私の名はガラハド。  
この剣を神に捧げた戦士だ。  
人は聖戦士とも呼ぶようだが、聖人からは程遠いな。  
 
私は、グレイという冒険者、そして炎の魔術士ミリアムと共に冒険をしている。  
冒険に赴いていたリガウ島ではそれなりの財宝を手に入れ、懐も温かくなったところで、メルビルに降り立った。  
そこで今度はクローディアという娘を護衛することになった。  
グレイの知り合いだという男からの依頼だ。  
それなりの金を貰えたらしい。  
 
この娘は庶民とは違う、何か高貴なものを感じさせた。  
世間知らずではあったが、またそれも彼女の気品を高めているような気もした。  
しかし、護衛の必要はないのではないかと思うぐらい武芸に長けていた。  
初めは弓を背負っていたが、両手大剣をも軽々と使いこなす、その戦闘の資質に脱帽した。  
私たちはその娘の護衛の任に就いたまま、冒険の日々を過ごしていた。  
 
今日もまた、私たちはいつものように酒場で夕食ついでに呑んでいた。  
それぞれ特に話すこともなく、静かなものだ。  
いつもミリアムは必死になにやら話しているが、グレイ、そしてクローディアも無口なので自然と声音も小さくなる。  
そして、飽きたものから順に宿に帰る、といった具合だった。  
今日もいつも通り、グレイが一番先に宿に戻った。  
続いて、ミリアムもそう時間が経たないうちに宿に戻っていった。  
そしていつもはクローディアが続いて戻っていくのだが、今日はなかなか戻ろうとしない。  
 
「めずらしいな。にぎやかなのは好きではないのではなかったか?」  
「慣れたのかしら、ね」  
なんとなく意味有り気な彼女の言葉はそのままに私は呑み続けた。  
 
宵も深け、そろそろ店閉まい、という時間になってもクローディアは未だカウンターに座っている。  
「クローディア。私はそろそろ宿に戻るが、貴女はどうする?」  
「……そうね。私も戻るわ」  
「ならば送っていこう」  
 
宿の彼女の部屋の前まで彼女を送り、自室に戻ろうとしたところ、彼女に呼び止められた。  
「……ガラハド」  
「クローディア?どうかしたか?」  
「……少し、お話、いいかしら?」  
いつものクローディアとは様子が違う、と思ったが悩み事でもあるのだろうかと話を聞くことにした。  
「ああ、いいぞ。どうした?」  
「ありがとう。でも、立ち話もなんだからお部屋でお話しない?」  
「いや、しかし、こんな夜更けに……」  
「私は構わないわ。どうぞ」  
クローディアはそう言い、部屋の扉を開ける。  
「そうか?しかし……」  
「いいから、どうぞ」  
「あ、ああ」  
なんとなく彼女の語気に押され、部屋に上がる。  
彼女も部屋に滑り込むと後ろ手で扉を閉め、鍵をかけ、こちらを見つめている。  
あからさまにいつもと様子が違う。  
 
「クローディア?」  
彼女に問う。  
すると彼女は私の目の前に歩み寄り、顔を見つめ、言った。  
「……したいの」  
「……は?」  
我ながらとんでもなく素っ頓狂な声を上げたと思う。  
酔いで上手く働かない頭を振り、さらに問う。  
「……何をだ?」  
「……こんな夜中に男と女が二人ですることと言ったらひとつでしょう?」  
いつもの端正な顔をひとつも崩すことなく彼女は答える。  
「……っ!?」  
やっと自分の身に起っていることが把握できた。  
彼女は私を誘っているのか?  
まさかな、勘違いに決まっている。  
そうひとり納得しかけていた時。  
「今日のグレイのお相手はミリアムのようだし、ひとりで寝るのは寂しいわ」  
そう呟いた彼女の言葉に私は思わず頭を抱え込んだ。  
「クローディア……、まさか……」  
「?」  
グレイ……まさか……ミリアムはまだしも……、護衛するべき女性にまで手を出していたとは……!!  
グレイは実際(性格は別として)女受けは良い。ミリアムもそうだ、お気に入り、などと発言していた。  
だがしかし、なまじっかもてるものだから、どこの女にだって手を出す。  
はっきり言えば女癖が悪い。  
いくらそんな男でも、護衛依頼を受けている女性を性対象にするとは。  
グレイのそんなところに気が回らなかった自分もが腹立たしい。  
 
 
そういろいろ思惑していると。  
「ガラハド?どうかした?」  
彼女の声で現実に引き戻された。  
「……それで、どうするの?」  
 
正直、こんなに美しい女性から誘いを受けて、私自身はちきれんばかりだ。  
しかし、私は剣を神に捧げた戦士なのだ。  
確かに聖人にはほど遠いが、だからと言ってこんなことを許容していいはずがない。  
 
どうにかこの状況を打開しなくては、と一人でいろいろ思案していると。  
彼女がいきなり私に抱きつき、私のそそり立ったそれに指を這わせてきた。  
「な、何をする、クロ……!」  
「いいじゃない……。もうこんなになってるのに……」  
「し、しかしだな」  
「あら、私は抱けない?」  
「いや、クローディア、君は充分に魅力ある女性だ。だから、こんな売女みたいな真似はだな……」  
「見た目通り、強情なのね」  
そう言いながら、彼女は身に纏っている緑の上着を脱ぎ捨てた。  
「く、クローディア!?」  
「だって……もう、我慢できないの……。あなたの、その大きな手で、触って欲しいの」  
「い、いや、しかし……」  
「お願い……」  
頬を紅く染め、潤んだ瞳でこちらを見つめ、迫ってくる彼女。  
遂にはベッドに押し倒され、馬乗りの体勢を取られる。  
眼前には、彼女の豊満な乳房。  
もう、我慢はきかなかった。  
 
彼女をきつく抱き締め、噛み付くように唇を奪うと、彼女は待ち望んでいたと言わんばかりに私の舌を絡め取り、衣服の上から、私自身をそのしなやかな指で撫で擦る。  
彼女はもうすでにかなり興奮しているようだ。  
衣服の上から太腿を撫でるだけで身体を震わせている。  
「ふぁっ……」  
口付けを交わしたまま彼女の衣服を奪い去り、豊満な乳房を揉みしだく。  
ものすごい質量感、そして弾力だ。  
先端にあるすでに起立した突起を摘まむと「ふぅっ……!」と可愛らしい声が漏れた。  
その声聞きたさに唇を開放し、今度は乳房に吸い付いた。  
「あぁぁんっ……!」  
彼女は私の頭を抱き抱え、乳房を顔に押し付けてくる。  
「感じるのか?」  
「ん……気持ちいぃ……。……ねぇ、あなたも脱いで……?」  
「…………」  
私が黙ったまま、愛撫を続けていると「意地悪ね……」と呟き、私の愛撫を受けつつ、彼女は器用に私の衣服を取り去っていく。  
私の衣服をすべて取り去ったクローディアは、私自身をまじまじと見つめ、  
「素敵よ……ガラハド……」と呟いた。  
そして、またもや私自身を刺激し始めた。  
「本当に大きいわね……」  
そう言うと彼女は私自身を自らの口腔内に銜え込んだ。  
「……!クロっ……」  
今度は舌で先端をちろちろと刺激されたかと思うと、思い切り銜え込まれ、筋を刺激される。  
「っ!うぅっ……!」  
「……んっ、どう?気持ち、いい?」  
 
じゅぷじゅぷと大きな音を立てながら、大きく上下し、吸い付くクローディア。  
普段高貴な顔しか見ていない分、女、いや雌を感じさせるこの姿がひどく厭らしかった。  
「……っ!クローディアっ!出るっ……!」  
それを聞いたクローディアは放すどころか、よりいっそう奥まで肉棒を銜え込み、さらに吸い付いた。  
そのまま彼女の口腔内に精を吐き出す。  
びく、びくと己自身が脈打つのを感じながら、呼吸を整える。  
クローディアは未だに肉棒を銜えたままだ。  
ごくんっ、と喉が鳴るのが聞こえた。  
彼女は私が吐き出した欲望を飲み込んだようだ。  
すると私自身をまた舌先で刺激し出した。  
「……っ!クローディアっ!」  
私自身がまたそそり立つのを確認してから、ようやく彼女は口を離した。  
 
「……やっぱり、凄いわね」  
「そうか?」  
「……私も、良くしてくれる?」  
そう言いながら、また彼女は私に抱きついた。  
 
やわやわとした身体の感触を楽しみながら、乳房や臀部を撫で擦ると、焦れったい、とでも言わんばかりの吐息を吐く。  
秘部の辺りを指で擦するとぬるぬると愛液が絡まってくる。  
その濡れた指で陰核を刺激してやると。  
「あはぁんっ……!!」  
大きく声を上げ、がくがくと腰を揺らしている。  
「自分から誘ってきた割には、早いんじゃないか?」  
と言うと「……意地悪ね」と言いながらもしっかり悦んでいるようだ。  
核を刺激していた中指を膣内に挿入しただけで、ぐちゅ、という水音が聞こえた。  
 
「すごく、濡れているな……」  
「だって……、あぁんっ……」  
 
そのままゆっくりと動かすと今度はじゅぷっ、じゅぷっと大きな水音がした。  
「……凄いな……。どんどん溢れてくるぞ」  
「……あんなに焦らされたら、我慢できないわ……」  
そう言い合いながら、また口付け、口腔内を貪りあう。  
彼女の膣内が私の指を締め上げていく。  
そこにさらに人差し指を加えてやり、中をかき回す様に往復させる。  
さらに親指で陰核を擦ってやると彼女の肢体が一段と大きく跳ねた。  
「んっ、ふっ、はぁんっ!」  
「クローディア、気持ちいいか?」  
「んっ、もっと……、もっとよくして……!」  
「もっとか?欲張りだな」  
乳房にやわやわと這わせていた手に力を込め、その先端を摘まみ、耳に舌を這わせ、膣内の指の往復の速度を増す。  
「ふああああああっ!!」  
彼女は必死に私にしがみつき、頭を振る。  
そしてびくびくと身体を痙攣させた。  
 
「いったか?」  
はぁ……はぁ……と肩で息をしている彼女の顔を覗き込む。  
「まだ……よ……」  
彼女はそう言いながら私の手を取ると指に絡まる自らの愛液をちゅぱ、ちゅぷ、と厭らしい音をさせながら舐め取ると。  
「あなたのを、ちょうだい」  
と、後ろを向き、尻を突き出した。  
 
 
その姿はひどく官能的で、ぬらぬらと光る膣口は私をひたすらに誘う。  
だが、私は「なに、そんなに慌てるな」と、そこに舌を宛がった。  
「ふぁっ!」  
彼女は予想だにしていなかったのか、私の舌の感触に背中を粟立てている。  
「やっ……!ガラハドっ……!」  
ぴちゃ、と音を立てて舐め上げると彼女はぴくぴくと身体を引き攣らせる。  
「やっ……、だめぇ……。もぅ……、我慢……でき…ない……、はやくぅ……」  
「何が我慢できないのだ?」  
「うぅん……、ガラハド……あなたのが欲しいの……、お…ねがい……」  
クローディアは、潤んだ瞳でこちらを見つめ、腰をくねらせておねだりしている。  
膣内からは愛液が止め処なく溢れている。  
「ふしだらだな」  
「そんなこといいから……早くぅ……」  
 
「クローディア……入れるぞ」  
彼女の膣口に肉棒を宛がう。  
「は、やくぅ……」  
そこをあえてゆっくりと挿入する。  
「ふぅっ、んんっ、すごい……大きい……」  
「……動くぞ」  
まずはゆっくりと動いていたが、締め上げてくる感触に、自らも快楽を求め、次第に律動の速度を上げる。  
「んっ、はぁっ、あぁんっ!んっ、ガラハドっ!すご…いいっ!」  
「クローディア、も、締まりがいいな」  
「あぁんっ、奥、いいのぉっ、うぅんっ!」  
ぐちゅ、ぐちゅ、と淫猥な水音、肉のぶつかり合う音がやけに耳に付く。  
彼女は熱い吐息を吐きながら、ひたすら喘ぐ。  
「やっ、あはぁっ!あっ…もぅっ……!駄目ぇ……!!」  
「……くっ!クローディアっ!!」  
「あっ、はっ、あんっ、あ、ああああああああああああ!!!」  
そのままふたり同時に達した。  
 
 
私はあの後、パーティから外れた。  
あのまま、何事もなく冒険していけるとは思わなかったからだ。  
グレイがミリアムはもとより、クローディアをも抱いていたこと。  
そんなグレイを心底軽蔑しながらも、私もクローディアを抱いてしまったこと。  
いろいろな思いが交錯したが、私はもう神々に仕えるべきではない人間だと自覚しながらも、これからも神々に奉仕し、償いをしていくことを誓ったのだ。  
そして、今の私の手には一本のアイスソードがある。  
やっと手に入れた。一目見たときから、どうしてもこの剣だけは欲しかったのだ。  
これで神々にさらなる奉仕が出来る。  
 
そう感慨にふけりながらアルツールに佇んでいた。  
すると「ガラハド!」と、聞き覚えのある声が聞こえた。  
「クローディア!?」  
あの時となんら変わりない端整な顔立ち。  
私は平静を装い、「おお、久しぶりだな」と挨拶した。  
「変わりないようね。その剣はアイスソードでしょう?」  
「そうだ。やっと手に入れたのだ。一目見たときから、この剣だけは欲しかった。これで神々にさらなる奉仕が出来る」  
「そう……、実はね……」  
とクローディアに事情を説明されたが、到底納得いくものではない。  
「駄目だ。これだけは、いくら積まれても譲れない」  
そう言うとクローディアは。  
「そう……。ならば、力ずくでも奪うわ!」  
といきなり戦闘態勢を取った。  
私は驚きつつも、「この盗人め!正義の刃覚悟しろ!」とクローディアを迎え撃った。  
私のアイスソード経由の吹雪は彼女が持つ土のトパーズに防がれ、彼女はそのまま私に渾身の力でヴァンダライズを見舞う。  
私の意識はそこで途切れた。  
 
 
クローディアはその場に佇んだまま、少々物思いに耽っていた。  
 
彼はそんなに自分を抱いたことを許せなかったのだろうか。  
グレイに無理矢理に初めて抱かれ快楽を知ったが、それによる喪失感は生半可なものではなかった。  
自分の気が向いた時に身体を求めてくるグレイになすすべはなかったが、それでもどうにかして、自分を取り戻したい、そう思っていた。  
普段からどっしりと構えていて、どうしてグレイなんかと一緒にいるのかと思わせる程、正義感に満ち溢れていたガラハド。  
そんな彼に少しづつ、しかし確実に魅かれていくのを自覚していた。  
そして、どうにかして彼に抱かれたい、たとえ軽蔑されてもいいと思って出た行動。  
あの時、彼に抱かれて、本当に嬉しくて、本当に愛しい、と思ったのに。  
 
後に遺ったアイスソードを手にし、クローディアは呟いた。  
「一緒に来てくれれば、それで良かったのに……」  
いつもは美しく通るその声は、震えているようだった。  
 
 

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