難破船で拾った時、アルベルトは玉のようにかわいい子に見えた。同時  
に、頼りなくて守ってやらないといけない存在にも見えた。勿論、今は違  
う。力を合わせて悪魔を倒した今では、十分に助けになってくれる事がわ  
かっている。そして、真面目で几帳面で責任感が強く頑張りやさんだと言  
う事もわかっている。シフとアルベルトは騎士団領にやってきた。  
 「もうしわけございません。大騒ぎがありまして、使えるベッドがただ今  
一人分しか用意できません。」  
 二人とも疲れていた。もう別の町に行く気力も無い。仕方なく二人は一  
つだけベッドが残された宿で泊まる事にした。  
 
 「まあいいんじゃないの。シフ姉が今日はベッドになってあげるから。」  
 「そんな、僕、そんなに小さくないですよ。」  
 「じゃあ、あたしは床で寝るから…。」  
 「待って。ごめんなさいそれは僕が。」  
 アルベルトの見掛けの年に似合わない気配りの利きに軽く感謝して、結  
局シフは床に寝た。  
 (あれも、親御さんの躾なのかねえ。)  
 目を閉じてシフはぼんやりとアルベルトの事を考えていた。生まれた城  
の隣にあった洞窟の奥の悪魔を退治したその夜に、城がドラゴンまで含む  
大勢の強力な軍団に襲われ、ただ一人生き残ったと言う。だが、あまりそ  
の事を掘り返してもアルベルトを悲しませるだろう。シフはイスマス城を  
思うのをやめた。  
 
 夜が更けて、何かが落ちる音がした。たまたま気がついたシフは瞬きし  
て音のした方を見た。アルベルトだった。起きて抱え上げてやろうかと思  
った時、アルベルトが寝返りを打って転がってきた。思ったよりも転がっ  
て、シフの丁度正面まで来てしまった。  
 「んば、んま。」  
 赤ん坊のような寝言を言うアルベルトを見て、昼間の凛とした様との違  
いにシフは音を立てず微笑んだ。アルベルトが思いもよらぬ事をした。横  
になって体を丸めたまま、ずりずりと更にシフに近づき、寝巻きをはだけ  
て乳首に吸い付いた。  
 
 (ちょっと!)  
 完全に不意をつかれた。だが払うに払えない。しかたなく、シフは吸わ  
れるままにした。  
 アルベルトは手をきゅっと丸めて、一心不乱に吸っていた。懸命に吸っ  
ていた。勿論、乳など出ないのだが、赤ん坊が安心する為におしゃぶりを  
吸うようなものかもしれない。  
 「んっ。」  
 つい声を洩らしてしまう。だが、あまりにもかわいらしい。邪魔をした  
くない。目の前の吸い付いているアルベルトはこの戯れをも許してしまう  
ほどにかわいかった。かわいすぎて、シフは、どうかなってしまいそうだ  
った。  
 「はああっ。」  
 気がついて、あわてて冷静になろうと努めた。  
 「さすがに犯罪か…。」  
 シフは独り言を言った。言ってすぐ、アルベルトがまた強く吸い付いた。  
 「ああっ…ん。」  
 シフは気がつかなかったが、シフの上げる微かな声もまた、昼間のシフ  
からは想像もつかないほどにかわいらしい声であった。  
 
 しばらく乳首をおしゃぶりのように吸った後、吸い疲れたのかアルベル  
トは熟睡に入った。まだ頬が赤いシフはアルベルトの眠りの深さを確かめ  
てから優しく抱き上げ、また寝かしつけてやった。また床に横になって、  
シフも深い眠りに入った。夢の中で、シフはまたアルベルトに乳首を吸わ  
せていた。  
 
 「ええっ!?お前も行くって!?お前みたいなのが魔物討伐に助太刀す  
る!?ママのおっぱい吸ってそうなお前みたいなのが!?」  
 討伐に出かけた騎士と騎士の見習いを追う事をたまたま口にしたアルベ  
ルトはそれを聞いた町人に驚かれた。  
 「なにを!!僕はママのおっぱいを吸ってるような未熟な子供じゃありま  
せん!!ラファエルさん達と一緒に退治して帰ってきてみせます!!」  
 それを聞いていたシフは飲んでいた牛乳を思いっきり口から噴出してし  
まった。  
 
終わり  
 

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