ゴドウィン男爵の反乱は、ロアーヌ候ミカエルとその他シノンの若者によって見事鎮圧された。その数日後…。  
 
 ミカエルは野心家であり、自国の勢いを伸ばすことに重点を置いていた。ことに、アビスゲートが復活した現在の情勢では、ロアーヌは数多くの脅威を抱えていた。  
南方のタフターン山のビューネイ、神王教団…などの大きな物から、野盗、ゴドウィンの残党などの小勢力まで、ミカエルの頭痛の種は尽きなかった。  
 このような社会情勢では、当然どこかの大きな勢力と同盟を結んだほうが有利になることは間違い無い。  
折りよく、今回のミカエルの勝利を知ったツヴァイク公から同盟および息子との政略結婚が申し入れられていた。  
ミカエルとしては、どっちが本心だと突っ込みたかった。しかもツヴァイク公といえば大バカ公爵、その息子はもっとバカ、ということで有名だが、その兵力、技術力は侮りがたい物があった。  
そこでミカエルは、不憫ながらも妹のモニカをツヴァイクにやることを検討していた。  
 が、貴族たるもの電撃結婚というわけにも行かず、そもそもいきなりバカ王子と結婚させるといえばモニカは気を悪くするに違いない。  
下手するとゴドウィンの時のように城を抜け出して帰ってくるかもしれない。そこでミカエルはいちおう心を鬼にしてモニカをツヴァイク公にあわせるすることにした。  
 
 「モニカを呼べ。」  
 「はっ!」  
しばらくして、モニカが入ってきた。  
 「なんでしょう、お兄様。」  
 「モニカ。ツヴァイク公が、お前に会いたがっているのだ。あってくれぬか。」  
 「はい、お兄様。」  
はい、と言いながらもモニカの唇はぴくぴくと引きつっていた。  
これは大仕事になりそうだな…ミカエルは思った。  
 
 
数日後。ツヴァイク公がやってきた。  
青い幼稚園児のスモックのような服を着て、やたらと大きな波打った襟の半世紀前の貴族のような服を着て、  
そしてベルトの黄金のバックルには自分自身の顔を彫り込むという突出した個性あふれる服装で、  
突出した下腹を抱えて息を切らしながら、玉座の間に入り込んできた。  
玉座の間にある種の緊張が走る。ツヴァイク公は挨拶もそこそこに、モニカの顔を涎を垂らしながら見た。  
 「ふむふむ、美しい。わしの嫁にしたいぐらいだ。がはははは!」  
ミカエルとしてはどってぱらにスクリュードライバーをかましてやりたい気分だったが、かろうじてそれを押さえた。  
そしてモニカをすまなさそうに見る。  
 「お…お会いできて…光栄です…はじめまして…ロアーヌ公ミカエルの妹、モニカです…」  
モニカが震えながら紋切り型を並べた。  
 「はははは…そんなに硬くならんでもよろしい。ううーん!見れば見るほど美しい…」  
 (お兄様…たすけて…) モニカはすがりつくような目でミカエルを見た。  
 (モニカ…すまない…) ミカエルの目があまりの情けなさに潤んでいた。  
場に沈黙が流れる。  
 「はははは…きにいったぞ!じゃあ、前向きに考えておいてくれたまえ。」  
そういうと、ツヴァイク公は城を出ていった。  
 
 数日後。ミカエルは玉座の上でひどく悩んでいた。  
 (私は…ロアーヌ候。この地を守らなければならん。   
 そのためには…妹を犠牲にすることも止むをえんと考えていた…しかし…)   
 「ミカエル様!」  
兵士が突然飛び込んできた。  
 「最近、ロアーヌ北方の森林で野盗が増加しています。このままではロアーヌに害が及びます。」  
 「…判った。討って出よう。」  
あまり討ってでたいという気もしなかったのだが、気晴らしも兼ねて…と、森林に軍を進めた。  
が、ストレスのたまった頭では的確な命令は下せず、しかも野盗どもの波状攻撃にさらされ、ロアーヌ軍は敗走する羽目になってしまった。  
 
翌日。ミカエルの元にツヴァイク公からの使者が書状を持ってきた。内容は、同盟をうながすものだった。また、ミカエルの昨日の敗走についても触れられていた。  
さらに、ロアーヌが野党に負けたとあっては、国威もがた落ちになるがら、国威回復のためにも早く同盟を、とも書いてあった。  
実際、今日はパッペンハイム傭兵軍団から資金援助の要求が届いていた。また、エドウィンとかいうものが兵を集めているという情報もあった。  
ミカエルはつらかったが、独断でモニカをツヴァイクに遣ることにした。モニカの顔を見たら絶対に決め兼ねることになると思ったからだ。  
使者が帰った後、自室にモニカを呼んだ。  
 「なんでしょうか、お兄様。」  
モニカが覚悟を決めた顔で入ってきた。きっと国の危機を感じており、ツヴァイクと同盟を結ぶしか策は無いと気づいていたのだろう。  
 「モニカ…すまないが、ツヴァイク公の息子と結婚してくれ。私がふがいないばっかりに…」  
 「いえ…お兄様は立派でした。戦いでまけたのも…きっと私についてお悩みになっていたから…もう…私が行きます。」  
拒絶されたほうがいくらか楽だっただろうか。  
 「すまぬ…」  
ミカエルの頬に涙が伝う。  
 「ただ…お兄様…国を出る前に、ひとつだけお願いがあります…」  
 「判った。なんでも聞く。」  
 「私は…夫婦になるとわかっていても…あんなひとの息子に貞操をささげる気は無いのです。お兄様…私を、私を抱いてください…」  
 「う…」  
ミカエルがたじろぐ。  
 「もちろん…判っています。不貞の姫になってしまえば、お兄様もさげすまれかねないということも…けれど…最後に…」  
そういうと、胸をはだけはじめた。柔らかそうな胸の谷間があらわになった。  
 「ぐっ…」  
ミカエルの中で、何かが弾けた。  
 
「モニカ…」  
ミカエルはモニカを抱きかかえた。  
 「はぁはぁ…早く…ベッドに…」  
モニカがまぶしそうな顔でミカエルを見た。  
 「う…」  
ミカエルはモニカをベッドに倒し、自らも覆い被さった。モニカが突然跳ね上がってきてミカエルの首を抱きかかえ、唇をうばう。  
 「はあ…んんっ!」  
二人ともしばらくお互いの唇をむさぼり、舌を絡め合った。ミカエルの長髪とモニカの金の髪が絡み合った。  
 「んっ…んむっ…はああっ!」  
二人の唇から銀色の糸が引いた。荒い息のまま互いに見詰め合う。  
 「お兄様…来て…ください…」  
ミカエルはモニカの豊かな乳房に手のひらを這わせ、そのままモニカの先端のピンクのふくらみを口に含む。  
 「あああっ!」  
モニカの体がびくっと震え、頬がかああぁ…と赤くなる。  
ミカエルは唇を腹、へそ、と這わせてゆき、とうとうモニカの茂みの中に分け入っていった。そして手で脚をつかんで開かせた。  
 「う…いやあっ…そんなとこ…」  
モニカが両手で顔を覆い、指の隙間からおそるおそるミカエルの顔をのぞいた。   
ミカエルは更にモニカの秘部に顔をうずめた。そして舌をモニカの突起のあたりに這わせた。  
 「はあああああ……っ!」  
モニカが大きな息をする。  
 「ん…」  
ミカエルはしばらく舌を使った。それから顔を離してじっとモニカの秘所を見つめた。  
 「う…」  
モニカとミカエルの目が合った。モニカはすぐに目をそらそうとし、ミカエルはモニカの顔を見てごくっと生唾を飲み込んだ。  
 「いいか…モニカ?」  
 「お兄様…来て…ください…」  
ミカエルは自分の一物を持つと、モニカの秘穴に押し当てると、ゆっくりと腰を突き出した。  
 
 「はあっ!」  
モニカが震えながら腰を少しひく。  
 「大丈夫だ…モニカ…」  
再びミカエルは腰を進めた。少し抵抗感を感じたが慎重に進めていくと、何かが裂けるような感覚がして、ミカエルの分身はモニカに収まった。  
 「はあ…はあ…」  
荒い息が交錯する。  
ミカエルは腰を動かし始めた。  
モニカの顔に目をやると、歯を食いしばって痛みを我慢していた。  
ミカエルは妹に何か言わなければならない…と思ったが、どうしても言葉が見つからず、青ざめた顔をずっと見つめていた。  
 「お兄様…」  
モニカが苦しそうに口を開く。  
 「ずっと…お兄様のことが…憧れでした…強くて…賢くて…」     
 「いや…私は…」  
ミカエルは何もいい返すことが出来なかった。  
 「いえ…いいんです。聞いてくれるだけで…だけど最後に…お兄様…来てください…モニカの中に…」  
 「…」  
 ミカエルは無言で抽送を繰り返した。そして、しばらくしてモニカの中へミカエルの精が入り込んでいった。  
 「はあ…はあ…」  
モニカはうつろな目で荒い息をしていたが、しばらくすると気を失った。  
 ミカエルはモニカに服を着せると、モニカの部屋に運んで寝かせ、  
一人で部屋に帰ってワインをがぶ飲みしてからめちゃめちゃになったベッドにもぐりこんだ。  
 「くっ…」  
ミカエルは唇をかみ締めた。自分がどうしようもなく情けなかった。  
 「何が国のためだ…妹一人ぐらい守れなかった私が…何が国だ…ちくしょう…」  
荒々しく布団をかぶったが、睡魔は少しもやってこない。すべてはもう遅かった。彼はこの夜一睡も出来なかった。  
 
 翌日、モニカはきらびやかな衣装をまとい、ツヴァイク公御用達の船でミュルスの港を立った。  
ミカエルをはじめとして、ツヴァイクに嫁がざるをえなくなった不憫な姫君のために多くのロアーヌの民が船が涙でかすんだ船が見えなくなるまで見送った。モニカもミカエルも泣いていた。   
 
 しかし、このとき、だれがモニカのこれからの波乱万丈な性生活を予測できたであろうか!  
 
 

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