いつのまにか、二人きりになっていた。
旅に出た仲間は他にもいたはずなのだが、ひとり、ふたりと減っていき、ここファロスを目の前にして、イスカンダールとアリス・アンブローシアは二人きりで焚き火の炎と、ファロスに宿る不思議な光を見つめていた。
「アリス」
「ハイ」
「今日はもう休むといい・・・疲れただろう。」
「ハイ・・・でも・・・」
「眠れないのか?」
アリスはしばらく黙ってうつむいていた。
炎の向かいに腰を降ろしていたイスカンダールは音もなく近付くと、その横に座り、肩を抱くように引き寄せた。驚いて顔を上げるアリス。そこには優しく微笑むイスカンダール。
「お前らしくもない。いつも一番に寝息をたてていたお前が」
「それは・・・!」
言いかけて、しまった、と思い口ごもる。
「どうした?」
真横で、自分の顔を覗き込んでいるイスカンダール。アリスは自分の鼓動が高まるのを感じた。
「アリス?」
「・・・・・それは、あなたがいたからです・・・あなたが守ってくれていたから、安心できたから、だから・・・」
世界の未来のため・・・それは、後からついてきた理由にすぎない。
ただ、アリスはイスカンダールについていきたいから、ここまで来た。
「イスカンダール様・・・私、イスカンダール様が・・・好きです」
言葉に詰まりながら、しかし素直で率直な言葉を口にした。
いきなりそんな事を言われて、イスカンダールは戸惑っただろう・・・アリスはすぐにそう考えて後悔した。しかし、しばらくあってアリスの頬に暖かいものが触れた。
アリスは驚きと恥ずかしさで動く事もできなかった。
「私もだ。アリス」
そう聞こえたのが夢か現か、アリスには分からなかった。
「・・・イスカンダール様」
イスカンダールはそっとアリスの服を脱がせると、首筋から指と唇を這わせた。
「や・・・くすぐったい・・・」
イスカンダールは苦笑いしながら、顔を上げる。
「お前は・・・可愛いな」
そう言われてアリスはぼうっと顔を赤らめた。
それでも時間をかけてゆっくりと触れていき、下腹部に至る頃には、アリスは頬を紅潮させ、小さく喘いでいた。
イスカンダールはアリスの足の間に顔を埋め、そこを優しく嘗め始めた。
「やッ・・やぁ・・・あ・・・ッ」
暴れて逃げようとするアリスを押さえてさらに舌を踊らせる。
「っ・・あんっ・・・やあぁ・・・・・」
次第に赤く腫れていく突起を軽く吸いながら、湿ってきたそこに指を差し入れて、ぴちゃぴちゃと音を立てた。
「やぁッ・・・あ、あ、あ・・・・ッイスカン・・・ダ・・・ル・・さ、ま・・・・ッ」
悲鳴のような声を上げて、アリスは昇りつめた。
うつろな目を彷徨わせながら、荒い息をくり返すアリスをそっと抱き締めると、アリスもイスカンダールにしがみついた。
「・・・様・・・イスカンダール様・・・」
アリスが落ち着くのを待ってから、問いかける。
「良かったか?アリス」
「・・・気持ち・・・良かったです・・・」
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに言うアリスの頭を撫でて微笑むと、その手を取って自分の股間へ導いた。
「ッ・・・」
それを握らせると、アリスは恐る恐る覗き込んだ。
「してくれるか?」
アリスはしばらくためらっていたが、やがてぎこちなく手を動かし始めた。
「お前は、いい子だ・・・」
優しい声で、イスカンダールはアリスの様子を見守っていた。
やがて、イスカンダールはアリスの手を止めさせると、そっと押し倒してその上に覆いかぶさった。体重をかけないようにしてアリスを見下ろす。
「アリス。いいか?」
アリスはじっとイスカンダールの瞳を見ていたが、ややあってコクン、と頷いた。
それを確認すると、イスカンダールはアリスの足を割り、自分のそれを押し当てた。
ゆっくりと、沈めていく。
しかしそこは狭く、今にも裂けそうなほど張り詰めていた。
「痛い・・・・」
アリスは顔を背けて涙を堪えたが、固く閉じた目蓋から次々に涙が溢れていた。
「アリス。私を見ろ」
なかなかアリスは目を開けようとしなかったが、イスカンダールに頬を撫でられてようやく顔を向けた。
痛みと涙で赤くなった目で、何かを訴えかけるような表情で、アリスはイスカンダールを見つめた。
「私を見ていろ。大丈夫だ・・・」
優しい声だった。その声だけでアリスはうっとりしたように身体の力が抜けるのを感じた。
そして徐々に深くなり、じっくり時間をかけて、二人はひとつになった。
「アリス」
イスカンダールは繋がったままアリスを強く抱き、頬に何度も口付けた。
「イスカンダール様・・・」
涙で濡れていたが、アリスは確かに笑っていた・・・嬉しそうに。
「イスカンダール様、連れて行って下さい。私を・・・」
「どこにでも、連れて行ってやる・・・ついてこい、アリス。」
「イスカンダール様・・・!」
また新たな涙が溢れていた。
そして・・・いつしかアリスは眠りに落ち、イスカンダールはその寝顔をいつまでも見守っていた。
やがて夜が明ける。
ファロスは淡い、憂いを帯びた色の光をたたえ、その時を待っていた。
Fin