雪に閉ざされたヴァンパイアの都、ポドールイの夜。  
宿屋のシングルベッドで一組の男女が戯れていた。  
二人の体には厚い毛布が掛けられているために中の様子は見えないが、  
部屋に充満する淫らな匂いに、肌と肌がぶつかり合う乾いた音、そして押し込めきれない嬌声で  
二人が今どのような状態なのか簡単に推し量ることができる。  
一般的に側位と呼ばれる体勢。  
「ハッ…ハァッ…ん、くぅっ……ハリード…いい……っ」  
「…俺もだ……最高だぜ、エレン……」  
ポドールイの宿には5つのベッドが用意されているが、現在のパーティは6人。  
公正なくじ引きの結果ハリードがあぶれ、最初は大部屋の椅子で寝ていたのだが、ここは極寒の地。  
身を斬られるような寒さに耐えられず、シングルルームで休むエレンのもとへ夜這いをかけ、今に至る。  
ハリードの達人域なテクニックと立派なカムシーンで、エレンはみるみる上り詰めていく。  
ハリードも久方ぶりの女の感触に酔いしれ、段々余裕がなくなっていった。  
「あっ、あっ…!もう……!」  
二人で頂点を極めようとした、その瞬間。  
―――ガチャリ  
唐突にドアが開いた。  
ハリードが「鍵を閉め忘れた…!」と心の中で己を深く責めるも、時既に遅し。  
「……ユリアン!?」  
入ってきたのは、魅了にでもかかったように蕩けた目をしたユリアンだった。  
「…オイ、寝ぼけんな。ここはトイレじゃないぜ」  
「分かってる」  
とりあえずハリードは冷静に乱入者を諭そうとしたが、まるで効果がない。  
「二人のレゾナンスウィープ、こっちの部屋まで筒抜けなんだけど…おかげで…」  
そう言うとユリアンは、大きく膨らんでいる寝間着の前を開け始めた。  
「俺の七星剣、すっかりスターバーストしちゃったんだ。一緒にストリームさせてくれないか」  
本人の言う通り、露わになったユリアンの七星剣は天の力を得て真上を向いている。  
「厚かましいにも程があるな。見ての通り、こいつのアビスゲートは今俺が閉じてるんだ。お前の出る幕はない」  
ハリードがゆっくりと腰の動きを再開すると、エレンも呼応するように切ない吐息を漏らす。  
毛布がカーテンとなって直接は見えないが、ユリアンを煽るには十分だった。  
悔しそうに下唇を噛むと、ベッドへつかつかと歩み寄り、毛布をばさりと剥ぎ取った。  
二人とも全裸にはなっておらず、半脱ぎ状態で繋がっている扇情的な姿が部屋の空気に晒される。  
ユリアン自身もベッドに乗ると、なぜかハリードの背後へ回った。  
「おい、何をする気だ」  
「エレンがダメなら、ハリードの後ろのアビスg」  
「待て待て待て!!やめろ!!早まるな!!」  
情欲で見境が付かなくなっているユリアンを、ハリードは大慌てで制止する。  
「勘弁してくれ!そっちはまだヴァージンなんだっ…」  
「気持ち悪いこと言わないでよ!…はぁー。もう、しょうがないわねっ!ユリアン、そこに立ちなさい」  
 
エレンは大きくため息をつくと、自分の前にユリアンを膝立ちにさせた。  
そして半身を起こし、目の前にきたユリアンの七星剣を掴み、おもむろに口に含み始めた。  
「うぁっ!」  
「んっ…ぅむ……」  
エレンの攻めは最初から全軍突撃並みの激しさだ。舌を使い、七星剣の弱点を容赦なく攻め立てる。  
時にじゅるじゅると吸い上げ、聴覚からもユリアンを頂点へと追い詰めていく。  
「……っ」  
背後からハリードの歯軋りが聞こえた。欲情か、ユリアンへの嫉妬心か。  
「ぅんっ!ふっ…んんーっ……はぁっ…あっ…あはぁ……っ!」  
ハリードの攻めが激しくなる。  
片手で柔らかなルーブ山地を揉みしだき、もう片方の手はエレンの腰を押さえつけ  
疾風剣の勢いでエレンのアビスゲートを突き回す。  
元々限界の近かったエレンはあっという間に絶頂近くまで追いやられ、  
もはや七星剣を咥えてなどいられない状態になってしまった。  
「ふぁ、ああっ…!あ、もう…ダメ…ぃや……―――っ!!」  
「っ、ん……っ!」  
ユリアンの七星剣を激しく手でデッドリースピンしながら、エレンはファイナルストライクを迎える。  
同時にハリードも呻き声を上げエレンのアビスゲートにデミルーンエコーした。  
そして。  
「ああああ―――っ」  
白虎の如きドップラーロアを部屋中に響かせ、ユリアンは夥しい量のスターストリームを  
エレンの顔や髪にぶちまけた。  
「はぁ、はぁ……やだ、べっとべとじゃない……」  
息を弾ませながら、エレンはスターストリームのべたつきと特異臭に顔を顰めた。  
「ったく、勝手に乱入してきた挙句エレンと布団をこんなにしやがって……用が済んだならさっさと帰れ」  
「無理だな。だってホラ」  
ハリードの抗議にユリアンは一切悪びれる様子はなく、既にスターバースト状態となった七星剣を指差した。  
「なんでもう復活してんのよ!!」  
「へへ。俺、おっさんと違ってWP多いから!あと5ラウンドはいけるぞ」  
ユリアンのこの挑発射ちが、ハリードに抜群の効果をもたらす。  
「ハッ…何言ってやがる。俺みたいな達人クラスになりゃ、少ない消費WPで何時間も楽しめるんだ。  
 瞬速の矢で何度もイっちまうようなヒヨッコじゃ女も呆れて逃げちまうぞ?」  
「なんだと!?それじゃあどっちがエレンをより満足させられるか、勝負だ!!」  
「いいだろう。返り討ちにしてやるぜ!」  
いつの間にか火花を散らしているハリードとユリアンを横目で見ながら、エレンはため息をついた。  
「アホらし…自慰合戦でもやってなさい」  
そうして体を洗いに行こうとベッドを降りた瞬間、両肩を背後から二人の男に掴まれた。  
「「お前がいないと始まらないだろ!」」  
ステレオで叫ばれ、そのまま強引にベッドに連れ戻された。  
腕力の高いエレンも、鍛え上げられた二人の男に押さえ込まれたら屈服せざるを得ない。  
「ちょ、あんたたちっ…!それじゃあたしのHPが持たな……ん、いやっ……ああん!」  
ポドールイの千の夜は、まだまだ明けることを知らない……  
 
おわり  
 
 
 

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