フラーマの塔は完全に包囲されていた。包囲しているのはテオドールが  
率いる者達で、皆、主人を疑う事無く従っている。フラーマが逃げ延びる  
望みは薄かった。  
 騎士達が今にも塔に突入しそうな様子を見てテオドールが言った。  
 「お前達は魔術師を逃がさないようにしていればいい。あいつめの火の  
術は侮れんからな。わたしは対策が練ってある。突入はわたしだけに任せ  
ておけばよい。いいな?わたしが出てくるまで塔には入るな。」  
 そう釘をさすと配下の者達は姿勢を正して気を静めた。テオドールは辺  
りを改めて見回した。頃合だと彼は思った。  
 「ではわたしは突入する。くれぐれも塔には入るなよ。」  
 テオドールは塔の中に姿を消した。  
 
 テオドールの姿をした存在が塔を登っている。そいつはフラーマの階へ  
の階段を目の前にして、正体を現した。この変装が通じる相手ではないだ  
ろう。変装で全力を出せないせいで負けては何にもならない。イフリート  
は正体を見せて階段をのぼりきった。  
 
 フラーマとイフリートが対峙した。  
 「要求は言ったはずだ。応じないなら、力づくでも、殺してでもうばい  
とる。」  
 「かえれ!」  
 イフリートはフラーマをじろじろと見た。火の術についての対策は万全  
のようだ。しかし自分もまた相手の得意とする所を恐れない。強硬手段に  
出てみてもやはり持久戦になった。  
 (それにしても、悪くない。)  
 イフリートが相手をねめ回しつついやらしく笑った。  
 (いや、悪くないどころか上玉だな。)  
 イフリートが二度、三度うなずいた。  
 「いや、殺してでもと言うのは撤回しようかな。」  
 イフリートがつぶやき、フラーマがそれをいぶかしんだ。イフリートが  
フラーマに近づいてきた。  
 「どうせ、お互い決定打はできなさそうだし。」  
 フラーマがイフリートの意図に気がついた。  
 「追いかけっこでもして楽しむか。」  
 イフリートが手を伸ばして走ってきた。  
 
 フラーマも逃げ出した。しかしたちまち追い詰められて、両手の二の腕  
をつかまれてしまった。  
 「たまらん肌触りだな。魔法少女のお嬢ちゃん。」  
 すん、と息を吸った。  
 「この香りも、うむ、役得役得。」  
 イフリートのにやついた笑いが止まらなくなった。  
 「おっぱいはどうかな。」  
 イフリートは胸の谷間に顔を埋めた。  
 「おお、さっきよりも濃い香りが…大きさもや手触りもたいしたもんだ。」  
 「やめて!放せっ!この…。」  
 「この…って、このイフリートを一体どうするつもりなのかな?何も出来  
ないんだろう?部下には入らないよう厳命してある。たっぷり楽しもうやお  
嬢ちゃん。」  
 イフリートがまた胸の前で息を吸って香りを堪能し、胸の感触を顔で楽し  
んだ。二の腕をつかんで放さない。時々息をする。息がかかるたび、フラー  
マが身をよじる。  
 「く…。」  
 「お嬢ちゃんどうしたんだ?気持ちいいか?」  
 イフリートは依然として顔を密着させたままだ。不敵に喋るたびに息が胸に  
当たる。  
 
 イフリートが顔をやっと胸から離したかと思うと、フラーマの顎に息  
を吹きかけた。  
 「どうだいお嬢ちゃん。たまらんか?耐えられなくなったら、タオルの代わ  
りにオレに噛み付いてかまわんぜ。」  
 その時イフリートが飛び上がった。いきなり背中から水を浴びせられた。  
 「オイコラ!!入るなって言ったよな!?」  
 イフリートが振り向くと、アルベルト達が立っていた。本物のテオドール  
までいる。そしてアルベルトが手を合わせている。  
 「くらえウォーターガン!!」  
 アルベルトの他にも水の術に長じた者がいるらしく、イフリートは何本もの  
水流を浴びせかけられて逃げ惑った。  
 「待て待てー!!」  
 アルベルト達はイフリートにウォーターガンをかけながら追い回し、いよい  
よ追い詰められたイフリートに向かってアルベルトは合わせた手を向けてウォ  
ーターガンをかけ続けた。  
 
 「まあ、その、うん、ありがとう。」  
 「お嬢ちゃんかぁ…。」  
(おしまい)  
 

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