巨大な瞳が床面に描かれていた。  
「これは、どうなってんだよ?」  
 緑のヘアバンドをつけた男がその床を見回す。  
「竜の楽園というのに、美しき竜とは会えていない、となれば」  
 狼のような顔をもつ獣人、ムゾル・ヤニーが答える。  
 ヘアバンドをしている男は、うなずいた。  
「なーるほどね。目をつぶっているところを通れば竜の目とあうことはないってワケだな」  
「おそらくは」  
 ヴェントは腕まくりのようにして、瞳がふさがっているほうへ進もうとした。  
 そこにフランシスという頭を覆うような兜と鎧に身を固めた男が口を挟んだ。  
「せっかく、ドラゴンと戦える機会だというのに。ヴェント、もったいないと思わないか」  
 ヘアバンド、あらためヴェントは即答で返す。  
「思わないっての」  
「残念だな、せっかく強いやつと戦えると思ったのに……」  
「死に場所……死に場所……」  
 白昼夢のように死に場所といっているオーベルベンドは戦いでは、  
過去の傷で隻腕と隻眼になってはいても歴戦の傭兵だけに頼りになったが  
日常ではあまりお付き合いをしたくないセリフをうわごとのようにつなげた。  
 ブツブツという感じでつぶやくフランシスとオーベルベンドを尻目にヴェントは気を取り直して踏み出した。  
と、まわりの瞳の形がかわった。  
「うぇ?!目的地まで行くのが大変だな、これじゃ……」  
 そう思って閉じている瞳の床をさがしていると、開閉している瞳がかわった。  
「どうなっているんだ?」  
 フランシスが嬉しそうに返答をする。  
「ドラゴンと戦おうってことだ!」  
「いや、ちがう」  
 すばやい答えが、フランシスの期待を迎撃する。  
 
 灰色に近い黒髪の少女がちょっと見ていた魔道板から顔を上げた。  
「これ、かしら」  
「どういうことだ、ルビィ?」  
 ムゾルの質問に、軽くうなずくルビィ。  
「このエリアに来て、踏み出したら目があいたりしまったりしたよね」  
「そうだね」  
「今度は動いていないのに、かわっちゃったワケでしょ?」  
 一同がうなずく。  
「このポイントで、アタシがしたのって魔道板を見たことくらいなのよ」  
「つまり、移動と魔道板を見るなどの行為で瞳がかわるということか」  
「そう思うよ」  
 ルビィが魔道板をバッグにしまった。  
「けどさ〜、それがわかってもどっちに行ったらいいかわからないんだぜ?」  
 ヴェントの言うことはもっともだ。  
 とりあえず、閉じている方向に向かうというのでは消耗をしてしまう。  
 皆が次の方向を決めかねているときに、オーベルベンドが義手をすーっと持ち上げ指差した。  
「死に場所のにおいがする」  
「そっちに行くのだけはやめたほうが良いってことだな」  
 ヴェントはそう言い、別の方向へ向かって歩みを進めようとした。  
「待て!」  
 ムゾルがヴェントをとめた。  
「なんだよ」  
「オーベルベンドの指差す方向へ行こう」  
「死に場所って、いっているんだよ? それは、ヤバイんじゃない?」   
 ルビィが普通の人間の少女らしい返答をする。  
「しかし、私も感じるのだ。美しいエネルギーがあることを」  
 アヌビトの嗅覚と歴戦の戦士の勘が示す方向にヴェントは歩みの方向を変えた。  
 
 運び屋であるヴェントには兄がいた。  
 その兄、ブリズはラファールという名の運び屋のチームのリーダーであった。  
 そのブリズは、5年前ロングシャンクへの運びの途中で若い命を散らした。  
 ヴェントは、自分も運び屋になっていつか兄の死の謎を解き明かしたいと考えたのだ。  
「兄貴の死にはなにか、秘密があるはずだ」  
 運び屋になったヴェントはさっそくロングシャンクへの運びの依頼をうけた。  
 ゾマーへ行く途中にみつけた怪しい城。そこで、彼は兄を殺した仇敵トゥース・ブラッドペインと出会う。  
 まだ、未熟であり一人だった彼にはトゥースにはあまり強かった。  
 勝負と呼べないほどの実力差を見せ付けられたヴェントだったが、  
 トゥースに襲われていた女性ティフォンとゾマーという村で出会う。  
 ティフォンはヴェントに同行することを申し出た。  
 山岳の砂のようにさばっとした色の髪をアップにまとめ、  
 スタイルの良く美人なティフォンの同行にヴェントはトゥースから救出した甲斐があったと喜んだ。  
 ヴェントの心の中に、わずかな違和感と昔から憧れのような気持ちが 小魚の骨のようにひっかかっていたが  
 そんな感覚をヴェントは運びの仕事と、兄の死に関係のある「ドラゴンハート」への謎を探る旅の中で忘れていった。  
 しかし、ドラゴンハートをみつけるまではいくもののトゥースに  
 奪取、気がつけば数回続けての奪取。  
 これには、さすがのヴェントも猛省!  
 トゥースに利用されていると感じ始めるヴェント。  
 だが、世界中を飛び回る運び屋の居場所やドラゴンハートを得るタイミングをどうしてわかることが出きているのか。  
 いくら、トゥースを味方する人間の組織ブラッディリーグの存在があったにしても不可解だった。  
 原因はじきに明かされた。  
 
 ブリズの死に、トゥースが関わっていることは感じていたヴェントだったが、  
 リース・トーレスの塔でドラゴンハートをゲットした直後にブラッディリーグのアジトへと拉致をされた。  
 牢獄から脱出したヴェントたちであったが、トゥースにいいように利用をされていることに腹を立てていたヴェントは  
 ドラゴンハートをブラッディリーグの人間から奪い返してトゥースのハナを明かそうとした。  
 奪還に成功し、ドラゴンハートをティフォンに持たせてアジトを出ようとしたときだった。  
 トゥースが現れた。それを振り切ろうとしたヴェントだったがトゥースが奇妙なことを言った。  
「女、それをよこせ」  
 なにを言ってやがる、と思ったヴェントの眼前でティフォンが、ドラゴンハートをトゥースの手に渡した。  
 彼女がスパイだったのだ。  
 兄の恋人であった、エール。  
 彼女はティフォンとなり、格好と名前を変えてトゥースの命令に従いヴェントに近付いた。  
 そうせざるをえなかったのだ。  
 ブリズはトゥースに噛まれたときに、命よりも誇りをとった。  
 トゥースの下僕として生きるよりも自らの身体に炎を放ち、人間として命の華を散らせた。  
 その姿に感銘をうけたトゥースは、己をしばりつける存在への反逆を誓ったのだ。  
 かぎとなるものは、ドラゴンハート。  
 命のダイヤモンドとも言うべきドラゴンハートが、トゥースの悲願には必要であった。  
 ブリズへの敬意を払い、ティフォンの身体を汚すことの無かったトゥースだったが  
 彼女の心には恋人の死と圧倒的な力をもつ吸血鬼への恐怖が爪痕としてのこった。  
 ヴェントが運び屋になることを決めたときに、彼らの運命は偶然と必然をつなげていった。  
 トゥースが憎む敵、ナイトオブザラウンドテーブルによって消滅させられる前に話した事で  
 兄の死の謎をすべて理解したヴェント。  
 しかし、ティフォンは彼のもとを去った。  
 兄の恋人だったということに、少しの背徳感を覚えないわけではなかったが  
 ヴェントにとってティフォンはエールではなく、ティフォンなのだ。  
 彼女がいなくなってしまったことで、  
 空虚さが心を満たしていたがトゥースの遺言どおり彼は竜の楽園へと向かった。  
 立ち止まらない、それがヴェントの長所だったからだ。それを彼は自覚していた。  
 
 ドラコ・アルケイオスから譲ってもらったドラゴンハート。  
 それを手にキムバーリーへと戻り、宿屋にはいるとティフォンがいた。  
 仲間達の視線が彼女を突き刺す。  
 下唇をかみしめて、ヴェントを見る。  
「ヴェント……私……」  
 フランシスとムゾルが彼女の左右につめよった。  
「調子がよすぎるのでは、ないのか?」  
「裏切りは美しくないものだ」  
 ヴェントが手で制した。  
「フランシス、ムゾル、待ってくれ」  
 不満げだが、最も関わりがあり裏切られたという思いが強いはずの彼が  
 そういうのならばと、二人はだまって彼女から離れた。  
「兄貴を裏切ったんじゃないのはわかっているよ。それだけで、十分だ」  
 ヴェントの言葉にも、顔にも曇りは一点もなかった。  
「おっとこらしいじゃない!」  
 ルビィがほめた。オーベルベンドが先につめよった二人の肩をポンと叩いた。  
「ありがとう……」  
 うつむいたまま、ティフォンは小さな声で、けれど深い言葉を伝えたのだった。  
 
 木造の小屋の壁が、影とランプの火のストライプを描いていた。  
 右の壁にそってベッドが一つあって、頭側のその横に質素なテーブルと椅子があるだけの部屋。  
 運び屋が自分の仕事の履歴を記しておくための、ノートにヴェントはペンを走らせていた。  
 これは慣習であり、ギルドの義務ではない。  
 いつのたれ死んでも、おかしくない彼らの日記としての意味合いのほうが強かった。  
 他人に見せるものではない。  
 ゆえに、ヴェントは日記に書いていた。  
『ティフォンが戻ってきた!嬉しいんだ。告白するかどうかはわかんねぇけど、やっぱり俺は……』  
 ドアを叩く音がした。   
「なんだい?」  
「私、なんだけどいいかしら」  
 バタッとノートを閉じた。  
「ああ、いいよ。なんだい?」  
 ティフォンがドアを開けて、入ってきた。  
「ヴェントには、やっぱりもう一度あやまらないといけないと思って……」  
 ヴェントは首をふった。  
「気にしてないって。さっきの俺の言い方が悪かったかあ?」  
「ちがうけど」  
「じゃあ、それでいいだろ」  
 手と目の動きでベッドにでも腰掛けなよ、と促すヴェント。  
「あ、それよりさ、ドラゴンハートをどうすりゃいいんだ?」  
 ティフォンは、座ると返事をした。  
「改造屋で武器を作るのよ。ドラゴンの力が、あなたを助けるわ」  
「そっか。早速、ワンダでも行かないとなー」  
 ヴェントが両手を頭にもっていこうとしたとき、腕が置きっぱなしにしていた本を弾き飛ばした。  
 ティフォンの足元へバサッと落ちる本。  
 身のこなしの素軽さで、さっと彼女はそのノートを拾い上げた。  
 
「あ!?」  
 ヴェントの反応の理由など知らないティフォンは、ペンが挟まっていたページを見た。  
 文字に目を走らせると、ティフォンが困ったような表情を浮かべた。  
 その表情はヴェントにとって絶望である。  
「あ、あ、いや、それはだ……!」  
 しどろもどろに汗をかきながら、なにかを言おうとするヴェント。  
「ヴェント……この続きはどう書くつもりだったの?」   
「な、仲間がもどってきたから嬉しい、ってね〜」  
 こういう風になっては、年の差が出てしまう。  
 さっきまでとは一転、ティフォンに以前の悪戯っぽさが戻った。  
「そうなの……ありがとうね。フフ、ちょっと私の自意識過剰って感じだったかな」  
「な、なにが?」  
 ヴェントの背中を汗が伝う。そして、淡い期待。  
 ティフォンは天を仰ぐようにした。  
「告白、ってかいてあるから……ね。ルビィちゃんのことだったのかぁ」  
 この言葉をどう返せると言うのだ。高速ナブラ直撃である。  
 こうまで、やられてしまっては悩まずに行くしかないだろう。  
「あーーーっ、もう!」  
 椅子に座ったまま、両足と両手を振り下ろすようにするとヴェントは叫んだ。  
「ティフォン、あんたが好きだ!」  
 一瞬の静寂。その後の、ティフォンの含むような笑い。  
「兄貴の彼女に告白するの?」  
「兄貴の彼女はエールだ。俺が好きなのは、ティフォンだよ」  
 苦しい、理屈にもなっていない理屈だがティフォンもまた、  
 ブリズの弟ではなくヴェントとして彼を見るようになっていた。  
 一人の男からの告白として受け取り、答えは――  
「いいよ、あんたと一緒になるよ」  
 ティフォンの口がヴェントの唇に重なった。  
 
 キムバーリーの宿屋のベッドは安いものだ。  
 二人の男女が乗れば、ギシギシと音を立てた。  
「キスだけで、こんなにして」  
 ティフォンの細く白い指が、ズボンごしにヴェントのとねりこの杖をなぞった。  
「くぅ……」  
「脱ぎなよ」  
「ああ……」  
 ティフォンに言われるままに、ズボンをぬぐ。その間にティフォンも上着とキャミソールを床におとした。  
 パンツを脱ぎ、ショーツをおろすと髪と同じ色の陰毛が見えた。  
 元から体にフィットした服を着ている彼女だったが、裸体の美しさはヴェントの想像以上だった。  
 乳房はできたてのパンのようによい形をしていて、くびれは理想的な曲線を描いていた。  
 ヴェントの杖が角度をあげてしまうのは、不可抗力というやつだ。  
 左腕で胸を隠しながら、ティフォンは見とれているヴェントを小突いた。  
「上も脱がないと承知しないよ、なんてね。早くしなよ」  
「いや、ティフォン、綺麗だからさ」  
 素直に言えてしまうのは、彼だからだ。  
 二人は互いに一糸まとわぬ姿になった。  
 ベッドの上で抱きしめあうヴェントとティフォン。  
 ヴェントはディープキスに体があつくなっていた。  
 舌を絡められ、その興奮で杖がダマスクス製になっているところにさらにティフォンが手をやさしく、強く触れていく。  
 荒い息遣いになっていくヴェント。  
 ヴェントの目に彼女の銀色に近い瞳がむきあってたずねる。  
「初めてなの?」  
 ヴェントは童貞だった。経験があると見栄をはりたくもあった、が、  
「ああ、はじめてなんだ。ティフォンと初めてで、嬉しいんだよ」  
「馬鹿なこと言わないの。……うれしいけどね。……じゃあ、ちょっと触ってみて」  
 ヴェントの手を、自らの剣難峡へと導く。  
 
「ここでいいのか?」  
 すり、そり、と陰毛のあたりをヴェントの手が行き来する。  
 場所をわかっていないその手は、まったくちがうところを触れたりもしたが、  
 そのまどろっこしさがかえって刺激にたいして敏感にさせた。  
「ん……そう……はぁン……」  
 剣難峡にすこしずつ液体がにじみ出てきた。  
 ヴェントの手が剣難峡にある小さな突起をさがすのは困難だったので、わかりやすくヌルリと入る穴へと指を進ませた。  
 指が出入りすると空気と液体が混じり、淫靡な音が出た。  
「ふぁ……も…ゥン…うすこし……は……やく……あぁ」  
 喘ぎ声だけで、もう痺れるような感覚すらしていたヴェントのモノだったのだが、  
 言われるままに早くするとティフォンの艶の吐息はもっと刺激をさせるものになっていった。  
 彼の杖から腰、背中、後頭部まで熱がどんどん帯びていく。  
 ヴェントはこのままでは、こすりもしていないのに声だけででてしまいそうだった。  
 しかし、彼女はぱっとヴェントの腕をとめさせた。  
 ヴェントの手ではただ早くするばかりでティフォンが達するには十分ではない。  
 それにもう液体は十分に彼女の秘所を塗らしていた。  
「はぁ……はぁ……そろそろ……。……でも、これだとあっと言う間に終りそうだね」  
 ティフォンは起き上がり、ヴェントのソレを見ると  
 指を触れただけでも爆発しそうだと思い、しばらく眺めていた。  
 仰向けで呼吸を荒くしているヴェントだったが、  
 座った体勢のティフォンのうなじからヒップへのラインを見ていると不意に彼女が彼の杖へ顔を近づけた。  
 生暖かいティフォンの呼吸が自分の杖に当たるともうそれだけで、また膨らんだ。  
 
「初めてなのに、これをしちゃっていいのかなーって思うけどね」  
 そういうと、ティフォンは手で寄せた乳房の谷間に杖を通した。  
 やわらかい感触と圧迫がヴェントの亀頭を通れば、汁があっというまに溢れ出た。  
 とてつもない快感だった。けれど、ヴェントは出してはいけないと勘違いをした。  
「出ちまうっ……我慢……できねえっ……ごめん……」  
 ティフォンはヴェントのうぶさを可愛く思いながら、声をかけた。  
「いいんだよ!ほらっ……ん!……射精したいだけだしてごらん……」  
 先走り汁で粘着質な光を反射する谷間を杖が速度をあげて往復する。  
「ああッ!」  
 数回後にティフォンの乳房が下に行き、杖が上にでた瞬間  
 白濁の飛沫が勢いよく飛んだ。その直後に胸ではさむことをやめるティフォン。  
 白濁の雫はティフォンの顔、胸に中空に浮かびまた落ちた。  
「はあ……はあ……」  
 ヴェントの杖は、かなりの量の精を出して、一時的にしぼむ気配をみせた。  
 気配だけだった。  
 出た瞬間に新たな刺激を当たることをやめられてしまえば、残射感ともいうべき惰性の膠着がつづいていた。  
「やっぱり、まだ元気だね」  
 ティフォンはそういうと、それを少し指でこすりあげた。  
「く……う……」  
 ヴェントの体は、快感の連鎖に糸でひっぱったようになった。  
 しばらくティフォンの右手の人差し指と中指、親指で作る環がスライドをすると、  
 また彼のモノはダマスクス級になった。  
 
 たまらずに、ヴェントが尋ねる。  
「ティフォン……また、射精ちまいそうだけど、どう……すりゃいい……んだ」  
 ティフォンは環を動かすのをやめた。  
「あんたは、そのままでいいのよ。挿れさせて、あげるから」  
 ティフォンは仰向けのヴェントにまたがると、膝で立った。  
 ヴェントはティオンの体を正面から、見上げた。  
「さぁ……んん……ほゥ……」  
 ティフォンの秘所へと、ヴェントの杖がわけいりめり込んでいく。  
 ヴェントは、ティフォンという彼にとっての理想の女性とつながっていることに  
 とてつもない快感を感じていた。  
 自分と彼女の液体が、彼女の中で混ざりあい相乗して滑りを良くした。  
「ん……はぁぁん……ヴェント……も…あんっ……上に突いてぇ……ん!」  
 言われるままに、ヴェントはティフォンが腰を下ろすのにたいして、上にむかって腰をあげた。  
 深く彼女の暖かい部分を突くヴェントの杖。  
 つきあげるたびに、彼女の胸が上下にリズムよく揺れる。  
「あ…ひゃ……イクよ……!」  
 と、ティフォンが言ったときには先にヴェントの杖はティフォンの中へと白い命を噴出させていた。  
 その白い射撃が、彼女の内壁に何回か当たった。  
「うああっ…んんーっ!」  
 それが、ティフォンの最後への一押しになった。  
 達したティフォンの秘所の環はヴェントの根元を締め上げた。  
 圧搾とでもいうのか、ヴェントはまたグッとのけぞり彼女の中へ白い花火を咲かせた。  
 
 
 翌日の朝、彼ら一行はワンダへと向けて旅立った。  
 ドラゴンハートの武器を作るためだ。  
 キムバーリーからの道、歩くヴェントの横にティフォンが並んでいた。  
 ルビィには年頃の少女らしく、二人が昨日なにかあったと察していたが  
 周りに話せるような相手がいないのが少し不満だった。  
 ムゾル・ヤニーやフランシス、オーベルベンド。  
 話すことは叶わない面子だ。  
『フランシスなんて、ヴェントに中身を聞きたくて詰め寄りそうだしなぁ』  
 仕方ないか、と上を向くと青い空に雲が浮かんでいた。  
 その雲が風に運ばれていった。  
 風の行く先になにがあるのかは分からないが、  
 二つの風は重なって空を抜けていった。  
 
 

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