私はT260J、個体識別名テムジン――御嬢様をお守りする戦闘メカにして執事である。
「おめでとう! やはり きみたちが かったか! ふっふっふ……」
まるで事態を予測し、未来を見透かすような笑みを残してアポロンは去っていった。
かの神、アポロンが気まぐれで主催したドラゴンレースで、私達は圧勝し秘宝を手にしたが……
何故、アポロンは自ら所有する秘宝を手放すような真似をしたのだろうか?
私の中で疑念は高まり募る一方だった。
「それでは、優勝チームの栄えあるドラゴンライダーが登場です! さあ、表彰台へ!」
私達は訪れた世界の一つで、秘宝を賭けたドラゴンによるレースに参戦した。
餅は餅屋、という諺の通り……出場する為のドラゴンをマルムに選んでもらったが。
意外にも彼が選んだのは、乗り手に困る厩舎の、見るも貧相で人気のないドラゴンだった。
だが、モンスターにはモンスターの気持ちやコンディションが、誰よりも解るのだろう。
マルムの駆るドラゴンは、スタートこそ出遅れたものの見事な末脚で追い上げ優勝した。
エミリィ御嬢様もリッツも、もちろん私も、優勝と秘宝の入手を心から喜んだ。
「この幼くも可憐なお嬢さんが、今大会の優勝者であります! 皆さん、惜しみない拍手を!」
表彰台に上がるのは、嫌に白い顔をぎこちなく微笑ませる一人の美少女。
その正体は、何を隠そう私達の旅の仲間、マルムその人だった。
彼は――そう、断っておくが『彼』である――御嬢様が選んだ愛くるしい服を着込んでいる。
そのいでたちは、フリルとレースに彩られたモノクロームのエプロンドレスで。
ヘッドドレスをいただいた漆黒の頭髪は、綺麗に肩口の高さで切り揃えられている。
見るも愛らしい、ビスクドールのように白磁の肌を輝かせる物憂げな令嬢……
しかし私の全センサーが、今のマルクは性別的にはオスであることを明確に告げていた。
「それでは、商品の秘宝と花束、そして賞状の贈呈です!」
セレモニーを盛り上げる司会者がマイクに叫んで、水着の美女達が商品をマルムに渡す。
華奢で小柄な身でそれを受け取り、花束に埋もれるような格好でマルムは引きつる笑みを浮かべた。
――モンスターという種族独特の『食い合わせ』とは、実に不思議なものである。
私は長い旅の中で、マルムを検体としてモンスターの進化表を作成しているのだが。
モンスターは時として、姿形や能力、そして性別までも変化してしまうことがある。
「見ろよエミリィ、あの野郎……随分と緊張してるみてぇだ。はっ、ガラにもねぇことをするからだ」
「でもマルムすごいねー、ゆうしょうしちゃったね! またひほう、増えちゃった……すごいっ!」
御嬢様はただただ只管に感心しているが……リッツは込み上げる笑いを堪えるのに必死だ。
……私はこの時、アポロンの真意に一抹の不安を覚え、不安に電圧が上がったり下がったりした。
「やっと終った……もうっ! この格好、脱いでもいいよね? 他の服を用意してよっ」
宿屋にチェックインして部屋に入るなり、マルムが珍しく感情を発散してヘッドドレスを外す。
彼はそれを投げ捨てるや否や、己の身を包む華美なエプロンドレスを脱ごうともがいた。
「おいおい兄弟、もう脱いじまうのか? 次の肉を食うまで着てろよ、似合ってるしよ」
「そうだよー、せっかくわたしがえらんだのに……マルム、すっごく可愛いよ!」
エミリィ御嬢様とリッツの言葉を遮り、マルムは下着姿になって脱衣を床に叩き付ける。
下着も勿論、御嬢様が選んだシルクのショーツだが……その股間が僅かに小さく膨らんでいた。
「……二人とも、絶対楽しんでるでしょ。僕の悩みも知らずに……まったくもうっ!」
先日、倒した敵の肉を食したマルムは、またしても違うモンスターへと進化を遂げた。
ガスト――それは恐るべきアンデット、生ける死体……しかし、その容姿は見ての通り。
突然、全裸の少女然とした少年に変化したマルムには、一同唖然としたものである。
「でもよ、兄弟。そのナリじゃ俺の服を貸してもブカブカだしよ」
「せっかくかったのに……わかった! マルム、もっとかわいいのがいいんだ!」
「エミリィのバカ……リッツも。普通の服を買ってよ、人間型だと全裸で歩く訳にもいかないだろ」
獣ならば構わないが、生物学的に死んでいるアンデットとはいえ、人間が裸ではいささか困る。
そんな訳で御嬢様がマルムに服を買ったのだが……いささか趣味に過ぎた故か、本人には不評だった。
しかし似合ってしまうので、リッツは見る度に笑わずには入られない。
「それにね、リッツ! 僕がどれだけガッカリしてるか……みてよ、この粗末なモノをっ!」
マルムは最後の着衣を脱ぐと、その薄布を丸めてリッツに投げ付けた。
アンデット故に血色の悪い肌は、白すぎる美しさでその肢体を彩っていた。
「ぷっ……ははっ! いや悪ぃ、悪い兄弟っ! 悪気はねぇけどよ……たははっ!」
「もういいっ! ストーンゴーレムから久々に、生身の肉体になったと思ったらこのザマだよ」
唇を尖らせて不貞腐れると、マルムは人形のような己の身体をベットへと放り投げた。
その股間に久々に復活したマルムの逸物は、非常に小さく……すっぽりと包皮に覆われていた。
毎夜毎晩、リッツと一緒に御嬢様を悦ばせることが楽しみなマルムではあるが……
流石に今回、久々に男性器のある肉体に戻れたのに、余りに粗末な肉芽に失望しているのだった。
「はぁ、一時はヘソまで反り返らんばかりだった僕のが……今じゃ、こんな……」
「ゴメン……でもね、マルム。わたし、いまのマルムもすきだよ? かわいいもん」
御嬢様はマントを、次いで靴を脱ぎ捨てると、露出の激しいエスパーガールの戦衣に手をかける。
そうして一糸纏わぬ姿でシーツに膝を突くと、面を上げるマルムに変わってベッドがギシリと鳴いた。
……私はその時、昔旦那様が私に保存しておいた『男の娘』という名のフォルダを開いていた。
エミリィ御嬢様は大胆にも、ベッドの上に身を投げ出すマルムの上に覆い被さった。
そっと白い、白すぎる頬を手で撫で、そのまま瞳を閉じて唇を重ねる。
「ん、んっ……ふ、はぁ……ふふ、マルムのくちびる、ひんやりしてる」
「そりゃそうだよ、アンデットだもの。血の巡り、悪いんだ……だから、ほら」
額に頬に、鼻先に瞼にとキスしてゆく御嬢様に、マルムは視線で自分の股間を指した。
こじんまりと無毛の股間に縮こまるペニスは、ぴくりともせず柔らかに沈黙していた。
「んー、まっててねマルム。わたし、やってみる! だいじょうぶだよ、そんなおちこまないで」
「だってこんな……あんまりだよ、これじゃまるで子供のペニ――ふあっ!」
御嬢様は右手の中にすっぽりと竿を収めて包み、左手で睾丸を優しく握って揉んだ。
突如、電撃のような快楽に脳天を貫かれ、身を震わせるマルムの股間に御嬢様が顔を埋める。
「ふふ、ちっちゃくてかわいい……ほら、ヒクヒクしてるよ? あは、つめたいよぉ」
「あっ、エミリィ……だめっ、そんなに強く吸、んくぅ! あ、うぅ……」
御嬢様はぱくりと、未成熟なペニスを飲み込み頬張った。
そのまま余り過ぎた恥皮を甘噛して引っ張れば、マルムが顔を手で覆いながら身悶える。
さらには舌と唇で器用に包皮を手繰り、その奥に隠された亀頭を舐められれ悶絶するマルム。
「マルムのオチンチン、ぬるぬるしてきた……けど、たたないね? わたし、へたっぴ?」
「あっ、違……ひうっ! エ、エミリィは上手、だけ、ど……アンデットだから、血の巡りが、んぁ!」
ビクビクと身を震わせて、マルムは押し寄せる快楽に震えながら御嬢様の髪を両手に遊ばせる。
御嬢様の口で愛撫され、言葉にできぬ快楽に浸りながらも……彼の肉芽は勃起することができなかった。
「しゃーねぇなあ、兄弟。エミリィ、俺が手伝ってやるよ……いいか、見てな」
見かねたリッツがベッドに上がると、右手の中指をしゃぶって濡らしながらニヤニヤ笑う。
切なげに濡れた瞳で、幼馴染の義兄弟を見詰めるマルムは本当に可愛らしかった。
「いいか兄弟、力抜けよ……ほれっ」
「んんんっ! ば、ばかぁ……リッツ、そこは……ふぁぁぁ」
仰向けに身を開くマルムの、その尻の下へとリッツは手を伸べ、穢れた排泄孔を探り当てる。
唾液で濡らした指が、きつく窄まる桜色のアヌスへとめり込み……中から前立腺を刺激した。
たちまち絶叫と共に身をガクガクと震わせ、御嬢様の口の中でマルム自身が固く勃起してゆく。
「あは、マルムちゃんとたったよ。ほら……さきっちょ見えないけど、マルムのおいしいよ?」
「やっべぇやっべぇ! 兄弟、尻ん中すげぇひんやりしてんぞ!? まあアンデットだからか」
マルムは呆けた顔で涎を垂らしながら、やっと下腹部で身をもたげた己の剛直を見下ろしていた。
それは限界まで昂ぶって尚、あり余る包皮につつまれ、先から粘度の高い光の糸を垂れ流していた。
……私は旦那様の『男の娘』フォルダの中にさらに、『真性包茎』フォルダがあるのを確認していた。
「じゃあマルム、いれるね……ん、んっ、ひあっ! 硬いのに、つめたいよぉ」
エミリィ御嬢様はマルムを跨いで馬乗りになると、その小さなペニスを手に腰を下ろした。
既に濡れそぼって蜜にふやけた、淫らな秘裂の奥へと未熟な男の塊を導いてゆく。
マルムの粗末な逸物は、またたくまに御嬢様の中へと収まり飲み込まれた。
大きく息を吐き出し、御嬢様はマルムの薄い胸に手を突き頬を朱に染める。
「は、挿っちゃった……その、エミリィ、小さいだろ? その、僕、恥ずかしい……」
「ん、きもちい……マルム、わたしのなかでビクビクしてる。ちゃんと感じるよ」
御嬢様が締め付けるたびに、マルムが声を上げて総身を震わせシーツを掴んでたぐる。
そんなマルムを犯すように、御嬢様は激しい腰使いで挿抜を繰り返し、腰をグラインドさせる。
たびたび秘壷からすっぽ抜けるマルムのペニスは、その都度優しく元の場所へと戻された。
「や、あっ……こんな、エミリィに……僕、犯されちゃう、ひぅ!?」
「マルム、出そう? いいよ……いつもみたいに、わたしがしぼってあげるね……出して」
一際高いボーイソプラノを響かせ、マルムが達して御嬢様の中に精を放った。
御嬢様も身震いして、膣内に弾ける死人とは思えぬ精力の迸りに感じ入っていた。
「くっ、屈辱だ……僕が、こんな……」
「マルム、きもちよくなかった? わたし、よかったよ? ……ゴメンね、マルム」
「エミリィは悪かねぇよ。兄弟は拗ねてるのさ、そんなナリになってされるがままの自分にな」
傍らで笑うリッツが、御嬢様の長く尖がった耳へと口を寄せて呟いた。
マルムも食い合わせ次第では、大人の腕程もあろうかという豪胆な肉棒を取り戻す。
それも全部、前と言わず後と言わず突っ込まれるのは……リッツの言葉に頬を緩ませる御嬢様。
「そ、そだよね……マルムもほかのお肉たべたら、前みたいなおっきぃオチンチンになるよ、うん」
「そんな訳で兄弟、次はお前さんが上になって動けよ。ガンガン抜いてスッキリしちまえ」
リッツの言うままに、御嬢様とマルムは結合したまま体を入れ替える。
体格的にも少女と言うよりは幼女に近いマルムは、埋まるように御嬢様を抱きしめた。
「マルム、まだわたしの中でかたいよ? ね、出して……ぜんぶ、わたしに出して」
「あっ、駄目っ……エミリィ、今そんなに締めたら、んくぅ!? あ、あうぅ……」
愉悦と苦悶に彩られながらも、マルムが激しく腰を動かし出した。
肉と肉が激しくぶつかり合い、汗が弾ける音が荒々しい吐息に混じって部屋に響く。
マルムはただただ無心に腰を打ちつけ、全神経が集中したかのように敏感な肉芽で御嬢様をえぐった。
「……やべぇな、これは。いやぁ兄弟、俺ぁ今までそんな目で見たことなかったけどよ」
「え? あ、ちょっ……リッツ、何!? ちょっと、やめ……待ってよリッツ」
「いや、俺おかしいわ。おかしいぜ絶対……でもよ、何か、その、すまんっ!」
「バ、バカッ! リッツのバカ、違う身体になったら絶対んくっ! ……ば、ばかぁ、おおき……」
傍らで二人の情事を見守っていたリッツが、突如ベルトの金具を解き放ちズボンを下ろした。
まろびでたペニスは硬く充血し、その濡れて光る先端は……直ぐにマルムのアヌスへと突きたてられた。
……私は今日の動画を、旦那様が設定したフォルダのどれに保存していいか迷ってしまった。