もともと自分は上司には恵まれているとは思うのだ。  
魔炎長アウナス老師。とても面倒見のよく、まだ下級魔族だった私を丁寧に指導してくれた。  
魔海侯フォルネウス様。幼いながら(言ったら少し恥ずかしがるが)とても優秀で、部下を気遣ってくれる。  
魔龍公ビューネイ様。…少しセクハラが目立つ気がして、人使いも荒く気まぐれで凄いこともされるが…  
…いい人だ。多分。  
だが。  
「………」  
剣精アールヴ。今回ばかりは遠慮願いたい。異動ではないにせよ、ここには踏み込みたくないのだ。  
魔王殿を模した、アビスの5つの分岐点の一つ。魔戦士公…アラケスが収める場だ。  
何を考えたのか、ビューネイ様があの真面目なフォルネウス様を(恐らく)無理矢理人間の世界につれていってしまった。  
その間、空の調子や魔族の訓練などは自分が任されることになったのだが、それまではいい。  
…何故この男への伝言役も任されなければいけないのか。  
だが、この月下美人に誓ってもそうそう主、ビューネイ様のもとを離れるわけにはいかない(何度オー○事に逃げようとしたことか)  
何をされるかはわからないが、取り敢えず離れていれば大丈夫なはずだ。うん。  
「失礼致します。アラケス様」  
重苦しい扉が開く音、中からそれっぽい煙が出てくる(以前聞いた話だが、これは"演出"だそうだ)。  
この男は派手なものを好む。  
「血を流せ」は手合わせ、「汗を流せ」はトレーニング(付き合わされた羅刹が棒人間が如く衰弱していた)、  
「涙を流せ」…はよくわからないが、何かと部下を巻き込んでは壮絶なことをしでかすのだ。  
陰湿でいやらしいビューネイのそれとはまるで対極だが、これもこれで勘弁願いたい。  
 
まぁ、離れていれば大丈夫だ。  
その考えが甘かったことをアールヴはまだ知らなかった。  
 
「入れ」  
ふてぶてしい、若い男の声が闇の奥から開いた。  
派手な音楽とともにスポットライトが金髪の甲冑を着込んだ男…アラケスを照らした。  
四魔貴族の例に漏れず美形ではあるが、荒々しいワイルドな(というか乱暴な)性格…故に、部下はいつも振り回されている。  
しかもふざけてはいない。この演出も全て真面目にやっているから始末におえないのだ。  
無駄な事に技術を使うなと突っ込みたくなったが、力の差は歴然だ。  
何もかも捨てて突っ込み役に回るほどアールヴに勇気は無かった。とりあえずそれを見ないことにして話を進める。  
「お初にお目にかかります。アールヴと申します…本日は用事で(何の用事だか全くもう)来ることのできない  
 ビューネイさまの代行役として、伝言を仰せつかっております」  
「…ふむ」  
いやらしくない、真っ直ぐな視線でじろじろとアラケスはアールヴの体を眺めた。  
まだスケベ親父のようななまなましい視線で見られたほうが怒りがいがあるものだが、こういう状況では  
ヘタな反応は失礼かもしれない、とアールヴは黙ってビューネイの伝言が書かれているらしい紙を取り出した。  
アールヴの肢体は魅力的なものだ。白銀の鎧と僅かな布で包まれた真っ白な肢体。そして、凛とした美貌。  
ビューネイのように凹凸が激しいグラマラスなものではないが、引き締まった華奢ながらも美しい体は  
男の視線を集めないほうがおかしい…もっともそれはいつも、シタゴコロとか、そういうものだったのだが。  
「読め」  
「はい」  
一度頭を下げてから、折りたたまれたその紙を広げる。  
すると、やけに可愛らしい文体で一言だけ書かれている寂しい文面が現れ、アールヴは目を見開いた。  
『頑張ってねv』  
何を。  
何かにはっとしてアールヴは顔をあげるが、目の前の玉座にアラケスの姿は無かった。  
瞬間、ぐっと背後からアラケスの巨大な甲冑の腕に体を腕ごと掴まれ、鈍い痛みとともに動きが取れなくなった。  
「っく…!?魔戦士公、何を…」  
「ビューネイに聞かされたのだ。伽の相手を送ると」  
伽。それは、まぁ、男女のあれこれそういうものであり。  
あっけにとられていたアールヴはやっとのことで言葉の意味を理解すると、一気にその真っ白な顔が紅潮していく。  
「わ、私はそんなことは聞かされておりませんっ!離してください!」  
 
胸から膝まですっぽりと掴んでしまうほどの巨大な腕はしっかりとアールヴの体を掴み、  
じたばたと暴れてみるも、アラケスはびくともせずにぐいっとアールヴの体を抱き寄せた。  
「ふむ…」  
顎を生身のほうの腕にすくわれ、見上げる形になる。眼前に端正なアラケスの顔があり、思わず目を逸らした。  
もともと男性にあまり免疫のないため、そのまま赤くなって黙り込んでしまう。  
「なるほど…お前ほど美しい女ははじめてかもしれん。女を抱くことすら何十年ぶりか…」  
「なっ…私はまだ、承諾を…」  
「血と汗と涙を流せ!」  
「話を聞いてくださぁ…ッ」  
終始真顔で漫才のような切り替えしをさせられて、業を煮やしたアールヴはかっとなって叫ぼうとしたが、  
不意打ちでアラケスに唇をふさがれ、目を驚きに見開き、硬直した。  
唇に当てられる柔らかい感触は驚くほど優しく、切れる頭が急激に鈍くなっていく。顔がかーっと熱くなっていくのがわかった。  
はっとして身を捩り逃げようとすると、眼前の黄金の瞳が妖しく輝いたのが見えた。  
(しまっ…)  
麻痺の凝視。直視していたため、がくんっとアールヴの体から力が抜け、  
先ほどまで抜け出そうと踏ん張っていた足も、しなりと力を失っている。  
巨大な腕の力が抜けると、アールヴはとさりとつめたい床に力なく倒れこんだ。  
「う…」  
しっかりと感覚はあるのに、立ち上がろうと手で床を押してもまるで力が入らない。  
「乱暴はせん。女の体は傷つきやすいからな」  
携えていた月下美人をするりと帯から抜き取られ手の届かないところに置かれる。武器の扱いには詳しいのだろう。放ることなどはしなかった。  
「…魔、戦士公…おやめください…」  
「断る」  
そのままの語調で、表情はふっと笑い、アラケスはあっさりとアールヴの体をあおむけにさせた。  
「美しい体だな、それと…抱かれた事もないと見える」  
びくっ、とその言葉にアールヴの体が震えた。羞恥が凄い勢いでこみあげてくるのがわかる。  
何故か声を出すこともできない、まさしくその通りであるからだ。  
ビューネイのライフトラップで気まぐれに処女が散らされてはしまったが、男性経験など無いに等しい。というかゼロだ。  
がしゃ、とアールヴの体の横に甲冑の腕が置かれた。  
 
「安心しろ、華奢な体も好きだ」  
「そういう問題では…ッ」  
抗議も虚しく、アールヴの背中に手が回され、鎧の止め具が外される。手を引っ張られて軽く体を浮かされ、鎧があっさりと脱がされた。  
青い布は胸と腰を覆うだけの面積の狭いもので、鎧がなくなった今は、頭の羽飾りしか戦士の面影はなく、  
どこぞの踊り子のような露出の多い格好になってしまった。  
その布もそれほど余裕を持ったサイズではないのか、適度な大きさの胸のふくらみのラインをうつしだしている。  
「ふむ…」  
興奮、という言葉なぞ微塵にも見せず、その体を見て素直に感心の表情を浮かべるアラケス。  
「なかなかだな、ビューネイは部下に恵まれているようだ」  
「魔戦士公…お願いします、こんなことは…」  
目をそむけて、顔を真っ赤にして、か細い声で懇願するが、アラケスは首を横に振ってみせた。  
甲冑に包まれていない生身のほうの腕が、胸を覆い隠す布に伸びる。  
「っ…!」  
慌てて逃げようとするが、アールヴは今麻痺凝視の力で動くことの出来ない状態だ。  
あっさりとその布も剥ぎ取られ、豊かなふたつの膨らみと、その先端の桜色の突起が露になる。  
「美しい肌だな」  
淡々と感想を述べられる。シタゴコロというものが全くないような語調で。  
そのせいか余計に恥ずかしく、アールヴはもう何も言えなくなってしまっていた。ふいに、ごつごつとしたてのひらがその膨らみを掴む。  
「ぁ……」  
驚きの声をあげたアールヴ。ふにふにと解される感触が伝わってきた。  
「痛いか?」  
やめて、と言おうとしたが、すぐに降ってきたその言葉に、反射的に首を横に降った。  
「そうか」  
簡単な返事。抵抗のタイミングを逃したアールヴは、じっとその愛撫に耐えた。  
奇妙なくすぐったさの中、じんわりと体の中心が熱くなっていくのを感じる。  
「う…ぅん…」  
眉根を寄せ、きゅっと閉じた唇からは熱いため息が抑えきれずに溢れた。  
「感じたか」  
「………」  
ストレートに問われて、頷けるはずがない。アールヴは黙を貫こうとした、が  
「ふぁっ…!?」  
不意に、硬さを持ち始めていた先端の突起を摘まれ、びくんっとアールヴの体が跳ねた。全身を快感の痺れが駆け巡ったのだ。  
 
「ぁっ…ぅ…」  
硬い指が突起を転がす。その度に快感がアールヴの体を付きぬけ、体を振るわせる。  
先ほどよりも艶を帯びた吐息は、抑えることすらおろそかになるほど甘く蕩けている。  
「ぅぁ…はあぁ…っ」  
きゅぅ、と強めにつままれると、目に溜まっていた涙がつっと頬を伝った。  
抵抗の色が消えうせたアールヴは、自分の意思では動かない体を快感に震わせているだけだった。  
「ふむ…」  
何かを考え付いたのか、アラケスは手を離した。  
突然に快感の発生源が消えたので、アールヴはゆっくりと目を開けた。  
だが、次の瞬間、ぐらっと視線が揺らぐ。  
「んっ…ぁ…!」  
自分の体の中心から、一気に熱い波が広がった。  
いつの間に腰布を解かれ、足の間に滑り込んだ手が、最後の砦である下着ごしに秘部を擦っていた。  
「ぁ…あ…」  
指が底に触れているだけで、じわじわと波が広がるように快感が響いてくる。  
「だめ…やめて…っ」  
はっきりと、敬語の失せた口調で拒むも、その指は腹をとりわけ柔らかい部分に押し付けた。  
「ぁ…ぅぁ…んっ」  
びくびくっ、と先ほどより大きくアールヴの体が仰け反る。  
押し付けた場所から、アラケスは肘を動かし、指でなぞるように秘裂をなぶる。  
動かすたびにアールヴは声を漏らし、体を震わせていた。  
「濡れているな」  
興奮の色すら見せない冷めた口調でアラケスはそう告げる。その言葉がアールヴの羞恥を更に煽った。  
なぞられるたびに、静か過ぎるこの部屋だからこそ少しだけ、湿った布が擦られる音が聞こえてしまうのだ。  
「は…っぁく…ぅ…」  
既に秘部をすかしてしまうほど湿った下着。その下の秘部は十分すぎるほどの湿りを持っていた。  
 
下着の端、紐が結ばれている場所を解き、アラケスは器用にそれを取り出した。  
途端にすーっと冷たい風に下半身が晒されたことで、アールヴは驚きに体を起こそうとした。  
僅かだが自由が効くようになっている。だがそれもほんの僅かだ。  
アラケスにその細い足が広げられ、秘部を大きく晒すような姿勢を取ることを拒むほどの力は無い。  
「い…や…魔戦士公…やめ、て…」  
指とは違う、ぐりっとした別のものが宛がわれる。  
喘ぎ混じりにやめることを懇願するアールヴの声にアラケスは返事を返さず、  
ぐっと腰を押し進め、そのあてがったものでアールヴの秘部に割り入っていく。  
「うあぁぁっ…」  
指とは比べ物にならない、以前受け入れた触手よりも太く、硬い圧迫感。  
小さな痛みと、呼吸が苦しくなることと、絶え間ない快感の三段責めに、  
アールヴはその白い喉をみせるほど仰け反って、喘ぐ。  
「…ほぉ…これは良い。どうだ、わかるかアールヴ。ビューネイの達しによって、何が起こっているのか」  
先ほどと語調は全く変わらない。ぐぐぐぐ…と、その野太い男根をアールヴの秘部の奥へ奥へと突き進めながら、  
アラケスはアールヴに問う。  
「ひっ…あぁ…はぁっ…あ!」  
だがアールヴは言葉で返すことはない。いや、アラケスの声が聞こえない。  
押し入ってくる快感が耐え切れないほど大きく、ただ声を出して受け入れることしか出来なくなっていた。  
「あっ…あぅう…ぅん…っ」  
イヤイヤをするように首を横に振り、その栗色の長い髪が振り乱される。  
そんなことをしている間にも男根は割り入り、一定のラインまで来ると急に奥までずぶりと潜り込んだ。  
「あはぁあっ…い…ぁっ」  
殆ど慣れてはいないはずなのに、僅かにあった痛みも急激に薄れた。  
奥に押し当てられた男根の先端の感触はやけに鮮明だというのに、アールヴの意識はそれとは対照的に  
一気に形を失っていった。  
 
…  
「はっ…ぁぁっ!…あぅっ…!」  
粘液が跳ねる音、結合部から齎されるのは全身に強く打ち響く快楽の鐘。  
気丈で、純粋な女傑であったアールヴは既にその意志をとろけさせ、絶え間ない快感を貪っている。  
動くようになった体も、抵抗のためでも逃げるためでもなく、ただ抑えきれない快感の逃げ道として、  
アラケスのその逞しい体にしがみつき、体を摺り寄せることにしか使われない。  
「あぁあっ…ふぁっ…いい…」  
小さめの口からだらしなく唾を流し、普段は強いまなざしは潤み、悦びの涙を流している。  
すぐ近くのアラケスの表情すらわからぬほど快楽に浸ったアールヴは、段々絶頂へと押し上げられていく。  
「ひぅっ…くふぅうっ…うあ、ぁあっ…!」  
浅かった動きは段々と深くなり、一度の律動で入り口あたりから奥までずむりと入り込んでくる感触。  
何かよくわからない"限界”を感じながら、しがみつく手をさらに強くする。  
もはや快楽を貪るだけの本能まま、アールヴはその"限界"を迎え入れる。  
「ぁ…っ!ふぁ、や、ぁ……あぁーっ…!!」  
何か言おうとしていたが、突き上げられる感触に言葉はみじんぎりになり、  
絶頂を迎えたアールヴの甲高い喘ぎが最後となって、声は止む。  
しがみついていた手がするりとアラケスの体から離れ、軽く浮いていた身体は床に沈み込み、冷たい感触を味わう。  
深く埋め込まれた男根が脈動して、体内に何かが流れ込んでいく。  
目を閉じて、頬を上気させ、荒く肩で息をしているアールヴ。絶頂まで味わった快楽の余韻と、その感触だけを感じて、意識をまどろませていった。  
 
「あら、アールヴ。ひさしぶりね。ついさっき帰ってきたのよー。ほら、ミュルスで買ったのよ。このアクセ…  
 ってどうしたの?月下美人なんか構えちゃって?何か殺気も漂ってるわよ?  
 そういえば、あなたも人間界に行ったんだって?いいでしょー。アビスにはないわよね。  
 華やかなる美というか。ミュルスとかピドナとか都会もいーけど、シノンとかランスとかもいいわよねー。  
 え?玄城?あ、そうそう。この服は昔っからそこの仕立て屋でやってもらっててねー。どう?アールヴも。  
 "キモノ"っていうのよ。ほらほら、どう?露出度も高くて…ね?いい感じでしょ。あれー?  
 いつもみたいに"は、はしたないですよ!ビューネイ様!"って照れないのね?おっかしいなー。そのほうがかわいいわよ?  
 術の訓練?あー、確かに、月と太陽の高位術だっけ? あ、そうそうそれそれ。シャドウサーバントっていうんだっけ?  
 人間達にやられたときは本当にきつかったわー。負けちゃったし。いいわねー、頼もしいわね。  
 って待って?何であたしに向かってるの?ていうかちょっ…ま、み、みだれせつげっ――――」  
 
魔龍公ビューネイが"謎の重傷"を負い、アビスの空の魔族の中で混乱、そして安息が生まれた。  
アールヴも腰痛を訴え、数日間姿を現さなかったとか、どうとか。  
 

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