はあはあ・・・
シノンの朝は早い。
未開の地、それも北の方の国であるために朝が
涼しすぎるのが原因かもしれない。
冷涼な空気はたやすく開拓民の睡魔を奪い去る。
ゆえに、シノンの開拓民の朝は早い。
だが、その少年は開拓民の中でも一際早く起きていた。
髪の毛を緑色に染め、天を突くように立たせた少年は、
そのとげとげしい髪型とは逆にどこかおっとりとした
ような、情けない表情をしていたが薄闇を睨むその目は真剣そのものだ。
そして、その視線の先にあるものは仲良く眠る二人の少女。一人は厚手の毛布から足を
はみ出した姿勢で豪快に大の字で寝ている。その隣には毛布をしっかり
体に巻きつけて眠る少女がいる。
少年の目はしばし左右に揺れつつも少年の左手側に大の字で寝ている少女で止まる。
少年が近づくと少女は呼応するように寝返りを打つ。すると、さらさらの
長髪が悩ましげに揺れる。
「ハアハア・・エレン・・・」
ゴクリと少年は喉を鳴らす。少女が二度目の寝返りを左にうとうとすると、
タイミングよくもう一人の少女−癖の強い波型の髪をした少女−
が逆方向に寝返りを打つ。その途端、左の少女の布団がすべて右の少女
に奪われる。現れたのは芸術品のように洗練されたフォルムを持つ脚。
ボクサーパンツという色気のない下着からはえでたその二本の脚は悩ましげに
薄闇の中光を放つ。そして唐突に左足を曲げ・・右足の太ももを足の爪で
掻きだす。
なんの警戒もない。何の色気もない行動。だが少女の脚はそれをあたかも
ポルノと思わせるような色気を放っていた。
少年は思わず地面にたらした鼻血をあわてて舐めとった。