「ふーん……あなたが、Dr.の新しい玩具ね」
そう言う目の前の女に、タリスは見覚えがあった。
同僚がブラッククロスとの繋がりを調べていた、キャンベル社の社長、シンディ・キャンベル。
こんなところにいるところを見ると、繋がりは事実であったようだ。今の自分には、わかったところであまり意味はないが。
キャンベルは冷たい瞳で、タリスを眺めている。憎しみすら感じられるような、そんな冷たい瞳。
「……な、何?」
意図がわからず、疑問の声をあげる。
が、キャンベルはその疑問には答えず、タリスに近づくと、顎を掴んで顔を上向けさせた。
「確かに見た目は悪くないわね……」
顎から離れた手が、手首をつかんだ。ぐいと強い力で引き寄せられる。
痛みに悲鳴をあげそうになるが、すんでのところで堪えた。
「あら、良い表情をするのね。今の痛みを堪える顔、確かに嗜虐欲をそそるわ」
手首に冷たい感触。はっとしてそこを見ると、半透明の奇妙な糸で、タリスの両手首は拘束されていた。
「な、何をするの!?」
拘束された手首が、強い力で上に引き上げられた。そのまま宙づりになる。
キャンベルはタリスの前で、意地悪く笑った。
「あなたの体をじっくり見たいのよ。Dr.を虜にしている体をね」
「好きで虜にしているわけじゃないわ!」
タリスの叫びに構わず、キャンベルはタリスの纏っていたガウンを剥ぎとった。
ここに監禁されて以来、与えられている衣類はこれだけだ。下には下着すら着けていない。
タリスはその裸身を、余すことなくキャンベルの前に晒すこととなった。
キャンベルの視線が容赦なくタリスの体に注がれる。
豊かな胸のふくらみ、その先端のピンク色の乳首、細くくびれたウェスト、丸みを帯びた臀部、すらりと伸びた両足に、最も恥ずかしい部分を覆っている茂み……。
羞恥で頬が赤く染まる。例え同性とはいえ、体をじろじろ見られるのは気持ちの良いものではない。
「……いい体ね」
キャンベルの指が、背中のくぼみに触れた。そのまま背筋を伝ってゆっくりと下へ降りて行く。
「あっ……」
びくっと身を振るわせる。そんな様を見て、キャンベルはくすりと笑った。
「感じた?」
「そっ、そんなわけ……」
「嘘は良くないわよ」
キャンベルの手が乳房に触れた。そのまま全身をゆっくりと撫で回される。
「……やっ、止めて!」
「しっとりして、指に吸いつくような柔らかい肌ね……」
手が乳首を摘み上げた。反射的に体がびくっと撥ねる。
「立って来ているわね……これをいつも、Dr.に吸って貰っているの?」
「…………」
答えたくなかったタリスは口を閉ざした。キャンベルの手が乳房を力まかせに握りしめた。
「い……痛い!」
「答えなさい。答えないと、胸を握り潰すわよ」
伸ばした爪が柔らかい肌に食い込み、鋭い痛みが襲う。
「す……吸って貰ってるわ」
キャンベルの手が乳房から離れた。ほっと息をつく。
キャンベルはタリスの正面に回り込むと、下腹部に顔を近づけて来た。彼女の息が、茂みに覆われた部分にかかる。
「あ……」
指がその部分に触れた。茂みをかきわけ、その部分を晒させようとする。
「ここにDr.の精液を注いで貰っているのよね……それも一晩に何度も」
指が強引に濡れていない部分に潜り込んだ。痛みに思わず身を捩る。
キャンベルは指を秘部から引き抜くと、立ち上がった。タリスの耳元に唇を寄せ、尋ねる。
「Dr.に抱かれる気分はどう?」
「どうって……」
決まっている。あの男など大嫌いだ。側にすら来てほしくない。
だが……抱かれる度に気の遠くなるような陶酔感を味わっているのもまた事実だった。
「聞いてるのよ。あなたすごく喜んでるって。何度もイッてるって」
キャンベルの手がタリスの顎を捉えた。そのまま、唇を重ねられる。
舌がタリスの唇をこじ開け、差し込まれた。と、同時に何か甘い液体が口中に流れ込む。
「……!」
驚いて液体を吐き出そうとするが、キャンベルの手は彼女の頭をがっちりと抑えたままだ。
頭を動かすことはできず、結局そのまま液体を飲み込まされてしまう。
「……な、何を飲ませたの……」
「ふふっ……秘密よ。じきにわかるわ」
続いて乳首に何かぬるりとした感触があった。はっとして視線をやると、キャンベルが何かクリームのようなものを塗り付けている。
「こ、今度は何よ!」
キャンベルは答えず、乳首に擦り込む行為を止めようとしない。独特のぬるっとした感触が、否応なしに体を刺激する。
「やっ……あっ……」
乳首がひどく熱を帯び始めている。その熱は、体の芯へと広がり始めていた。
「あらあら……気持ちいいみたいね」
指の動きがしごくようなものへと変わって行く。股間がかっと熱くなり、濡れたのがわかった。喉から甘い喘ぎ声が洩れる。
「や、止めて……ああっ……」
「じゃあ、止めてあげる」
不意にキャンベルが愛撫の手を止めた。
「えっ……」
タリスは途惑いの視線をキャンベルに向けた。キャンベルはうっすらと妖しく微笑んでいる。
「でも……本当に止めていいのかしら?」
「えっ……あっ……」
キャンベルの手が離れた後も、体の中に熱がくすぶり続けている。特に乳首が熱い。
じんじんするような感覚が、体の芯に訴え続けている。
「あっ……い、いや……」
身を捩るタリスを見て、キャンベルは笑った。
「乳首が疼くでしょう? いじってほしいんじゃない?」
キャンベルが、間近から顔を覗き込んで来る。黒い瞳が、意地悪く笑った。
「どう? 早く言わないとこのまま吊りっぱなしで帰るわよ」
「そ……それだけは……止めて……」
ずっとこのままにされることを思い、タリスは身震いした。熱を静めることもできないまま、一人取り残される……。
「乳首をいじってほしいのね?」
「……はい……」
キャンベルの指が再び乳首を摘んだ。そのままこするように愛撫を始める。
「あんっ……」
胸を揉みしだかれる手の動きに、こすり上げられ、転がされる指の動きに、タリスの体は激しく反応した。
「さて……下の方にもさっきのを塗ってあげましょうね」
片方の手が胸から離れると、両足の間へと滑り込んだ。次の瞬間、秘部に何かが擦りつけられる。
「な、何を……やっ……やあっ……」
それを塗り付けられた途端、秘所は今まで以上の熱を放ち始めた。熱く濡れた部分がキャンベルの指をたやすく受け入れる。
「ああっ……!」
背をのけぞらせ、高い声で喘ぐ。細く長い女の指が胎内で動く度に、蜜が溢れ出して太ももを伝った。
「Dr.から聞いたわ。あなたDr.に抱かれるまで処女だったのよね」
動かす指を止めずに、タリスの耳元に唇を寄せ、キャンベルは囁きかけて来た。
「男を寄せつけなかった、IRPOのお堅い女捜査官……真面目一徹で通っていたのでしょう。
それが今では見るかげもないのね。今のあなたはどんな男でも咥え込んでよがる、ただの淫乱女だわ」
「ちっ……違う……」
快感に体を支配されつつも、タリスは必死で否定しようとした。
「違わないわよ、Dr.の玩具。Dr.にたっぷり愛して貰っているんでしょう?
短期間でこんなに開発されているなんてね……正直、ちょっと妬けるわ」
指に力が籠もった。だが今はその痛みですら快感に変わってしまう。
「でもね、もともとあなたには素質があったのよ。それを自分でも感じ取っていたからこそ、男を避けて来たんじゃない?」
「違っ……そんなこと、ない……あっ……やっ……」
「こんなにここにこれを溢れさせて言っても、説得力がないわよ」
言うとキャンベルは秘部から指を引き抜いた。愛液にまみれた指はてらてらと光っている。
「や……止めないで……」
「続けてあげてもいいけど、そろそろ男の精が欲しいころでしょう? 今呼ぶから待っていて」
キャンベルはどこからか携帯を取り出すと、話し始めた。頷いて電源を切り、待つことしばし。
部屋のドアが開いて、見上げるような巨体の男が入って来た。残酷そうな表情のその男に、タリスは見覚えがあった。
ブラッククロス4天王の一人、シュウザーだ。彼は全裸で吊るされているタリスを見るやいなや、ヒューッと口笛を吹いた。
「こりゃあいいぜ。もう準備万端ってわけかよ」
下卑た笑みを浮かべると、彼はズボンのジッパーを下ろした。その中から、その巨体にふさわしい一物が姿を現す。
それは既に天を向いてそそり立っていた。
「……い、いや……」
「何言っているの。続けて欲しいんでしょう? ほらシュウザー、早く犯ってしまいなさい」
シュウザーはタリスの片足を抱え上げると、大きく開かせた。タリスの秘部が彼の前にあらわになる。
「すげえ濡れ方だな」
「この女はド淫乱よ。たっぷりイカせてやってちょうだい」
男根があてがわれたかと思うと、ぐっと内部へと入り込んで来た。満たされる行為に、タリスの喉から激しい喘ぎが洩れる。
「あああっ……!」
「じっとり濡れてて気持ちが良いぜ」
足を抱え上げていない方の腕を、シュウザーはタリスの腰に回した。そうして更に奥へと腰を突き込んで行く。
「いやっ……やあっ……はあんっ……」
シュウザーの男根が奥を突き上げ、揺すり上げる。その度にタリスの体もがくがくと揺れた。
その振動が更に激しい快感を生む。タリスは腰をくねらせ、泣き叫んだ。
「やっ……熱い……熱いの……」
「たまんねえな……この声、この締めつけ……」
「そんなに……しな……いで……」
タリスの頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなる。わかるのは体に感じる強い快感と熱のみ。
「やっ……やだっ……あっ……あああああっ!」
絶頂に押し上げられ、タリスは背をのけぞらせて甲高い声で叫んだ。体がぐったりと力を失う。
「あら……シュウザーに抱かれてイッちゃったのね」
「俺はまだ満足してねえぞ。ほらほらっ!」
シュウザーが乱暴に腰を揺する。達したばかりのタリスの体がぴくんと跳ねた。
「あっ……何……?」
体の中のシュウザーの男根は、未だ熱さと堅さを保ったままだ。それが再びタリスを高みへと押し上げて行く。
「あっ……あっ……そんなっ……」
「大丈夫よ、女は何度でもイケるんだから」
いつの間にか背後に回り込んだキャンベルが、首筋に歯を立てながら囁いた。彼女の両手が乳房を揉みしだく。
「やっ……そ、そんな……二人、同時に……」
キャンベルの吐息が、首筋にかかる。シュウザーの舌と歯が、乳首を捉えた。
身動きすればする程、深みにはまっていく。どんな動きも、体に与えられる快感を強くするだけだ。
そんな時だった。不意にドアの開く音がした。
「お前達……何をやっている?」
「Dr.クライン!」
キャンベルとシュウザーは同時に叫び、動きを停止した。
Dr.クラインはつかつかと部屋の中へ入って来ると、二人を冷たい視線で眺める。
「私の玩具で一体何をしているのかね?」
「こ、これは……その……」
シュウザーとキャンベルが視線を彷徨わせる。が、その間も二人ともタリスと絡みあったままだ。
Dr.クラインの視線が、シュウザーに貫かれ全身を上気させて喘いでいるタリスに落ちた。
その瞳に面白がるような光が浮かぶ。
「咎め立ては後にするか……キャンベル!」
「はっはい!」
「タリスの後ろをほぐせ」
「わ……わかりました。Dr.」
キャンベルの指がタリスの臀部の割れ目に触れた。タリスの体が反射的にびくっと強ばる。
「な……何を……」
「お黙り。Dr.の命令なんだから」
「あっ……!」
不意に肛門にぬるりとした感触があった。乳首や股間に塗られたのと、同じ薬の感触。
「い……いやあっ!」
凄まじいまでの生理的嫌悪間に襲われ、タリスは悲鳴をあげた。排泄を目的とした部分に、キャンベルの指が入り込もうとしている。
必死で体を固くしようとするものの、シュウザーと繋がっている状態ではそれもままならない。
キャンベルは強引に固く閉じた排泄肛に指を潜り込ませると、薬を塗り込み始めた。
「ああっ……!」
薬が擦り込まれた部分は、他の部分と同じようにじんわりと熱を放ち始める。
キャンベルの指が何度も行っては戻り、丹念に固く閉ざされた部分をほぐしていく。
「うっ……も、もう嫌……」
「準備整いました、Dr.」
「そうか、では場所を譲れ」
キャンベルがタリスの体から離れた。が、すぐに別の体が背後から被い被さって来る。
もう馴染んでしまった男の体だ。尻の割れ目に、熱く堅いものが押しつけられる。それもまた、馴染んだ感触。
何をされようとしているのかに気づいたタリスは、必死で逃れようと身を捩った。
「さてと、後ろを頂くとするか」
Dr.クラインの呟きと共に、後ろに指よりも遥かに太いそれが入り込んで来た。
内壁を抉るようにして、鈍い痛みと共に奥へ奥へと潜り込んで来る。
「あっ……ああああーっ!」
苦痛と快感がない混ぜになった悲鳴があがる。タリスの体はシュウザーとDr.クラインによって挟み込まれていた。
二人の男の逞しい体が、タリスの柔らかな体にぴったりと密着している。
そして更に、前の穴にはシュウザーの男根が、後ろの穴にはDr.クラインのそれが深く入り込んでいるのだ。
「どうだ? 一度に二本の男根を咥え込んだ気分は」
タリスはいやいやをするように首を横に振った。嬉しい筈がないのに、体は苦痛だけでなく快感も感じている。
「あっ……あっ……ああっ……」
Dr.クラインの唇が耳を捉え、舌と歯で愛撫する。シュウザーは腰を動かしながら、タリスの乳房に吸いついていた。
「シュウザー、もっと突いてやれ」
シュウザーとDr.クラインの両者が腰を突き上げて来る。その激しい刺激を、上手く受け止めることができない。
「くぅん……はあんっ……」
二度目の絶頂が迫っていた。体はこの上ない程熱くなり、前と後ろの両方で入り込んだそれを締め上げている。
「Dr.……そろそろイキそうだぜ……」
「そうか……私もだ……」
「い……嫌あああっ!」
Dr.クラインが乳房をぎゅっと握りしめ、シュウザーが腰に回した腕に力を込める。
二人の男の体に押し潰されそうになった瞬間、タリスの中で同時に二本の男根が弾けた。
「ああ……ああ……」
秘所と直腸に熱いほとばしりが注ぎ込まれる。その感触とともに、タリスもまた果てたのだった。
数時間後、タリスは部屋のベッドの上に、息も耐えだえの姿で横たわっていた。
今日は一体何度抱かれたのだろう。数え切れない程の絶頂を迎え、何度も精液を注がれた下半身には感覚がない。
ぐったりと伏したまま、タリスはか細い声で呟いた。
「誰か……助けて……」
こんなことがこれからも続けば、自分は間違いなく気が狂ってしまうだろう。
いや、いっそ狂ってしまえたら楽なのかもしれない。