検査官が入ってきた。背の高い赤髪の若者と、脂ぎった中年男。
彼らは、女の手の拘束を外した。久々に手に自由が戻る。
女は黙って服を脱いだ。反抗するのは無駄だし、目をつけられるだけ損だ。
最後の1枚まで脱ぎ終わり、検査官たちの方におずおずと向き直る。
「隠すんじゃねえぞ、ちゃんと見せな」
無意識に両腕で乳房と、局部を隠してしまっていた女は、やむなく気をつけの姿勢になる。
元モデルというだけあって、服の上からでもわかるほどのかなり豊満なボディであった。
「結構いい体してるじゃないか」
中年男が、女の量感のある乳房をたぷんたぷんと持ち上げた。
女はわずかに眉間に皺を寄せたが、何も言わなかった。
ディスペアの冷たい空気のせいだけではないだろう、身震いが止まらない。
ガラス越しの隣室では、金髪をショートにした女が同じように全裸になっていた。
「まず身体検査を行なう。そこに四つん這いになれ」
赤髪が冷たく命じる。女は言われるまま、床に四肢をついた。
「口を大きく開ける。ケツを突き上げて、足は思い切り広げるんだ」
その命令にも従った。高々と持ち上げたヒップから、秘部が丸見えになる。
「奥歯に小型爆弾などを仕込んでいないか、金属探知検査を行なう」
赤髪は言うと、棒状の探知機を取り出し、女の口に突っ込む。
「ぐっ!……んくぅ……うっ……!」
口の中をかき回され、女は苦しそうな表情を浮かべる。
赤髪は無感動に探知機の反応を確かめ、女の口から引き抜いた。
「口中に金属反応なし。下腹部の検査に移る」
女の涎のついた探知機を消毒シートで拭き、赤髪は探知機を中年男に手渡した。
中年男はサディスティックな笑みを浮かべながら、探知機を女の秘部に突っ込む。
「ん……くく!……うっ……!」
わずかな快感と、それを遥かに上回る屈辱感に、女は顔を歪めた。
固く閉じた目に、うっすらと涙が浮かぶ。
「子宮内部に金属反応なし。次、肛門内検査」
検査結果をメモしながら、赤髪が命じる。中年男は探知機をずるずると引き抜いた。
探知機は女の体液でわずかに濡れている。
「感じてんじゃねえぞ、このメスブタが!」
中年男は冷笑しながら、女の尻をぴしゃりと叩いた。女はびくっと体を震わせる。
中年男はゴム手袋を取り出し、右手だけに着けた。
人差し指を伸ばし、女の肛門に突っ込んで、中を探る。
「があっ!…あ……い、痛っ!……」
ぐりぐりと肛門内を抉られ、歯を食いしばって耐えていた女は、かすかな悲鳴を上げた。
「我慢しな、すぐに終わる。よし、肛門内異物反応なし」
中年男が人差し指を抜いた。女は尻を持ち上げたポーズのまま、大きく息をついた。
「金属探知検査終了。次はメディカルチェックに移る」
記録用紙をしまった赤髪は、化学実験でも行なうような無機質な声で言った。
「ほら、立ちな。次はもうちょっと奥まで検査してやるからよ」
中年男が意地悪い声で言って、女の腕を取り、立つように促す。女はのろのろ立ち上がった。
屈辱に押し潰されそうになりながら、女は心の中で自分を奮い立たせた。
(我慢するのよ、今は耐えるしかない。そして必ず生き延びて……)
「いやぁぁぁぁぁっ……!!」
女性の悲鳴が隣室から響いてきた。
隣室の女は立った姿勢のまま、後ろから検査官に抱きすくめられていた。
爪先立ちにされた隣室の女の股間に男性検査官の赤黒い陰茎が出し入れされている。
別の検査官はその様子を見ながら手元の用紙に何か書き込んでいる――。
陰惨な検査の風景から目を背けることができず硬直している女の背後から中年男の手がまわされる。
握り締められた乳房が緩やかに揉みこまれ、女の肌から冷や汗が流れ落ちた。
隣室では別の検査官が女の正面から纏わりついていた。
分厚いガラスを隔てているだけだったが、隣室の女の許しを請う声ははっきり聞こえている。
法外の所業に耽る検査官たちは隣室の女のことを『アニー』と呼んでいた。
気がつけば硬く勃起した陰茎が女の尻の谷間にあてがわれ、上下運動を始めていた。
陰茎から伝わる灼けるような熱さを感じ、女は静かに目を閉じた。
中年男の陰茎が女の膣口を拡げ、熱い媚肉を割って入っていく。
(許して……レン。今の私にはこうするしか……)
女――エミリアの口から微かな吐息が漏れ、涙が頬を伝って冷たい床に零れ落ちた――。