳で、子供っぽいところもある、多少の意地を張るのも仕方が無い。  
後にジニーは、入れ替わりの時期に当たる15歳のときに、裏の歴史の象徴とも言える最悪のクヴェルであるエッグと対峙し、遂には打ち破ってしまう  
だが、そのときのジニーは多くの仲間に支えられていた、一人では到底勝てなかっただろう(未来なのに過去形)。  
 
そういう先のことは考えずに、ただ寂しいという思いにあったジニーだった。  
(帰ろっかなぁ・・・謝るのは嫌だけど)。ネガティブに考えていたが、その時その気分を吹っ飛ばす光明が見つかった。  
それはシャリシャリと、虫が何かを齧るような音が聞こえたときだった。  
見ると蟻が植物の根を食べていた、ジニーも乾パンをシャクシャク食べていたが、蟻は構わず木の根を食べていた。  
別段襲ってくる気もないようだから、珍しい光景を眺めているに過ぎなかったのだ、しかしやがて事態は好転していく。  
やがて、蟻が地面に露出している根のほとんどを食べたときだった。ジニーは、常人なら見落としてしまうような小さなアニマを感じた。  
木の根から少しだけ、本当に少しだけだが、ツールではない何かのアニマを感じ取った。  
それはナイツ家に代々受け継がれる天性のアニマ察知能力があってこそのこと。仮にこの場に仲間がいても誰一人気付かぬであろう、  
ほんの極僅かのアニマの漏れをジニーは気付いたのだった。  
「クヴェル!?」  
蟻はジニーに気付いたのか満腹になったのか、とにかく穴を掘ってどこかへと出て行ったが、その場所には確かにリーフのようなものが残されていた。  
「よかった、蟻に食べられなくて」、ジニーは震える手で、慎重にそれを掘り起こした。  
祖父から何回か、クヴェルというものを見せてもらったことはある。  
剣であったりメダリオンであったり、種類は様々。中には父リチャード(リッチ)の発掘した水が湧き出る宝石もあったが、その全てがツールとは違うアニマを感じた。  
といってもアニマは一種類で、感じ取れるアニマの違いというのはあくまでも、アニマの宿るものを通して感じる、  
いわば色つきフィルムを通ったあとの色の違いのようなものによって感じられるだけだが、ツールのようなものはアニマがすかすかというか、線が荒いアニマを感じる。  
だが、クヴェルから感じ取れたアニマは違う。具体的に説明は出来ないが、抽象的に述べると、水が限界まで入れられ、表面張力状態にあるコップを見た感じがする。見た瞬間にグッと来る。  
 
しかし、何でこんな所からクヴェルが取れたのか? プルミエールもロベルトも取れないと判断した、いや、タイクーンであるウィルも無理だと思う筈だ。  
憶測になるが、おそらくはどこかのメガリスに木の根が突き抜け、その時にこのリーフを持っていった。そして、長い年月のうちにこの大ミミズの巣へと隣接してしまったのだろう。  
偶然か、ナイツ家ですら稀に見る天性の感覚の鋭さが生み出したか、  
ジニーはたまたまそれが掘り出された時に、その場所で休憩をしていたおかげで、見つけることが出来た。  
 
掘り起こしたクヴェルを高々と上げ、ジニーはガッツポーズをとった!  
14歳でクヴェルを見つけるなど、ヴァイスランドのホットストーンのように見つけて当然という環境に無ければ到底ありえないことだ。  
「ふふ〜♪ これで私も一人前のディガーね!」  
ジニーは自分の長い髪の毛を数本抜いて、見つけたばかりのクヴェルの隙間に差込み、首飾りのようにぶら下げた。  
見つけたクヴェルにキスをすると、ジニーは意気揚々と踵を返した。  
プルミエールに対する怒りも忘れて、人生初のクヴェル発見によって彼女の心は喜び一色だった。  
だが、その喜びは儚く散ることになる。  
 
 
「・・・むー、誰なの〜?」  
ジニーの前に、一人の男が立っていた。  
見たところゾンビのようでもあるし、格好だけならディガーのようにも見えなくも無い。  
ただ自分と面識は全くなく、初対面であることは確か。  
肌の露出が驚くほど少なく、手袋は当然の事ながら頭巾までするという完全防備、露出している部分といえば口と鼻だけだった。  
あまりに不気味な風体に、思わずジニーは気を悪くした。  
「ちょっと、人の質問にぐらい応えてよ。」  
「……………」  
無言のまま、男はジニーへと一直線に歩いてくる。途中に蟻がいようともお構い無しに踏み潰し、えもいえぬ迫力を纏っていた。  
それまで嫌な気分しか持たなかったジニーに警戒心が生まれた。  
(何だかやばそう!)  
ジニーにはこの男との接触が自分に利益をもたらすとは思えない。元来た道を通って、さらに奥へと逃げていった。  
男は特に急ぐ様子もなく、ジニーの後をハンターのようにゆっくりと追う。  
見失いさえしなければいいと言っているかのように、ゆっくりゆっくりと・・  
 
30秒ほど走り、ジニーは後ろを向いた。男の姿はまだ視界に入っている、少し休憩できそうだが、振り払うことにした。  
「まだ居るや。もうちょっと早く走った方がいいかな?」  
ミミズが適当に掘った道だからか、通路は渦巻いており、坂が急になったりで、14歳のジニーには厳しいものがあった。  
 
それからまた30秒ほど経過した。ジニーはもう撒いたはず! と思い足を止め、後ろを向いて確認しようとした。  
そうしたら、男の距離がさっきよりも縮まっていた。男は特に急ぐ様子も無く、ゆっくりと歩いているままだ。  
「も〜、さっきから何なの!? 今度・こ・そっ!」  
ジニーはお腹が痛いのも我慢して、全力で走った。体力が続く限り走った。  
喉がからからになって、へたり込みたくなるほど疲れた。疲労で前かがみになり、衣服は汗でじっとりと肌に引っ付いた。  
祈るように後ろを振り向いた。  
 
 
男は、居た。  
 
 
男の歩く早さはゆっくりなのに、ジニーがどれほど急いでも振り切れなかった。逃げても逃げても、振り返ればいつもあの男が見える。  
それが却って、全速力で追いかけてくるよりも怖く感じ、気がつくとジニーの瞳は潤み、足は動かなくなった。  
(ひょっとしたらクヴェルが目的? でも私が見つけた初めてのクヴェルだから、渡すよりだったら・・!)  
声も出ないほど疲れ果てたジニーは、覚悟を持って、銀還の杖を握った。  
勝てるかどうかは分からないけど、このままやられるよりはマシ! という意気込みを込めて、男を見据えた。  
まだ20メートルは距離がある。ジニーはもう逃げる気はないと、誰の目にも明らかだが、男は変わらずゆっくりと近づいてくる。  
(とびっきりの疾風打!)をお見舞いしようと、集中し、目を閉じた  
 
―――目を開けたときには、男の姿はなくなっていた。  
 
「あれ!?」  
ジニーは驚いて辺りを見回した。しかし、男の姿はない。  
目を瞑っていたのは秒にもならない僅かな時間、その間に消えるなど不可能に近い。  
左右を見ても蟻すらいない、下を見ても大ミミズの巣独特のでこぼこの地相が見られるだけ。  
上には何本もツタが下がり、その上には大きな岩があったのは分かったが、男はどこにも見えない。  
しかし、遥か遠くの方にうっすらと黒い何かが見えた。  
目をごしごし擦って、よぉ〜く見ようとした・・・その時だった! ジニーの細い首に男の手が絡み、強い力で絞めた。  
「背後に移動していた」 そんなことを考える間もなく、ジニーはその手を振りほどこうと両手で抵抗するが、力では到底敵わない。  
手に持っていた銀還の杖もカランと音を立ててジニーの手を離れた。  
男の手は猛烈な力でジニーの首を絞め続ける。顔に血が詰まり、意識が朦朧とする中、ジニーは男のアニマを感じ取った。  
(何・・・この人? 変・・・な・・アニマ、いろんな人の・・・・アニマが重なっ・・ているみたい・・)  
今まで感じたことのないアニマの種類・・・しかし、それに気をとられていると意識が飛ぶ。  
苦しい中で、ジニーは必死に抵抗した。  
しかし、徐々にジニーから意識が離れていく・・・元気な火の玉娘も、酸素と意識が無くなったら大人しくなる。  
だが、ジニーは一縷の望みをかけ、男の手から自分の手を離すと、目の前のツタへ伸ばし、思いっきり引っ張った!  
 
それは、初めてミミズ穴に入った時、好奇心から同じようなツルを引っ張ったときに、  
上からモンスターが降ってきたことがあったことを思い出したため、一か八かやったことだった  
 
ツルを引っ張ると、ジニーは何か手ごたえを感じた。「何か居る!」と確信した。  
そして直後、誰もが耳を覆うような大音が鳴り、男の手が緩んだ。  
ジニーはその隙を突いて男の手を引き剥がすと、喉を押さえて逃げ出した。  
男は、今度は急いでジニーを追おうとしたが、まだジニーがツルを引っ張った影響は残っていた。  
そして、豪快な音と共に、体内に極小の火山を持つモンスター、ヴォルカノイドが落下してきた。  
体内の火山は激しく沸騰し、今にも噴火しそう・・・いや、溶岩が溢れ、ヴォルカノイドの顔面に大量にかかっている。  
どうやら既に一度噴火したようだ。先ほどの大音は、このモンスターが噴火したときの音だろうか?  
何にしても、ヴォルカノイドは男に敵意をむき出しにしていた。  
快眠を妨げられたからか、それとも落下したときの衝撃がお気に召さなかったのか?  
逆恨みで戦うおんは御免被りたいのが普通だが、モンスター相手にそんな言葉が通じるわけも無い。  
グツグツと火山は煮え滾ぎ、怒り心頭のヴォルカノイドは男目掛けて溶岩を吹き付けた!  
男は臆することもなく、ヴォルカノイドに近づいた。  
 
「げほ、げほ・・」  
ジニーは喉を押さえて、ロベルト達のところに急いでいた。  
以前ツルを引っ張ったときも、ヴォルカノイドが振ってきたことがあった。  
一人では到底勝てる相手ではなく、戦いは十数分に及び、最後は疾風打とロベルトの焼殺の連携が美しく決まり、ようやく倒せた相手だ。  
ひょっとしたらヴォルカノイドが男を倒してくれるかもしれない、そんな思いも逃げている今は出来ていた。  
しかし、ジニーの足は止まることなく、そそくさと戦いの場から離れていった。  
もし、ヴォルカノイドがあの男を倒してくれても、銀還の杖はあそこに落としてきたままであり、ヴォルカノイドが襲って来たら命は無いからだ。  
第一あの男が勝つこともある。ヴォルカノイド以上に強い相手になんか勝てっこない、逃げるに決まってる。  
あの男の目的はクヴェルであるようで、自分自身であるようで、全然分からない。  
手鏡を使って自分を見ると、首に痣が残っている。確実に殺す気だったことだけははっきりしている。  
何者か知らないが、得体の知れないアニマを持つ男だった。  
あれに近づいていると、嫌な気持ちになる。腐った卵を一瞬嗅いだ気分になる。  
ジニーは自分の身を心配しながら、少し戻った体力で走った。  
 
「あー、あー・・・ん、まだ声がちょっと低いなぁ、ヤだなぁ〜」  
見覚えのある所まで来ると、少し余裕も出てきた。  
思いっきり首を絞められ、呼吸こそ大分落ち着いたとはいえ、声が少し荒い状態になっていた。  
いつものジニーと比べれば僅かに――という程度だったが、どうやら気になるご様子。  
皆と会った時、こういう声だったら嫌だなー、特にロベルトとか慌てそうで。帰ったときの想像をすると、ちょっと鬱な気分。  
だが、ジニーの考えはそこで止まった。  
目の前に、再びあの男がいた。  
ヴォルカノイドとの戦いによってか、衣服が焼け爛れていた。  
しかし肌にはほんの少し火傷がある程度で、それもどうやら返り血のような形で溶岩を浴びたようなもののようだ。  
 
(ここからあそこまで一方通行なのに、追い越されはしなかったのに、何で?)、そこまで考えたところで、後は崩れるようにへたり込んだ。  
ジニーの生まれつき天真爛漫な性格を持ってしても、恐怖というものとは無縁ではない。  
目を固くつぶり、耳を押さえ込んだ! それでも、アニマは感じ取ってしまう。あの気持ちの悪いアニマを。  
これ以上感じたくないと思うジニーの思いを嘲笑うかのように、男の手はゆっくりジニーに近づき、ジニーの首に触れた。  
それまで手袋に覆われていた手は、水の混じったような不思議な感触で、ジニーは酷く不快な思いをしたが、恐怖はそれを上回った。  
スライムとは違う、もっとすごい何かとしか分からない。  
男は、ジニーの首にぶら下げてあるクヴェルを掴み、それを強く引っ張り、奪った。  
すると、男はジニーから離れていった。  
足音が人間のモノではないが、ジニーにはアニマが離れていくことと共に分かった。  
(やっぱり・・・狙いはクヴェル?)  
うっすら目を開けて、男の姿を見た。やはり人間のようだった。  
さっき感じた水のようなものの正体がいたく気になったが、男はジニーから確実に離れていくので、とりあえず、ほっとした。  
 
「・・・・・・」  
しかし、男は思い出したようにジニーに近づいてきた。  
というよりも、クヴェルを奪った後に、初めてジニー単体に興味が行ったというのが正しい。  
今度はしっかりとジニーを見た、足から顔に至るまで。鮪を品定めするようなゾクッとする目にジニーは萎縮した。  
「来るな!」  
それでも右手を動かし、石を掴むと思いっきり男へと投げつけた!  
その石は男の顔へと飛び、勢いよく当たった―――ように見えた。次の瞬間、男の背後に石は落ちていた。  
ジニーの眼には、石が男の体をすり抜けたとしか見えなった。  
池に石を投げると、大きな波紋を作り、石はゆっくりと落ちていく・・・その様子に似ていた。  
石の妨害に構わず、男はジニーの近くによると、彼女の顔に手をかけた。  
「んんーーー!!」  
大きく首を振って拒む彼女を、強引に自分の方に引っ張り、唇を押し付けた!  
ジニーは、これまで異性との本格的な接吻はなく、昔ながらの人間であるウィルに貞操は大切にするべきという教えを受けていた。  
また、彼女自身も敬愛する祖父の言うことなので、特に反論することもなく従って来た。  
投げキッスこそすれど、本格的なキスはワイドに居たときを含めて一度たりともない。  
そんな彼女の生き方に突然侵入してきたこの接吻は、ヴァージニア・ナイツが生涯忘れ得ない疵の始まりであった。  
引き剥がそうとしても、それも出来ないほど強い力で押さえつけられる。  
ただ唇が触れ合うだけでは済まなく、男は舌を侵入させてきた。  
(こ・のっ!)  
ジニーはその舌を思いっきり噛んだ、それこそ噛み千切る力で。だが、またしても男の舌をすり抜けるように歯はぶつかりあった。  
相手に痛みはないらしい。ジニーは舌と舌が触れ合うのを避けるために出来る限りの行為をしたが、そのどれもが無駄に終わった。  
大人しく、男の気が済むまで接吻を耐えることになった。ヌルリという感触は、唾液が交じるということを差し引いてもやはり人間の物とは思えない。  
自分の唇に他人が触れているという事実が当たり前に感じられたときになって、ようやく唇が離された。  
長い長い接吻だった。ジニーには何十分にも感じられた、口の中にまだ男の唾液が残り、口の端からは二人の唾液が混ざり合ったものが流れ落ちていく。  
「うう・・・最悪だよ・・・  
どうしてこんなことするかな・・・」  
ジニーは、唇に手をあてて大粒の涙を流した。口の中には、まだ舌と舌が触れ合った余韻が残っている、  
 
少し思い出すだけで、ざらざらっとしてぬちょっっとするディープキス独特の感触が思い出されて、ジニーは思わずむせた。  
「げほっ! えほっげほっ!」  
喉の奥へと押し込んでしまった唾液が急に詰まった感じに襲われ、喉を押さえて苦しんだ。  
しかし、男はジニーのむせる姿に何の感心も抱かず、興味はジニーの下半身へと移っていた。  
すらりと伸びたカモシカのような足は、とても14歳とは思えない色香を放っている。  
男のごつごつした手が、足首からなぞりつつ上へ登って行き、ジニーのズボンに到達した。  
太股の隙間に指を押し込み、ジニーのまだ穢れていないところの位置を確かめるついでに、軽く指で押して刺激した!  
「ひっ!」  
ジニーは、身体を震わせて、身体に走った不気味な感じに反応した。  
ほんの一瞬の快感。それでもジニーは息を荒くして、目が涙で軽く潤んでいた  
哀願するように何度もお願いをした。普通の男ならここでジニーの表情に目が行くところだが、  
男はただ性欲を満たしたいだけのようにジニーの表情には見向きもせず、彼女のズボンの中に手を入れ、更に下着の奥へと手を押し込んだ。  
「ひゃふっ! な・・いやぁ!  
やめて! やめてってば!! このぉっ!!」  
殴る蹴るなど、手当たり次第にジニーは暴れ、侵入を防ごうとしたが、健闘空しく、男の手はジニーの陰毛を触れ、  
さらに下部へと滑り、ジニーの花弁へと侵入すると、指を二本三本と容赦なく押し込んだ。  
「ひゃふ、い、いたい! いたいっいたいっ!  
キモチ悪いっ! 嫌だって!  
やめて! や、やめ・・へんだよ、へんになるよぉ!」  
強引な挿入には快感が入る余地はなく、身震いがした。それでいて、頭のどこかでは快感行為として認識されていた。  
ジニーは、痛みと共に今まで感じたことの無い電気のような衝撃を受け、体を大きく仰け反らせた。  
未体験の感覚と気分、激痛が頭一杯を満たし、頭の先からつま先まで、性的な反応が踊るように流れた。  
「いぅ・・・痛いッ! 痛いぃぃ!!」  
だが、挿入した指の動きは激しく、愛液が滲んでいないジニーには嫌悪と激痛のみを与えた。  
あまりに強引な愛撫、これを愛撫と呼んでよいものか?  
どう考えてもジニーに快感を与える目的ではなく、ただ挿入しやすいようにしているだけのようだ。  
なかなか濡れないジニーの秘部を無理に濡らせるのが目的だが、ジニーが感じないことには濡れも芳しくない。  
痛みと嫌悪を常に送られ続けるジニーとしては、生き地獄が自分に纏わりついた状況にあった。  
 
やがて、快感は得なかったが、生理的反応として愛液が少しずつ滲み始めた。  
愛液が膣内へと侵入するときに絡みつき、くちゅくちゅと卑猥な音を立て始める。  
「はぁ…はぁ……。え…?  
なに…これ? おしっこ漏らしてないのに…」  
いやらしく、ジニーの愛液は徐々に多量に滲み出してきた。  
自分の愛液と男の指が混ざって出すぴちゅぴちゅっとした音に、例えようのない恥ずかしさを感じ始めた。  
膣内にある指が動くたびに愛液が溢れ、滲む、ようやくジニーにも快感が現れ始めた。  
(あたま・・・・ぼーっとして・・・)  
一度認識すると、それは決壊したダムのように歯止めが効かなくなっていく。  
徐々にジニーのズボンには、愛液の染みが浮かび始め、まだまだ幼いジニーの肉壷の形をおぼろげに写した。  
 
 
男の指がジニーの中から抜かれると、指についた愛液の量から、男はジニーの体の準備が終わったと思ったのか、ジニーの衣服を強引に脱がした  
脱ぎ捨てられたタイツとズボンにはまだ温かかった。しかし、ジニーの身体は血の気がないように冷え切っていた。  
 
何度も快感と敗北感に言い寄られ、もはや抵抗する力もない状況にあるジニーは、これから先のことを考えることしかできなかった。  
そうなると、自分がこの男の一物を受け入れるという結論に嫌でも考えが行き着く。  
その考えが正解だと教えるように、男が下半身の服を脱ぎ、反り返った一物を空気へ晒した。  
(入っちゃうんだ・・・やだなぁ、初めてなのに。  
好きな人にあげるものだと思ってたのに・・・)  
男の一物が自分の中に入る・・・それが、どんな事を意味するのかを知らない程ジニーは幼くない。  
子作りが本来の目的ではあるが、必ずしもそのために行うわけではない。  
むしろ、最早ただ性欲を満たすために行われることの方が多い。  
「ううぅ・・」  
異臭が鼻をつき、反射的に薄目で一物を見ると、ジニーは小さく呻き声をあげた。  
(処女、じゃ・・なくなっちゃうんだ・・・)  
勃起している男の物など、いつかは見るとは思っていたが、自分がタイクーンと呼ばれる頃になるかどっちが先か、と思っていた。  
グロテスク皮ズル剥け、先端の部分こそ自分のあそこと似ていたが、全体の大きさが違いすぎる。  
(あんなの入らないよ! 人差し指を入れたって痛いだから)  
自分の体験談から、無理、絶っ対無理と、ジニーは思った。  
 
「わあっ!!」  
とっさにジニーは大声をあげた  
男の指が、ジニーの花弁を開き、隠れていた恥肉を露出させていた。  
そして中に指を埋める、再び膣内に異物が侵入したことにジニーは歯を食い縛って堪えた。  
十分に潤っている。ジニーが処女じゃなかったら、苦痛なく一物は納まるほど  
・・・しかし、処女膜が千切れるときには、どれほど潤っていようと苦痛は免れない。  
生で、指が深々と、ジニーの膣内へと押し込まれた。  
未体験のところまで入れられると、ジニーに鋭い痛みが走った  
「いぎ・・・っ!  
やが・・・あ、い…あう!!」  
ジニーは、無理に広げられ、歯を削るような痛みに耐えるが、構わず男は指を付け根まで押し込んだ。  
「うああーーーッッ!」  
手を強く握り、屈辱と痛みに耐える。男の指は処女膜の一部に接触し、僅かだがそれを千切った。  
そのままぐりぐりと動かされ、ジニーに更なる衝撃を与えた。  
痛みしか感じられない。処女を失う時が近づいていると分かると、大声で泣きたくなる。  
指は我が物顔でジニーの肉壷を動き回る。上部と下部を擦り、第一関節まで引いた後に、また一気に奥へ押し込む。  
「くぅ、あぁーー!! あーーーーー!!」  
押し込まれた指が、ジニーの膣壁を強く押した!  
強烈に刺激するが、ジニーはまだ性に慣れていないので、快感は、感じられるほど大きくなかった。  
悲鳴をあげてばかりのジニーとは逆に、男は冷静に刺激を繰り返した。  
全体から見ればこの行為に男はそれほど時間をかけなかった。  
ようやく抜かれた指が、ジニーの一番敏感な所を触れ始めると、そのときジニーは初めて快感を得た。  
それはとても小さく、指を膣へと押し込むだけですぐに飛んでしまうような弱く儚い快感だった。  
(あれ…やだ・・・気持ちいいかも・・・)  
クリトリスは性的な刺激を感じる以外に使い道が無いため、性感を得るために進化した部分といわれている。  
このとき、その役割を十分に果たしてくれた。  
男にとっては、クリトリスへの刺激はジニーの濡れを促進させるために過ぎなかったが、ジニーには唯一の救いだった。  
いつもより赤めいた顔、その半分を手で隠し、口からは甘い吐息が漏れる。  
隠し切れない部分を覗き見すると、どこを見ているのか虚ろな目で、ただ息だけが荒かった。  
自分の現状を考えると、気放しで喜んでは居られない。なのに、性感に体は正直になっていた。意識が飛びそうになるほど気持ちいい。  
感じたことによって愛液はますます滲み出し、ジニーの表情も恍惚混じり。  
しかし、その後に控えているのは所謂本番。そこにはクリトリスのような優しい快感の入る余地は無かった。  
 
ジニーには本来まだ早い時期だった。20歳とまではいかなくとも、あと2年は時期を見る必要があった。  
不本意で、相手の勝手な行為だろうと、それを無理に行うからには相応の苦痛をうけなければならない。  
今はその少し前、痛みを受け入れる前に少し気分をよくしてやろうというお情けだ。  
「ふっ・・あ・・・むぅ、ん〜!」  
クリトリスへの弱い刺激は、時間こそ短いがジニーにとって気が休まるときであった。  
初めて快感だけを得ると、手足から力が抜け、くてっと沈んだ。息が一定じゃなくなるほど乱れ、頭が彷彿とする。  
何を考えているか自分でも分からなかった。男の一物は、その間にもジニーの本命に狙いを定めていた。  
 
そして、いよいよ勃起した男の一物が、ジニーの乙女の部分に添えられた  
・・・かと思うと、ジニーが添えられた一物の存在に気付く前に中に押し込まれた。  
やはりというか、一切の愛情など無い。嫌がる処女を犯すことに罪悪感も感じない。  
ただ無理やりに彼女を犯し、男にとって最も快感を得られる膣内へと己の一物を押し込みたいという思いに駆られていた。  
「ッ…!?」  
快感に包まれていたジニーは、股間の異常に対し、目を丸くして、挿入されている現状に気付いた。  
先ほどの指で千切れた処女膜はほんの少し。本番では、一物はジニーの中には大きすぎ、無理に押し込まれた。  
その過程で、ジニーの処女膜は一つ残らず押しつぶされた。もはや、一生元に戻ることはない、大きな疵。  
彼女は猛るように大きい一物と、歯を食い縛っても耐えられない激痛を受け入れさせられた  
「ッッッ!!!!! 〜〜〜〜〜ったぁぁぁぁああーーーーいっ!!!  
痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!  
バカ、バカーーー!!! こんな・・の・・・!!!!」  
犯されているんだという事実を安に受け入れることもできず、混乱の状態で叫ぶことだけが、ジニーに許された事だった。  
しかし、どんな大声を出しても、男には聞こえていないようだった。  
処女膜の僅かな抵抗では、男の進行を止めることは出来ずに、ぶちぶち千切れていった。  
処女膜の抵抗は、ティッシュよりも弱い抵抗であるにも関わらず、破れに伴う痛みは身体全体が引き裂けるかのようであった。  
「!!!・・・っ!!・・!・・・・・っ!!!!!!」  
身体が砕け散るような激痛がジニーの全身へと奔り、男の腰がそれ以上進まなくなったとき、ジニーは処女でなくなった。  
 
元と比べるまでも無いほど、大きく開いてしまった肉壷に、一物を力強く出し入れして、己が性欲を満たした  
傷口も同然の中、ジニーの身を気遣い無しに犯していた、ジニーの膣口には破瓜の血がほんの少し流れ、痛みを象徴しているかのようでもあった。  
「ふぐ・・くんぅ・・・」  
貫かれて、痛みと屈辱の中でジニーの意識ははっきりとしていた。と言っても、破瓜という大事件がジニーの頭の中のほぼ全てを満たしていた。  
「ひぃ! ひゃあぁん、ダメぇ・・・こんなのダメ・・・きたないし、イタイのは……だめぇ…」  
男の小便に使用するものが深々と自分に突き刺さり、触らずとも痛みを感じるほど敏感な傷口を蹂躙する。それは彼女にはあまりに厳しい現実だった。  
だが、手足はしっかりと押さえ込まれ、膣内には男の一物が入り込み、ジニーが犯されているというのは紛れも無い現実  
嫌がりこそすれ、結果的にそれをやめさせることは不可能だった。  
膣内では、一物を火のように熱く感じ、傷口がそれに擦られると痛みも熱もさらに強くなって、ジニーの意識がますますはっきりする。  
男も同じく、ジニーの中はお湯の中に一物を入れることよりも遥かに気持ちがよく、  
締め付けも痛いほど強い。愛液で一物をしっかりと包みこみ、中のつやつや感が男に至上の幸福とも思える快感を与えた。  
「も、う・・・やめよーよ…  
赤ちゃんできちゃったら・・困るんだよ・・・まだママなんて…なりたく…ないよ……」  
涙混じりの言葉が届かないかのように男はジニーの懇願を無視し、男は彼女の一番奥まで押し込むと、そこで射精の時を待った  
その間に、ジニーの膨らみかけの胸を揉み、未発達な彼女の乳房を堪能した。  
同年代の女の子よりは少し大きい! というのが、ジニーの密かな自慢だったが、男には物足りないのか、  
寄せ集めて、こじんまりとした起伏にしたところで、全体を鷲掴みにして強く揉まれた。  
ジニーにとってはただの激痛、顔を歪めるが、薄い桃色の先端を舌で舐めあげられると、小さく快感の声を上げた。  
一物を置くまで受け入れた状態で、さらに何十秒も乳房と乳首を丁寧に舐められると、ジニーは声を出すのを堪えるため、身体を仰け反らせた。  
皮肉にも、ジニーのその行為が、男の射精を誘発する最後の刺激となってしまった。  
その前の前戯にじっくりと時間をかけていたこともあってか、男の射精は間近に近づいていた。  
もう一度だけ腰を引き、思いっきりジニーを「突く」と、ジニーは叫ぶ程の大声を上げ、へたり込んだ  
もはや押さえつけるまでも無く、ジニーはぐったりとしていて、目も虚ろであった。  
それでも、意識ははっきり。自分の中に何かが注ぎ込まれ、男が一物をジニーから抜きとったとき、白と赤の液体に塗れていたのを見るまで・・・  
「・・・・・・う・・・ぅう・・」  
強気なジニーも、自分の中に男の精液が放たれたと分かると、借りてきた猫よろしくシュンとした。  
何人もの別々のアニマを、自分という器に注がれた気分になった。  
それは口の中に様々な個体と液体を混ぜ込み、飲まされるような不気味なものだった。  
 
そして、貫かれてしまった自分の膣を見るのが怖かった。  
それでも怖いもの見たさというもので、キッカケがあれば見てしまうほど危ういところで、ジニーは止まっていた。  
だが、男はジニーの長い髪の毛を引っ張り、顔を自分の腰に寄せた。そのときに、ジニーは自分の膣をちらりと見てしまった。  
膣口が男の一物を受け入れたために無理に広げられ、普段より開いていた。そこから男の精液がどろりと流れ出て、薄い朱色が混ざっていた。  
少し前まで自分だって滅多に触らなかったのに、直視したくないほど滅茶苦茶に汚された  
もはや、ここは自分のものでは無くなったように・・・。  
(パパ・・・ママ・・・おじいちゃん・・・ごめん。  
汚れ・・・・ちゃった)  
男の肉棒は、精液に塗れていた。  
ありきたりだが、男がそれをジニーの口元へ持っていき、彼女の口によって綺麗にするように強制した。  
(もう・・いいや…もう……元に戻りっこないし…)  
口を開けて、ジニーは自分の処女を奪った一物を口に含んだ。精液の苦味と、自分の破瓜の血の苦味は筆舌に尽くしがたかいものだった。  
貫通してしまった股間の痛みに耐えながらの奉仕は、男には刺激の足りないものであった。  
やがて男は、一物をジニーの口から抜き取り、精液を綺麗に舐めとったことを確認すると、もう一度その口へと押し込んだ。  
ジニーの頭を掴み、強引に自分の腰を前後させた強制フェラ。キスも知らなかった唇は、あっという間に穢れたものとなってしまった。  
今度は、ジニーは何もする必要がなかった。しいて言うなら、男が早く射精に達してこんな行為をやめてくれるようにするため、男の一物に舌を絡め、ズボズボと吸い付くことぐらい。  
さくらんぼの茎を結ぶことぐらいしか練習したことが無い舌では、男の満足には足りず、結局ジニーの奉仕では男が射精するまで8分の時間を要した。  
当然のように口内射精をしてきた。男の精液は先ほど舐めとったものとは量が違い、飲み込む覚悟も出来ない。  
口内で男の精液を招いたまま、ジニーは俯いた。もう何がなんだか分からなかった。  
飲み込めばいいのか、それとも吐き捨てればいいのかも分からず、股間の痛みもひくことなく・・・気付いたら男の指示を待っていた。  
「飲みこめ」  
男はジニーが未だに精液を口に含んでいることに気付くと、あっさりとその一言を言った。  
その一言で、あれほど悩んでいたジニーも安心したように精液を飲み込んだ。  
いつの間にか、言いなりとなっていた。  
その後も男は何度も要求をしたが、ジニーはそれに抗うことは無かった。彼女は度重なる性的被害によって、対抗する心を失ったのだから。  
 
完全に心が砕かれたジニーは、いつもの元気もなくなった。  
犯されても平静を出来る限り装ったが、もう装ったところで戻ってくるものは何も無い。  
装うことも出来なくなると、それからは相手の言い成りだった。  
騎乗位も座位も嫌がることなく受け入れ、精液を中で出されても嫌がらずに受け止めた。  
顔に出されることや、相手の一物を咥えて奉仕するなど、処女を守っていたジニーでは到底ありえないような事だった。  
何度も何度もやっていると、次第に痛みも引いてきた。  
身体の底から、快感を感じるようになっていった。  
そのうちジニーの声は快感に任せて、男を誘引する艶かしいものへと変わっていった。  
8回ほど相手が射精したあとだろうか、男はジニーに興味がなくなったようにその場から去っていった。  
 
ジニーは一糸纏わずの状態で放置された。  
美人というよりは可愛いという方が似合っていた顔には、精液が飛び飛びにこびり付き、涙がいまだ乾かず顔の上を滴っていた  
トレードマークの髪の毛も、リボンが切れて乱れ、精液も多数付着していた。  
かつては尻尾のようにぴこぴこ付いてきた髪の毛は、いまや散々に乱れて、肌の上に散らばるように乗っていた。  
その乱れた髪の毛が、彼女が犯されたというのを見るものに如実に伝えるものとなった。  
微かに開いた口からは、男の精液とジニーの唾液が混ざって出ていた。飲み込んでしまった精液は、粘着力が強く、喉に残っているような気がする。  
胸元は完全に開かれ、背伸びして着けていたブラジャーは無残に引き裂かれて、転がっていた。胸には無数のキスマークと痣、半分乾いた精液が残った。  
股間は、妊娠していてもおかしくない程粘着性がある精液がたっぷりと満たしている。  
ひくひく痙攣を起こし、男との性交がどれほどの痛みと恐怖の中で行われたのかを明白めいたものにしていた。  
ジニーが快感を得られたのは、行為全体の時間と比べると、雀の涙ほど短い時間であった。その一瞬と引き換えに失ったものは、あまりにも大きかった。  
「・・・・・・」  
意識がどこかへと飛んだように、ジニーは天井をぽかんと眺めていた。  
全裸であっても、寒気は感じなかった。体中に出された精液が懐炉のような役割を持っていたかもしれない。  
これから先の人生をずっとこの汚れた身体で生きることになってしまったことと、発掘したクヴェルを盗られたこと、二つのことが、悔しくて堪らない。  
僅かでも動くと股間が痛み、顔の上を精液が這いずるように流れる。犯されたことを改めて確認することとなってしまい、動くことが嫌になっていた。  
 
 
彼女は、数時間後、心配して探しに来たロベルトに見つけられるまでそのままの状態で居た。  
ロベルトは変わり果てた彼女の姿に絶句した。  
髪の毛は乱れ乱れに体の上に散らばり、目の輝きすら消えてしまったように見えた。  
全裸で、体の所々に精液が着いている今のジニーを一目見ただけで、つい最近まで瞼に裏に鮮明に移された屈託の無い笑顔が思い出せなくなってしまった。  
ジニーを抱きかかえると、ようやく彼女は意識を取り戻した。  
「・・・ロベ・・ルト?」  
「ジニーちゃん、大丈夫かい?」  
ロベルトを見つけたジニーは、股間の痛みや精液が這う気持ち悪さも構わず、彼に抱きついた。  
そして、体中の水分が全部出てしまうくらい泣き続けた。  
ミミズ穴が崩れるような大声で、いつまでも、いつまでも………  
 
プルミエールは、ジニーに起こった事を遠めで見て分かった。  
髪の乱れと肌の露出が決め手。ジニーの肌に付着した精液など見るに及ばず、声をあらげて泣き続けるジニーも同じ。  
モンスターにやられてなる訳が無く、あれは確実に誰かに犯された様子だった。  
元を辿れば自分のせいで。自分よりも5歳幼いジニーに、何でいつもムキになるかと思うと、自分に腹立たしくなった。  
しかし・・・いつも通り四人で探索していれば、こんなことにはならなかった筈だと考えると、  
純潔を奪われたジニーに対して、申し訳が立たなかった。  
「うっ…うっ……ううっ!!」  
謝りたい気持ちで一杯になり、プルミエールは、側にグスタフが居たにも関わらず涙を流し、泣き声を殺せなかった。  
 
グスタフは、ジニーに渡す分のティッシュを、プルミエールの分も含めて彼女に多めに渡すと、ミミズ穴の外に出て行った。  
冷静にだが、確かな怒りを持って辺りを見回した。  
先ほど、ミミズ穴から出て行く怪しげな男と通りすがった。彼がクヴェルを持っていたので、ロベルトが心配してジニーを探しに行った。  
そのときの男を、グスタフはしっかりと覚えていた。  
冷静に見えるグスタフだが、内面では仲間が滅茶苦茶にされたことに、怒りで腹がぐつぐつ煮え滾っていた。。  
そして、ノースゲートの宿屋付近で、怪しげな男がクヴェルを、仲間と思われる女に渡している現場を見つけると、グスタフの行動は速かった。  
炎の剣を抜き、男目掛けて有無を言わさず斬りつけた。  
男は効かないと腹をくくっていたのか、防御も何もしなかった。しかし、炎の剣が男の服に引火すると、猛烈な勢いを持って男を炎が包み込む。  
「ギャァァアアッ!!!」  
男は狂ったように暴れ、そのまま海岸の方へと逃亡した。  
身体から何かがほとばしるように弾け飛び、パチパチ音を鳴らして男は走る。  
グスタフが剣の熱も冷めぬうちに後を追うが、途中で男の姿が見る見るうちに巨大なモンスターへと変わっていくのを見ると、思わず足が止まった。  
「魔物っ!?」  
すぐにグスタフは再び走るが、一瞬足を止めたのが致命的―――男は既に海へと落ちていた。  
その後の男の足取りと素性は分からない。男はまるで海水と同化したかのように消えてしまったからだ。  
クヴェルを受け取った女も、樹木が生い茂る奥へと逃げてしまい、見つかるわけが無かった。  
 
彼らは、偽ギュスターヴの部下エーデルリッターという者で、いずれ水の将魔、樹の将魔として、相見える者達だが、今のグスタフは知る由もなかった。  
一瞬の戸惑いによって逃がしたことにグスタフは舌打ちをすると、炎の剣をしまい、ジニーの居るミミズの穴へと走った。  
 
 
グスタフが無念を心にミミズ穴へ戻るとジニーはまだ泣いていた。  
ロベルトが彼女を優しく抱き締め、背中を擦ってあやすものの、ジニーは親の死のように泣き止む素振りは見せなかった。  
無理も無いことだ、誰かも分からない男に犯されたのだから。ましてや処女を…祖父の教えを守ることが出来なかったジニーの悲しみは海より深かった。  
そして、誰もかける言葉を見つけなかった。ロベルトだって、大丈夫、大丈夫だ、と繰り返すだけだった。  
プルミエールもジニーに涙混じりでごめんなさい、と謝るしかできない。グスタフは、元々無口なのに、かける言葉が見当たらなかった。  
どれほど時間が経ったのか分からないが、ジニーは泣き疲れて、ロベルトに抱えられたまま眠った。  
目の周りは真っ赤になり、眠っていても涙が零れ落ちた。  
 
しばらくすると、ジニーは眠った。  
暴れる限り暴れて、泣ける限り泣いた。後は、身体を休める限り休めるべきだった。  
「とりあえず、戻るか・・・」  
ロベルトは自身の服をジニーに被せて背負うと、起こさないようにゆっくりと歩き出した。  
途中モンスターが襲ってきたが、グスタフが瞬殺した。  
いつもより鬼気迫るグスタフに恐れをなしたのか、その後はどのモンスターも腰が引けて襲い掛かる素振りは見せなくなった  
かける言葉が見当たらないグスタフは、こういうことしか出来なかった。  
もっとも、彼が無理に慰めたところで逆効果になるかもしれない。  
 
ノースゲートに戻ると、プルミエールが濡れタオルでジニーの身体についた液体を拭き取ることにした  
乾きかけていたとはいえ、顔や身体についたものは粗方拭き取れた。  
しかし、膣内に出された分は拭いても流れ出てくる。それに、そこにタオルをあてるだけで、眠っているジニーの表情が苦痛に歪んだ。  
「う・・・っ」  
精液が着いているタオルを持っていると、異臭もあってプルミエールも嫌な気分になった。  
それでも拭き続けて、何回タオルを替えたか分からないほど繰り返すと、ようやくジニーの膣内から精液の逆流が止まった。  
身体には見た感じもう無い。だが一番の問題は長い髪の毛のいろいろな所に着いたことであった。  
拭いても、もうほとんど固まっていて取れなかった。髪の毛を切るしかないが、ジニーはこの長い髪の毛をとても気に入っていた。  
三つ編みにしても膝まで伸びる髪の毛でも、手入れはよく行き届いていた。プルミエールがよく結うのを手伝ったから分かる。  
こればかりは本人の意識が戻ってから、了承を得なければならない。出来る限り拭いたものの、やはり全部は消えなかった。  
眠りながらも泣くジニーの涙をティッシュで拭くと、彼女に寝巻きを着せて、布団を重ねて被せてプルミエールも宿屋の外に出て行った。  
 
 
ジニーはそれから丸二日眠り続け、昼夜を問わず魘されていた。  
本当は起きていたのかもしれないが、誰も確かめにいけなかった。  
その間グスタフのみならず、普段はおちゃらけた雰囲気のロベルトもプルミエールもほとんど喋らなかった。  
とにかく全員がジニーのことを案じていた。  
レイプされた事は過ぎたことだが、そう簡単に割り切れるほど簡単なものじゃない。  
今後、彼女の人生にどんな影響を与えるのか心配だった。  
彼女が起きたとき、いつもの元気な様子になっているだろうか? それとも別人のように大人しくなってしまうのか?  
はたまた、淫乱な性格へと変わってしまうのか・・・  
何にしても全く影響がないとは思えない。レイプの別名は心の殺し屋、一度死んだものは、代わりはあっても二度と戻ることはない、心も同じだった。  
 
こういう日に限って、晴れ晴れとした晴天であった。  
もうじき梅雨の季節となる。  
からっとした天気は、これが最後かもしれなかった。  
 
 
終わり。  
 

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