私はT260J、個体識別名テムジン――御嬢様をお守りする戦闘メカにして執事である。  
 目下、我々の旅は順調そのもの……悪童コンビはなかなかに慎重で、堅実かつ確実であった。  
 旦那様の足取りを追ってイシス神殿に立ち寄り、秘宝を狙う悪の存在を知り戦いを決意。  
 その為私達は、北の町を拠点に先ずは、少しの間だけ装備の調達と自己の鍛錬にあけくれた。  
 そして神官カイの助力を得て、アシュラの前線基地を撃滅……遂に今、天の柱を昇る時。  
 リッツとマルムは私と共に、エミリィ御嬢様を良く守り、勇敢に戦った……流石である。  
 御嬢様と契りを交わしたこの二人になら、私は全幅の信頼をよせることが出来るだろう。  
 ――今朝までは、心の底から私はそう思っていた……今朝までは。  
「っしゃ兄弟、次の世界に行くぜっ! おいポンコツ、遅れんなよ!」  
「ほらほら、エミリィもしっかり歩いて。大丈夫? 足元がふらついてるよ?」  
 カイと別れ、天の柱を登った世界の屋根……煌く星々の上を私達は今、歩いている。  
 私と並んで歩く御嬢様は、華奢な肩を震わせ浅い息を刻んでいた。  
 上気した頬には赤みがさし、その足取りは覚束ない。  
「ああん、まってよぅ……だ、だめぇ、こんな……もう歩けな……」  
 よろけた御嬢様が、私へと身体をあびせて寄りかかってくる。  
 こんなに立派に成長されて……起伏に富み、肉感に溢れた肢体。  
 咄嗟にメインアームをくびれた腰へと回して私は支えた。  
 嗚呼、どうしてエスパーの装束はこんなにも露出が激しいのだろうか?  
 これではまるで水着……いや、下着ではないだろうか。  
「ごめんね、テムジン。ちょっと、きゅうけい……んっ」  
 御嬢様の白い肌には、玉の汗が浮かぶ。  
 それと言うのも全て、あの悪童コンビ――リッツとマルムの仕業である。  
「ね、ねぇー、リッツー! マルムー! これ……わたしがそうびしなきゃ、だめ?」  
 御嬢様は今、背中にブロンズのたてを背負い、胸の前にブリザドのしょを抱いている。  
 ふくよかな乳房が真ん中に押し上げられて、その谷間を汗が伝った。  
 何も、御嬢様が喘いでいるのは、その二つが重い訳ではない。  
「リッツ、エミリィがアレを外したいみたいだけど……どうする?」  
「はぁ、しゃーねぇな。エミリィ、いいか? お前の頭でも解るよーに、もっかい説明すんぞ!」  
 先を歩いていたリッツが振り返り、踵を返して戻ってくる。  
 それに続くマルムは、昨日ライノサウルスを食べてねずみおとこになっていた。  
 そう、シルバーからパワーダウンしてしまったマルムは、少し機嫌が悪かった。  
 だから彼は、相棒のリッツをそそのかして、御嬢様にこのような淫らな悪戯を仕込んだのである。  
「ご、ごめーん、でももう……力が、入らないよぉ」  
 今にも崩れ落ちそうな御嬢様の前に、リッツとマルムが立ちはだかる。  
 二人とも、非常にイイ笑顔をしている……思わずロケットパンチを叩き込みたくなるような。  
 しかし私は、実は二人には強く言えない立場でもあるのだ。  
 リッツは自分は拾い物の武器を使い、御嬢様と私に随分とケロをつぎ込んでくれたから。  
 お陰でロケットパンチにサブマシンガンと、私の火力は著しく向上していた。  
 
 ……悔しいが私も紳士のはしくれ、恩を感じれば口も挟み難いのである。  
 
「いいか、エミリィ……これはお前の為に、しかたなくやってる事なんだからな」  
「そ、そうだよね、ごめんなさい。でも、その……も、もうこれ以上……」  
「じゃあエミリィ、もう一回だけ説明するよ? エミリィはエスパーガールだよね?」  
 マルムの言う通り、御嬢様はエスパーガール……最も、ガールと言うにはわがまま過ぎる肉体美だが。  
 御嬢様はコクンと、マルムに向って小さく頷いた。  
「エミリィ、旅に出てから新しく覚えた能力を全部思い出してごらん?」  
「え、ええとー」  
 御嬢様は私の頭部にブリザドのしょをそっと置くと、腕組み思案へと沈む。  
 可憐で麗しい御嬢様の、唯一の弱点……それは、頭が少しゆるくて弱いこと。  
「まずは、えっとねー、『けいかい』をおぼえたと思う!」  
 御嬢様のお陰で、私達は敵から不意打ちを受けることがなくなった。  
 だが、私は常に御嬢様の側に寄り添う、二人の幼馴染をこそ警戒して欲しいとも思うのだが。  
 毎夜毎晩、御嬢様は無防備すぎるのである。  
「んでね、次に……んー、んんん……そだ! これだ、『かげぶんしん』だっ」  
 そう言って御嬢様は、笑顔で反復横跳びを始める。  
 御嬢様のすばやさがあがった! ……ような気がする。  
 しかし、突然激しい運動をした御嬢様は、ピクン! と身を震わせ湿った吐息を漏らすと。  
 そのままよろよろと身を崩して、その場にへたり込んでしまった。  
 ストンと尻餅を着いた衝撃で、鼻から抜けるような声を噛み殺す御嬢様。  
 ニヤニヤと笑いながら、リッツとマルムが御嬢様を取り囲んだ。  
「エミリィは最初から覚えてる『ほのお』と合わせて、もう三つも能力を持ってるんだ」  
「だからよ、こうしておかねぇと四つ目の能力を覚えちまう」  
「そうなるとエミリィ、君は四つしか武具を装備することが出来なくなるんだ。困るだろ?」  
「武器の他に、鎧に兜に小手に靴……な? 四つ目を覚えちまうと不便だぜ?」  
 私に喋る事が出来たなら、三秒でこのワルガキ達を論破してやれるのだが。  
 伝説のかんうのよろいや、こうめいのくつが例え手に入ったとしても。  
 それらは絶対、リッツが優先的に装備するであろうことは目に見えていた。  
 そもそも、御嬢様はエスパーガール……背負ってる盾を使えば、ぼうぎょも鍛えることが可能。  
 さらに言えば、世の中にはパワードスーツなる便利な鎧もあると聞いている。  
 最も、御嬢様の脚線美が見れなくなるので、パワードスーツは個人的に論外だが。  
「俺ぁ、エミリィには似合うと思うんだけどな……エルメスのくつ」  
「綺麗なきものに、サークレット……いやしのつえに各種魔導書、いいと僕は思うなあ」  
 リッツとマルムを見上げる御嬢様の瞳が、きらきらと輝き出した……もう駄目である。  
 そんな訳で今、御嬢様は四つ目の能力を覚えぬように、無理矢理フル装備をさせられていた。  
 とりあえず余っていたブロンズのたてと、先日の戦いで大いに役立ったブリザドのしょ。  
 防具は申し訳程度に、女性用の装飾が綺麗なブロンズのこて……というより腕輪を装備している。  
 そして……飲みきりサイズの小さなポーションが二つ。  
 御嬢様は今、男の味を知ってしまった前後の肉穴に、小さな小瓶を装備……否、挿入されていた。  
 朝からずっと、である。  
 
 ……私は今朝方、前戯の後にそれを挿れられる御嬢様を、余さず記録していた。  
 
 ぺたりと床に座り込んだ御嬢様は、潤んだ瞳で切なげにリッツとマルムを見詰めている。  
 二人は互いに頷き合って、御嬢様と同じ目線の高さに屈み込んだ。  
「へへ、ちょっとやり過ぎちまったかね? しっかし……こんなにびっしょり濡らしちまって」  
 リッツが御嬢様の股間に手を伸べ、汗と愛液で染みのついた薄布を摩る。  
 硬いガラス瓶の感触を探し当てて、彼がそれを軽く押すと……御嬢様は身を仰け反らせた。  
「後のほうもこの数日で、随分と馴染んだよね。こんな太いのがほら、こんなに奥まで」  
 マルムも御嬢様の背後に回ると、毛むくじゃらの手を着衣と尻の間へ差し入れる。  
 桃尻の割れ目をなぞるマルムの手が、ポーションの小瓶に押し広げられた菊門を刺激した。  
「ふあっ! ら、らめぇ……二人とも、おしちゃ……あン、おくにはいっちゃ、ひうっ!」  
 御嬢様はだらしなく半開きになった口から、涎を垂らしながら天を仰いだ。  
 リッツはリズミカルに愛撫を続けながら、噛み付くように唇を重ねる。  
 舌と舌が絡み合う音が、四人しか居ない世界の天井に響く。  
 そのまま互いの吐息を貪るように吸いあうと、光の糸を引いてリッツは唇を離した。  
「兄弟、後の具合はどうだい?」  
「根元まですっぽりくわえこんでるね。それにここ……こんなに硬くなってるよ? エミリィ」  
 マルムも、括約筋が押し出してくる小瓶を奥へ奥へと挿入しながら、御嬢様の胸へと触れる。  
 乱暴に薄布が取り払われると、豊かな重みのある双丘がたゆんと揺れて弾けた。  
 そのままマルムは片方の乳房を揉みしだき、硬くなった桜色の乳首をもてあそぶ。  
「へへっ、なんだエミリィも勃起してんじゃねーか……随分と開発されてんなあオイ」  
「だ、だってぇ、リッツとマルムがまいば、んっ!」  
 リッツも張りのある乳房を揉みながら、器用に下半身も裸にしてゆく。  
 御嬢様は嫌がる素振りも見せずに、リッツが脱がしやすいよう腰を浮かせた。  
 そうして最後の着衣が取り払われると、薄っすらとした茂みが露になる。  
 濡れそぼるその奥へと指を走らせ、硬く充血した肉芽を摘まれると、御嬢様は嬌声を漏らした。  
 わずかに覗くポーションの小瓶が、愛液に濡れて妖しく光る。  
「ふあ……んっ、耳はらめ、そこよわ……」  
 御嬢様の長く尖った耳を、リッツとマルムは丹念に舐めながら甘噛みする。  
 既に呆けた表情の御嬢様は、だらしない痴態を曝して二人に身を委ねる。  
「どれ、それじゃ抜いてやるっか」  
 リッツが前に挿入されたガラスの瓶を抜く……と見せかけて、また押し込む。  
 焦らすようなピストン運動の度に、御嬢様は声をあげて身震いした。  
 やがて、びっしょりと濡れた小さな瓶が引っ張り出される。  
「エミリィ、後のは自分でひり出してみてよ。ほら、僕が支えててあげるから」  
 マルムがとんでもないことをサラリと言いながら、御嬢様を大股開きで抱かかえた。  
 嗚呼、何ということを……まるで幼子に小用を足させるようなポーズではないか!  
 私は不要なデータを瞬時に整理し、空いた容量へ画像を保存した。  
「や、やぁ……こんなかっこう、はずかし……んっ、んんん……」  
 御嬢様のアヌスがメリメリと広がり、ガラスの小瓶が姿を現す。  
 それは御嬢様がいきむ度に、少しずつ直腸から押し出され……やがて材質不明の床に小さな音を立てた。  
 マルムの腕の中で荒い息を刻む御嬢様のアヌスは、だらしなく開きっぱなしの状態をさらす。  
 
 ……私は心の中で旦那様に詫びつつ、気付けば食い入るように三人の情事へ魅入っていた。  
 
「兄弟、ちと悪ノリし過ぎたんじゃね? なあエミリィ、大丈夫か?」  
「ちょっとやりすぎたかなあ、ごめんごめん」  
 ぐったりと裸体を床に投げ出すエミリィ御嬢様を、リッツとマルムは抱き起こした。  
 二人に挟まれた御嬢様はしかし、媚惑的な視線を左右に巡らせ、両者の股間に手を伸ばす。  
「あんなものより、わたしは二人のが……リッツとマルムのがほしいな」  
 御嬢様の手は左右どちらとも、雄々しく猛る剛直を掴んでいた。  
 互いの顔を見合わせ苦笑しながらも、いそいそとズボンのベルトを外すリッツとマルム。  
「凄いよエミリィ、先週まで処女だったのに」  
「どうしようもない淫乱御嬢様だぜ……そこがまたいいんだけどな。ほら、おねだりしてみな?」  
 とろけた表情の御嬢様は、おずおずと四つん這いになり、二人へと尻を突き出した。  
 あられもない姿にしかし、私は目が離せない……毎夜毎晩の交わりが思い出される。  
「わたしの前でも後でも、リッツとマルムのおちんちん……いれてほしいのぉ」  
 誘うように左右に揺れる豊満な白い尻を撫でつつ、リッツが圧し掛かる。  
 彼は自らの滾る肉棒の先端を、前と後の間へ擦りつけながら御嬢様に囁く。  
「エミリィ、どっちに欲しんだ? ん? ほら、声に出して言ってみな」  
「あン、リッツのいじわる……じゃあ、んとね、ええと……どっちがいいか、はぁん!」  
 御嬢様の答を待たずに、リッツは濡れそぼる花弁を挿し貫いた。  
 一気に根元まで挿入されて、御嬢様が長い金髪を振り乱して仰け反る。  
 リッツは構わず細い腰を両手で固定すると、荒々しい腰使いで突き上げた。  
 粘膜のこすれる湿った音に、男女の息遣いと肉のぶつかり合う音が入り混じる。  
「エミリィ、顔上げて……僕のも」  
 マルムは前に回りこむと、御嬢様の細く形良い顎をクイと手で上げる。  
 彼はそのまま、モンスターサイズの逸物を御嬢様の鼻先へと突き出した。  
「今日はごめんね、エミリィ。つい……」  
「ううん、いいの……あっ、ああん……マルムがイライラとれて、よかっ……んふぅ!」  
 リッツの激しい挿抜に喘ぎつつ、御嬢様はマルムのペニスへと頬擦りしながら。  
 鼻を鳴らして嬉しそうに、それをくわえ込んでゆく。  
「あはっ、すごいにおい……あたまがクラクラしたゆ……おいひい」  
「僕の、前より小さくなっちゃった。早く次の肉を食べなきゃね」  
「ん、ふっ、ふう……ううん、マルムのはいつもりっぱだよぉ」  
 御嬢様はマルム自身を丹念にねぶり、唇でしごきながら深々と飲み込む。  
 上下の口をリッツとマルムに塞がれ、快楽の愉悦に浸る御嬢様。  
 その姿を私は記録し続けた。  
 嗚呼、私にも生身の肉体があれば……いや、それだけは駄目である。  
 主従を忘れて御嬢様と男女の交わりを持とうなどとは、言語道断。  
「相変わらずいい締りだぜ、エミリィ! やべぇ、出ちまいそうだ」  
「ぼ、僕ももう……エミリィ、出すよっ」  
 二人の若者は同時に絶頂の高みへ到達し、御嬢様へと精を迸らせた。  
 御嬢様も達して、激しく身を痙攣させる。  
「んっ、ぷは……けほけほ。マルム、いっぱい出したね。リッツも……わたし、おなかいっぱい」  
 断続的に大量の精液を注がれ、飲みきれずむせてペニスから口を離す御嬢様。  
 それでもマルムの射精は停まらず、粘度の高い白濁が御嬢様の顔を汚した。  
「んふふ、ほら見てふたりとも……中からリッツのが、溢れてきちゃうよー」  
 満足気に御嬢様は両足を開いて仰向けに座りなおすと、二人に向って秘所を曝した。  
 ゴポッという音が聞こえてくるかのように、白濁が二度、三度と噴出した。  
 この時御嬢様は四つ目の能力、ゆうわくを体得していたのだった。  
 
 ……私はこの時、執事の身でありながら御嬢様の虜となった自分に気が付いた。  
 

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