同じだ。  
全てが、彼女と。  
 
自分の足下に跪いて、自分の男根をくわえている少女を見下ろしながら、男・・・イスカンダールは思った。  
髪の色、肌の香り、伏せられた目蓋の下にある瞳・・・わずかな違いを探すことすら難しい。  
そっと手を伸ばし銀の髪に指を絡めると、少女は視線を上げて何かを伺うように首を傾げた。  
・・・彼女も、こうしていたような気がする・・・  
イスカンダールはなんでもない、と笑って少女に続きを促した。  
 
 
イスカンダール廟。  
かって世界を統一した若き征服王の棺が祭られた、荘厳なる緑の空間。  
その名を唱え彼を探した少女はここでその姿を捉え、彼を追い求めた目的を遂行するに至っていた。  
イスカンダールに会い、その言葉を仰ぐこと、  
そして・・・イスカンダールに自分の身を捧げること。  
 
幼い頃よりイスカンダールの伝説を、人の知らぬ完遂した多くの偉業を聞き・・・そして彼女自身の遺伝子に、それは刻まれていたのかも知れない。  
イスカンダールを愛した母と同じ感情が。  
 
随分長い間、少女は一言も発せずにそれを舐め続けていた。  
よくは分からない・・・ただ、そうすることでイスカンダールが喜ぶ、そう聞かされて。  
イスカンダールもまた、少女の稚拙な奉仕に何も言わず、じっと全てを任せていた。  
一応どこをどうすればいいのか、教えられていたのだろう・・・手本を真似するように、少女は何度も繰り返し舌を動かした。やがて、少女の口の中に今まで経験のない味が広がりはじめる。  
「出してもいいか?」  
イスカンダールの問いに、少女はくわえたままコクリと頷く。  
イスカンダールは少女の後頭部に手をかけ、奥まで突き込んで直接喉に精液を流し込んだ。  
「ッ・・・ン・・・」  
苦しそうに少女が顔を歪める。受け止め切れずに口の端から白い液体が零れ落ちるが、それでもイスカンダール自身から口を離すことはせず、全て飲み込み、さらには残った分を吸い出すような仕種もし・・・ようやく少女は顔を上げた。  
口の回りは溢れた液体で濡れていたが、そのまま拭おうともせずにイスカンダールを見上げている。  
少女の瞳はただイスカンダールを見つめ・・・だが、すぐに見えなくなった。イスカンダールが顔を近付け、少女の額に口付けたからだ。  
「ありがとう」  
唇を離すとそう言って優しく笑いながら少女の口元を拭ってやった。  
少女はしばらく視線を彷徨わせ、やがて意を決したように立ち上がり、自分の服を脱ごうとした。  
「それは男のする事だ」  
イスカンダールに制止させられ、戸惑う少女は軽々と抱き上げられた。  
 
イスカンダールは大きな棺に腰掛けて、膝の上に少女を座らせると、少しずつ脱がせながら身体のあちこちに唇を寄せた。  
時折、少女がぴくん、と反応を返す。  
「・・・感じるところまで同じか」  
イスカンダールは複雑な表情を浮かべたが、少女の豊かな胸元に顔を埋めてそれを悟られないようにした。両手で乳房を揉みしだき、下腹部へ舌を滑らせていく。  
少女は全く声を出さなかったが、息が上がり身体を小刻みに震わせた。  
はだけた服の隙間から手を差し込んで直接そこに触れると少女は身悶えたが、イスカンダールはさも当然というように、どこか楽しそうに呟く。  
「やはりな、男はおろか・・・何も知らないのだな、本当のところは」  
その花心は固く、男を受け入れるには残酷すぎた。  
「・・・」  
機嫌を損ねたのではないかと怯えた表情を見せる少女に笑いかけると、 イスカンダールは自分の黒いコートをばさり、と棺にかぶせた。  
「まあいいさ。これから、知ってもらおう」  
その上に少女を乗せた・・・下半身が棺からはみ出るように。  
自分はその足の間に入り込み、片足を肩に乗せるようにしてそこに直接口を付けた。  
「・・・・ッ!!」  
突然襲った強い刺激に少女は弾かれたように身体を反らせた。  
イスカンダールはそんな少女の様子を楽しむかのように、丹念にそこを舐め上げていく。  
「・・・ッん・・・・ん、ん・・・・・・・ッ」  
少女は必死に声を上げまいとして、とうとう自分の手で口を塞いで、身体を激しく振っていた。  
 
イスカンダールは構わずに舐め続け、やがて赤く腫れて尖った肉芽を集中的に責めはじめた。  
「うんッ・・んっんっ・・・・んんーーーッ」  
不意にイスカンダールは手を伸ばして少女の口を塞いでいる手を強引に引き剥がす。同時に、肉芽に強く歯を立てた。  
「ッああぁッ!!」  
自分の出した声に、そしてその感覚に一瞬驚いたような表情を見せ、そのまま両手を押さえ付けられた少女は一度出した声が引き金となり、そこからは絶え間なく嬌声を上げ続けた。  
「いい声だ。啼かせ甲斐がある」  
「あ、ああ・・・っん、あ・・・ッ」  
噛み付かれた痛みはその後の優しい愛撫で、逆にじんじんといつまでも響く快感に変わっていた。  
「あッ・・・、あ・・・・イ・・・スカンダー・・・ル・・・」  
もう痛みはなかった。  
再び吸い付かれて、少女は急速に昇りつめていく。  
「ッあぁ・・・あっ・・・あ・・あ・・・・・・・ッ」  
少女の身体に力がこもり、初めて絶頂を迎えた。  
 
荒い息を繰り返して胸を上下させる少女を見守りながら、再び少女の中に指を差し入れる。  
「・・・十分だな」  
イスカンダールはまだ息の整わない少女に覆いかぶさろうとして、棺の硬さと冷たさに動きを止めた。  
「・・・ふむ、女性を乱暴に扱ってはいかんな」  
イスカンダールは少女を抱きかかえて、自分が下になった。  
 
少女の豊かな胸を押し返すように触れ、喉に唇を寄せる。  
「はッ・・・ぁ・・・」  
イスカンダールの上に乗る形になり、少女は狼狽え体勢に迷いながら翻弄される。  
「楽にしてろ」  
イスカンダールの声に少女は頷き、手足の力を抜いてイスカンダールに身体を重ねた。  
少女の肌に吸い付きながら足を開かせ、少女の腰を支えて自分のそれの上に導く。  
イスカンダールは少女の瞳を見据えると、優しく、同時に拒否を許さぬ口調で命じた。  
「このまま、ゆっくり腰を下ろせ」  
素直に少女は従ったが、圧迫感と抵抗感にすぐに腰を引き・・・イスカンダールは少女の腰にかけた手に力を入れ、先端を無理矢理埋め込んだ。  
「ああぁッ!」  
少女は痛みと異物感に鋭く叫んだ。  
両手に、両足に力を込めてそれそれ以上動かないように踏ん張る。しかしイスカンダールは力を緩めない。  
所詮力に差がありすぎる・・・次第に痺れ、少女が力を抜いた一瞬にずるり、と少女の体重とも合わさって一気に中程まで埋まる。  
「ーーーーーーーーーッ!!」  
少女は声にならない叫びを上げ、軽く恐慌に陥った。  
「ここまで来たからには、もう戻れんぞ。」  
イスカンダールの言葉に込められた意が少女には分かった。  
少女は、必死の思いで痛みを堪え、自分の力でイスカンダールを受け入れようとし・・・激しい痛みに怯み、身体の力が抜けた瞬間、意志と関係なく身体が沈んだ。  
すとん、とイスカンダールの腰と密着する。  
自分の身体の内部が、腹から頭の先まで押し上げられるような激しい感覚。  
声は出なかった。目を見開いて、放心したように動けなくなった。  
イスカンダールはわずかにそれを抜き、間髪入れずに最奥まで捩り込んだ。  
「ッ・・・!!!」  
「・・・どうだ?気分は・・・?」  
少女は何も言えなかった。  
イスカンダールは少女の名を呼んで強く抱き締めた。  
「いい子だ」  
いつのまにか、少女は涙を流していた。  
 
「動くぞ、いいな?」  
今度は少女の答えを待つ前に腰を動かし始めた。  
「あうっ・・・は・・・あぁ・・・・」  
激しい痛みに顔を歪めつつも、その中に鈍く疼くような感覚が生まれ始めたのに気付く。  
イスカンダールは自ら質量を増しながら、少女の中をかき回す。  
「あぁッ・・・・あっ、あっ・・・」  
少女を下から何度も突き上げると、ぎこちなくも少女がそれに答えて腰を動かし始めた。  
背を反らし、胸を揺らして少女はイスカンダールを締め付ける。  
「あ・・・ッあ、っふ・・・・んん・・・  
イスカンダールもまた、息を荒げて少女の身体を貪る。  
少女の中は沸き出す透明な液体で満たされ、それは動きをさらに早く激しくさせた。  
「ッ・・・・あ・・・あっ・・・あああっ・・・・  ・・ッ!!!」  
少女の身体がびくん、と大きく震え、先程の何倍もの激しい絶頂を迎えた。  
イスカンダールも痙攣し蠢く少女の内部に誘われるまま、大量の精液を放った。  
 
 
 
先刻までの情事がまるでなかったかのように静けさと神聖さを取り戻し、男は棺を背にじっと少女を見つめていた。  
少女も無表情に見つめ返し・・・黙って踵を返すと、毅然とした態度でその場を後にした。  
「我、タルファ・パラサレオへ行かん」  
ただ強い意志がそこにあり・・・ここに来た時にはなかった色香が彼女を美しく彩っていた。  
 
『お前より、いい女だったよ』  
イスカンダールは口元に笑みを浮かべ、音もなく姿を消した。  
 
〜Fin〜  
 

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