「んッ…!んむぅ…ふぐぅうっ!」  
 
エメラルドグリーンの髪をした、独特の白装束を纏った美少女が、  
ライフトラップの触手に絡め取られ、空中で悶えている。  
凛として整った顔で、少しするどめの瞳は中性的な印象を与える。  
だが、その目も今は苦痛に細められており、恐怖に支配された弱々しい女の顔になっていた。  
 
愛用のトライデントは地面に突き刺さっており、  
何故か得意のメイルシュトロームはいかずちも使うことが出来ないでいた。  
 
「むぐぅっ…んんん〜っ…!!」  
 
植物とは思えない肉感的な触手が少女の四肢を拘束し、口の中に侵入を果たしている。  
 
「いい格好ね、フォル」  
 
吊るされ、触手に口内を蹂躙されている少女を見上げて囁くのは、  
東国の衣装を着崩し、ところどころから美しく、艶かしい肢体を除かせている絶世の美女。  
並みの精神力を持った人間なら、たとえ女性でも魅了されてしまうかもしれないほどの美貌を持っていた。  
 
「んぐ…っ!?」  
 
ライフトラップを使役している張本人が現れ、フォルネウスの顔が憎悪を露にする。  
 
「あーら、怖い顔だこと…可愛い顔が台無しよ?」  
 
くすくすと妖しい微笑を浮かべつつ、くっと手を動かして触手をフォルネウスの口から引き抜かせた  
解放された口の中は触手の樹液のぬめぬめとした感覚が残り、耐えがたい不快感を与える。  
 
「くはっ…けほっ、えほ…っ」  
 
急激に空気が流れ込み、けほけほとその場で咳き込むフォルネウス。  
きっと顔を上げ、殺気を剥き出しにしてビューネイを睨みつける。  
 
「はぁ、はぁ…き、さま…ぁっ」  
 
「なぁに?」  
 
しれっとして、多少色っぽくそう言ってみせると、すっとフォルネウスの顎を美しく細い手でかたむかせる。  
綺麗なその肌のさわり心地に感極まった声をあげると、フォルネウスは心底嫌そうに身をよじる  
 
「それはこっちの台詞だ…なんのつもりだっ!」  
 
触手に絡められていながらも怒号を飛ばす。あたりの水分が一斉にざわめいた。  
魔海候の名前は伊達ではない、とでも言うのだろうか  
 
「何のつもり…かぁ。少し遊んであげようと思っただけよ…?」  
 
にやり、と微笑を浮かべるビューネイ。  
ライフトラップを出現させたとは言え、ここはフォルネウスの間。  
地形的にはフォルネウスが圧倒的に有利だが、妙に余裕を含んでいた。  
 
「遊ぶ…だと?」  
 
殺気だった瞳は、きっとビューネイを睨みつけ、  
美しい海底宮にひたされた水がざわざわと波打つ。  
 
「魔龍公ともあろう者が、こんなくだらんコトを…恥を知れ、ビューネイッ!」  
 
細い体躯で精一杯暴れるも、触手はぎしぎしと音を立てるだけだった。  
抵抗することの出来ないフォルネウスを見て、ビューネイは余裕の微笑を浮かべる  
 
「こんな状況で…威勢の良いこと、でもね…」  
 
細い手をフォルネウスの両頬に添える…  
 
「あなたは今、手玉に取られたただの子猫よ、フォル」  
 
海面から差し込むような美しい、青い灯りの上に移る二つの影が重なる。  
視界が妖しい魅力を持つ、吸い込まれそうな紅い瞳でうまり、  
唇の純潔を奪われ、驚愕のしるし、大きいマリンブルーの瞳がかすかに潤んだ  
 
小さい、粘液が跳ねる音が響く。  
生暖かい舌が口の中を侵していく度、フォルネウスは力が抜ける奇妙な感覚に浮かされていた。  
 
「ん…ッ、ふ…んぐ…」  
 
甘い味が口の中に広がる。唇を奪われたことと、得体の知れない恐怖に、目の潤みが段々と強まる。  
だが、それ以前に、意識に靄がかかりはじめている事がフォルネウスの心を揺さぶる  
 
(…なんか…妙な…感じだ…)  
 
肌すら殆ど誰にも触れられた事がないのに、こんなキスは刺激が強すぎるのかもしれない。  
心地よさを拒みきれず、触手を軋ませていた手は動かなくなっていた。  
 
ビューネイの目が楽しげに細められ、銀糸をひきながら綺麗な唇同士が離れた。  
 
「おいし…やっぱり、綺麗ね…フォルは」  
 
舌で自分の唇を軽く拭うビューネイ。フォルネウスは頬を朱に染め、  
ぐったりと触手にぶらさがる体勢になっていた。  
 
「それじゃぁ、お次は…こうね」  
 
と、フォルネウスの着衣の前をばっと開く。小ぶりだが、カタチのいい胸がふるんと軽く震えた。  
熱に浮かされていたフォルネウスは抵抗することが出来ず、隠そうとしても手は触手に捕まっている。  
 
「やッ…!見るな…ぁ」  
 
頬を真っ赤にそめ、暴れるフォルネウス。先ほど無駄だとしったばかりだと言うのに。  
暴れるたびに、白い胸が揺れ、官能的な刺激をビューネイに与える。  
 
「へぇ…先っちょもきれいな色してるし…どんな男も見てたらたまらないでしょうね?」  
 
耳元でそう囁きつつ、両手でその胸を覆う。  
ふにゅりと音が聞こえそうなほど、柔らかく変形する。  
触られたと同時にフォルネウスの体がぴくっと震えた。  
 
「ビュ、ねィ…っ、さわらな…いで…」  
 
勇ましい口調はなく、少女そのものの口調で弱々しい抵抗を見せた。  
ビューネイのキスには媚薬の効果でもあるのかと思わせるように。  
 
手をまわすように動かして、胸への愛撫を行なう。  
ビューネイは、女性相手だと言うのになれた手つきをみせ、それによってフォルネウスの体は熱くなっていく。  
 
「ぁっ…はぁ、やだ…ッ」  
 
早くも感じ初めて、熱をおびた吐息を吐き出しながら、微塵の抵抗をした。  
 
「柔らかいわ…すべすべだし…声もいいカンジよ?フォル…」  
 
猫なで声は、フォルネウスの精神の中の性感帯を撫でまわすように羞恥心を与える  
感触を楽しみながら胸を弄んでいるビューネイは、揉みほぐしつつ人差し指の爪で先端をつついた  
 
「っひゃ…ぁ!」  
 
「もう硬くなってるわね…?感度良好じゃない…」  
 
しなやかな動きで桜色の突起を捏ねまわし、膨らみのカタチは握られたマシュマロのように変形していく。  
 
「あぅ…ん…ッ、はぅ…だめ、ぇッ…!」  
 
免疫の全くない快楽を与えられ、理性はゆっくりと弱い削岩撃で削り取られていく。  
ぴくぴくっと体を震わせ、潤んだ半開きの瞳はどこを見るわけでもなく…  
 
先ほどのフォルネウスとはまるで別人としか思えない。  
気高く、海を統べる魔海候でなく。ただ一人の女に好きにされている子猫でしかなかった。  
 
 
「んふっ…おいしそ…v」  
 
ぺろり、と舌を出すと、ビューネイは顔を下げ、手で弄くっている膨らみの先端を口に含んだ  
 
「ふぁぁあっ…?!」  
 
大きく目を見開き、細い体躯をのけぞらせ白い喉を見せるフォルネウス。  
唇ではさまれ、生暖かく柔らかい何かが突起を刺激し、先程よりも強い刺激が押し寄せた。  
 
「ひゃはっ…、あ、んぅ…な、めちゃ…ゃ、あぁっ…」  
 
頬に一筋の水を流して、口端からだらしなく唾を流しながら抵抗しても、  
その声は否定とも肯定ともとれない、淫らな喘ぎ声だった。  
 
ちゅぷちゅぷと音を立てながら舌は突起をこねるように動き回る。  
フォルネウスの指先も震え、段々と強い波が迫ってくるのを感じる…  
 
「だ、め…なんか…くるっ、きちゃぁ…ぅッ…!」  
 
強く瞳をとじ、いやいやするように被りをふりながら、フォルネウスの喘ぎ声は段々と大きくなっていく  
 
「くっ…ぁ、はっ…あぁぁッ!」  
 
先端に強い刺激が走る。ビューネイが優しく歯を立てたのが、とどめになった。  
生まれてはじめて感じる絶頂に甘い叫び声をあげたフォルネウスは、快楽の虜に成り果てていた。  
 
少しだけ、足に絡み付いていた触手が動き、肩幅くらい足が開かされる。  
丈の短い、スカートとも言えない布の中に、ビューネイはそっと手を滑り込ませた。  
 
「ぁっ…」  
「随分濡れてるじゃない…」  
 
秘部を覆う布ごしに、愛液を分泌する場所をなぞる。  
小さな水音がひびき、ぴくぴくとフォルネウスの身体が軽く痙攣した。  
 
「ひ…っぅ、うん…」  
 
フォルネウスよりも大分背が高いビューネイは見えない位置で笑った。  
この少女が四魔貴族であるという事実が薄れる錯覚を感じたからだ。  
実際、今は普通の人間の少女をいたぶっているのと何らかわりない。  
 
「んん…ふ…は、ぁ…あ…」  
 
俯いて、うっとりと愉悦に浸った虚ろな瞳からは涙が流れる。綺麗な海の色をした瞳。  
段々と調子にのってきたビューネイは、薄布をずらし、細い2本の指を秘部に挿しいれた  
 
「どう?フォル。はじめて人に触られる感想は」  
「ひゃ…ぁ、あ…き、もち…ぃっ、よ…ぉ…」  
 
ふるふるっと体が跳ねるたびに、露になった胸の膨らみも震える。  
指はぬるぬるとした、狭いフォルネウスの胎内の浅い部分をかき回した。  
 
(ふぅ…ん、あの子達。この子にも何もしなかったのね)  
 
少し前に、人間の世界からやってきた者達が脳裏によぎる。  
アビスに居座る破壊の化身を倒しに来た。魔王と聖王の子孫とその仲間。  
全力を出しても勝てなくても、負けた代償はなかった  
海、空、炎、戦の魔貴族とその眷族たちはアビスに残り、悠久の時を過ごすだけだ。  
アビスの真の力をも打ち破る人間というもの、自分らに比べ下等と思っていたもの。  
不思議と自分が人間というものに好奇心を抱いていることに気づく。  
 
「…ビュ、ね…ィ?」  
「あら…手が休んでたわね、ごめんなさい?」  
 
物思いにふけっていた間、おろそかになっていた愛撫を再開する。  
 
「っ…は、ぁ…ふぅう…ンっ」  
 
なるべく内膜を傷つけないように動く指はそうとう手慣れていることを知らせる。  
自分の眷族の妖精族で散々遊んだことから身に付けた技だ。  
 
手を差し込んでいた場所からゆっくりと引き抜く。  
フォルネウスの愛液がまとわりつき、真白な肌はぬらぬらと光沢を発していた。  
 
「わかる…?これがあなたのいやらしい液よ?  
 えっちなことされて、あなたの大事なところからでたの…」  
 
耳元で、耳朶をとろかすように息を吹きかけながら、暗示をかけるように告げる。  
それだけでフォルネウスは小さな体躯を振るわせた。  
目の前に出された指を、反射的にその可憐な口に含み、液体をなめとる。  
 
「結構才能があるみたいね…ふふふ…」  
 
綺麗に液体を舐めとったのか、フォルネウスは口をはなした。  
潤んだ瞳で何かを懇願するようにビューネイを見上げると、それを承諾したようにビューネイは頷く。  
 
「いいわよ…お望み通りにしてあげる。」  
 
再び足の間に手をさしいれると、今度はその布を膝まで引き下ろした。  
純白の薄布は、秘部を覆うところだけ湿りきっており、布の役目を果たしていない状態。  
その部分から、微かに透明な糸をひいて、ゆっくりと細い足をとおっていく。  
 
とん、とその場に膝をつくビューネイ。和の雰囲気を漂わせる露出の激しい服から、  
美しいふとももがその姿をあらわす。並の人間だったら、男女問わず、これだけで魅了されてしまうだろう。  
ふふ、と小さく微笑むと、フォルネウスの足の間にその顔をうずめた。  
 
「ぁぁあっ…!」  
 
先ほどとは違った刺激に大きく体を震わせるフォルネウス。  
柔らかい唇が秘部にあたり、舌が蛞蝓のように這いまわる。  
次々に分泌されるその愛液を舐め取るように。  
 
「ひ、ぃ、ぁぁっ!す、ご…ぁ、ぁんっ…や…はぅ…」  
 
その不入の場所を好き勝手に弄ばれ、耐えようのない快楽に襲われる。  
拒む様子もなく、悦んで快楽を招き入れているフォルネウスは、  
大きな、透き通る媚声をあげて、反応を示した。  
口でその部分を、そして、秘豆にはビューネイの指が伸びる。  
 
「ぁ、ぁーっ…!くぅっ、ふぁ…あっ、ぁぅっ…!」  
 
新たに加わった刺激。自ら腰をゆすり、その快感を求める。  
 
くちゅくちゅといやらしい音を立てて、秘唇が擦られる。  
舌は別の生き物のように動き回り、フォルネウスの快楽を煽った。  
次々と溢れてくる愛液を舐め取ってゆき、ビューネイの口元は濡れる。  
絶世の美女二人が絡み合う…まるで幻想のような状況だった。  
 
「ほら…もう、限界みたいね…?」  
「あっ、あっ…ぅぅ〜…っ!んっはぁ…ぁぁんっ!」  
 
精神も肉体も追い詰められ、フォルネウスはただ体を痙攣させ、喘ぐ。  
ただの愛撫。ただの舌技。それだけで四魔貴族の一角は陥落した。  
そう、同じ魔貴族の手によって。仕方無いことなのかもしれないが…  
 
「ほら…イッちゃいなさいな…?」  
 
くす、と微笑むと同時に放たれた言葉。  
その次の瞬間、強く秘唇を吸い上げた。  
 
「ひっ…ひ、ぅ…ぁぁぁぁあんっ!!」  
 
少女のソプラノの声が大きく海底宮の最奥部に響いた。  
体を弓なりに反らせ、電流をくらったかのようにびくびくと震える。  
かなり強めに果てたのか、余韻を感じながらも、触手に体重をあずけたまま  
荒い呼吸をくりかえしている。瞳は虚ろげに、立ち上がったビューネイの足元を見ていた。  
 
「お疲れ様、ね…フォル。」  
 
妖艶な笑みを浮かべたまま、一瞬指先が閃くと、ライフトラップが消えうせ、  
フォルネウスは水でひたった地面に倒れこんだ。  
 
「はー…っ、は…ぁ…」  
「いいわね、フォルは…こんな綺麗なところで。  
 あんな悪趣味な場所じゃ寝れないわよね…少しここ、貸してもらいたいわ」  
 
冗談めかしながら云うと、すっと手を振る。  
ふわり、とフォルネウスの体が浮き上がり、その体を休める寝台へと移した。  
アビスにあるの?という質問は断固拒否である。  
 
「…アールヴ!」  
「ここに」  
 
虚空に向かってそう呼べば、一陣の風とともに軽鎧に身を包んだ、褐色の肌の美女が現れる。  
高位の剣の妖精であるアールヴ。背負う剣の刃は鏡のように煌き、  
空から海面を介して射す光を反射していた。  
 
「…何用でございましょうか?  
 また、マッサージですか?それとも…」  
「いえ、この娘くらいの服を用意してほしいの。  
 人間の世界の服をね、頼める?」  
 
呆気にとられた顔でビューネイの顔を見るアールヴ。  
きっと細められた瞳が驚きに見開かれ、それを見て楽しそうにビューネイは笑う。  
 
「…お言葉ですが。また何かよからぬことを企んでおられますね?  
 アウナス老に叱られるのは我々なのですから、あまりー」  
「アールヴちゃん…?またいじめられたいの?今度は私じゃなくて、アラケスにやらせるわよ」  
「………その任、お任せあれ」  
 
あの乱暴者に近づいたら何されるかわからん。  
そう考えたアールヴは仕方なく承諾した。が、服の乱れた美少女を見ると頬を赤くして固まる。  
寝台に寝そべる美少女。あられもない格好で…。  
アールヴも同様の美しさは持っているのだが、いかんせん色事にはなれないようで。  
純情である。嗚呼虐めたい  
 
「あの…ビューネイ様。フォルネウス様に何を…というか、私がサイズを測るのですか…?」  
「勿論よ。あぁ、私は爺様に用があるから。頼んだわねー」  
 
笑顔のまま手をふって、ふっとその場から掻き消える。  
がくりと肩を落としたアールヴは、心臓を早鐘のようにならして、メジャーをしゅっと引き抜いた。  
 
「…何じゃと?」  
「だから、人間界にいくから、一応報告にね。」  
 
めらめらと炎に包まれた老人が眉をひそめる。  
ビューネイのまわりには緑色の風が吹き荒れている。恐らくクーラーがわりであろう。  
この灼熱の空間は、誰かれであれかなり辛いものがある。  
 
「お主はいつも変なことをたくらみよるが…  
 我等はあの魔王様の生まれかわりの意思により、人間たちには干渉せんと」  
「危害を加えるわけじゃないわ、遊びにいくだけよ。  
 こんなところにいつまでも居たら飽きちゃうわ。」  
 
長々しい説教話を途中で打ち切り、ビューネイはさばさばと用件を伝えた。  
溜め息とともにアウナスが口を開く。  
 
「仕方が無い。そのかわり、危害を加えたら刑罰が待っておるぞ」  
「わかっておりますとも〜。それじゃ、またね」  
 
ふっと目の前から消えたビューネイ。その場所を見て再び溜め息を漏らす。  
 
「………魔王様。今更ながら、こんな馬鹿ばかりで本当に申し訳御座いませんでした…」  
 
涙から湯気をふきあがらせるアウナスであった。  
 

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