地上では日が暮れて3時間4時間は経っただろうか。移動湖の遺跡でノエル  
は待っていた。  
 
 その日ノエルは旧友と歓談している時、アバロンから来た皇帝の来訪を受け  
た。皇帝との会談でノエルは、分別のつかぬ者達に仕事を任せた事を詫び、全て  
追い払う事を約束した。  
 早速取り掛かろうとしたノエルを皇帝が留めた。初めて会った話のわかる七  
英雄との縁を大事にしたいのだと皇帝は言う。今夜、帝国からの贈り物を渡す  
ので待っていて欲しいと皇帝は言う。  
 「いやあ羨ましいなあノエル。僕も誰かからもらいたいよ。贈り物なんてく  
れる人がいなくなってから久しいもんなあ。曲がったピンや歯が無い櫛でもい  
いや。」  
 のんきにサグザーが笑っている。  
 
 もうそろそろ約束の時間だ。しかし遺跡に何人か入ってきた気配はするが、  
贈り物がまだ来ない。ただ、真っ赤な包帯人間がヨロヨロと歩いてきているだ  
けだった。  
 ノエルはじっと待っていた。しかし何も来なかった。さっきから真っ赤な包  
帯人間がノエルに近づき続けていて平静を保つ妨げになっている。ノエルは  
見えないフリをしていた。こんな刺客に隙を見せる位で負けるノエルではない  
。健気で純真な皇帝の贈り物を頂戴するに当たって失礼が無いように辛抱強く  
微動だにせず待っていた。  
 包帯人間はノエルの真ん前まで来た。流石に無視出来なくなった。  
 (一体何者だ?)  
 確かに皇帝の一行が近くにいた。自分達の支配下に無いモンスターや地元民  
が入ってくる事はできないはずだ。となると皇帝に関わりのある者だという事  
になる。とにかく、皇帝からの贈り物の邪魔になる。  
 「失礼ですが、どいていただけませんか。これから大事な贈り物を受けとる  
ので。」  
 ノエルは気がついた。真っ赤な包帯人間に札が付いていた。札には『ファテ  
ィマ皇帝よりノエル様へ』と書いてあった。  
 
 こんな意味不明な贈り物をする皇帝にノエルは悩んだ。  
 (からかわれてるのかな?まさか、刺客を寄越したのかな?)  
 悩んだノエルは、次に考え込んだ。  
 (この贈り物、どうすればいいものか。)  
 考え込むノエルの前で包帯人間が奇妙な仕草をしている。  
 「包帯を、解け。そう言いたいのですか?」  
 しかたなくノエルは、包帯に手をかけた。頭からリボンが解けて行ってその下  
から現れたのは、どこにでもいるような地味で純朴な村娘、昼間に会ったファテ  
ィマ皇帝だった。  
 「プレゼントとはつまり私です。ノエル様!!受け取ってください!!」  
 「陛下いいですか?怒らずに落ち着いてお聞きください。目をつぶって、十  
お数えください。そうすれば全てよくなります。砂漠の熱のせいでしょう。」  
 目を潤ませて告げるファティマにノエルは冷静に言って聞かせた。  
 「私は勿論あなたの事が嫌いではありません。私を慕う者の中に、他の私を慕  
う異性を乱暴な事をしてでも私から遠ざけようとする者がいるのです。彼女に狙  
われない為にも今すぐお逃げ下さい。」  
 ファティマの家来達が騒いで倒れる音がした。その方向から、憤怒を放つ足音  
が聞こえてきた。大きくなった足音とともに、その足音の主が姿を見せた。至っ  
て普通のどこにでもいる地味で純朴な村娘だった。ただ、その気配は尋常ではな  
かった。  
 「離れなさい!!」  
 気迫に押されて後ずさりしたファティマだったが、自分でも可笑しくなるほど  
冷静に聞いた。  
 「あ…あの…、どちら様でしょうか…。」  
 「わ、私!?私はその…ジャングルの女王…じゃなくて!!た、ただの村娘で  
ございます!!」  
 「えっと…、その…、ただの村娘がどうしてこの方にそんな…。」  
 「いや!!やっぱり私は実はその同じ七英雄の一人として…じゃなくて!!ノ  
エルお兄様の妹の…じゃなくて!!え…その…そう!!移動湖の好男子ファンク  
ラブ会長です!!他のファンクラブ会員を苦しめない為にも移動湖の好男子様に  
汚らわしい女がよりつかないようにしているのです!!」  
 丁度いい言い訳を見つけたロックブーケは再び威厳を伴ってそびえ立った。  
 「どかなければ、痛みつけられて落ち込んでからどくことになります!!」  
 
 ファティマは、普段ならおとなしくどくはずだった。それが、今日は違った。  
夢のようだった。  
 「いいえ!!どきません!!」  
 二人は睨み合い、駆けて交差した。ロックブーケが  
 「ぎゅうっ。」  
 と唸って倒れた。余裕で会心の笑みを浮かべるファティマを後ろからノエルが抱  
いた。  
 「ロックブーケもきっとこれで諦めてくれる。皇帝からの贈り物、しっかりと頂  
きますよ。」  
 「ああ…ノエル様…。」  
 ノエルの手は、解けたリボンをさらに解いた。ファティマはリボンの下には何  
もつけていなかった。  
 「はずかしかったでしょう。」  
 「はい。でも、ノエル様の為だからできました。」  
 「そこまで私の事を想ってくれるなんて…光栄ですファティマ。」  
 ファティマの体は見かけと同じくやはり地味だった。ノエルはその体を優しく愛  
した。まるで女性の様な優しく柔らかい手つきで、ノエルがファティマの胸を包ん  
だ。大きくないファティマの胸はノエルの手で完全に隠れてしまった。ファティマ  
が恥ずかしさと嬉しさで一段と頬を赤く染めた。  
 「あっ…ノエル様…凄い。まるで…私の事何年も前から知っていたように…お  
上手…。今日会ったばかりなのに…。武術が凄い人って…さすが…。」  
 ファティマの目立たない胸が愛撫で先端を尖らせた。ファティマはまた短い叫び  
を放った。  
 「ファティマ、君のもっと大事な所に触れるよ。いいかい?」  
 「遠慮なさらないで…触れた事があるのは私だけ…これからはノエル様とわたし  
だけ…ああ…。」  
 既に濡れていた。ノエルの、やはり繊細で女性のような加減の指がそこをなぞっ  
た。ファティマの脚がわなないた。  
 「ノエル様…もっとして…。」  
 「ええ…しますとも。あなたの望む限り…。」  
 ノエルの指で一層ファティマは濡れた。強く長い叫びをファティマは放った。身  
をよじり、脚をこわばらせてファティマはノエルの指に陶酔した。  
 全身に汗を浮かべ、ノエルの愛撫を味わいながら、ファティマが不意に浮かんだ  
疑問を投げかけた。  
 「ノエル様…、はぁ…何故…、キスを…なさらないのです?」  
 「それは、あなたが知らないから。」  
 ノエルがファティマの声で答えた。  
 
 「ほえあ?」  
 アバロンのベッドでファティマは目覚めた。実際にはファティマはロックブーケ  
の前から大慌てで逃げ出して帰ったのだった。全裸にリボンを巻いたファティマが  
情けなく転がっている家来を起こして帰る様を見て、ロックブーケはつい笑ってし  
まったのだった。  
 「うわ…お風呂に入らなくっちゃ。」  
 起き上がったファティマは着替えを探し始めた。  
 (おしまい)  
 

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