それは先生と別れ、初めて外の世界へと飛び出した直後の出来事だった。  
「ひゃっはーっ! お嬢ちゃん、一人でどうしちゃったのかなぁ?」  
「町の外は危ないよぉ? 俺等みたいなのがたぁーっくさんいるからよ」  
「これ、上玉。おで、前みたいに。裂けるまで、死ぬま――んあ?」  
 可憐な少女を囲む、見るも厳つい男達。なかでも一際巨漢の、ズボンのベルトに手を  
かける強盗の肩を……背後から背伸びして、トントンとアーニャは叩いた。振り向く男が  
「あ?」と間抜けな声を零す、その鼻先へとレイピアの切っ先が突きつけられる。  
「おやめなさい。大の男がよってたかって……恥ずかしいとは思わないの?」  
 凛とした、良く通る声。  
 微塵の恐れもないアーニャの言葉に、男は暴力で応えた。ブンと振られた拳が唸って  
アーニャを掠める。綺麗に切り揃えられた、短い翠緑色の髪が僅かに揺れた。  
「おで、お前でも、いい」  
 交互に繰り出される、無軌道なパンチが空気を震わせる。しかしアーニャは踊るように  
華麗に、全てを避けつつレイピアで一閃。肥満気味の男は、脇腹をパックリと切り裂かれ、  
豚のような悲鳴を上げて仲間に駆け寄った。  
 その一部始終を、J+は余さず記録していた。その流麗なる技もさることながら、何より  
剣舞に踊るアーニャの美貌を。陶磁器のように白い肌は、動き易さを重視した赤紫の軽装  
に包まれている。それがかえって、豊かな胸や尻の膨らみを、何よりくびれた柳腰を強調  
していた。ホットパンツから伸びる長い足の腿などは、肉感に溢れ、このうえなく扇情的。  
「ア、アニキ、お、おでの、お腹、お腹、裂け、裂けれっ……」  
「手前ぇ、よくも内の舎弟をやってくれ、ガッ!」  
「僕はお姉ちゃん程優しくないもんね。隙を見せたら、こうっ! でっ、せーのぉ!」  
 強盗一味のリーダーらしき男が、眉根を寄せて躍り出た瞬間。その横合いから勢い良く、  
サーシャがロングソードを叩き付けた。先ほど拾った物だが、洞窟で数回振っただけで、  
ほぼ完全に使いこなしている。しなやかな細身が躍動した。  
 アーニャが静なら、サーシャは動……冷静に分析しつつJ+は武装のセフティを解除。  
 双子の姉妹とはいえ、アーニャとサーシャは顔以外は何もかもがアベコベに違っていた。  
サーシャは眩い金髪に褐色の肌で、鍛え抜かれてはいるが華奢でスレンダーな肉体だった。  
お揃いの着衣も水色が基調で、普段から闊達に動いているせいか、裾がほころびている。  
 何より二人は、性格が水と油……静謐なるアーニャと、快活なるサーシャ。  
 しかし二人は仲が良く、そろって村の人気者。それともう一つ。もう一つだけ、二人は  
同じ物を持っている。それは大きくつぶらで、瞬く星のような真っ赤な瞳。  
「二人ともっ、後は俺に任せてっ! ……集中、念じてっ……いっけぇ!」  
 二人の剣士が同時に振り向いた。アーニャの真紅の、サーシャの深紅の瞳が左右に散る。  
 刹那、ようやく反撃の素振りを見せた強盗三人組を冷気が襲った。空気中の水分が氷結  
して結晶が舞う中、絶対零度の力が暴漢を襲う。  
 ロアンの能力は未熟で未知数だが、素質だけは母譲りで確かなものだった。  
「あ、ああ、兄貴が、こここ、凍っ……ひいぃ! おお、おっ、お助けぇ!」  
 最後尾の一人が、極寒地獄と化した空間から飛び出した。その顔は寒さよりも恐怖で  
凍り付き、戦意も萎えて逃走に移ったが……J+は自分の仕事をキッチリこなすことにした。  
「あっ、お姉ちゃん! 一人逃げちゃうっ!」  
「ロアン君、その子をお願い。……逃がさないんだから」  
「お二人とも、ここはアタシが! 坊チャン、ちゃんとフォローしてくだサイネ」  
 言うが早いか、J+は地を蹴っていた。ローラーダッシュの音が土煙を上げ、逃げる悪漢  
との距離が瞬く間に縮まる。デリンジャーが火を吹いた時にはもう、ザシャと土を噛んで  
J+はターンしていた。確認するまでもなく、最後の一人が倒れる。  
「勝利を我が手に、デス! キメッ!」  
「……お姉ちゃん、前から思ってたんだけど……J+のアレ、何なの?」  
「本人が格好いいと思ってるんだもの、いいじゃない。それより」  
「だっ、大丈夫ですか? あの……立てます? もう安全で――」  
 三人の強盗に襲われ、縮こまっていた少女。へたりこむ彼女は、手を伸べるロアンへと  
夢中で飛び付き、抱きしめた。その肩の震えが、無言で恐怖を物語る。  
「あ、ありがとうございます。私はカリオペ……本当に、ありがとう、ございます」  
 J+はこの時、アーニャとサーシャの微妙な表情の変化を見落とさなかった。  
 
「父さんじゃ、なかった……はぁ、疲れた」  
「坊チャン、元気出してくだサイ。アタシの計算によれば、きっと近くに旦那様は……」  
「酒場の人、でも……綺麗な、人、だったな……いい、音楽で、きっと、旅して……」  
 J+は真剣にフォローの言葉を選ぶ。何万パターンと登録された、赤子の頃からロアンと  
会話して得た語彙を検索して。  
 しかしロアンは、初めての旅の疲れと……何より劇的な人違いで心身共に疲れていた。  
 そんな彼は、脱力してベッドに身を投げると、そのまま身を縮めて丸くなる。せめて  
着替えをと思ったが、J+は部屋の明かりを消しにスイッチへ。  
 ロアンは今日、初めて戦いを知った。初めてなのに戦えてしまった。旅立ちを決意して、  
本当に旅立ってみて……普段知るよりもJ+は、ロアンが心なしか逞しく、頼もしく見えた。  
まるで一皮向けたみたいに、決意の日以来、ロアンは少しだけ男らしくなった。  
 奥様と旦那様に、何より敬愛する執事のあの人に……これはいい報告ができる。  
 J+はしみじみとロアンの成長を感じ、感情回路が喜びを発信するのを確認した。  
「では坊チャン、おやすみなさいマセ」  
 優しい電子音声を奏でて、J+が消灯。部屋は柔らかな夜の帳を迎え入れた。  
 そうしてJ+も機能をスリープモードにし、明日に備えようとしたが……そんな彼女の  
センサーが、微細な光を拾う。古い宿屋は、隣の部屋とを隔てる壁に小さな亀裂があった。  
そしてそこから漏れているのは、僅かばかりの薄明かりだけではなかった。  
 人間には聞き取れぬ空気の振動を拾い、J+は亀裂をつい覗き込む。  
「先にお風呂いいわよ、サーシャ。私は今日の日記をつけちゃうから」  
「あっ、持って来たんだ……それ。ふふ、お姉ちゃんって几帳面だよね」  
 隣はアーニャとサーシャ、二人の姉妹の部屋だった。  
「どれどれー、最近は何を書いてるのかなー? おっと、またロアン君ロアン君、か」  
「あっ、サーシャ? いいから返して頂戴。ダメよ、人の日記を見るなんて」  
 小さな一冊のダイアリーを巡って、双子の姉妹は部屋の中をじゃあうように行き来する。  
その姿は、機械のJ+にも仲睦まじいものに見えた。姉妹揃って優秀で、村の人気者……  
良くぞあの家庭環境でと、J+はインストールされている双子のデータを省みた。  
 アーニャとサーシャ、二人には母親がいなかった。唯一の肉親、父親はと言えば……  
それが御世辞にも、いい親とはいえなかった。村では、はみ出し者の典型的なダメ親父で。  
毎日仕事もせず、酒びたりの日々を送っていた。  
 アーニャとサーシャにとってそれは、大きな枷でもあった筈だが。そのことに関して  
二人が他者に何かを語ることは一度もなかった。気丈だとJ+も率直に分析する。  
「お姉ちゃんもスポーツ万能だけど、僕の方がやっぱり、あっ」  
「サーシャはスポーツ『だけ』万能だから困るの。ほら、お風呂入ってらっしゃ……もう」  
 ダイアリーを取り戻したアーニャを、サーシャは甘えるように身を浴びせて抱きしめた。  
それだけなら、どこにでもいる普通の姉妹……仲がいいだけの姉妹だったが。J+は見た。  
 二人は見詰めあい、互いの赤い瞳を近づけて。どちらからともなく、唇を重ねたのだ。  
 最初はソフトに、触れるだけのキス。  
 離れるや今度は、サーシャからか求めるような、ねだるようなキス。  
 羞恥と愉悦を織り交ぜ、頬を赤らめるアーニャの、サーシャに応えるキス。  
 二人は長い事、互いに唇を寄せては離れて見詰めあい、また唇を重ねる。徐々にそれは  
熱がこもり、湿った音をたてはじめた。触れる時間が長くなり、互いの舌と舌が絡み合う  
ヌチュヌチュという音をJ+のセンサーが拾った。  
 強く抱き合いながら、二人は互いの唇を吸い合い、形良い鼻先を摺り寄せ合っていた。  
「もう、しかたのないサーシャ……あ、んっ」  
「やーだっ。僕もうおさまんないもん。ね、お姉ちゃんもでしょ? しようよぉ」  
「だ、駄目よサーシャ。せめて、先にお風呂に……今日は汗かいたんだから」  
「あはっ、ホントだ。お姉ちゃんの汗の匂い、僕すっごい興奮しちゃう」  
 僅かに力はサーシャの方が強いらしく、アーニャはベッドに押し倒された。そのまま  
サーシャはアーニャの胸に顔を埋めて、肩を上下させながら深呼吸。全身で体臭を吸って  
恍惚とした表情を浮かべながら、僅かに顔を上げた。  
「ねえ、ほら……お姉ちゃん、さわって。僕もう、ね?」  
 下のアーニャの手を取り、サーシャは自分の股間へと導く。  
「お姉ちゃんもでしょ? ほら、やっぱり……ふふ、相変わらずすっごいね」  
 同時にサーシャは、身を捩るアーニャの股間をホットパンツの上からさすっていた。  
 
 この事実はロアンを傷付けるのか……しばし悩みながらも、J+は記録を続けた。  
「ね、窮屈……脱ごうよ、お姉ちゃん。ここ、もう村の外だよ? 僕達、自由なんだ」  
「……サーシャ、それを言わないで。私、今でもお父様のことが少し、少しだけ……」  
「あんな男っ、忘れちゃおうよ! ……僕が忘れさせてあげる……忘れさせてよ」  
 小さく頷き、息を荒げるサーシャにアーニャが口付けて。そのまま身を起こす二人は、  
互いに着衣を脱ぎ捨てた。丁寧にたたんで置くアーニャの横で、待ちきれんとばかりに  
サーシャが脱ぎ散らかす。  
 二人は下着まで対照的で……しかし、驚愕の酷似点をJ+は見つけて驚いた。  
 アーニャはその楚々としたイメージにピッタリな、白いレースの下着が眩しい。  
 対するサーシャはブラジャーをしておらず、水色と白の縞模様。  
 J+が驚きメインカメラをズームしたのは、その股間……二人とも、その可憐な容姿に  
似合わぬ膨らみが薄布を押し上げ、その先端が濡れて染みを作っていた。  
「ね、脱がしっこしようよ……いつもみたいに。お姉ちゃんも、ほらっ」  
「もうっ、サーシャったら。やだ、ゆっくり――はぁん!」  
 ぶるん、と巨大な男根がまろびでた。アーニャの股間には、隆々と漲る立派な逸物が  
ヘソまで反り返っている。小さな下着に閉じ込められていたそれは今、サーシャの手で  
暴かれてしまった。そのままサーシャが下着を完全に下ろしたので、アーニャはおずおず、  
交互に足を上げて下着を逃がす。  
 J+は見た……アーニャの股間に、男女両方の性器があるのを。両性具有、ふたなり。  
「ふふ、お姉ちゃんったら先走りと愛液でグッショリ。今日のロアン、思い出してたの?」  
「サーシャ! もうっ、知らないんだから。ほらっ、いいから立って……早く、見せて」  
 屈んでアーニャの下着をつまんでいたサーシャは、待ってましたとばかりに立ち上がる。  
そうして腰を突き出すと、今度はアーニャがサーシャの最後の一枚を脱がした。  
 やはり、予想通りにペニスが現れる。しかしそれは、アーニャのに比べると余りにも  
粗末……小さく、勃起してなお余る皮が全体をくまなく覆っていた。  
「サーシャだって同じじゃない。もうビショビショ……私が洗濯するんですからね?」  
「ふふ、僕はお姉ちゃんのこと思い出してたし。さっきのキスでもう」  
 J+は落ち着いて、サーシャとアーニャの二人を生体スキャンした。  
 アーニャは雌雄同体、両性具有……本来ならクリトリスがある部分にペニスがあって、  
体内にはちゃんと精巣もある。無論、女性器もあり、子宮も確認できた。  
 対してサーシャは……驚く事に、正真正銘の男性だった。小さなペニスの下に睾丸が、  
パンパンに張った状態でぶらさがっている。データは嘘をつかない。学校の人気を二分  
する美人姉妹の片方は、男。双子は姉妹ではなく、姉弟だったのだ。  
「お姉ちゃん、オチンチンも乳首も固くして……今日、ロアン格好よかったね」  
「やだ、恥ずかし……サーシャったら」  
「助けた子がでもさ、ロアンに抱き付いた時……お姉ちゃん、ムッとしたでしょ」  
「ばっ、馬鹿っ! 何言ってるのよ……ほらっ、いいからもう、するんでしょ?」  
 意味深な笑みを浮かべる妹……否、弟を前に、同じ顔の頬を赤らめながら。アーニャは  
サーシャの手を引き、ベッドに二人は横たわる。そうして抱き合い、互いの柔らかな腹へ  
固く充血する強張りを押し付けあう。そうして切なげに吐息を零しながら、再びキス。  
 淫靡な光景を、J+はただ黙って記録し続けた。  
「お姉ちゃん、焼いてたんだ……ロアンが他の、ひっ! おっ、お姉っ!」  
「黙らせちゃうんだから、サーシャ。ロアン君のことは、ロアン君は……」  
 キュム、とアーニャが、サーシャのペニスを強く握った。アーニャの小さな片手でも  
サーシャのペニスはすっぽりと隠れてしまう。その手が動く度に、サーシャははばからず  
喘いだ。そのままアーニャは顔を近づけ、さも当然のようにサーシャ自身を口に含む。  
「んっ、サーシャってばまた……ちゃんと洗いなさい? もうっ、凄い臭い。咽ちゃう」  
「だ、だってぇ……お姉ちゃんに、あン! きっ、綺麗に、してもらう、もん」  
 翠緑色の鮮やかな髪を、サーシャは両手で包むように掴む。そうして頭部を固定された  
まま、アーニャは熱心に弟の昂ぶりをねぶった。恐らく口の中で包皮をむいて、そこに  
溜まった恥垢を舐め取っているのだろう。  
「サーシャ、私のも。出発前に抜いたのに、もうこんなに。お願い」  
 姉に言われるまま、サーシャは上下逆にアーニャと重なった。そうして双子は互いに  
股間のペニスを口に含んで、淫蜜を奏であった。  
 
 J+は背後にロアンの安らかな寝息を確認しつつ、双子の秘密の淫行を記録し続けた。  
「ぷはっ、お姉ちゃんの、おっきすぎるよぉ。僕のに比べて、こんなに」  
「ん、んっ……サーシャのも、凄い。こんなに」  
「だって僕のは。僕のは包茎だもん。真性……あ、駄目っ! 皮噛ん、うぁ!」  
「いいよ、サーシャ。ほら、こうするの好きでしょ? 可愛いもの、サーシャは」  
 どうやら誘うのはサーシャでも、ベッドの上でのイニシアチブはアーニャにあるあしく。  
すでに呆けた顔で口を離したサーシャは、アーニャの口での愛撫にとろけていた。余った  
皮を甘噛みされ、さらに引っ張られ。そして舌でむかれて、僅かに覗く亀頭を舐められる。  
 下のサーシャは込み上げる射精感に堪えつつ、アーニャの股間に指を滑らせた。  
「ふふ、お姉ちゃん、こっちもベチョベチョ……ここ、まだ処女なのにこんなに」  
「ひゃうっ! そっ、そこ駄目……あっ、指挿れながら、シゴかな……んふぅ!」  
「この奥の膜を、純潔をロアンに捧げたいんだよね。お姉ちゃん、可愛い」  
「しっ、刺激強過ぎ、るぅ! うっ、はあ……でも、こんな身体で……」  
 上下を入れ替え、サーシャが上になった。醜美併せ持つアーニャの艶かしさを見下ろし、  
真剣な眼差しで見詰め合う。赤い目と目を気持ちが伝った。それは口を突いて出る。  
「お姉ちゃん、秘宝でこの身体を治して……ロアンの気持ちに応えるんでしょ?」  
「……うん、でも」  
「僕は平気! お姉ちゃんがお嫁にいったら、僕も家を出るし」  
「でも、お父様が……」  
 四つん這いに覆う双子の弟から、アーニャは目を逸らして僅かに俯く。  
 そんな姉に対して、サーシャは膝立ちに振り向き、尻を突き出した。  
「お姉ちゃん、見て……ここ、見て。あの男がどんな人間か……いつも見たいに、感じて」  
 角度的に目視は不能だったが、J+のセンサーには全く問題がなかった。  
 アーニャに尻を向けてまたがり、サーシャはたわわな桃尻の肉を左右に自ら広げてゆく。  
露になる谷間の中心に、汚れた排泄孔があった。そこは色素が沈殿して、使い込まれた  
えぐみのある色で開閉を繰り返している。  
「あの男は親なんかじゃないっ! お姉ちゃん、ほら。僕のここ……もう……」  
 サーシャは、搾り出すように独白した。  
「してよ、お姉ちゃん。あの男の手で作りかえられた、僕のケツマンコ……してよっ!」  
 サーシャの下から身を起こして、アーニャは震える弟の背中を抱きすくめた。そうして  
頬に頬を寄せ、流れる涙をキスで拭うと。そのまま耳を、うなじを、次いで背中へと舌を  
這わせてゆく。そうして、そのままサーシャの背骨をなぞりながら――  
「サーシャ、お父様を許してあげて。私がこんな身体で生まれて、お父様は……」  
「違うよっ! 元からあの男は狂ってるんだ……僕、ロアンが羨ましい」  
 J+は一度だけ、ベッドのロアンを振り返った。守るべき少年には、普段は家にいないが  
逞しく男らしい父がいる。常に家には優しい母がいて、執事がいて……何より自分がいて。  
 その全てが、壁一枚隔てた双子にはなかった。  
「お姉ちゃん、して……僕を女の子にして。僕、あの男の手で汚れてるけど」  
「ううん、サーシャ。サーシャがいつもしてくれるから……私、いつも感謝してるし……」  
 愛してる。  
 それは歪な、しかし純粋な気持ちの表れだった。アーニャはそのまま、サーシャの尻の  
窄まりへと唇を寄せて。四つん這いになるよう促し、そのまま舌で菊門を解してゆく。  
 時折口を離して呼吸を整えては、より深くアーニャは舌を突き入れていった。  
「ん、ふっ……はぁ。サーシャ、もう」  
「うん……お姉ちゃんのオチンチン、搾らせて。僕のケツマンコで。中に、出して」  
 赤子の腕ほどもある、巨大な己の怒張を握って。アーニャは慣れた腰使いで高さを調節。  
濡れそぼる先端を、すでにとろけて半開きの肛門へとあてがう。二人は呼吸を合わせると、  
背徳の交わりに溺れていった。  
「あ……んっ、挿って……くる、すご……お姉ちゃん、今日も、凄いっ!」  
「きつ、ん……いい締まりよ、サーシャ。やだ、もう出そ……ふあ、ああっ」  
「あ、あがっ! お、奥に、お腹の奥にっ、当って、う、うくぅ!」  
 シーツをぎゅっと握り締めて手繰りながら、サーシャが先に達した。触れもせずに彼の  
粗末なペニスは、ぶるりと揺れて白濁を吐き出す。同時にアーニャも絶頂を迎えた。  
 その後も二人は繋がり続け、J+は激しいアーニャの腰使いを、サーシャの乱れ具合を  
克明に記録した。二人は汗と唾液と精液に塗れ、抱き合い寄り添って……明け方になって  
ようやく眠りについた。  
 

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